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空犬通信

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BOOKS隆文堂……ブックンロール出演者のお店を紹介します 2

6/29のイベント「ブックンロール」のトークの部に出演する書店員さんのお店を紹介する記事、2回目は、BOOKS隆文堂です。


BOOKS隆文堂は、中央線西国分寺駅南口を出てすぐのビル、西国分寺LEGA(レガ)の2階にあるワンフロア店。150坪85坪;参照した資料の誤りでした)。今回、トークに出演する上田砂由里さんは、同店で文庫担当を長くつとめるベテラン書店員。上田さんに、文庫コーナーを中心にお店を案内してもらいました。


(以下は、6月初旬の取材に基づく文章です。フェアや店頭の様子は現在のものと変わっている場合があります。店内の写真はすべて許可を得て撮影したものです。ブックンロールのトークでのプレゼンに関わるフェアや棚の写真ははずしてあります。)


なお、BOOKS隆文堂については、作家・碧野圭さんの書店訪問ブログ「めざせ!書店訪問100店舗」に、詳細なレポートがあります。取材内容がどうしても重なってしまいますので、今回は、内容があまり同じようなものにならないよう、碧野さんの記事でもふれられている点など、一部を簡単にしました(そのため、前回のブックポート203緑園店の紹介記事よりも短くなっています)。ですので、ぜひ碧野さんのブログ記事と合わせてご覧ください。「No.126 BOOKS 隆文堂(東京都国分寺市)」(4/17 めざせ!書店訪問100店舗)。


BOOKS隆文堂 フロアマップ

↑このような形状・配置のお店です。


BOOKS隆文堂 レジ裏1BOOKS隆文堂 レジ裏2

↑お店の顔、ともいうべき、レジ裏のスペース。そんなに大きなスペースではないのに、並べ方のせいか、実際のサイズよりもスペースが大きく見えます。面陳がはえるスペースです。


写真右は、上田さんのおすすめ本。おもしろそうな本なんだけど、タイトルだけではいったいどんな本なんだかよくわからない『ゴロツキはいつも食卓を襲う』を、多面陳列と、手書きのPOPやイラストのコピーなどを組み合わせて、うまく見せています。


ぼくが、このBOOKS隆文堂のことを初めて意識したのは、ある雑誌で、POPを多用して、おもしろい売り場を作っている店として紹介されていたのを目にしたのがきっかけです。何年前かなあ、もうずいぶん前のことです。今では、POPの多用だけでは話題にはなりにくいかもしれませんが、当時は、POP王や有隣堂の梅原さんの本も出ていないころのこと、POPが林立する売り場の様子は、当時からいろんな書店を見るのが好きだった書店好きの目に、相当にユニークなものに映りました。


いまも、POPは店内のあちこちで多用されています。売り場のサイズを考えると、かなり多い。POP密度の高い店だと言えます。上田さんによれば、売りたいものをわかりやすく見せていくやりかたは、お店の方針とのことで、それがとくに文庫売り場には顕著にあらわれているようです。


BOOKS隆文堂 POP 文庫棚前1BOOKS隆文堂 POP 文庫棚前2BOOKS隆文堂 POP 文庫棚前3BOOKS隆文堂 POP 文庫棚前4

↑文庫売り場、棚前の平台ににぎやかに並ぶPOPたち。拡大した写真だとわかりやすいと思いますが、版元の用意した出来合のPOPは、ゼロではないですが、少なめで、その多くが、お店独自の手作りPOP。本に合わせて、色づかいや形状、素材などに工夫がこらされているのがわかります。実物だと、もっと手作り感・工作感が伝わってきますよ。これだけの数が並んでいても、また、これだけ、サイズやタイプの異なるPOPが並んでいても、実際の店頭を見ると、ちっともうるさい感じがしないのが、不思議なぐらい。


