遅くなりましたが、先日の大阪・京都書店回り、最後のレポートは京都編です。当日、8/22(月)は朝から夕方までずっと仕事の用事で自由時間はほとんどなし。日中のわずかな空き時間と、用事が終わってからの夜の時間を使って、京都駅周辺と河原町の書店をいくつか見てきましたよ。(以下、写真と店内の様子・フェアなどは、8/22時点のものです。)
時間が短い割には、というか、短かったので集中したためか、お店の数だけはそれなりに見てきたのです。全部にふれていると大変なので、大垣書店とふたば書房の各2店舗を中心にレポートします。まずは、京都駅の近くに昨年、2010年初夏にできたイオンモール内にある大型書店、大垣書店イオンモール京都店から。



↑写真は外観と入り口だけ。
1000坪のワンフロア大型書店です。京都は、京都駅周辺や河原町周辺に複数の書店があり、大きめの店もいくつか(ジュンク京都が435坪、アバンティ京都が550坪)ありますが、1000坪超は初めて、かつ、唯一でしょうか。(*この部分について、訂正記事を書きました。)
1000坪クラスのお店は、ジュンク/丸善関連のお店で見慣れて(というのも妙な話ですが)いますが、什器や店内の雰囲気がジュンクのそれとはぜんぜん違うお店でこのサイズは、けっこう新鮮ですね。
専門書などに力を入れている大型店のなかには図書館のような格調高いというかややかための雰囲気のお店もありますが、このお店は、ショッピングモールの客層を意識した造りということでしょうか、大型店としては、かなりやわらかい雰囲気のお店になっています。お店の中央あたりで複数展開されているフェアなどを見ても、いろいろな年齢層に対応したものがセレクトされているほか、京都駅近くの書店ということで、「Kyotoスタイル」(すみません、正確なフェア名は失念)といった、観光客を意識したようなフェアも展開されていました。入り口を入ってすぐのフェアコーナーはちょうど入れ替え中でチェックできませんでしたが、案内によれば自然書のフェアのようでした。見たかったなあ。
モール内のお店ということで、児童書は広めにとってあります。窓から自然光の入り安い一画にあり、大人向けのコーナーよりも低めの棚を使われているため、明るくて見通しのいいエリアになっていました。1つ下のフロアにトイザらスの大型店が入っているため、扱い商品がかぶりそうなのに、あえて知育玩具類を非常に充実させているのが印象に残りました。それ以外のエリアも、関連するジャンルがうまく隣り合うように配置されているせいか、広さの割に、求めるジャンルを探してあっちこっちと、お客さんが迷わずに済みそうなレイアウトになっています。
品揃えも十分、広くて明るく、本を探しやすい店内は、モールに買い物に来たお客さん、とくに家族連れが長時間をゆっくり過ごせそうな、感じのいいお店でした。京都駅から少し歩きますが、京都を訪れた本好きは、ぜひ足を延ばされるといいと思います。
と、全体にいい印象のお店でしたし、京都駅周辺随一の大型店ということで、今後さらにいいお店になってほしいという期待も込め、よけいなお世話かもしれませんが、気になった点にも少しだけふれておきます。お店が大き過ぎて、棚のメンテの手が回らないところがあるのでしょうか、(全体に、ということではなく特定の棚ですが)棚の乱れが目についたところが少しありました。もちろん、常に完璧に整理された状態でなくてはならない、などというつもりはありません。タイミングもありますし、それに、棚や平台は多少乱れがあるぐらいのほうが、商品が動いている感じ、イキのいい感じになったりもしますからね。今回気になったのは、そういう自然に乱れた感じではなく、ある棚では、本がかなり乱暴に棚に詰め込まれていたり、ある棚では、面陳本の多くが表紙とれ帯とれになっていたり、といったところ。(たまたま、ということがありますから、念のため、翌日帰る前にもう一度のぞいてみましたが、同じ状態でした。)お店がとてもきれいなだけに、ふつうなら気にならないことが目立ってしまった、ということなのかもしれませんし、なによりこれをもって、棚のメンテが不十分でダメだ、などというつもりはまったくありませんが、一応記しておきます。
同じく、大垣書店で最近できたお店に、京都駅の反対側、ヨドバシカメラ内の京都ヨドバシ店があります。

広さは240坪。商業施設内によくある200坪前後のワンフロア型店舗です。家電量販店の中のお店ですが、パソコン書など理工系や、またはオタクっぽいジャンルへの偏りもなく、全ジャンルがバランスよく並べられた印象です。什器の感じ、照明など店内の雰囲気もよくて、ヨドバシのショッピングついでのお客さんはもちろん、わざわざ本を見にくるタイプのお客さんも満足できそうな、いいお店でした。
さて、次は、今回の京都書店回りでいちばん楽しみにしていたお店の1つ、フタバ+(プラス)京都マルイ店へ。

