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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

でるべん「「他店の棚」with「空犬通信」」のレポート、そして長崎書店から「おみやげ」が

先日、8/29に開催された、でるべんの会の8月勉強会「10年間に及ぶ『他店の棚』の記録を振り返る」に、メインスピーカーの石井伸介さんのトークのお相手=ゲストとして出演しましたので、簡単にレポートを。


トーク準備中の石井さん

↑会場前方に石井さんが用意してきた書店の写真を映しだし、それを見ながらトークをすることに。写真は、開始前、プロジェクタ準備中の石井さん。


会のこと、石井さんと「他店の棚」のことについては、以前の記事でふれていますので、そちらをご覧ください。


念のため、「他店の棚」とは何か、なんですが、これはレジメに掲載された石井さんの文章を引いておきます。


《もともとは書店員さんとの呑み会のお土産です。当方、地元・東京は吉祥寺、故郷の東北・仙台、そしてたまに女房の実家・関西で、書店員さんと呑気な呑み会をやらせてもらってまして、そのときにお持ちしたのが始まりです。書店員さんは忙しい。話には聞くが、雑誌で見たが、Twitter でフォローしているが、遠くにある「噂のあの書店」を見る機会は、なかなか、ない。じゃあ、たまたま旅行だ出張だなんだでそこに行く機会があった当方が、ちょこっと写真を撮らせて戴き、手製小冊子にして、他地域の書店員さんにお届けしちゃおう――それが「他店の棚」です》。


8.29でるべん 他店の棚1207058.29でるべん 他店の棚120705目次8.29でるべん  他店の棚120705見開き

↑こちらがその『他店の棚』。写真の号は、「2012.7.5 東京国際ブックフェアお土産号」。目次には、今回のトークで紹介予定だったお店を含む、たくさんの店名がずらりと並んでいます。中は、ご覧の通り、店名+写真のみの、シンプルな誌面。写真はすべてカラー。


8.29でるべん 他店の棚1208108.29でるべん  他店の棚120810目次8.29でるべん  他店の棚120810見開き

↑こちらは『他店の棚』、「2012.8.10 広瀬側流れる岸辺露伴は帰省する号」。東京近郊以外のお店が取り上げられることの多い『他店の棚』ではめずらしく、東京の2店だけで構成された号。


当日は、以下のような書店の「棚」の写真が紹介されました(順番はこの通りではありません)
神田書店(北海道・知床斜里)
さわや書店本店(岩手県・盛岡)
一頁堂書店(岩手県・大槌)
あゆみブックス小石川店(東京・文京区)
海文堂書店(兵庫県・神戸)
井戸書店(兵庫県・神戸)
紀伊國屋書店本町店(大阪・本町)
フタバ図書MEGA祗園中筋店(広島県・広島)


石井さんからもらった紹介予定リストにはほかにもたくさんのお店の名前があったのですが、時間の関係と、画像ファイルの準備の関係で紹介できなかったお店もいくつかありました。ただ、2時間ほどのトークで見せるには十分な量で、たくさんの棚の写真を見たなあ、というのが多くの方の印象ではないでしょうか。


基本的には、石井さんが、過去に「他店の棚」のために取材したお店の写真をプロジェクタで見せ、それに石井さんがコメントしたり、空犬が質問したり補足したり、というかたちでトークを進めました。大きな写真を眺めながらであること、大勢のお客さんの前であることという違いはありましたが、話の内容としては、「吉っ読」他の飲み会で、石井さんとぼくがふだんから二人でしている話、ほぼそのままです。


最初は、予想していたよりもお客さんが多いことや、お顔を存じあげない方が意外に多かったことなどのために緊張もしていたんですが、話し始めてみたら、先に書いた通り、いつもの相手、いつもの話題だったこともあって、自分でもびっくりするぐらいリラックスして話せました。あんな飲み話の延長のような感じで大丈夫だったんだろうかと、後になって心配になるぐらいに(苦笑)。


