空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

「日本の古本屋メールマガジン」に、『本屋図鑑』についての文章を寄せました

ブログとツイッターをお休みしている間に配信されたものですので、今さらな感じの報告になりますが、「日本の古本屋メールマガジン」に『本屋図鑑』関連の文章を寄稿させていただきました。



まとめの記事にも書きましたが、「日本の古本屋メールマガジン」の「自著を語る」コーナーと言えば、名だたる「本の本」「本屋さんの本」の書き手が登場する名物コーナー。『本屋図鑑』は単著ではないので、そのようなところに当方が寄稿するのはなんだか図々しい気がしないでもないですが、もうこんな機会もなかろうということで、駄文を寄せさせていただいた次第です。


記憶にある最初の本屋さんのことや、「図鑑」への思いなどについて、(このブログでいつも垂れ流しているようなだらだら書きは少し抑えて)書きました。へたくそな文章ですが、お読みいただけるとうれしいです。


ちなみに、この号の「自著を語る」は、同時期に出た本屋さん本3点が仲良く同時掲載されています。残りの2点はもちろん、宇田智子さんの『那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』と、朴順梨さんの『離島の本屋』(文章のタイトルは「離島の本屋には、いったい何がある?」)です。いずれも、本と同様、すてきな文章ですので、ぜひ合わせてお読みください。


「日本の古本屋メールマガジン」のバックナンバーには、本や書店関連の本に関心のある方なら興味を引かれること必至の書名・著者名がずらりですから、メルマガをふだん読んでいない方は、ぜひそちらにアクセスして読んでいただきたいのですが、念のため、ということで、メルマガに書いた文章をこの記事にも引用しておきます。(でも、ぜひ「日本の古本屋メールマガジン」のほうで読んでみてくださいね。)



本屋はやっぱりおもしろい



記憶にある最初の本屋さん。昭和40年代後半を過ごした大阪の小さな町にあった、小さなお店である。10坪ぐらいだろうか。よくわからない。小学生の身丈には十分に大きく見えたのだ。


M書店、としておこう。同級生Mくんのお母さんが帳場(レジというよりも帳場、という感じだった)に立っていた。毎日、通った。飽かずに眺めていたのは漫画の棚で、1冊増えても抜けてもすぐに気がついた。棚は1本しかなかったが、毎日眺めても、あきなかった。本を手にとることは、あまりしなかった。立ち読みに厳しい店だったからではない。本が棚に並んでいるのを眺めているのが好きだったからだ。


当時住んでいた町には、小学生が徒歩で通える距離に3軒も本屋さんがあった。大阪の小さな田舎町に、である。いまぼくは吉祥寺を抱える東京・武蔵野市に住んでいる。吉祥寺には新刊書店・古書店がいくつもあって、本好きには最高の環境だが(夏葉社が事務所をかまえる街でもある)、吉祥寺の中心から少しはずれた我が家の近所には新刊書店がない。市内には千坪クラスの書店まであるのに、我が家の小学生を安心して送り出せる徒歩圏には、町の本屋さんはないのである。昭和のあのころと今と、本屋さん事情はよくなったのか後退したのか。どちらが幸せなのか。ときどき、よくわからなくなる。


『本屋図鑑』に関わることになって、M書店のことを書きたい、まずそう思った。M書店のことを実際に『本屋図鑑』で取り上げたい、ということではない。今も全国で、その町の本好きのみなさんに本を届けているであろう、たくさんの「M書店」のようなお店のことを書きたいと思ったのだ。はたして、『本屋図鑑』ではそのようなお店をたくさん取り上げることができた。『本屋図鑑』の感想に、「なつかしい」「うれしい」ということばを見かけることが多いのは、読んでくださった方が自分にとっての「M書店」に本書の中で出会えたからなのかもしれない。そうだとしたら、書き手の一人として、こんなにうれしいことはない。


「図鑑」ということばと作りにはこだわった。なにしろ、ウルトラ怪獣図鑑で育った世代である。人気怪獣、最強怪獣も、あんまり人気のないマイナー怪獣も、同じ図版サイズ、同じスタイル、同じキャプション量で扱うのが図鑑だ。そこには作り手が押しつける優先も優劣もない。どれを気に入るも、どこから読むも、すべては読み手にゆだねられていた。“図鑑好きの本屋好き”は、そのような本屋本があってもいいと思ったし、あるべきだ、とも思った。幸運だったのは、同じように考えている“図鑑好きの本屋好き”に出会えたことだ。夏葉社の島田さんである。島田さんと、酒の席で、本屋さんと図鑑の話をしなかったら、この本は「図鑑」にはならなかったし、そもそも生まれもしなかった。


ちなみに、今も、本屋さんではあまり立ち読みはしない。本が、本屋さんの棚に並んでいるのを眺めているのが好きだからだ。


『本屋図鑑』
得地直美絵 本屋図鑑編集部文
夏葉社
定価:1,785円(本体1700円)


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sorainutsushin.blog60.fc2.com/tb.php/2118-30677b9b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad