空犬通信

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東京創元社の戸川さんのお話……そして、専門書店の難しさ

半月以上たってしまって、今さらな感じの報告になりますが、1/24に、西荻窪のブックカフェbeco cafeで、beco talk vol.13「吉祥寺で本屋をやってみたら ミステリー専門店「TRICK+TRAP」の1400日」を開催しました。


話し手は、ミステリー界ではその名を知らない人はいないであろう、東京創元社の大ベテラン編集者、戸川安宣さん。今回のテーマ、「TRICK+TRAP」の話は、現役の編集者が、数年にわたり、片手間ではなく本格的に関わって専門書店を運営したという、とてもめずらしいケースではないかと思います。


吉祥寺と言えば、中央線沿線でも屈指の書店激戦区。新刊・古書・専門を合わせると、かなりの数の書店が現在もしのぎを削っています。そのような激戦区・吉祥寺に、わずか数年のこととはいえ、比較的最近、非チェーンの独立系新刊書店が存在しえたということだけでも驚きです。その裏側の話がおもしろくないわけがありません。戸川さんのお話は、事前に打ち合わせ他で、いろいろ話をうかがっていた身にも新鮮かつ興味深い内容で、2時間、フルに使っても足りないぐらいでした。


トークには、「TRICK+TRAP」に通っていたという常連のお客さんが何人も来てくださいました。お店が閉店して数年になりますが、同店を利用していた本好きのみなさんの心の中に深く刻みこまれていたんだなあ、ということがわかり、自分が関わっていたわけでもなんでもないのに、いち書店好きとして、とてもうれしくなりました。


トーク終了後の交流会も大変な盛り上がりで、たくさんの方が遅くまで、戸川さんを囲んでにぎやかに話しこんでいました。最後まで残った数人が、ふと気づけば午前2時! 楽しい時間になりました。


今回のbeco talkは、町本会とは別に企画したものなんですが、戸川さんのお話は、今後、町本会で取り上げたいと考えているトピックとも大いに重なるものでした。新刊の専門書店は、一般新刊書店に比べて、さらに厳しく、現在も児童書専門店など、ごくわずかな例外をのぞいて、継続・維持どころか、成立させること自体が難しい状況にあります(その児童書専門店も、たとえば吉祥寺では「おばあちゃんの玉手箱」が、お隣三鷹では「りとる」が、閉店になっています)


今回の話は、専門書店での話でしたが、一般新刊書店をメインに考えている町本会の今後の活動にも活かしていきたいなあと、そんなふうに思わされました。



資料として、「TRICK+TRAP」で当時発行されていたフリーペーパー「」と当時の書皮(ブックカバー)を戸川さんが持ってきてくださいました。よく残っていたものだと思います。トーク当日、会場で配布しましたが、少し残部があります。beco cafeでの書店関連トークの際に配布したいと思います。


TRICKTRAP カバー1

↑「TRICK+TRAP」の書皮。こちらは、会場で配布したのとは別の、文庫用のもの。イラストは、いしいひさいちさん。


TRICKTRAP フリペ

↑「TRICK+TRAP」で発行されていたフリペ。


ちなみに、戸川さんは、こうしたお店のグッズ類だけでなく、売上やイベントなどお店のことをノートに克明に記録で残していらっしゃいます。今回のトークでも、売上額や当時の取次とのやりとりなど、とてもこまかいところまで話を聞かせていただくことができたのですが、それは、すべて戸川さんご自身がとっていた詳細な記録によるものです。


戸川さんからは、お会いするたびに、お仕事のこと、お店のこと、いろいろなお話をうかがうのですが、どれも、一人で聞いているのがもったいないような話ばかり。今回の「TRICK+TRAP」の話も、独立専門書店の立ち上げから閉店までをとらえた、貴重な記録だと思うのです。


『本の雑誌』2013年8月号に、新保教授による戸川さんのインタビューが掲載されています。戸川さんのミステリー編集者としてのお仕事については、新保教授のようなミステリーの専門家が、きちんと記録を残し、まとめるといいのではないかと思うのですが、今回、書店の話を聞いてみて思ったのは、ミステリー分野以外のお仕事についても、まとめてほしい、いや、まとめるべき、ということです。戸川さんから影響を受けた編集者の1人として、ぜひ本にしたいものだなあ、と思うのですが、どこか、引き受けてくれる版元がないかなあ……。


……ということを、ぶつぶつあちこちでつぶやいていたら、興味を持ってくださった方が現れました。ありがたいことです。まだ何が決まったわけでもありませんし、何より、戸川さんともちゃんと話をしたわけではないのですが、1回かぎりのトークで終わらせずに、なんらかのかたちに残せたらなあ、と、そんなことを考えています。



以上、大変遅くなりましたが、トークイベントのレポートです。ちなみに、企画・主催者が報告をサボっている間に、出演の戸川さんはご自身のブログに、早々にレポートをあげてくださっていました。「beco cafe トーク」(1/25 パン屋のないベイカーストリートにて)、「イベントのご報告(Jr.)」(1/29 亥午談論)。後者は戸川さんがご子息と一緒に更新されているブログで、トークイベントのレポートはご子息の戸川さんが書いてくださいました。


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