空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

本の顔、ルリユール、POP、古書、タイポグラフィ……本の本・本屋本いろいろ 前編

本の本、本屋さんの本、たまったら記事にしようと、ためていたら、すごい数になってしまいました……。ちょっと長くなりますが、また、少し刊行から時間がたってしまったものも混じっていますが、まとめて紹介します。(だらだらと長い記事になってしまいましたので、2つに分けました。紹介の順番はランダムで、出版順ではありません。単行本も雑誌もまぜこぜです。)



『本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること』は、《「人と人とのコミュニケーションが装丁をつくる」それを30年間、第一線で実践してきた坂川栄治と坂川事務所による、装丁の教科書。作品紹介にはじまり、採用案と不採用案の比較、打合せ当時についての担当編集者のコメントや対談など普段あまり語られることのない舞台裏に迫り、「装丁」を多角的にとらえた一冊です。今までに手掛けた数千冊の中から約180冊を厳選し、1冊の装丁ができるまでを図解した》という内容。


装丁・ブックデザインに関心のある人なら必ず手に取りたくなる1冊ですね。オールカラーで、書影が多いのもうれしいところです。


ちなみに、本書、巻末の対談には、11月のbeco talkに出演、海外文学の話をしてくれることになっている早川書房の山口晶さんも登場。坂川さんの「「装丁」術」について、実際に手がけた本の例を引きながら語っています。


『ルリユール』は、不思議な造本師が登場する物語。「ルリユール(reliure)」とは、フランス語で、製本・装丁(術)のこと。ストレートにブックデザインを語った本もいいですが、それをテーマにしたお話というのもいいですね。この本については、別記事で取り上げます。



東京メトロの駅で配布されているフリペ『東京トレンドランキング』。9月号の特集は「ユニークな個性派書店」で、SPBS(渋谷)、ダーウィンルーム(下北沢)、COOKCOOP(渋谷)が、オールカラー、写真入りで大きく紹介されています。


紹介するのが遅くなってしまったので、もう駅での配布は終了していると思いますが、ぼくも、実は配布が終わってから入手しています。興味ある方は駅の事務所などで聞いてみるといいかも。


『本との出会いを創り、育てるために』は、《「出版産業シンポジウム2012」の全記録を1冊にまとめたもの》。版元のサイトのほか、「全国書店新聞」10/15号でも「参考図書」として紹介されています。


東京国際ブックフェア会場での「出版産業シンポジウムin東京」、記録として貴重ですから、書籍化されるのはいいことだと思うのですが、もう少し早く出せないのかなあと、前から思っていました。過去の書籍化のときもそうですが、これ、今年7月のシンポジウムじゃなくて、前年のなんですよね。それが、約1年後、次のシンポジウムが開催された後に出るという。


シンポジウムの単なる書き起こしではなく、いろいろ加わったり、編集されたりする部分があるため、それなりに時間がかかる、というのはわかります。わかりますが、これだけ出版不況が言われ、デジタル関連の動きも速くなり、出版権や消費税など、出版関連の動きもあわただしいなか、シンポジウムが1年以上もたってから書籍になって刊行される、というのは、いくらなんでも時流に合わなさすぎると言わざるを得ないと思うのです。だって、1年もたったら、せっかく今の本の世界についてあれこれ語っても、本の世界自体が変わってしまいますから。これだから(紙の)出版は……などと言われてしまってもしかたないように思います。


このような本に関心を持つ人は、出版の動き、本の世界のことに、関心の高い人たちでしょう。であるならば、なおのこと、TIBFのような、出版界唯一の国際ブックフェアのシンポジウムで語られたことは、たとえ、書籍としての体裁がそれほど整っていなかろうがなんだろうが、まずは迅速に情報として共有できるようにする、確認できるようにする、広く読めるようにする、それが大事なのではないかなあと、そんなことを、1年遅れで読めるようになった本を前に考えています。


『ビジュアルとキャッチで魅せる POPの見本帳』は、書名の通り、書店で使われているものにかぎらず、いろいろな小売店のPOPの事例をたくさん集めた見本帖。


ちょっと長くなりますが、版元の紹介を引きます。《POPづくりの参考にするなら やっぱり本物を見るのが一番!! ふだん何気なく見過ごしているPOPですが、いざ作り手の側に立ってみると、いかに購入者の目をとまらせ、商品を購入させるのか、そのためのノウハウや、デザイン&キャッチコピーはどのように生み出せばいいのかといった点は非常に頭を悩ませるところです》。


