空犬通信

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シリーズ「本屋さんのすべてがわかる本」はすごかった

しばらく前の記事で紹介した、ミネルヴァ書房の「本屋さんのすべてがわかる本」(秋田喜代美監修、稲葉茂勝文)。記事執筆時点では、版元のサイトの情報しかなく、くわしいことがわからなかったのですが、その後、版元の方から資料をいただき、どのようなシリーズかが少しわかりましたので、あらためて紹介したいと思います。



本屋さんのすべてがわかる本 書影1本屋さんのすべてがわかる本 書影2

↑第1巻と第2巻の書影。


シリーズ全体については、サイトの案内にこのようにあります。《本屋さんは教育の宝庫。学べることはたくさんあります。このシリーズでは歴史、国際理解、キャリア教育、メディアリテラシー、読書推進といったあらゆる切り口から本屋さんの魅力にせまります。日本はもちろん世界の本屋さんについても豊富な写真でわかりやすく解説しています。さあ、このシリーズで本屋さんの歴史から活用法までを、しっかりと見ていきましょう。そして、どんどん本屋さんへ行ってみましょう!》


第1巻については、《本の売り買いのはじまり、現在の本屋さんのかたちがつくられるまでの経緯、世界各国の本屋さんなどについて知ることができます》、第2巻については《日本の本屋さんの誕生とうつりかわり、書物の歴史、出版制度など、豊富な写真でわかりやすく解説》という説明があります。


第1巻を見ると、2部構成になっていて、パート1は「本屋さんの歴史」、パート2は「写真でいる外国の本屋さん」。パート1は、「本の売り買いのはじまり」「近代の本屋さんのうつりかわり」「出版社と読者との仲介役」「本屋さんの歴史、イギリスでは?」「アメリカの本屋さんの歴史」に分かれています。それぞれは見開き、または1ページと、分量こそそれほど多くはないのですが、AB判と大きい紙面で、カラー図版も豊富に使われているため、情報が少ない感じは受けません。各テーマの解説がコンパクトにまとめられているため、年若い読者が本屋さんの歴史を概観するには、まさにぴったりの内容と分量になっています。


パート2は「ハッチャーズとは?」「ヨーロッパとオセアニアの本屋さん」「イスラム圏の本屋さん」「「一党独裁国家」の本屋さん」「アジアのさまざまな国の本屋さん」に分かれています。紹介されている書店の外観や店内の様子を伝えるカラー図版に、コンパクトな説明が添えられています。ユニークなのは、イスラム圏や北朝鮮の書店など、素人が簡単には訪問できないエリアの書店がちゃんと図版入りでカバーされていること。このあたりは、1巻、2巻に協力として名を連ねている、世界の本屋さんと言えばこの方、能勢仁さんが参加が大きいのでしょうか。


このほか、両パートとも、コラムがいくつも掲載されていて、「世界の本屋さんトップ10」といったランキングものや、製本・ISBNなど本作りや流通に関わるもののほか、「本が焼かれる」というタイトルで言論弾圧や焚書にふれたものまであります。


第2巻も、同じく2部構成になっています。パート1は、「日本の本屋さんの歴史」、パート2は「明治維新から現代までの本屋さん」。前者は「日本の本屋さんは、いつごろできたの?」「日本の出版のはじまりはお寺から」「日本の出版文化は京都から」「江戸のまちの本屋さん」「庶民に読書を広めた貸本屋さん」に分かれ、後者は「文明開化と印刷技術」「明治・大正時代の本屋さん」「古本屋街の起こり」「取次の誕生」「戦後になると……」「日本の出版の特徴」に分かれています。


こちらも世界編同様、それぞれのテーマは見開きまたは1ページとコンパクトな分量にまとまっていますが、その分、全体の流れをとらえやすいようになっています。こちらもカラー図版がふんだんに使われています。この分野の本はかなりおさえてきたほうだと思いますが、初めて見るような、類書であまり見かけないような図版もあり、勉強になります。とくに、『本屋図鑑』に関わった身としては、『本屋図鑑』ではふれられなかった江戸・明治・大正時代の本屋さんが、図版入りできちんと紹介されているのもうれしいところ。



歴史をきちんとふまえ、地域別の書店事情などもおさえて、本屋さんがどういうものであるかを、子どもたちにわかりやすく伝えようというのが、とても強く伝わってくる中身になっています。ここまでの紹介を、それこそ目次をご覧いただくだけでもおわかりの通り、その内容は大人でも十分に楽しめる本格的なものになっていて、これを子ども向けだとスルーしてしまうのは、もったいない感じです。


本屋さんのすべてがわかる本 書影3本屋さんのすべてがわかる本 書影4

↑第3巻、第4巻の書影。第3巻は第4巻はです。


見せていただいたのは第1巻、第2巻のみで、第3巻、第4巻については本稿執筆時点では、まだ版元のサイトにも書誌情報や目次があがっていませんので、詳細がわかりませんが、第1巻、第2巻の内容からするにこちらも期待大です。おそらくは『本屋図鑑』で取り上げた内容とも重なってくるはずで、それらが子ども向けのシリーズでどのような記述になっているか、どのような紙面になっているのか、とても楽しみです。


このシリーズ、第1巻が11/25の刊行予定ということで、これから店頭に並ぶ本ですが、早速、新聞の書評欄でも紹介されています。「「本屋さんのすべてがわかる本」刊行」(11/17 MSN産経)。


記事の一部を引きます。《ミネルヴァ書房が「本屋さんのすべてがわかる本」全4巻(監修・秋田喜代美、文・稲葉茂勝)の刊行を今月から始める。“本屋さんは学びの宝庫”をコンセプトに、東京大大学院教育学研究科教授で日本読書学会会長などを務める監修者の秋田さんが、本屋さんの歴史、国際理解教育、キャリア教育、メディアリテラシー、読書推進などの切り口から、その魅力に迫るシリーズ》。


各巻の刊行予定についてもふれられています。《第1巻『調べよう!世界の本屋さん』は今月25日刊行で、本の売り買いの始まり、現在のスタイルが作られるまでの経緯などを知ることができる。続いて12月下旬に第2巻『調べよう!日本の本屋さん』、来年1月下旬に第3巻『見てみよう!本屋さんの仕事』、2月下旬に第4巻『もっと知りたい!本屋さんの秘密』を刊行予定。各巻2000円》。


全4巻をそろえると8000円と、それなりに高価なシリーズですので、簡単には手が出ないという方もいるかもしれませんが、最初の2巻の内容を拝見するかぎり、値段の価値は十分にあるシリーズのように思えます。大人子どもを問わず、書店に関心のある人には広く読まれるといいなと思います。とくに本が好きで、本が売られている本屋さんという場所に興味を持ち始めているというお子さんがいる方には、ぜひ親子で一緒に手にとってみてほしい本です。


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