空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

図鑑好きにはうれしい図鑑新シリーズの創刊と『図鑑大好き!』

先日、こんな記事が目にとまりました。「進化する「図鑑」活況 ビジュアル重視、スマホと連動」(6/16 msn産経ニュース)。出版業界紙の「新文化」にも大きな記事が出ていました。【新文化】 -PR本紙6月12日号:3出版社、図鑑大型企画で再バトル!! 《1面特集》」


産経の記事を見てみます。《夏休みを前に、子供向けの学習図鑑の新刊が相次いで発売される。生き物の生態が分かるアップや迫力のある動きを収めた写真を大きく使ったり、スマートフォン(高機能携帯電話)をかざして3D画像を見られる新タイプも登場。子供たちの理科離れが指摘されるなか、進化する図鑑市場は活況が続いている》。記事では、『くらべる図鑑』(小学館)のヒットがきっかけで、《新タイプが次々と登場。それまで図鑑を出していなかった出版社も参入するなど活況が続いている》と続いています。


その参入組の1つが講談社。《3年前、動物などの動きに注目した「動く図鑑MOVE」シリーズを創刊。同社として15年ぶりの参入にもかかわらず、現在までに9冊で累計128万部の売れ行きを記録。今月12日には同シリーズの『生きもののふしぎ』『植物』が新たに発売された。DVD付きで動く映像が見られることに加え、ライオンの顔のアップや桜島が噴火する様子など、迫力のある写真を大きく掲載するビジュアルの面白さが好評だ》。


児童もの図鑑といえば、学研と小学館。MOVEの成功の影響でしょう、2社も動画付きの新シリーズをこの6月に創刊しています。まずは学研。《学研教育出版は今月20日、新シリーズの図鑑「LIVE」(DVD付き)を創刊する。第1弾として、子供に人気の『恐竜』『動物』『昆虫』の3シリーズを予定。スマートフォンやタブレット端末に専用アプリをダウンロードして本にかざすと、3D映像や動画で昆虫や動物のリアルな動きを楽しむことができる。》


小学館も《「図鑑NEO」シリーズで『恐竜』『動物』『昆虫』の新版と、新刊『花』を18日に刊行する(DVD付き)。特徴は恐竜や昆虫などを、分類ごとに進化に沿って紹介していること。たとえば昆虫の場合、最も原始的なトビムシ目が巻頭にあり、キリギリスなどのバッタ目やカブトムシなどのコウチュウ目へと進む。「意識しなくても生物の進化の不思議を感じてもらえれば」と北川吉隆編集長。》


図鑑については、この記事とか、この記事とか、過去に何度か空犬通信でも取り上げていますが、ぼくは図鑑少年がそのまま大きくなったような図鑑好き。新規参入がきっかけとなって、老舗が新シリーズを出すなど、図鑑の世界自体が盛り上がり、魅力的な商品が生まれてくるとしたら、図鑑好きにとってこんなにうれしいことはありません。ぜひ3社にはがんばって、すてきな図鑑を世に送り出してほしいものです。3社の公式サイトをあげておきます。



再び産経の記事に戻ります。《出版科学研究所によると、「図鑑」(キャラクター図鑑などを除く)の平成25年の推定発行部数は149万部と、21年の80万部から大幅に伸びた。新刊点数も165点から181点に増えている》。出版不況云々で、部数減の話ばかり聞かされることの多いこの業界で、この伸びはすごいですね。版元の努力や工夫が、きちんと読者に届いている証拠ということでしょうか。


図鑑=児童ものというイメージでいる人も多いかと思いますが、大人向けの商品も多いジャンルなんですよね、実は。そちらも好調のようで、記事には《学習図鑑だけでなく、写真集のような大人向けの図鑑も好調だ。平成22年刊行の『世界で一番美しい元素図鑑』(創元社)は、累計20万部のベストセラー。4月刊行の『世界一うつくしい昆虫図鑑』(宝島社)もすでに重版が決まっているという》とあります。いずれも決して安価な本ではありませんが、それがこんなふうに売れるというのはうれしい話ですね。


図鑑といえば、最近、図鑑愛にあふれたすばらしい本に出会いました。



図鑑大好き書影

BOOKSルーエで、花本氏に、「買うでしょ?」という感じで、版元の注文書faxを見せられ、中身もろくに見ないままに注文扱いになっていたもの。版元のサイトによると、このような内容です。《自然観察に欠かせない「図鑑」を徹底紹介。図鑑大国の日本で刊行された図鑑の歴史・作り方・工夫などから、身近な自然の散歩・探検に最適の図鑑をナビする。博物館初の「図鑑展」図録。やくみつる、柳生真吾、さかなクンらの愛蔵「図鑑」とその楽しみ方を大紹介》。


目次を見ると、「世界の「古書的」図鑑の話」「図鑑をつくる人々」「日本図監史」などなど、興味深い項目が並んでいます。図鑑紹介本・図鑑ガイドの一面ももちろんあるのですが、単なるガイドに終わらず、図鑑とはどのようなもので、どんな人が作っていて、どんな歴史があるのか、など、盛りだくさんな内容になっています。この1冊を読めば、図鑑がどのような本なのかがきちんとわかる、そんな作りになっています。


本には、読み手、作り手と、図鑑に関わるいろいろな人が登場しています。いずれも、図鑑の取り上げ方、図鑑への言及の仕方に愛があって、読んでいてうれしくなります。


この本、ぱっと見だと、すごく薄い(112ページ)のですが、それで2000円+税という定価なので、割高な印象を持たれる方もいるかもしれません。ただ、本はオールカラーで、図鑑の図版の引用も豊富ですし、何より、中身が濃いので、決して高くないと思います。図鑑好きの方はぜひ。本書で取り上げられているような図鑑類をすでに持っている、よく知っている、という方が読んでも発見がある1冊だと思いますよ。


ところで。この『図鑑大好き!』のような本を読むと、「本」を「本」で紹介するやり方、「本」の魅力を「本」で語るやり方というのは、まだまだあるんだなあと、そんなことを再確認させられもしました。


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