6/28(金)、阿佐ヶ谷ロフトAで開催しました「ブックンロール2013〜やっぱり本屋はおもしろい〜」。無事に終了しました。イベント・2次会に参加くださったみなさま、メール・ツイッター他で応援コメントをくださったみなさま、本当にありがとうございました。また、トーク出演者のみなさま、とくに、遠方からこの会のために駆けつけてくださった、さわや書店の田口さん、長崎書店の長﨑さん、ほんとうにありがとうございました。
以下、簡単に当日の様子をレポートします。(収支報告は後日、別途記事にします。)
トークのテーマは「いま話したい、地方と東京の書店の話」。出演者は、さわや書店田口さん、長崎書店長崎さん、リブロ池袋本店辻山さん、ブックスルーエ花本さんで、辻山さんには、司会進行役をお願いしました。みなさん、いずれも個性的で、すばらしい話を披露してくれましたが、とくに、さわや書店の田口さんの、ことばの力は圧倒的でした。「本を売っていて、楽しい」。皮肉でもなく、無理をしているわけでもなく、こんなことばをナチュラルに口にできて、しかもそれが多くの人の心にストレートに届いてしまう。そんな書店人は、そうそうはいないのではないかと思うのです。
田口さんも長崎さんも、メディアでよく取り上げられる方です。田口さんのことばは、業界紙や雑誌の特集他で何度も読んでもいますし、ぼくは昨年お店を訪ねて、何時間も一緒に話をしたりもしています。それでも、あらためてその場で田口さんのことばを聞いたときには、からだが震えました。イベント後にみなさんから聞いた感想や、ツイッターでの反応を見るかぎり、同じように感じてくださった方がたくさんいらっしゃるようでした。だとしたらイベントを企画・主催した者として、こんなにうれしいことはありません。
今回のイベントタイトル副題は「やっぱり本屋はおもしろい」。そのことを伝えるトークイベントとしては、最高のメンバーだったと、そんなふうに思っています。



↑トークの部の様子。
「ブックンロール2013」の様子や、観に来てくださったみなさんの感想・反応については、ゴロウさん(@bookseller56)が作ってくださった(いつもありがとうございます!)、こちらのまとめ、「ブックンロール2013」をご覧ください。
やや宣伝めいた話になりますが、まもなく夏葉社から新刊『本屋図鑑』が出ます(7/19、取次搬入発売)。書名通り、全国各地の本屋さんを図鑑的に紹介する本なんですが、さわや書店、長崎書店、BOOKルーエ、(池袋ではありませんが)リブロと、「ブックンロール2013」トークの部出演の4店が、すべて登場します。『本屋図鑑』の文章は、夏葉社の島田さんとわたくし空犬が分担して担当したのですが、たまたま4店とも、わたくし空犬が担当しています。それぞれのお店の魅力をどれだけきちんと文章化できているかわかりませんが、トークでもふれられたお店の棚の様子や独自の取り組みなどにふれています。今回のトークに興味を持ってくださったみなさんには、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。
イベント「ブックンロール」は、「ブック」+「ロール」ですから、「ロール」=ライブの部の様子にもふれておきます。

↑ブックエキスプレス長谷川さんの「長谷川バンド」。昨年に続いて2回目の出演です。全曲GLAYという、よくわからない(笑)選曲だった昨年からがらりと雰囲気を変え、今回はなつかしの歌謡曲路線で、会場をわかせていました。

↑夏葉社島田さんのバンド、「C調ボーイズ」。バンドの準備期間が、『本屋図鑑』の制作期間とばっちり重なってしまったために(ブックンロール当日は、『本屋図鑑』の入稿日でした)、ドラムの島田さんは楽屋では仮死状態でした(笑)。バンドは、イギー・ポップ他を披露。ボーカル、ミシマ社渡辺氏の、「今回はトークはなしで」という前置きつきのトークに、会場がわいていました。

↑「吉祥寺書店員の会吉っ読」のバンド「ブックスピストルズ」。第1回から唯一連続で出演しているバンドです。バンドサウンドにのせて、BOOKSルーエ花本武氏が、全曲オリジナル詩の、ポエトリーリーディング披露。
いずれのバンドも、技術的には見るべきところのない、アマチュアの集まりです。でも、トークの前に会場の雰囲気を盛り上げる役目は、十分に果たせていたのではないかと思いました。会場のみなさんもそのように感じていてくださるといいのですが……。
最後に、再びトークの話に戻ります。今回の出演者のうち、さわや書店の田口さん、長崎書店の長﨑さんは、このブックンロールのためだけに上京してイベントに出演してくださいました。お二人には昨年、それぞれお店を訪ねたときにお会いしているんですが、そのときから、機会あれば自分の企画のイベントに出てほしいなあと考えていました。
ただ、「ブックンロール」は個人で主催している小規模なイベントで、しかも営利目的ではなく収益を全額寄付しようというもの。とても、2人分の出演料・交通費・宿泊費を捻出することはできません。お二人とも、ときどき出版社の会議や書店関係の集まりなどで上京されることは聞いていましたので、ダメもとで、そのような機会にくっつけて来ていただくことはできないかどうか、お願いしてみようと考えました。まったく、図々しい話です(苦笑)。
依頼の連絡を差し上げたところ、お二人とも、即答で快諾でした。「考えさせてほしい」とか、「調整してみる」とか、「お店(会社)と相談してみる」とか、「お金はどうなっているのか」とか、一切なしです。この場を借りて、お二人にはあらためて、心からお礼を申し上げたいと思います。お二人のことばを、ブックンロールの会場に集まってくださったみなさんに、直接届けることができたのは、主催者として、何よりの喜びとなりました。本当に、ありがとうございます。
ちなみに、2次会でのこと。いくらなんでもゼロというのは申し訳ないと思い、収益からではなく、空犬個人からだと断ったうえで、少額ながらお礼を受け取っていただこうとしたところ、お二人とも固辞されました。「自分も楽しませてもらったから」。お二人には、別々に話をしたんですが、お二人とも、同じようなことを口にされていたのが印象的でした。さわや書店も長崎書店も、お店自体がすばらしいことは言うまでもないのですが、なぜこの2店が、この業界で、これだけのリスペクトを集めるのか、多くの人の支持を集めるのか、その理由があらためてよくわかった気がしました。
ブックンロールのトークに興味を持ってくださった方がいらっしゃったら、ぜひお店を実際に訪ねて、店頭の様子を見てみてください。都内の2店はともかく、盛岡と熊本は、関東在住者にとっては行くだけでも大変に思えますが、両店を訪れるため「だけ」でも盛岡と熊本に足をのばす価値があると、両方を訪問したことのあるぼくが自信を持って断言します。書店好きなら、確実に幸せな時間を過ごせることになりますし、本の関係の仕事をしている方なら、多くの刺激を受けることができるはずです。
以上、「ブックンロール2013」のレポートでした。この数か月は、『本屋図鑑』の作業と重なってしまったこともあり、ほんとうに大変な日々でした。こんなイベントに力を入れて、いったいにお前に何の得があるのか、と言われたら、別に「得」はないかもしれない。では、何のためにやっているのか、と言われても、うまく思いを文章にすることもできません。なんなのかな(苦笑)。いまはへとへとですが、でもしばらくして落ち着いたら、また性懲りもなく、次は誰に来てもらおう、どんなテーマにしようと、いろいろと考えたりすることになるのかもしれません。田口さんや長崎さんのような書店人の方々がいるかぎり、「やっぱり本屋はおもしろい」ということを伝えるために、自分にできることがあるならばそれを続けていきたいなと、そんなふうに思うからです。