FC2ブログ

空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ベニヤ書店、豊住書店……奈良の「町の本屋さん」がすばらしい

仕事で奈良に行ってきました。今回は日帰りで、空き時間もほとんどなかったのですが、いい本屋さんがあるからと夏葉社の島田さんにすすめられていたこともあり、無理やり時間を作って、2軒の書店を大急ぎでのぞいてきました。


ブログの更新、書店レポはしばらくお休みするとしていましたが、この2店、とても印象的なお店だったので、なんとしてもふれておきたい、というわけで、ごく簡単に紹介しておきます。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は5/20の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)


130520ベニヤ書店外観1130520豊住書店外観1130520東向北商店街

↑ベニヤ書店(左)と豊住書店(中)。どちらも、町の本屋さんらしいたたずまいで、外観と看板を見るだけでうれしくなります。こんなすてきな書店が、それほど大きくはない商店街に同居しているのです(*追記あります)。旅先でこういう町の本屋さんに出会えるのは、書店好きにとっては、ほんとにうれしいことですね。


130520ベニヤ書店外観2130520ベニヤ書店外観3130520ベニヤ 書皮

↑ベニヤ書店は外観と書皮だけ。正面に戸やガラスがない開放的な造り、雑誌の並ぶ店頭の平台、いい具合に古びた木の什器は、ぼくが子どものころに通っていた、小さな本屋さんを思わせる雰囲気で、とてもなつかしい気分になりました。


外観だけでなく、中もすてきです。書棚の上の方にはすごい古い本が残っていて、冨山房の『フォークナー全集』(!)とか、『川端康成全集』(新潮社)とかがあって、びっくりしました。


Twitterで教えてもらった情報によれば、同店には看板猫グーちゃんがいるそうなんですが、残念ながら会えませんでした。このお店は、『本屋図鑑』で取り上げられる予定ですので、これぐらいに。


130520豊住 外観2130520豊住 外観3130520豊住 外観4

↑豊住書店。こちらも、お店の外観がいい感じです。


中に入るとちょっとびっくりします。20坪ぐらいでしょうか。この規模の商店街の路面店だと、新刊に文庫にコミックに雑誌にと、だいたいこんな感じの品ぞろえだろうなあ、と勝手に想像しながら入ると、あまりの違いに驚かされることになります。


全体に、教養系・学術系の本が多めで、コミックもアダルトもありません。文庫棚を見ると、もちろんふつうの新刊文庫もありますが、目につくのは、岩波文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫など、文芸・学術系のかための文庫で、それらがぎっしりなのです。


130520豊住 文庫2130520豊住 文庫3130520豊住 文庫4

↑本好きなら、文庫の背の色で、どのレーベルがどんなバランスで並んでいるかがわかりますよね。


130520豊住 新書130520豊住 単行本

↑新書(それも岩波新書が多い)や選書の類も多くて、単行本の棚も、文学や歴史書がバランス良く配され、全体に、とても町の小さな書店とは思えない棚になっています。いやはや、これはすごいなあ。


130520豊住 文庫1130520豊住 帯

↑写真ではわかりづらいと思うのですが、文庫の背にところどころ白い帯が巻かれていて、「絶版」「当分重版予定なし」などと書かれているのが見えるでしょうか。お店の方に尋ねてみると、店主の方が、品切れ・絶版の情報を調べて、自分で巻いているのだそうです。(ちなみに、帯は通常帯の流用で、裏返しにして、ハンコが押されています。)


やわらかめの一般文庫と違い、岩波・講談社・ちくまなどの学術系文庫は、単価も高く、一般の文庫に比べ部数も少ないものが多い。新古書店には出回りにくいし、いったん切れると、けっこうな古書価がついてしまうこともあり、復刊フェアなどにひっかかるのを待つか気長に古書を探すかしなくてはならないなど、入手が難しくなることが多いですよね。なので、こうした情報が非常に重要になってくるタイプの商品なわけです。当然、常に文庫の情報をチェックしていないとできないことで、手間がかかります。それに、このような手間をかけたからといってすぐに売れていくわけでもないでしょう。ほんと、この手間のかけ方、この工夫……頭が下がります。


130520豊住 書皮大賞130520豊住書皮

↑書皮。「書物処」の文字列がかっこいい。2007年度の書皮大賞を受賞していて、店内にはそのときの賞状が飾られていました。


ベニヤ書店、豊住書店、2店とも、ほんとにすばらしい「町の本屋さん」でした。この2店がある近鉄奈良駅近くの東向北商店街は(*追記あります)、昔ながらのたたずまいのお店がいくつも軒をつらねる、こぢんまりとした雰囲気のいい商店街です。こんなすばらしい書店が2店もあるうえに、古書店、それも新古書店ではなく、昔ながらの雰囲気と品ぞろえの古書店まであります。地元の方がうらやましくなるような商店街です。


本好き書店好きのみなさんが奈良にお出かけの際は、ぜひ、時間を作って、すてきな町の本屋さん2軒を訪ねてください。


ちなみに、この東向北商店街(*追記あります)。野鳥好きにはうれしいことに、ツバメたちがびゅんびゅん飛び交っていて、あちこちにツバメの巣がかかっていました。ツバメは人に寄り添って生きる鳥です。ツバメたちが暮らしやすい街というのは、きっと人にとってもいいところなんだろうなあと、そんなことを思わずにはいられませんでした。



追記(5/21):奈良の事情にくわしい方にご指摘をいただきました。紹介した書店は2店とも「東向北商店街」にあるという書き方をしましたが、正確には2つの商店街なのだそうです。道としてはひと続きなんですが、東向北商店街は途中まで、途中から名前が変わるそうです。


豊住書店があるのは東向北商店街で、ベニヤ書店があるのは、花芝商店街なのだそうです。全体図は、こちら


スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sorainutsushin.blog60.fc2.com/tb.php/2065-affb01b7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)