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空犬通信

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古書店他と一箱古本市、そしてメルヘンハウスのこと……名古屋書店レポート その3

今回の名古屋書店回りは、一般新刊書店中心で、古書店や専門書店はほとんどチェックしていないのですが、3店だけ、簡単に紹介しておきます。


シマウマ書房 外観1シマウマ書房 外観2シマウマ書房 外観3

↑地下鉄本山駅を出てすぐのところにある古書店、シマウマ書房。店主の鈴木さんは、ブックマークの中心人物の1人。昨年のブックオカ、書店員ナイトで名刺交換をしていて、おしゃべりしたことがあったので(あちらは覚えていらっしゃらないようでしたが)、レジでごあいさつ、しばしおしゃべりしながら、ブックマークについていろいろ教えていただきました。


お店は、古本好きが喜びそうな「古本らしい古本」を幅広くとりそろえた、しっかりした品ぞろえのお店。いいお店だったなあ。一部、文具や新刊などの扱いもあり、しかも、その新刊、自分のところで出版まで手がけていたりします。お店で扱っている品揃え、独自イベント開催、店主の方の世代などから、吉祥寺の「百年」や、千駄木の「古書ほうろう」などと共通するものを感じた、と書けば、古本好きの方なら、雰囲気がわかるでしょうか。


シマウマ 余白の時間シマウマ書房 ノート

↑左は、シマウマ書房の刊行物として出された『余白の時間 辻征夫さんの思い出』。お店で開催した講演の内容を書籍化したものだそうです。造本の美しさが目をひく1冊。右は、開いた本のかたちのメモ帳とエンピツのセット。娘へのおみやげに購入。


ON READING 外観ON READING 廊下ON READING 看板

↑地下鉄東山公園駅から徒歩すぐのところにある、BOOK SHOP and GALLERY、ON READING。サイトには、《『紙媒体によるコミュニケーション』をテーマに、作り手の温度が伝わるような存在感のある本を新刊、古本問わずセレクト。国内外のインディペンデントな出版物も多数取り揃えております》とあります。


ソボクロ 外観ソボクロ看板ソボクロ カレー

↑古本カフェソボクロ。「覚王山アパート」の中にあります。ここでランチを食べました。カレーはおいしくいただきましたが、古本はそれほど数はないようで、古本好きが、古本だけを目当てに訪ねるとちょっと物足りなく感じるかもしれません。


名古屋 一箱古本市 ポスター名古屋 一箱古本市 本部

↑「一箱古本市 in SOCIAL TOWER MARKET」。左はポスターで、右は本部の様子。会場は、栄から歩いてすぐの、名古屋テレビ塔下・久屋大通公園。「SOCIAL TOWER MARKET」は、サイトによれば、《一箱古本市のほかに、カメラやレコードなどの蚤の市や、雑貨店などによるマルシェ、ライブなども行われ》るイベントのようで、本以外の露店や音楽関連の出店などで賑わっていましたよ。短時間しかいられなかったこともあり、残念ながら、古本市では収穫なし。


今回の名古屋書店回りで回ってきたお店は、以上です。最後に、もう一度メルヘンハウスについてふれておきます。



メルヘンハウス 外観2メルヘンハウス 看板

店内には、なつかしい本、名作・定番から最近のものまで、子どもの本がずらり。キャラクターものや学参っぽいものはなく、絵本や読み物が中心です。版元が用意した帯の売り文句に頼らず、表紙とタイトルの力で見せようということなのでしょう、店内の本は、すべて帯がはずされ、面陳が多用されています。


お店のサイズと本の点数のバランスもよく、帯やPOPなどが声高に訴えかけてくることもない落ち着いたディスプレイで、子どもの本が好きな人なら、いくらでもいられそうな、とても居心地のいいお店です。ぼくが訪れたときは、たまたま読み聞かせが行われていましたが、とてもいい雰囲気でしたよ。


メルヘンハウス ショップカード

↑ショップカードのイラストは高畠純さん。


メルヘンハウスで買ったカード

↑名古屋書店回り、初日の1軒目に寄ったお店だったので、さすがに本の買い物で荷物を増やすわけにはいきません。本の代わりにと、こんなカードを買いました。大好きな作品のカードのうち、本が描かれているものを2枚選びました。


めるへん広場 ほげちゃん

↑同店発行の「ひろばメルヘン」。配布中のNo.362を手にしたら、「自作を語る」に『ほげちゃん』のやぎたみこさんが登場していましたよ。Webでも読めるので、ほげちゃんファンはぜひ。


最初の名古屋書店レポートに書きましたが、このメルヘンハウス、とてもいい思い出のあるお店なんです。(以下、非常に個人的な思い出話を連ねます。)