おもしろい手作りPOPがいくつも目についたので、POPの単独の写真も撮らせてもらおうかと思ったのですが、上田さんによれば、「POPはそこに、本と一緒に立てたときにはえるように作っている。だから、POP単独の写真はではなく売り場の写真で見せてほしい」とのこと。言われてみればそうですよね。というわけで、写真は、すべて周りの様子がわかる状態で撮影させていただきました。


ずいぶんといろいろなバリエーションのあるPOPですが、これらのPOPを作るにあたって、何か、他の書店員さんから学んだり、デザインの勉強をしたりしたのかどうか、上田さんに質問してみました。お店には以前、まさに「POP職人」と呼ぶべき書店員さんがいたそうです。その書店員さんは、読んでいる本はもちろんのこと、本を読んでなくてもすらすらPOPを書けちゃう、というタイプだったそうで、POP作りに関しては、その方に大きな影響を受けたそうです。正確な時期のことはわかりませんが、ぼくが雑誌で見た、POPをたくさん使ったにぎやかな売り場の店として紹介されていたのは、その方がPOPを手がけていた時代のことだったのかもしれません。それがきっかけでお店に興味を持ち、その数年後に、その方に影響を受けた書店員さんにPOPの話をうかがっているのだから、なにやら不思議な縁を感じますね。


ちなみに、文庫コーナー以外では、担当外ということで、POPを書いたり、セレクトに口出ししたりはあまりされないそうですが、店長さんが担当されているという文芸については、頼まれて書くこともあるとか。上田さんのPOPの腕が見込まれているのでしょう、店長さんは現状よりももっとたくさんPOPを立てたいようで、上田さんに文芸作品のPOPを書いてほしいと依頼がくることもけっこうあるようです。


BOOKS隆文堂 文庫平台1BOOKS隆文堂 謎解き平台

↑文庫のレギュラー棚のそばに、夏の100冊など、大きなフェアにも使われる、文庫のメインの平台があります。写真左のように、版元のフェアに使われることもありますし、写真右のように、お店のイチオシ作家や作品のコーナーにあてられることもあるようです。


右は、一昨年の本屋大賞受賞作家、東川篤哉さんと『謎解きはディナーのあとで』を中心とする特集コーナー。写真に見える地図は上田さんの手作りのもので、そのこまかな作り込みぶりは、実物を見ると驚かされること請け合いです。ちなみに、東川さんは地元にお住まいとのことで、お店にも客として寄られたりすることがあるそうです。そんな縁もあって、東川さんの色紙が見えるほか、上田さんの作った『謎解きはディナーのあとで』特集フリペには東川さんの直筆コメントなども載せられています。


BOOKS隆文堂 佐伯1BOOKS隆文堂 佐伯2

↑時代ものの文庫もよく売れるお店とのことで、このように、佐伯泰英さんだけで、独立した棚、しかもけっこうなサイズの棚ができています。シリーズものが多い作家ならではのこと、愛読者がついている証拠でしょう、発売日に関する問い合わせが非常に多いということで、写真右のような案内を棚の上に掲示しています。お客さん向けの情報ですが、このようにしておくことで、文庫担当がいないときに問い合わせを受けても、他のスタッフが対応できるというメリットがあります。このあたり、外向けと内向けの情報をうまく組み合わせた手法は、前回のブックポート203緑園店の棚作りにも出てきていましたね。


BOOKS隆文堂 フリペ

↑BOOKS隆文堂では、お店独自のフリペ「読書三昧」を発行しています。A4判白黒片面。上田さんがすべて一人で担当していて、全部手書き。(写真左端)。啓文堂書店の「クロネコ通信」もコラボ配布されています。


フリペは、2011年7月の創刊。最初は月刊で始めたそうですが、現在は隔月にしているとのこと。昨年秋ごろから、フリペで取り上げた本が動くようになってきたので、ひと月で終わらせてしまうのはもったいない、ということで、2か月継続させることにしたのだそうです。フリペと売り場、フリペと売上が、いい関係にある好例ですね。通常号のほかに、過去に、特集号を出していて、先に特集コーナーにふれた、『謎解きはディナーのあとで』が最初の特集号。今回、ブックンロールのトークに合わせて、2号目となる特集号を作られるとのこと。これは楽しみだなあ。特集号2号目は、ブックンロールで配布の予定で、イベント終了後は、お店の店頭でも配られることになると思います。



