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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

北杜夫さんが亡くなりました

小中学生のころ、大好きで、とても熱心に読んだ作家の1人でした。



『夜と霧の隅で』での芥川賞受賞と『どくとるマンボウ航海記』の刊行がともに1960年、後者はベストセラーになっていますから、昭和30年代後半から40年代にかけては、よく読まれたのでしょう。ぼくが物心ついたときには、北杜夫さんの本が、本好きではあったけれど、とりたてて文学寄りなわけでもなかった両親の本棚にずらりと並んでいましたからね。


『怪盗ジバコ』『楡家の人びと』『幽霊』『酔いどれ船』『月と10セント』『南太平洋ひるね旅』……こうして書名をあげるだけでなつかしくてたまらない気持ちになるような本たちです。いずれも、初版ではなかったけれど、単行本でした。それらの単行本は処分してしまったので、後から文庫で買い直した数点をのぞくと、手元にないのが残念ですが、今でも表紙はよく覚えています。


ぼくがこれらを手にしたのは小学校の高学年から中学生にかけてのころ。大人の小説に初めてふれるわくわく感を感じさせてくれつつも、子どもにも読める楽しい本が多くて、今にして思えば、日本の現代文学を読み始めるのにとてもいい入り口になってくれたのではないかと、そんな気がします。


一連の本のなかで、とくに好きだったのは、『さびしい王様』ほかのさびしいシリーズ。なかでも最初に読んだ『王様』は、お話も、装画も、書名も、とにかくすべてがとても気に入ってしまって、長らく北杜夫さんの作品のなかではパーソナルベストでした。これ、うちの子にも読ませたいなあ。


小学校の途中で乱歩にはまり、探偵とかミステリーのほうに偏りがちだった田舎の小学生の本の趣味を、ぐっと広げてくれた、そんな作家の一人だったのだなあと、今になって思います。


北杜夫さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。今晩は、我が家の本棚から、なつかしい本を引っ張り出して、北杜夫作品に出会ったころのことを思い出しながら楽しみたいと思います。


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