書店関連のフリーペーパーを2つ、それも、まったくタイプの違うものを2つ、紹介します。
まずは、こちら。コミックでおなじみ、シュリンクの機械を手がけているダイワハイテックスの「DAIWA LETTER(ダイワレター)」。

DAIWALETTER(ダイワレター)は、サイトの説明によれば、《「当社広報誌」として2002年より発行されました。2007年(弊社30周年)より年4回発行となり、現在は「書店情報誌」として書店の皆様の役に立つ情報をお届けするため、様々な記事を掲載しています》というもの。
シュリンク(ご存じのない方のために念のために説明をそえておくと、おもにコミックの立ち読み防止と保護のために本にかけられた、透明のビニールです)は、もちろん店頭では毎日のように目にしてはいますし、書店研修とか店頭応援で自分でも作業したこともありますが、ふだんは個人的には縁がありません。
なので、同社の名前も存じ上げず、「書店情報誌」をうたう「ダイワレター」もこれまでノーチェックだったんですが、同社のサイトの、BOOK SOLUTION(書店支援事業)のページを拝見すると、おお、写真入りの書店オープンのレポートなど、書店関連のコンテンツがたくさん載っているではないですか。個人で買う人はあまりいないかもしれませんが、保護用の透明ブックカバーや書籍のクリーニング用のブラシやヤスリなど、本好きには気になるアイテムもいろいろ扱われています。
そして、「ダイワレター」ですが、ご覧の通り、表紙の写真は書店の店内の様子。おや、見覚えあるお顔が、と思ってみると、今回紹介されているのは、空犬通信でも先日の記事で紹介したばかりのブックポート203大和店、中央の麦わら帽子は、「船長」こと成川店長ではないですか。中を開くと、お店の様子が、空犬通信の何倍もくわしく、たくさんの写真(しかも全部カラー)を使って、くわしく紹介されています。さらに同じ号には、さわや書店の田口さんも登場。こちらも見開きいっぱいを使って、ご本人の談話のほか、店内の様子や、オリジナルPOPが紹介されています。さすが「書店情報誌」をうたうだけあって、充実の内容、これはすごい。
1つ前の33号では、特集では宮城県石巻市のヤマト屋書店が、新店を紹介するページでは有隣堂テラスモール湘南店が取り上げられ、さらに『「本屋」は死なない』の石橋毅史さんも登場。本好き書店好きが気になる人やお店がこれでもかと取り上げられているのがわかります。
シュリンクなんて、自分には縁がないから、などとスルーせずに、書店好き本好きの方は、この「ダイワレター」、ぜひサイトでチェックしてみてください。バックナンバーがPDFで読めるようになっています。ぼくもこれから過去の号を、片端から読んでいくつもりです。
先日のイベント、ブックンロールには、ダイワハイテックスの営業の方がお二人、駆けつけてくれました。自分たちは出版社でも書店でもないから見に来ていいものか迷っていた、なんて謙遜されていたんですが、本に関わる仕事であるのは同じですよね。同社のサイトやPR誌を見て、紙の本を作ったり売ったりするのとは違うところで、本の世界を支えている人、書店を応援している人がいることを知ることができて、ちょっとうれしくなりました。
ブックンロールに来てくださったお二人の名刺、お礼メールをと思って後で拝見していたら、裏にそれぞれ、お二人の好きな本や雑誌が印刷されていました。単に仕事で書店に営業しているだけじゃなくて、ほんとに本が好きな方たちなんですよね。どうりで、同社のサイトが、PR誌が、書店好きが読んでおもしろいものになっているわけです。うれしい発見でした。
もう1つは、こちら。「いか文庫新聞」。


「いか文庫」さんは、ご自身の説明によれば、《いつどこに開店しているのかわからないけど、それでも日々どこかで営業している「エア本屋」》。いいですねえ、「エア本屋」。ぼくも「空犬書房」とか「空犬文庫」という名前で、空想書店をやりたかった(今でもまったくあきらめたわけではないですが)くちなので、すごーく親近感を(勝手に)感じてしまいます。
しかも、このネーミングセンス(笑)。「いか文庫」さんとは、ブックンロールの前からツイッターでやりとりさせていただいてたんですが、イベントに来てくださるというので、お会いするのを楽しみにしていたんですよ。このネーミングにただようボンクラ感、いったいどこの男子中学生が考えたのかと思っていたら(←ほめことばです;笑)、イベントに来てくださった「いか文庫」さん(というか、店主のKさん)にお会いしたら、これが偽者か着ぐるみじゃないかと疑いたくなるようなすてきな方(ほんとに)だったので、そのギャップのものすごさに、さらにびっくりしてしまいました。
で、そのとき手渡されたのが、「いか文庫」さんが出している「いか文庫新聞」。A3判横置き両面モノクロ、手書きとワープロ文字が半々といったところでしょうかです。
書店関連の記事やおすすめ本、イカについての読み物(?)、イラスト、マンガと、なかなかにバラエティに富んだ内容で、広告まで入っています。店主のKさんのほか、数人の方が、書き手に名を連ねています。なんだかおかしいのは、創刊号なのに、最初の記事の見出しが、「いか文庫 今後の展開は」になってるんですよね(笑)。いいなあ、このノリ(笑)。
さらに。
「これ、裏がブックカバーになってるんです」
「へえ、いいですねえ」
「……でも、サイズをまちがえちゃったんです」
……とにかく、いろんな意味で楽しい、「エア書店」フリペなのです。
ぼくが「いか文庫」さんのお名前を初めてしったのは、「空想書店<いか文庫>開店記念」だという、荻窪の6次元でのイベント「イカナイト」。なんか、新聞もイベントも、本体の名前も、ほんと、ネーミングがすばらしいですねえ(笑)。
いか文庫さんにはFacebookのページがあります。こちら。「いか文庫」とは、といった基本情報から、過去のイベント、そして、この「いか文庫新聞」のことなど、活動内容がくわしく載っています。イベント「イカナイト」は今後も続くようなので、楽しみですね。
こういうおもしろい「エア本屋」さんは、ぜひリアル書店と組んで何かしてほしいなあ、と思ったら、すでに、吉祥寺のBOOKSルーエとのコラボなのかな、なにやら計画があるそうですよ。ルーエ花本氏ともブックンロールが初対面だったようなのに、ずいぶん短期間で話がまとまったわけですね。楽しみですねえ。フェアなのかなんなのか、まだ詳細は聞いていませんが(いつもなら、フェアなどのネタは、ずいぶん早くから、うれしそうにくわしく教えてくれる花本氏がめずらしく、詳細を伏せているのですよ)、くわしいことがわかったら、空犬通信で紹介したいと思います。
というわけで、「いか文庫新聞」、書店好きフリペ好きにはおすすめです。BOOKSルーエの店頭で無料配布中です。

↑ルーエ、2階へ上がる階段の途中には、フリペ他の無料配布物がずらりと並んでいますが、本家「ルーエの紙」は早くも第6号。一面の文章が、友人の娘ネタという、書店フリペ的にはどうなのか的な文章なのに、全体としてはなんとなくまとまっている感じがするのは、不思議。

↑書店発のものではないようですが、こんなフリペもありましたよ。「勝手にぶんがく新聞」18号。