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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

東北の書店レポ、BIBLIOPHILIC、super_wakuwaku他……新刊書店関連いろいろ

前回は、新刊書店関連のニュースのうち、ジュンク/丸善関連をまとめましたが、今回はそれ以外の書店で。今回も件数が多いので、ちょっと長いです。


まずは、東北の書店関係を。紹介しそびれていたんですが、『週刊ポスト』の不定期連載、「復興の書店」の第3回「震災が炙り出す「雑誌作り」の原点」が、9月2日号に掲載されていましたね。仙台でタウン誌を出しているプレスアート、『仙台学』他の荒蝦夷(あらえみし)が紹介されています。同じ週刊誌の記事では、めずらしく(と、言っちゃっていいかな)『女性セブン』にも関連の記事が。9/23号に掲載された「被災書店が甦らせた笑顔」がそれ。ブックスなにわ多賀城店(多賀城市)、ジュンク堂書店仙台店(仙台市)、紀伊國屋書店仙台店(仙台市)と、宮城県の書店3店の様子が写真入りでレポートされています。


同じく雑誌では、8/16発売の『月刊J-novel』2011年9月号(実業之日本社)に、碧野圭さんが「支援の先にあるもの」を寄稿しています。空犬も同行させていただいた仙台の様子のほか、その前後に碧野さんが行かれた他のエリアの様子も合わせて、読み応えのあるレポートになっています。blogに発表されているものと内容的に重なっているところもありますが、碧野さんのblogを読んでいる方も、ぜひこの記事はあらためて読まれるといいと思います。


碧野さんは、このほか、神戸の書店、海文堂が出している『ほんまに』の10月発売の号にも東北行きについて寄稿されるとのこと。そちらも本が出たら、また紹介したいと思います。


新聞の震災関連記事のうち、書店に関係する記事で最近のものでは、これが印象的でした。「仮設住宅で書店はじめた大槌町の男性」(9/6 朝日新聞)。記事で紹介されているのは、岩手県大槌町の「信栄書店」店主、阿部さん。ここまでして本を届けようとしている人がいる……短い記事ですが、かなり「効き」ます。記事最後に引かれた阿部さんのことば。「本好きな人にとって、本から離れるのはつらいだろう。元気なうちにできることをしたい」。もちろん、東京で本の仕事をしている我々もできることをしなくては。あらためてそう思わされます。


東北のもまだまだ大変な状況が続いているというのに、ここにきて、別のエリアで、また自然災害による大きな被害が出てしまいましたね。今回、関西を襲った台風、まさかこのような事態になるとは思いませんでした。書店・出版流通関係への影響はどうなんでしょうか。長く近畿にいた者としても、非常に気になります。とくに、


こういう災害のとき、やはり自分の仕事も趣味も、全面的にそこに集中しているものですから、どうしても出版・書店業界のことばかりを書いてしまうことになります。何も書店のことだけが心配なわけではないのですが、こればかりは仕方ありません。だから、たとえば、このような、台風被害全般を伝える記事、「台風、無残な傷痕」(9/6 朝日新聞) を読んでいても、《書店を経営する西美恵子さん(67)は、泥まみれの本をごみ袋にまとめていた》という一行が、とても気になって気になってしかたありません。お店はどこなんだろう、被害の程度はどれくらいなんだろう、お店は再開できるんだろうか、などなど。東北のときのように、書店・出版流通関係の被害をまとめた情報などはまだ見当たりませんが、現地の様子、ぜひ知りたいものです。


次は、開店・閉店・改装関係を。まず、先日の記事でとりあげた島根県松江市のブックス文化の友津田店、名称はこれでいいのだろうかと書きましたが、これでいいのだそうです。情報、ありがとうございました。


それ以外の件、まずは見出しをまとめて。



フタバ図書は、広島佐伯区。店名は「GIGA(ギガ)五日市店」で、広さは約700坪、新刊のほかに、リサイクル本、CD・DVD・ゲーム、レンタルなどの扱いのある大型複合書店。9/16にオープンとのことです。場所は、ベスト電器五日市店の跡地とのことです。


精文館書店は、千葉県市原市。市原市五井駅のすぐ近くとのことで、8月にオープンとなったそうです。広さは680坪。こちらも、書籍以外に、文具・CD・DVD、レンタルの扱いなどのある大型複合店舗のようです。


