空犬通信

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「音楽」+「コミック」を徹底収集……『音楽マンガガイドブック』が刊行されました

音楽とコミックが両方好きな人には見逃せない感じの、こんなガイドブックが刊行されました。



音楽マンガガイドブック書影

↑表紙もなかなかのインパクト。


版元の内容紹介を引きます。《史上初! 1950〜2010年代までの、「音楽をテーマにしたマンガ」だけを網羅したガイドブック誕生! ロックバンド、クラシック、ジャズ、ブルース、合唱、DJ……、計360タイトル掲載!》


360タイトルはすごいですね。50年代からとカバー範囲が広く、また、音楽に関わる人物が主人公といった狭義の音楽ものではなく、《当時、もしくは現代の読者にとって音楽とのリンクを自然に意識できる作品》(「まえがき」より)が加えられているからこそ、集められた数なのでしょう。


各作品の紹介は、書影+書誌情報+解説からなっており、4分の1ページから見開きまで、作品の重要度に応じて、ということなのでしょう、割り当てられているスペースが作品によって変わります。


こちらは、音楽好きでありますが、コミックに関してはそれほど熱心な読み手とは言えないせいか、こんなにたくさんの作品が取り上げられているというのに、知らない作品が圧倒的に多くて、ぱらぱら読みながら、まずはそのことにびっくりさせられました。音楽もののマンガってこんなにあるんだ……。


そんな、知らない作品の海のなかに、時折、こちらの好きな作品が混じっていたりすると、しかも、それが大きく扱われていると、やはりうれしくなります。とくにうれしかったのが、鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』が取り上げられていること。しかも、見開きを使っての大フィーチャー(本書のなかで、見開き扱いはわずかに数点しかありません)。これは、先に引いた「まえがきの《当時、もしくは現代の読者にとって音楽とのリンクを自然に意識できる作品》にあたるもの。


この『マカロニほうれん荘』、大好きな作品で、それこそ人生のオールタイムベストのコミックを挙げるなら必ず上位に入れることになる作品なのです。小学生のころ、リアルタイムで読んでいたときから、やけに音楽ネタが多いなあ(とは言っても、まだそのころは、それぞれのネタをちゃんと理解していたわけではないのですが)と思っていたんですよね。とくに、扉ページにあふれるロックスピリッツは最高で、この作品の文庫版や愛蔵版が出たときに、雑誌掲載時の扉が収録されていなくて、たいそうがっかりしたのを覚えています(なので、今でも少年チャンピオンコミックス版で愛読しています)


マカロニほうれん荘全巻

↑我が家の本棚のマカロニ。


……すみません、脱線しました。とまあ、そのような感じで、ストレートな音楽ものも、そうでない感じのものも取り混ぜて、音楽マンガに関する情報と、それらの作品への愛がぎっしり詰まったものになっています。細野晴臣さん、坂本慎太郎さん、直枝政広さんといった、ミュージシャンのインタビューも収録されていて、音楽マンガにかぎらない、マンガ全般への思いなどが披露されています。その他、音楽マンガや音楽誌に関するコラムも収録、巻末には人名索引と作品名索引を完備。読んで楽しむだけでなく、資料性も高い1冊になっています。


「音楽」と「マンガ」、2つのキーワードの両方に反応してしまう方には広くおすすめしたい1冊です。



さて。大変な充実ぶりのガイドブックですが、ちょっとだけ気になってしまった点もありました。それらについても、少しだけふれておきたいと思います。


まず、書誌情報がやや不親切なこと。目次の「本書の見方」によれば、各作品に添えられた書誌情報は「発表年/連載・読み切り・そのほか/掲載誌/単行本/再発本」となっています。うち、「単行本/再発本」、つまり、その作品の刊行形態について、「朝日ソノラマ/講談社漫画文庫」のように、親本の版元と文庫化されている場合の文庫レーベルとを併記したものもありますが、これが徹底されていないようで、文庫版や愛蔵版があるのに、併記されていないものがあります。(たとえば、みうらじゅん『アイデン&ティティ』(青林堂)。)


文庫化などの作品の出版情報が落ちているだけでなく、続編や関連作品が漏れている場合もあるようです。たとえば、先の『アイデン&ティティ』には『マリッジ』(青林堂)という重要な続編があって、角川文庫版では、この2作がまとめて収録されているのですが、本書では『マリッジ』は取り上げられていませんし、『アイデン&ティティ』の解説文中でも言及がありません。


また、コミックのシリーズものが何巻出ているか(たとえば、先の『マカロニ』であれば、少年チャンピオンコミックス版だと全9巻)の記載がないのも、シリーズものが多く、文庫化・愛蔵版化・完全版化などの際に巻数が変わってしまうことも少なくないコミック作品の情報の示し方としては、ちょっと不親切に思えます。


いずれも、Googleで、また、オンライン書店で検索すれば済むこと、と思われる方もいるかもしれませんが、そういう言い方は、こうした冊子本形態でのガイドブックの存在そのものを否定することになりかねません。わずかな工夫や手間を惜しまないだけで、こうしたガイドブックが、読み手の本へのアクセスを容易にしたり、読んでみようと思う本の幅を広げたりすることは大いにあると思うのです。


将来、改訂版や増補版が出る可能性もあると思いますので、何かの参考になればと思い、記しました。なお、こうした点は、あくまで個人的に気になったという程度の問題で、きわめて情報量の多い、充実した内容の本書の価値を下げるようなものではないことも記しておきたいと思います。


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