空犬通信

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「書店で働くということ」を考える……ミシマ社『善き書店員』が刊行されました

新刊案内で予告を見かけて以来、ずっと発売を楽しみにしていた書店本(いや、「書店員本」というべきかな)が刊行されました。



善き書店員 書影善き書店員 チラシ

↑大変にシンプルだけど、店頭では目を引きそうな装丁。右はチラシ。


版元の内容紹介によれば、このような本です。《この時代において「善く」働くとはなにか? 500人超のインタビューをしてきた著者が、現役書店員6名へのロングインタビューを敢行。その肉声の中から探し、見つけ、考えた、体を動かし普通に働く人たちが大事にするようになる「善さ」とは――。「肉声が聞こえてくる」、新たなノンフィクションの誕生》。


本に登場するのは、以下の書店員さんたち(「所属店名はインタビュー当時」とのこと)
佐藤純子さん(ジュンク堂書店仙台ロフト店)
小山貴之さん(東京堂書店神田神保町店)
堀部篤史さん(京都・恵文社一乗寺店)
藤森真琴さん(広島・廣文館金座街本店)
長﨑健一さん(熊本・長崎書店)
高頭佐和子さん(丸善・丸の内本店)


この本、版元のご好意で見本をいただいてしまったんですが、届いたその日の晩に、一気に読んでしまいましたよ。お店ではなく書店員に焦点をあてた書店本は過去にもあったし、インタビューをもとにしたもの、対談本などもありますが、肉声を最大限に活かす、という、本書のまとめ方は、それらの多くを読んできたはずの身にもとても新鮮なものでした。これまでになかったタイプの1冊かも……いただいたから、ということではなく、ほんとうにそのように思いました。


ただ、そのような話し手の話しぶりやくせまでがとらえられたリアルな文章であるがために、ところによってはちょっと読みづらくなってしまっていたり、前後の脈絡がややすっきりしない感じになってしまっているところがないわけではありません。でも、そうした多少のでこぼこが気にならないぐらいにおもしろく読めてしまいますし、そういうでこぼこがあるからこそいい、とも思えてしまいます。全体としてはまさに、通常のインタビューまとめでは得られないような、その人の「しゃべり感」(そんな表現、ないけれど)が強く伝わってくる本になっているなと、そんな感じがしました。


いまこの時代に書店のことを語ろうとすると、好きだ大事だ文化だ残したい、というような(本好きに大井)愛情論か、厳しい苦戦だ閉店が続く風前の灯火、というような(メディアに多い)悲観論か、どちらかに分かれがちですが、この本にはどちらも出てきます。バランスをとったわけではないでしょう。書店のことをリアルに語ろうと思ったら、両面の話にならざるを得ない、ということなのだろうと思います。


同業の書店員のみなさん、とくに若い世代のみなさんには読んでほしい。そして、本の業界のなかだけでなく、書店に関心のある人に広く読まれるといいなあと、心からそう思います。



なお、この本の出版記念イベントが行われるようですよ。「三島邦弘さん×木村俊介さんトークイベント」。11/23(土)、鳥取の「本の学校 今井ブックセンター」にて。詳細は、サイトの案内をどうぞ。


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