すべて吉祥寺のBOOKSルーエで買ったもの。
- 久生十蘭『パノラマニア十蘭』(河出文庫)
- ジョン・レノン『絵本ジョン・レノンセンス』(ちくま文庫)
- ジェデダイア・ベリー『探偵術マニュアル』(創元推理文庫)
- 山村修『増補 遅読のすすめ』(ちくま文庫)
河出の十蘭は3冊目ですね。これまでの2点、うれしいけど解説が……みたいなちょっとえらそうなことを書いてしまいましたが、今回の石川美南さん(歌人)の解説はいいですね。タイトルがまずいい。「夢の真顔」。
ちくま文庫はこういうの文庫化があるからうれしい。『絵本ジョン・レノンセンス』。これ、晶文社の親本を高校生のときに買ったんだよなあ。大阪の旭屋書店本店で。今も大事に持ってますよ。この文庫、うれしいことに、親本にはなかった原文が収録されています。ちくま文庫で詩集で原文が掲載されたものと言えば、しばらく前に出たブローティガンの詩集もそうでしたよね。こういう「おまけ」は大歓迎です。

↑文庫化されても、この親本を手放すわけにいかないのは、先日紹介した『アノドロギュノスの裔』と同じ。表紙は文庫版よりもこちらのほうが好き。目次も親本のほうがいいなあ。親本はもちろん平野甲賀さんのデザイン。
ふだんは最近の翻訳ミステリーを手にすることはめったにないんですが、この『探偵術マニュアル』は帯の文言につられて買ってしまいました。だって、《ポール・オースター+ブラッドベリ+カフカ》ってあるんですよ。ちょっとずるいよね(笑)。そりゃあ、買うよね。オースターのニューヨーク三部作は大好きなんだけど、あんな感じなんだろうか。まだ出だしを少し読んだだけですが、(いい意味で)妙な雰囲気で、続きが気になります。
以前は、平均よりも読むのは速いほうかな、って思ってたんですよ。でも、どうやらそうではないらしい。たくさん読めるのは、他の人が違うことをしているときも本を読んでた、つまり読書にあてる時間の絶対量が多かったというだけで、読むのが速いわけではなかったんですね。いま、周りの本好きで速い人の話聞いてると驚かされますから。とても自分にはそんなペースでは読めない、って。あと、外出するときの文庫、2日以上続けて同じのを持ってるとくやしいとかはずかしいとか言う方もいますよね。ぼくなんか、毎日電車では寝ちゃうので、1週間同じ本なんてざらですよ(苦笑)。
と、前振りが長くなりましたが、そんな向きにぴったりな本が、『増補 遅読のすすめ』。〈狐〉のペンネームでも知られる稀代の本読みが言うことですから、素人がそのまま真に受けていいかどうかはともかく、安心させられる書名であり、内容ではありますよね。
引用したいフレーズはたくさん出てきますが、それこそ、部分だけ取り出してもしかたない。このような本は、ゆっくりと、時間をかけて読まないと意味がありませんよね。読書論と、その実践の結果による書評の数々との、幸せな合体本。
◆今日のBGM◆
- Steve Cropper『Dedicated』
我が敬愛するギタリストの1人、スティーヴ・クロッパーの新作はなんとファイヴ・ロイヤルズのトリビュート盤。ゲストのボーカル陣が豪華で、スティーヴ・ウィンウッドやB・B・キング、ダン・ペン、ブライアン・メイまで参加。
ギターはいつもの調子で、全編でかっこいいギターが聞けますよ。
ちなみに、これ、アナログがあったので、そちらを買ってみたら、CDが同梱されていましたよ。アナログで、デジタルファイルのダウンロード用のコードが付いているのはめずらしくないけど、ちゃんとジャケットも付いた正規のディスクが付いているアナログって、初めてかも。CDだけの盤と値段も変わらないし、なんだかすごくお得感が。
しかも、アナログだとふつう、ライナーなど冊子はついてない場合が多いけど、今回のは、同梱のCDにちゃんとブックレットタイプのジャケがついていて、スティーヴ・クロッパーの文章とか、曲ごとの参加メンバーなどの詳細が読めるんだよね(アナログの裏ジャケに曲ごとの参加メンバーの表示はあるけど、ジャケにも内袋にも文章はなし)。この方式はいいなあ。新作のアナログは全部こんなふうだといいのになあ。