先日久しぶりに開店・閉店関係をまとめたばかりですが、その直後に発表になったものがありますので、件数は少ないですが、簡単にまとめておきます。また、開店・閉店で紹介したお店で、最近訪問したお店もありますので、それについても簡単にふれておきます。
まずは、神保町利用の東京堂書店好きには残念な、このニュースから。すずらん通り沿い、本店の斜め前の路面店、東京堂書店のChez moiが、6/30で閉店になるそうです。2012年4月にふくろう店がリニューアルするかたちでオープンした同店、しばらく前に改装も済ませたばかりでした。公式サイトに告知が出ています。「閉店のおしらせ」(6/12 東京堂書店)。



↑今日(6/13)、お昼ごろの様子。お店の告知(中)には、閉店までのカウントダウンも表示されていました。店頭で配布されている閉店告知のチラシ(右)。
同店については、以前にも空犬通信でふれています。オープン時の紹介記事は、こちらとこちら。リニューアルのときの様子の紹介記事は、こちら。
女性客の多い店のなかには、品ぞろえを女性向けに大きくふったところはありますが、Chez moiのように、ここまではっきりと女性向けをうちだしたお店は、神保町でめずらしい、というだけでなく、新刊書店の世界全体を見渡しても、めずらしい例だったのではないでしょうか。しばらく前のリニューアルで多少女性オンリーな感じは軽減されていましたし、実際お店に並ぶ本やフェアを見ると女性向け一辺倒ではぜんぜんないのですが、それでも本当に正直なところを言うと、ぼくのようなおやじにはやはり、ちょっと入りにくい使いにくいお店であったのもたしか。
方向性をはっきり打ち出し、個性的なお店を作るのは、神保町のような超のつく書店激戦区では当然必要なことに思われますが、ただ、バランスがむずかしい。極端にふりすぎたり、絞り込みすぎたりすると、ターゲットから少しでもはずれたお客さんをまったく取り込めない、ということにもなりかねないからです。
神保町には、三省堂書店、東京堂書店、書泉グランデと、複層階で個性ゆたかな大型書店がありますから、たいていの本の用事はそれらのお店で済んでしまいます。それでも、やっぱりちょっとした買い物や、時間がないときにざっと店内を見て回れる小さめの路面店の存在はうれしいもの。すずらん通りは、本好き・出版関係者がひっきりなしに通る場所ですから、東京堂書店や三省堂書店がすぐそばにあっても、路面店ならば十分に成り立ちそうなものですが、やはりなかなか難しいんですね。十数年前に冨山房書店がなくなってしまったときにも大変残念でしたが、今回のChez moiの閉店も、自分がそれほど熱心な利用者でなかったにもかかわらず、書店好きとして、とても残念です。
お店は6/30まで営業しています。数ある神保町の書店のなかでもユニークさの目立つこのお店、いつも利用されている方はもちろんのこと、まだご覧になっていない方は、ぜひ閉店までに見に行ってみてください。


↑店内では複数のフェアが展開されていますが、うちひとつがこちら、「森絵都の気分」。左は本店のウインドーに出ている案内、右は



↑フェアは森絵都さんが選書したもので、本はテーマ別に分類され、それぞれに写真のような帯がかかっています。同店のオリジナルカバーは色違いで2種あります。記念にと、ふだんは断るカバーをかけてもらいました。
さて、今度は新規オープンを1件。紀伊國屋書店がシンガポールに出店することはメディアでは既報ですが、開店日がわからなかったので、これまで取り上げられませんでした。先日6/11に、無事にオープンになったようです。プレスリリースはこちら。「紀伊國屋書店、シンガポールに「ジュロン店」をオープン 」(6/10 共同通信PRワイヤー)。
記事の一部を引きます。《シンガポールー西部のジュロン新都心地区に新たに開業する大型ショッピングモール「Jem(ジェム)」内に、同国内4店目(海外では25店目)となる「シンガポール紀伊國屋書店ジュロン店」 を開店いたします》。
《売場面積は、700平方メートル(約200坪)。英文書を中心に和書、中文書を取り揃え、7万タイトルを提供する中規模店舗となります》。シンガポール国内だけで4店というのがすごいですね。
新刊書店のオープンではありませんが、その紀伊國屋書店にも影響があるであろう、この件にもふれておきます。「店舗リポート:ブックオフ/新宿西口店」(6/10 流通ニュース)。新宿に、東口に続く2店めのブックオフが登場です。
《ブックオフコーポレーションは5月31日、東京都新宿区に「BOOKOFF新宿駅西口店」をオープンした》。《新宿駅西口徒歩2分の立地にある地上11階〜地下3階建ての商業ビル「110ビル」の4〜6階に「BOOKOFF新宿駅西口店」を出店するもの。売場面積は278坪で、本、CD、DVD、ゲーム、携帯電話などを販売、在庫数は約25万点をそろえた》。
いくら場所が新宿とはいえ、駅の東西に300坪クラスの店が複数必要なんでしょうか。しかも、新刊書店の直近の立地に。その点については、記事にはこんなふうにありました。《新宿駅は乗降客数が日本一のため、駅の東西に商圏があると判断し、初めて同一駅前に複数の大型店を出店した》。《新宿駅の東西に約300坪の大型店を構えることで、新宿でのBOOKOFFの認知度の向上と、各店舗の相互送客を期待する。店内には、周辺店舗の案内も掲示し、近隣店舗への送客を促す工夫をした》。
あと、今年になってからリニューアルになったお店を最近訪問してきましたので、それもあわせて紹介しておきます。先日、小石川のほうに用事があったので、3月にリニューアルオープンした丸善メトロ・エム後楽園店を訪ねてきました。



↑商業施設内のお店ですので、棚の写真は撮れず。フロアマップと、店内図で、おおよその感じがわかるでしょうか。
広さは150坪。改装前よりも広くなり、在庫点数も増えた感じでしょうか。什器・品ぞろえの感じがジュンクタイプに変わり、移転・改装前とはずいぶんイメージの違うお店になっていました。
同店の徒歩圏には、あゆみBOOKS小石川店とオークスブックセンター東京ドームシティ店もあります。あゆみ小石川の新刊コーナーは、セレクトや並べ方に工夫がこらされていて、いつ見てもいい感じです。同店のツイッターでも激おしされていたショーペンハウアー『読書について』(光文社古典新訳文庫)が、新刊台の前で、いすを使って大変目立つように陳列されていました。せっかく店長のKさんに会えたのに、写真を撮らせてもらうのを失念。すてきなディスプレイの様子はぜひ店頭でお確かめください。
昨年3月に、山下書店跡地にオープンしたオークスブックセンター東京ドームシティ店にも寄ってきました。何度見てもこの「文系野球の聖地」という看板文句はいいなあ(笑)。お店の雰囲気、お店の品ぞろえをこれほど明確に表したコピーを掲げている新刊書店はそんなにないのでは、という気がします。ちょうど昼時だったせいか、とくにイベントがある日でもないのに、店内はお父さんたちでいっぱい。一度はこの場所に書店がなくなるかもという事態になったことを思えば、お店にお客さんがたくさん集まっている、ただそれだけの光景が、なんともうれしいものに映ります。