前橋の件は、以前の記事でふれましたね。店名は、蔦屋書店前橋みなみモール店、広さは1737坪(書籍は758坪)、こちらも大型複合店舗。


前橋はあまりいく機会のない街ですが、1000坪に近い紀伊國屋書店がありましたよね(紀伊國屋書店前橋店、970坪)。両店の位置関係がどうなっていて、商圏がどのようになっているのか、まったく知識がないのでわかりませんが、この規模の大型書店を複数抱えられるような街であり商圏であり、なんでしょうか。今後ほかにもまだ予定されているというトップカルチャーの大型出店の参考の意味も含め、この前橋のお店はぜひ見ておきたいものです。


次は、開店・閉店・改装以外の、新刊書店関連ニュースを雑多に。


まずはこれ。「10歳男児がひったくり被害」(9/6 朝日新聞)。春日井市の書店で、とあり、店名はありません。書店の店内で、しかも10歳の小学生がひったくりにあうだなんて……。子どもを連れていくことも多い書店好きとしては、ぜったいにあってほしくない、悲しいニュースです。「書店」関連ニュースを検索していると、いろいろなニュースが目に入るわけですが、犯罪・事故などの関係はやはり見たくないものです。たとえば、しばらく前だと、「書店」で検索していると、「児童ポルノ法違反で書店経営者を逮捕」なんて、嫌なニュースが目に入ったり、書店員さんが被害にあった「万引きバレた中3、書店員に体当たり…強盗傷害」が目についたり、その前は、このニュースもやたらに「書店」がらみで目につきました。「酒田の中学教諭盗撮:罰金刑の教諭、懲戒免 /山形」。どんなかたちにしろ、書店で、書店の回りで、犯罪や事故が起こらないことを心から祈るばかりです。


ディスクユニオンが読書用品専門ブランドを立ち上げたようです。これは音楽好き兼本好きとしては気になりますよね。「「本のある生活」を楽しむ、読書用品専門ブランド「BIBLIOPHILIC」スタート!」(8/24 ディスクユニオン)。《この度、ディスクユニオンから「本のある生活」を楽しむ、読書用品専門ブランド「BIBLIOPHILIC」がスタートします。ディスクユニオンでは音楽ソフトコレクターの方々向けにCD・レコードを収集、保護するための商品を販売していますが、そこで培ったノウハウを今回「BIBLIOPHILIC」というブランドで本好き・読書家の方々のために読書用品の販売で活かしていきます。》というものだそうです。で、具体的な中身はというと。



《商品としては、「本棚」や「ブックカバー」、「しおり」、「ブックライト」といった一般的な読書関連商品から書籍用「ビニールカバー」、古書保護の包装などで使用される「グラシンペーパー」、書籍修復用の「糊」・「補修テープ」など専門性の高いアイテムまで幅広く取扱います。》


通販もあるようですが、BIBLIOPHILIC取扱い店舗として、店舗内に書籍専門特化店「ブックユニオン」があるディスクユニオンお茶の水駅前店があがっていたので、先日ちょっと見てきましたよ。


ブックユニオンの棚の隣にコーナーが設けられています。サイトでも見られる、「三冊の本の上に、猫が乗っているロゴマーク」(なかなかかわいい)が目印。それほど大きな棚ではないのですが、上にリストアップされていたような、ブックグッズが並んでいます。


これはこれでいい感じだと思います。ただ、コアな本好きの目で見ると、ちょっと物足りないかな、とい気もします。扱われている商品は、ハンズやLOFT、その他大きめの文具屋さん雑貨屋さんでも見かけるものが多いし、それこそ、新刊書店でもこうしたブックグッズを充実させているところはありますよね。ぼくのように、中古レコード好きが、ついでに本やグッズを同じ店内で見られるのはちょっとうれしいですが、本好きがわざわざこのために見に行くようなコーナーになっているかどうかは、ちょっと疑問かも。これからまた発展していくことを期待して、ちょっときびしいことを書いていますが、サイトにあるように、《本とは何か?など本に関連する様々な「本の本・雑誌」を取扱い、「BIBLIOPHILIC」がお客様の「本のある生活」を更に楽しんで頂けるよう取り組んでいきます。》という路線を目指すのであれば、もう少しグッズの種類・点数、「本の本」の在庫も増やしたほうがいいのでは、という気がします。本好きをうならせるような、そんなコーナーになっていくことを大いに期待したいと思います。