編集者になりたてのころ。今とは別の出版社で、児童書の編集を担当していました。小さな会社だったので、営業マンは1人だけ、なかなか地方の営業には手が回らないような状況だったので、あるとき、編集のぼくが、大阪・京都・名古屋に書店営業に行かせてもらえることになりました。1990年代の初めごろのことだから、ずいぶん前の話です。


本業の編集ですらまだ勉強中の身、今と違い、書店のこと、書店営業のことなど、何もわかっていませんでした。有名な児童書専門店だし、しばらく営業が訪問したこともないお店だしということで、どきどきしながら訪ねました。


お店の方に、おそるおそるという感じで、「あのお、東京から来た、○○○です……」と版元名を名乗ったところ、相手の方が、一瞬、えっ、という顔をされた後、「えーっ、○○○さん?」と、予想外に大きなリアクション。驚いたことに、その方は、レジのほうに駆けていくと、他のお店のスタッフの方に、「みんなー、○○○さんが来てくれたよー!」などと、声をかけてくださるのです。


すると、また他の方々が、「えーっ! ほんとに?!」とこちらが思ってもみないような、うれしいリアクションで、わらわらと集まってきてくださって、なんだか大騒ぎ。あれよあれよ、という間に、みなさんに囲まれてしまい、2階に通され、椅子を用意され、お茶を出されて、「いやー、よく来てくれたなあ」「うれしいなあ」と、もう全員の方からいっぺんに話しかけられて、何が起こっているのか、なんだかよくわからない。でも、とにかく、大歓迎されていることだけはわかりました。


その後、しばらくお店のスタッフのみなさんや店長さんとお話をさせていただき、もちろん営業のまねごともしました。お店のみなさんからは、歓迎のことばだけではなく、いろいろと指導やリクエストもいただきました(図書目録を新しくせよ、新刊案内は必ず送りなさい、また名古屋にも来なさい、などなど)。最後は、みなさんにあたたかく見送られ、お店を後にしました。書店で、これほど手厚い歓迎を受けたことは、その後、今にいたるまで、一度もありません。


帰り道、新幹線で独りになってから、ちょっと泣きました。実はそのころ、会社や仕事は決して順風満帆ではなくて、というか、けっこう大変だったりしたもので、将来に不安を覚えることもあったのです。編集という仕事も好きだし、児童書も大好き、だけど、今のままで大丈夫だろうか……と。でも、そのときは、やっぱりこの仕事でよかったと、心から思えたのです。


あれから20年ほどたっていることになりますが、いまだに、あのときのことは忘れられません。弱小出版社の駆け出し編集者が、どれだけ勇気づけられたか、どれだけ背中を押してもらったか。


いまぼくは、仕事でもプライベートでも、書店を回るのは大好きです。この一件だけが理由だというわけではもちろんありません。でも、大きなきっかけの1つにはなったと思うのです。書店には待っていてくれる人がいること、版元の情報を必要としていたり、それを喜んだりしてくれる人がいること。そんなことを、あのときの出張では、あちこちのお店で教えられましたが、それを、もっとも強く実感させてくれたのがメルヘンハウスでした


あれから、業界事情は激変し、版元と書店の関係も変わりました。Webが普及し、SNSが浸透し、もう営業マンが足で運んでこないとお店が得られないような情報は、お店側にも情報提供側にも以前ほどにはないかもしれない。でも、それでもやっぱり、お店に直接足を運ばないと届けられないものはあるし、直接足を運ばないと得られないものがあると、そんなふうに信じたい。そして、実際にそう信じているからこそ、「編集なのになんでそんなに書店を?」などといろんな人に言われながら、書店を回っているのです。


そんなことを教えてくれたメルヘンハウスのみなさんには、いくら感謝しても感謝しきれない気持ちです。メルヘンハウスのみなさん、本当にありがとうございました。みなさんにとっては、お店にたくさんやってくる版元営業の1人にしか過ぎないし、もちろん当時のことを覚えている方などいらっしゃらないと思います。でも、ぼくは忘れていないし、これから先も、ずっと忘れないと思います。


今回、残念だったのは、あまり買い物できなかったこと。次に訪ねるときは、旅程の最後のお店にして、山ほど買い物して帰りたいと思います。でも、それはいつのことになるかわからないので、簡単には行けないぼくの代わりに、通える距離にお住まいの近隣のみなさんは、このすてきなお店をぜひ訪ねてみてください。きっと、児童書のことが好きになるし、いろんな本を買いたくなると思いますので。


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まとめ【古書店他と一箱古本市】

今回の名古屋書店回りは、一般新刊書店中心で、古書店や専門書店はほとんどチェックしていないのですが、

  • 2012/11/15(木) 04:25:53 |
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