以前の記事にも書きましたが、石井さんは、出版営業が本業でない編集者としては、ちょっと異例といっていいぐらいにあちこちの書店に顔を出している方。紹介リストに並んだ店名は、こちらも書店好きなのでまったく知らないお店こそさすがにあまりないものの、実際に訪れたことのないお店もたくさん混じっています。その意味では、写真を見ながら隣で話をしているぼく自身も新鮮で、ほんとに楽しかったですね。


これは、ふだんから二人でしょっちゅう話していることで、今回も、この点はぜひ強調しよう、お客さんに実感して帰っていただこう、と事前に話していたことなんですが、書店の棚って、同じものなんてないんですよね。「金太郎飴書店」だなどと、新刊書店の品揃えの非個性を揶揄する言い方がありますが、「金太郎飴書店はない」、それが「他店の棚」の石井さんの、そして「空犬通信」の空犬の、持論というか、信念というか、とにかく、強い思いなのです。今回のトークでも、そのことは十分に伝えることができたのではないかと、話して側としては手応えがあったんですが、聞いてくださったみなさんはいかがだったでしょうか。


でるべんの会のみなさんが、アンケートを用意していてくださったので、後日、集計結果を見せていただきました。アンケートのほか、わたくし空犬宛てにも数件、メールやツイッター、ブログのコメント欄経由で直接感想を寄せてくださった方もいらっしゃいます。アンケートやこちらへの直接の感想を拝見するかぎり、今回のトークはおおむね評判がいいようで、ちょっと安心しました。また、対談スタイルにしたことも正解だったようで、そのことを評価いただく声がいくつかあったのも、こちらにはうれしいことでした。


(ただ、失敗も。後から気づいたんですが、最初の自己紹介が簡単過ぎたので、石井さんのみ目当てで来た方や、でるべんの会ルートで来た方にとっては、いったい、この「空犬」というのが書店の話をするのはなぜなのか、という部分が伝わらず、わけがわからなかったのではないか、という気がしました。「空犬通信」なる「他店の棚」のブログ版のようなことをやっていること、書店員の会をやっていることは、いちばん最初に説明すべきでしたね。やや反省。)


アンケートの声のなかには、もっと俯瞰的な話を聞きたかった、という主旨のご意見もありました。そういうテーマを期待していた方には、我々のトークは雑ぱくに過ぎたかもしれません。ご満足いただけるトークにできなかったことを、申し訳なく思います。


ただ、(別に弁解するわけではないのですが)おそらく石井さんが「他店の棚」を作ることでいろいろな書店員さんに伝えたいこと、そして、ぼくが「空犬通信」や往来堂の冊子などを通じて伝えたいと思っていることは、大文字の「書店」の話、ではないんですね。「書店」とは、書店の「棚」とは、みたいな、俯瞰的で大上段な話は(「ほんころ」担当者の石井さんはともかく)ぼくには荷が重いし、そもそも、そのようなことは目指していません。そういう大きなテーマをきちんとまとめるのは、やはり、今回のトークを聞きにきてくださった『「本屋」は死なない』の石橋毅史さんや、『書棚と平台』『書物の環境論』の柴野京子さんのような、取材力と筆力とを兼ね備えたプロの出番だと思うのです。


ぼくは、また同じようなこと書いてるよ、と言われるかもしれないけれど、このお店の棚・平台はこんなにおもしろいよ、とか、このお店ではこんなおもしろいフェアをやってるよ、とか、そういう個別の話を紹介していきたいんです。「書店」とは、「棚」とは、を考えるのは、それら「個別」の事例を目にした人が、できれば、いちばんの当事者である、書店員さんたちが考えてくれればいいことだし、もっと言えば、そんな大きなことを考えてくれなくても、こういう棚があるのか、こういう棚がありなんだ、それだけでもいい、と、そのように思うのです。