《本書は、店頭のPOP広告を実例で紹介する見本帳形式の書籍です。書店、雑貨店、CD/DVD店、スーパー、専門店といったさまざまな業種の手書きPOPを実例として写真で紹介し、現在のわが国の店頭POP広告の有り様をお伝えしながら、関係者のみなさまのPOP制作の参考になることを目的に制作しました。業種やお店によるPOPの工夫点などが実物で一覧できる内容になっているほか、POPの基本的な知識や有名店の担当者にインタビューした制作ウラ話も読み応えたっぷりです》


目次には、「工夫とビジュアル勝負の書店POP」といった項目の他、店名+書店員さんとしては、「ヴィレッジヴァンガード 花田菜々子さん」「あゆみBOOKS 太田和成さん」があがっています。書店・本に特化したものではありませんが、逆に、そのほうが、POP作りのうえで、参考になる点は多いかもしれませんね。おもしろい本だと思います。


まさか、『婦人画報』を購入することになるとはなあ。もちろん、初めてのことです。お目当ては、特集「さあ出かけましょう、本屋さんぽ」。


内容は、《平積みの下に、棚の向こうに、人生の宝物がある さあ 出かけましょう、本屋さんぽ》《昨今、本はインターネットでも簡単に手に入りますが、足を運ばずにはいられない本屋さんがあります。そこは、丁寧に選ばれた本が並び、それらが醸す豊かな空気管に包まれた居心地のいい空間。何より、新しい世界の扉を開く宝物のような本が物言わず潜んでいる場所なのです。今度の休日、そんな本屋さんをさがしてみませんか?》というもの。


女性誌の書店特集……どうせおしゃれな本屋さん、いつもの本屋さんをさらりと紹介して終わりなんだろうなあ、などと、ついつい先入観を持ってしまったりしがちですが、予想外に充実した特集でした。書店のセレクトも雑誌で取り上げられやすい有名店ばかりになっていなくて、バラエティに富んだものになっています。お店を紹介する写真が大きくて、しかも点数が多い。雑誌自体が大判フルカラーの紙面で迫力があるうえ、特集も20ページにも及ぶボリュームで、非常に読み応えがあります。いやはや、これには驚かされました。


どんな書店がどんなふうに取り上げられているかにはあえてふれませんので、書店好きは、ぜひ実物をあたってみていただければと思います。


『伊藤まさこの雑食よみ 日々、読書好日。』、著者の伊藤まさこさんは、人気スタイリストだそうで、当方はまったく知らない方なんですが、本読みのようで、この本はこんな内容だそうです。《とっておきの本と本屋さんについて綴ったエッセイ集。オールカラーの美しい写真満載。昔からの愛読書、大切な料理本の数々、神保町散策、京都での素敵な出会い、松本・本屋さんめぐり1泊2日など。『伊藤まさこの雑食よみ 日々、是、一冊。』の第2弾》。


目次を見ると、神保町界隈だけでも数店、他のエリアからもいくつかと、書店がいくつも取り上げられているのがわかります。写真にも、書影や棚がけっこう写っていて、本屋さん好きならば、ビジュアルだけでも楽しめそうな感じの1冊になっています。


今回の紹介本には、本のデザインに関わるものが多いですね。不勉強ゆえ知らなかったのですが、次の『アシンメトリック・タイポグラフィ』は《ブックデザインの世界的な古典》だそうで、《活字の選択、組版の理論から、色や紙の効果的な用法まで、今日もなお有効なタイポグラフィと書物形成の基本原理を明快に解説。世紀をこえて読み継がれる不朽の書》なんだそうです。こんなふうに紹介されたら、装丁・造本に関心のある身としては読まないわけにはいきませんよね。11/6ごろ発売予定とのこと。


『古書ミステリー倶楽部』は、先日の乱歩関連の記事でもふれていますが、あらためて。古書をテーマとするミステリー短篇を集めたアンソロジーです。本好き、古本好きが楽しめそうな好短篇が集められていますが、このジャンルの定番の1つ、梶山季之『せどり男爵数奇譚』から、集中でもっとも強烈な印象を残す(エロくて、グロい、という意味で)1編が選ばれていますので、手に取られる方(古書ミステリーと聞いて、なんとか堂みたいなライトな感じのものをイメージされる方はとくに)はご注意を。


後編に続きます。


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