BOOKS隆文堂 人文平台1BOOKS隆文堂 人文平台1BOOKS隆文堂 人文平台1

↑東京大学出版本にみすず書房本に、ツェランにカントに……これらの写真だけを見せたら、これが、駅前ビル内の100数十坪のお店の平台だなんて、とても思えませんよね。でも、実際の店頭を見ると、これが別に浮いているわけでもなんでもない。こういう本がふつうに並んでいるのも、このお店の魅力なんですよね。夏葉社本もしっかり並んでいます。これらのセレクトは、上田さんの同僚、鈴木さんの手になるもの。


BOOKS隆文堂 フェア棚1BOOKS隆文堂 フェア棚2

↑エスカレーター正面のフェア棚。十分なスペースを割かれた贅沢な棚ですが、棚の天地サイズや奥行きがあまり自由にならないこと、またスペースが大きすぎて、このスペースを埋めるにはけっこうな点数や本のサイズが要ることなどから、100%スペースを活かしたフェアは、なかなか難しいようです。


文庫、文芸、人文、それぞれ担当の方は違うのですが、どのジャンルも、ただ本を置いておくだけではダメ、売りたい本、おもしろい本はPOPをつけたり並べ方を工夫したりして、きちんと目立たせて、しかも、それをこつこつと売る……そういう姿勢が貫かれているので、店内の棚の雰囲気が同じテイストでまとめられていて、違和感をまったく感じさせません。


上田さんによれば、「棚に戻したら売れないような本で、うちの平台で3、4年展開しているようなもの、よそでは平になっていないようなものが数点あります」とのこと。そこには、私たちはちゃんと本を見ていますよ、本を見て売っていますよ、という強い意志のようなものが感じられ、そして、そうした言葉が売り場の様子ときちんとリンクしているのが感じられ、本好き書店好きとしては、すごくうれしくなってしまいました。


こういうお店が最寄り駅にあったら……本好きにとって、こんなにうれしいことはないと思います。書店激戦区の吉祥寺や立川にはさまれたエリアで、一見地味な感じ、ふつうの感じに思われるかもしれませんが、でも、このBOOKS隆文堂は、本好き書店好きが、わざわざ途中下車して寄る価値のある、すてきなお店です。ぼくも、以前から出入りしているお店で、中央線沿線で好きなお店の1つでしたが、今回の取材で、ますますこのお店のことが好きになりました。空犬通信が自信を持っておすすめできるお店です。


この秋には、西国分寺駅にエキナカができるそうで、駅には告知のポスターが張り出されています。


西国分寺 えきなか案内

まだ噂レベルで、確認がとれていませんが、書店(ブックエキスプレス?)が入るという話も聞こえています。エキナカに書店ができてしまったら、駅前のお店には少なからず影響があるでしょうが、どんなお店ができるにせよ、BOOKS隆文堂のようなお店が簡単にできるわけではありませんからね。


BOOKS隆文堂には、中央線の駅前書店らしいお店として、いまの路線のまま、ぜひがんばってほしいものです。応援しています。

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コメント

ああ、ここはスーパーへの買い出しついでによく行くところです。小さいながらも意外に守備範囲が広いお店ですね。量は少ないけれど、翻訳物なんかもけっこうマニアックなところを置いていたり。

ただ、買った本を落ち着いて読めるレストランや喫茶店があまりないのが、西国分寺駅の歯がゆいところであります(苦笑)。

  • 2012/06/22(金) 00:38:01 |
  • URL |
  • sugata #8Y4d93Uo
  • [ 編集 ]

