空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

個人的なことなんですが……

今日は、直接的には書店にも本にも関係のない話題なんですが、ちょっと個人的なことを。



自分で企画・主催しているイベントのことや町本会のことばっかり書いているので、しばしば忘れられてしまうんですが、都内の出版社に身を置いておりまして、職種的には、編集者です。それが、「でした」になってしまいました。異動があり、編集の仕事を離れることになってしまったのです。


別に、会社を離れるわけではありませんし、もちろん、出版界を離れるわけでもない。会社の中で部署が、仕事が、担当が変わるだけです。そう、「だけ」なんです。「だけ」なんですが、やっぱりね、20年以上関わってきた、それなりに(というか、とても)思い入れのある仕事なんです、「編集」って。今回の異動は別に押しつけられたわけでもないし、急に決まったことでもありません。少し前から編集を離れる方向で調整していたことなので、もう腹はくくっているし、新しい仕事をがんばる気でいっぱいです。でも、やっぱり、ふとしたときに、こうして独りで、パソコンに向かっているときや、本を手にしているときなどに、自分が「編集者」でなくなること、本作りに直接タッチできなくなることがどうにもぴんとこなくて、ちょっとだけ、しょんぼりしたり、さびしい気分になったりしているのです……。


ぼくは編集者としては、まったく無名で、他人様に自慢できるような本も、書店を、業界全体を潤すような本も、結局作れませんでした。何ひとつ、これというものを成し遂げていないといっていい。でも、編集者として、会いたい書き手も、作りたい本も、企画してみたいテーマもまだまだいっぱいあるんですよね。その意味では、やり残し感は大きいんですが、でも、そんな思いを引きずって新しい部署で中途半端な仕事をするわけにはいきませんから、きちんと気持ちを切り替えようと思っています。それに、こんなふうにブログに駄文をさらしたり、本や出版・書店関連テーマのイベントを企画・主催したり、町本会に関わったりするのは、本業をきちんとこなし、そちらは絶対に手を抜かないこと、それが大前提ですからね。


編集部を離れる、編集者でなくなる、といっても、本に関わる仕事であることには変わりはありません。それに、出版の仕事は「編集」だけで成り立っているわけではありませんからね。これまでとは別のかたちで、本の世界を盛り上げるべく、がんばろう、とは思っています。ですので、ぼくが編集を離れても、編集者じゃなくなっても、引き続き、お付き合いいただけるとうれしいです。


1つ残念なのは、書店に行けなくなること、かなあ。これまでは編集の傍ら、ちゃんと「仕事」として日中、書店回りをしていたんだけど、今度の部署はデジタル関連の仕事をするところなので、さすがに「書店行ってきまーす」みたいな用事は、業務上はありません。となると、昼休みに寄れる神保町と、帰りに寄れる吉祥寺「以外」の街の書店を訪ねる機会は、必然的に激減しそうです。それは、ぼくのような趣味の持ち主にとっては、このような書店のことだらけのブログの書き手にとっては、なんというか、けっこう大きなダメージでして、それに何より、とても、とても残念なことなのです。


本業より課外活動のイメージが強いせいか、こういう話をすると、たいがい、「「空犬」としての活動はどうするの?」とか、「ブックンロールはどうするの?」とか、聞かれたりするんですが、空犬名義での活動は編集の仕事と連動していたわけではありませんから、ここでやめなくてはならない理由はありません。一応、「空犬」名義の活動はそのままのつもりです。ただ、今までのようには書店に行けなくなるので、「そのまま」、は難しいかもしれませんが……。


ブックンロールについては、来年もぜひ、とか、よそでもぜひ、とか、会場からは年内にもう1つイベントやってとか、いろいろリクエストもらってるんですが、なかなか気力と体力の要ることではあるし、新しい職場で、慣れぬ仕事をしながら、イベントの企画・主催にどの程度手を出せるのかもわからない状況ですので、ちょっと考え中です。



追記:この文章をアップしたら、1時間もしないうちに、知り合いの先輩編集者からメールが届きました。ぼくが《自分が「編集者」でなくなる》云々と安易に書いたことに対し、その方は、お前が編集屋であるかどうかは所属とは関係ない、お前は(今も)編集屋である、そのような内容のことを書いてくれたのでした。《編集とは所属組織が与える職掌ではなく、当人の精神と挙動のこと》である、と。そして、そんなことはわかっているはずだ、とも。


今回の身辺の変化については、いろいろな人に報告しました。どんな部署でも大丈夫だよ、なんとかなるよ、デジタルも得意そうじゃない、そんなふうに励ましてくれる方は何人もいました。でも、編集屋は編集屋である、そんなことを言ってくれたのは、この先輩だけでした。


ぼくが、このわずか数行のメールに、どれだけはげまされたか……。幸いなことに、社が同じか、ジャンルが同じか、職種が同じかどうかに関係なく、尊敬できる出版仲間が周りに何人もいます。そのことがいかに、ありがたく、幸せなことか、身をもって知らされました。そして、同時にこんなことも思ったのです。ぼくもこの業界でそれなりのキャリアになる、いい年のおやじなんだから、誰かが、とくに年若い友人知人が何か悩んだり困ったりしているときに、こんなふうに声をかけられるようになりたいなあ、そういう存在でありたいなあ、と。


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