トークのいちばん最初に、石井さんが、ジュンク堂書店仙台ロフト店の佐藤純子さんのインタビュー動画を流しました。「他店の棚」の感想を聞かれた純子さんが、(正確な文言は失念しましたが)くそー、かっこいいなあ、くやしいなあ、と思う、といった主旨のことを答えていたのが印象的でした。


この反応こそ、まさに、「他店の棚」の作り手である石井さんが引き出したかったものだと思うのです。そして、それは、「空犬通信」の書店紹介記事の書き手であるぼくが、書店員のみなさんから聞けたらうれしいだろうなと思うことでもあります。書店の棚っておもしろいぜ、ということを、やり方としては下手くそかもしれないし、俯瞰的でないかもしれないし、情報も技術も足りないかもしれない、でも、それでも伝え続けていきたい。そのようにしながら、いつも思うんですよ。俺たちも、私たちも、という人たちに出てきてほしい。やってみたい、やれるかもしれない、もっとうまくやれる、などと思う人に出てきてほしい、と。


……すみません、なんか、単なるゲストで、石井さんの話に合いの手を入れていただけの者にしては、ちょっとえらそうですね。失礼しました。


会に参加くださったみなさん、またメール他で応援してくれたみなさん、このような機会を与えてくださった、でるべんの会のみなさん、そして何より、トーク相手に指名してくださった石井さん、ありがとうございました。


なお、今回のトーク、紹介しきれなかったお店もあるし、何より、話しているこちら側も楽しいので、勝手に続編(のようなもの)も構想しています。企画が実現できそうになったら、空犬通信で報告します。書店の棚の話は、本好き書店好きならどなたに聞いていただくのでもうれしいんですが、とくに、書店員の方に聞いていただけるとうれしいなあ。



ところで。でるべんのトークとは、ちょっと話は変わります。当日、吉祥寺の出版&飲み仲間である、夏葉社の島田さんが駆けつけてくれたんですが、その島田さんが、熊本県熊本市にある書店、長崎書店さんからの「おみやげ」を届けてくれたんです。



長崎書店と言えば、書店好きには説明不要ですね。明治22年(!)創業の、超のつく老舗。記事でもふれましたが、今年の東京国際ブックフェアでは、【TB-3】書店経営「熊本発!老舗書店のチャレンジ」として、代表の長崎さんが、《近年の売上低迷、銀行・取次との関係悪化の中で決断した、「外商廃止・店舗リニューアル」。リニューアルに至る軌跡と、店内ギャラリーやイベントホール、地域資源の活用の事例を紹介する》という内容の講演もされていますから、お聞きになった方もいるでしょう。業界紙「新文化」にも大きく取り上げられたことがありましたね。


九州自体に行く機会がないところに持ってきて、熊本は、ブックオカなど福岡の用事と併せ技にするのもなかなか難しく、残念ながら一度も訪問したことはないのですが、以前からずっと気になっているお店の1つです。今回の石井さんの書店リストには入っていませんでしたが、九州代表として名前があがっていてもおかしくないようなお店です。そんな書店からのおみやげが、書店をテーマにしたトークイベントの当日に届けられるなんて、なんだかうれしいではありませんか。


お店のことについては、お店のブログにくわしいので、そちらをご覧になってください。「ながしょブログ」


今回いただいたものは、この長崎書店が、いかに独自の取り組みをしているお店なのかをよくあらわしているものばかりなので、紹介したいと思います。


8.29でるべん  長崎書店ハガキ2点8.29でるべん  長崎書店栞2点8.29でるべん  長崎書店LaBunko

↑長崎書店の独自のフェア「長崎書店の文庫フェア×熊本の100人 La! Bunko」。左はハガキ、中央は栞、右は冊子。いずれも、大手3社の夏文庫フェアの拡材などと並べてもなんの遜色もない、きちんとデザインされ、しっかり作り込まれたものになっていて、書店好きならびっくりするようなクオリティになっています。紙もいいものだし、オールカラーだし、モデルさん(地元の方)も使っているし……いったい、どれだけ費用をかけたんだろうと、よけいなことまで心配になってしまうほどです。