すてきな駅前店

sugataさん>
おお、そんなにお近くでしたか。ああいう感じのお店が
生活圏にあるのは、ほんと、うらやましいです。

> ただ、買った本を落ち着いて読めるレストランや喫茶店があまりないのが、西国分寺駅の歯がゆいところであります(苦笑)。
なるほど、そうなんですか。本好きにはそれ、けっこう
大事ですよねえ。

  • 2012/06/23(土) 11:36:39 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

ポイントカード

よく行くお店です。
先日、千円単位に数円足りなくてその分はスタンプ押してくれませんでした。(数千円分購入しました。)
決まりとはいえ、地元で商売する商売人の心意気は感じられません。西国分寺には新しい本屋さんも出来たので、もう隆文堂には行かないと思います。

  • 2012/09/13(木) 18:58:57 |
  • URL |
  • にしこ #Ejw5Ejws
  • [ 編集 ]

Re: ポイントカード

にしこさん
訪問&コメント、ありがとうございます。

今日、西国分寺駅にできたBOOKS ORIONを見に行ってきて、
BOOKS隆文堂にも寄り、2つのお店のことを記事にしようと、
ちょうど文章を書いていたところに、コメントを拝見しました。

お店で、何か不愉快な対応を受けたり、注文や取り置きに
関わるミスがあったりなど、お店側のミスや落ち度で、もうその
お店に行かないと思われたのだったら、それはしかたないと思います。

ただ、さしこさんの場合は、拝見すると、1000円でスタンプを
1つ押すシステムのお店で、1000円に足りなかったからスタンプを
お店の人が押さなかった、ということで、それはシステムの問題
ですので、そのようなことでお店を責めるのはちょっとお店にとって
気の毒ではないかと思います。

ご存じかと思いますが、書籍は、非常に利幅の少ない商品です。
スタンプカードはたまると金券になるわけですから、たとえ数円の差で
あっても、足りないものを、上乗せして扱うようなことは、お店にとって
大きな負担となります。また、書店の店頭は、アルバイトやパートの
方も多く、そうした、少額の差をどこまで認めるのか、受け入れるのか、
という、お金に関わる判断を個人にまかせるのは非常に難しい、というか
ほぼ不可能です。

隆文堂は、たまたまハンコを押す、昔ながらのスタイルで始めましたが、
いま、多くの書店が導入しているポイントシステムは、電子的に記録される
スタイルのもので、そのような店では、たとえ1円であろうと、ポイント付与
の最低額に足りないものは、対象外になり、店頭の書店員さんの判断でそれを
どうこうすることは基本的にできません。紙のシステムをとっているところ
にだけ、特別扱いを求めるのはやはりそのお店には気の毒なことに思われます。

仮に、たまたま、数円足りないのを特別によけいに1つスタンプを押したとします。
もしもそのようなことを別のお客さんが見聞きしたら、こちらも950円買ったん
だから押せ、サービスしろ、などと言った、理不尽なことを言う人が出てこない
とはかぎりません。そのとき、そのお客さんにとってよかれ、と思ったことが、
別のトラブルにつながる可能性もあります。

数千円購入されたということで、あと少しぐらい、と思われたお気持ちは
とてもよくわかりますが、今回の件は、「地元で商売する商売人の心意気」
とは別の問題だと考えていただけると、うれしいです。今は隆文堂にとって
新店が近くにできたというだけで、大変な時期です。これまで、スタンプのシステム
がないころから、お店をご利用になっていたのだろうと思いますので、もしそう
であれば、ぜひ、今回のことでお店から足を遠ざけたりされず、スタンプのシステム
の有無と関係なく、それまでのように利用いただけるとうれしいです。私は、隆文堂には
自分も出入りする、知り合いがいるというだけで、特別な関係にはありませんが、
自分も本に関わる仕事をしている者として、心からそのように思います。

  • 2012/09/13(木) 22:30:36 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

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  • 2012/06/22(金) 11:10:56 |
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