日販が出している『日販通信』の9月号で、巻頭の新店舗の紹介にオリオンパピルスが取りあげられているそうです。実物を見ていないので、くわしいことはわかりませんが、カラーの写真入りなんだとか。気になるけど、遠くていけない、見るチャンスがない、という書店好きはこちらでチェックを。また、同じ号にには、この空犬通信で大プッシュ中の『世界の夢の本屋さん』も取りあげられているそうですよ。なんとか入手しないとなあ、この号。


ちなみに、『世界の夢の本屋さん』と言えば、「文化通信の9/5号(3961号)にこんな見出しがありました。「エスクナレッジ『世界の夢の本屋さん』、欧米の33書店紹介。建物の視点から企画。書店好きがブログで紹介。」(出版業界ヘッドライン)。「書店好きがブログで紹介」って、なんだかどこかで聞いたような話だなあ。どんな記事なんだろう。これ、未見なので、記事をチェックしたら、また取りあげるかもしれません。


ほかにも、フェアの関係で、紹介したいものなどあるんですが、長くなったので、これをとりあえずの最後に。7月のKinokuniya Point メールにくわしい案内のあった紀伊國屋書店新宿南店の新コーナー「@super_wakuwaku」を紹介する記事がありました。「ワクワクする特設売り場を設置 来客増と従業員の意欲向上の一石二鳥を狙う」(8/18 ITpro)。記事を一部引いてみます。


《紀伊國屋書店(東京都目黒区)の新宿南店(東京都渋谷区)は6月27日、従業員個人のお勧め書籍を陳列する企画などを展開する特設売り場「@super_wakuwaku(スーパーワクワク)」を新設した。顧客の来店促進と従業員の意欲向上の一石二鳥を目指した施策である。野口敦郎店長は「個性的な売り場によって顧客にワクワク感をもたらし、来店を促す」と語る。施策の効果が浸透した2012年に来店客の5%増を目指している。》


《@super_wakuwakuは幅7メートル、高さが4段分の棚と平積み用スペース。このスペースに常時5個程度の企画を展開する。例えば「キノミナの本棚」という企画は、従業員が棚1段分を自らの本棚に見立て、担当ジャンルにとらわれずにお勧め書籍を並べるコーナーである。医学書担当の従業員は、養老孟司氏の著作とアレクサンドル・デュマの小説「三銃士」などを一緒に並べていた。》


《売り場の運営にあたり、店長からアルバイトまでを含む従業員約20人で「SUPERワクワク隊」を結成した。同隊の隊長で、キノミナの本棚の考案者でもある神矢真由美第一課係長は、「友人・知人の本棚を見学すると面白いと思った」と企画の狙いを明かす。従業員のセンスによって生まれる書籍の組み合わせの意外感や面白さによって、顧客にワクワク感をもたらしたい考えだ。「キノミナ」というネーミングには「紀伊國屋書店南口店」と「紀伊國屋のみんな」などの意味を込めた。》


なるほど、おもしろそうですよね。新宿では、本店のほうに行く機会が多く、このところ南店はちょっとごぶさただったので、近いうちに店頭を見てこようと思います。そうそう、新宿本店と言えば、2階にあったテイトムセンがなくなり、噂によれば、フロアレイアウトの変更・改装があるようですが、その件は、またあらためて。


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コメント

ご紹介、ありがとうございました。それから、先日は楽しかったですね。

今日、ようやく「ほんまに」の原稿、送りました。ボツにならなければ掲載されます。文字数が限られているので、かえって難しいですね。3日も掛かるなんて、プロじゃないなあ、と落ち込みました。

次も楽しみです

碧野さん>
こちらこそ、先日はありがとうございました。
帰りがけにうかがった話、ぜひなんらかのかたちで実現をと
思っていますので、また今度ゆっくり、くわしい話を聞かせて
ください。

「ほんまに」、もうすぐですね楽しみです。時間がかかるのは、
内容が内容だけに、ある意味当然かな、という気もしますので、
落ち込むだなんて、そんな、気になさらなくてもいいのではと。

現地でご覧になったものの重さや大きさが、さらさらと文章化するのを
許さないものだった、ということなんだろうなあ、と。すみません、
それこそ、プロの方相手に、えらそうなこと書いてます(苦笑)。

  • 2011/09/14(水) 23:13:55 |
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