8.29でるべん  8.29でるべん  長崎書店LaBunko見開き18.29でるべん  長崎書店LaBunko見開き28.29でるべん  長崎書店缶バッヂ

↑とくに驚きなのが、冊子。文庫判、64頁、オールカラーです。店名を伏せて、ぱっと見せられたら、大手3社の夏文庫冊子だと言われても一瞬、信じちゃいそうな出来です。これはすごい……。これまで、書店独自のフェア冊子は、いろいろなものを見てきました。なかには、チェーン共通のもので、お金や手間のかかったものも目にしたことがありますが、非チェーンのお店で、ここまで立派な販促グッズを用意している例は初めて見ました。ぼくは、手書きとコピーで作っちゃいました!的な手作り感あふれるフリーペーパーやチラシも大好きなんですが、そういうタイプとは対極にあるスタイルのものとして、この完成度にはちょっと感激してしまいました。


見た目の完成度が高い、というだけではありません。本好きのみなさんの思いがすみずみまで行き渡った、読みやすく、しかも読みでのある冊子で、お店のスタッフの方が写真で登場しているのもgood。ますます長崎書店への興味が増してしまいました。しかも、缶バッヂまで(笑)。バッヂを作ろうだなんて、そんな酔狂なことをするのは、往来堂書店ぐらいなのかな(しかも、いつだか書いた通り、飲み会で出た案だし;笑)、と思っていたので、ちょっとうれしいですね。


8.29でるべん  長崎書店 ナガショ通信8.29でるべん  長崎書店 ナガショ通信見開き

↑こちらはフリーペーパー「ナガショ通信」。写真の号は8月号ということで、「特集 夏のこわい話」とあります。A3の用紙を横置きにし、上下半分にしたものを、四つ折にした文庫判8頁で、オールカラー。この「ナガショ通信」、昨年訪れたブックオカの「「書店フリペ」の世界展 〜全国の書店員がつくった小さな偏愛メディア」のリストに名前があったので、ぜひ欲しいなあと思っていたんですが、昨年は入手できず、悔しい思いをしていたんですよねえ。それがこのようなかたちで、我が手元に届けられるとは……(涙)。


以上が、夏葉社島田さんが届けてくれた、長崎書店さんの「おみやげ」です。長崎書店のみなさん、ありがとうございました。


8.29でるべん  長崎書店 城北通信

↑書店発フリペといえば、これも島田さんからいただきました。静岡の戸田書店城北店発行のフリーペーパー「城北通信」。A4判4頁、色紙に1色刷りで、シンプルで読みやすいレイアウトの紙面です。テーマ選書を含む特集やインタビュー、書評、自店イベントの案内、エッセイなど、バラエティに富んだ内容になっています。「今週のおすすめ本」を集めた、B5判両面の、「城北通信mini」というのもあるようです。


戸田書店も大正13年創業の老舗。静岡ベースの地域チェーンです。静岡本店他、いくつかのお店は訪問したことがあるのですが、いずれも数年前のこと。最近は、なかなか行くチャンスがなく、このフリペのことも、今回初めて知りました。


自分が行けるお店の数、行けるエリアはどうしても限られてしまいます。でも、こうして、同じ吉祥寺の出版仲間である、石井さんからあちこちの書店の様子を教えてもらったり、島田さんからこうして「おみやげ」付きで話を聞かせてもらったりできるのは、ほんとに幸せなことです。ぼくも、こうして、いろんな人に、こんなユニークな取り組みをしている書店のことを、そして、そのようなお店で発行している、すてきなフェア冊子やフリーペーパーのことを、せっせと紹介していかなくては、そのお店に行けない読者の方にも届けなくては、などと、あらためて思ったのでした。


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