↑河原町の交差点に「阪急」がないというのは、昔からこの街を知る身にはなんだか妙な感じです。
お店は6階ですが、各階にパブリックスペースが設けられ、そこに、ふたば書房がセレクトした本が並んでいると聞いていましたので、1階から順に見ていくことにしました。まずは1階から。いやはや。これは驚きました。本体はともかく、それ以外のフロアは、ごく簡単なものだろうと想像していたんですが、少なくとも1階のそれは、なかなか本格的なもの。セレクト棚にありがちなお洒落本もたくさん並んでますが、ふつうにワンピースの新刊とかもあるし、ただの「見せ棚」になってなくて、ちゃんと買い物したくなるセレクトになっています。いちいち書名・作家名はあげませんが、まさかマルイの1階の、こんな場所にこんな本が、こんな作家が!というのが、いくつも発見できたことは書いておきたいと思います。
2~5階は、それぞれ各階の売り場の雰囲気に合わせてあるのでしょう。1階ほどの点数はないものの、各階ごとに個性を持たせたセレクトになっていて、なかなか楽しいです。しかも、いくつか、へー、と思わされるタイトルがあったので、6階で見てみたら、お店のほうにはなくて、各階のコーナーのほうにだけある、というタイトルまで。かなり考えられているのがわかりますね。
で、6階のお店ですが、これが、途中階で高まった期待を裏切ることのない、すてきなお店でした。文具の扱いもあるセレクトショップということで、オリオンパピルスを思わせるところがありますが、什器の感じ、本の並べ方などはもちろん独自のもの。
端からじっくり見てみましたが、これが本好きなら思わずうれしくなるようなセレクトになっていて、眺めていてあきません。作家や作品のセレクトはなるほどなあと思わせるものなんですが、たとえば、ある本を選ぶのでも、文庫も出ているのに、あえて単行本が選ばれていたりと、作家・作品ごとに、(複数の版がある場合は)判型も選択されているようでした。新刊を10冊平積みにするというタイプの店舗ではなく、1冊が平や面になっていたりしますから、それらのセレクトもかなり考えられているようでした。
全体的にはセレクトショップ的な品揃えなんですが、1階のところにもあったように、ワンピースほか、ふつうのコミックの新刊や文庫新刊も置いてありましたし、お洒落系でないふつうの雑誌、それこそNHKのテキストなどもふつうに置かれていて、ふだん使いの本屋さんとしても最低限機能することを目指しているようでした。お洒落一色よりも、そのほうがいいですよね。


↑店内ではぱちぱちやるわけにはいきませんので、入り口あたりと、休憩コーナーを。各階のパブリックスペースは、検索すれば画像を紹介しているサイトがありますから、そちらを。たとえば、こちら。
この空犬通信でも記事にした通り、開店前から気になっていたお店。予想通り、というか予想以上にすてきなお店でした。「ファッションビルのなかのお洒落セレクトショップ」というと、それだけで足が向かない年輩男性客もいそうですが(ぼく自身、ふつうならそのタイプ)、ここはそういう先入観は抜きにして、いろいろな本好き書店好きに見てほしいお店だと思いました。おすすめです。
ふたば書房と言えば、新幹線利用者にはおなじみの、京都駅八条口店もいいですね。

同店は、2008年にリニューアル。「ふたば書房、八条口店が好調/リニューアルで売上げ25%増」(2010/8/26 新文化)によれば、《リニューアル後、現在売上げが前年比25%増と好調である》とのこと。記事によれば、お店は小さくなったようですが(売場面積は65坪から50坪に縮小)、前の様子を知っている目で見ても、とくに狭い、小さいという感じはしませんね。新幹線に乗る前の短時間でざっと見るのにちょうどいいコンパクトなお店ですが、駅構内の売店とちがって、品揃えは広さに見合った十分なもの。買い物したくなる雰囲気に満ちた、いいお店だと思います。
と、このように、京都と言えば、関東にないこともあり、また、最近新店が続いたこともありで、どうしてもふたば書房と大垣書店が気になってしまいます。この2チェーンについては、こんな記事もありましたね。「大垣書店、ふたば書房、ともに増収増益」(8/19 新文化)。
《8月18日、和昌会で大垣守弘社長(大垣書店)と洞本昌哉社長(ふたば書房)がそれぞれ出版社に向けて業績を報告した。大垣社長は8月期決算で売上高87億3000万円(前年比11.7%増)の見通し、洞本社長は7月期決算で売上高41億5000万円(同1.3%増)であると本紙に語った。ふたば書房は創業から81年連続の増収。両社とも利益は前年を上回った。》このご時世に、エリア的に競合するお店もあるはずの2チェーンが仲良く前年プラスとは、うれしい話ですよね。上の4店に顕著ですが、お店を見ていて、なんというか、勢いを感じますから。
京都の書店、今回はフタバプラスを見られればいいや、ぐらいのはずが、後で数えたら十店ほども回ってました。そりゃあ疲れる訳ですよね(苦笑)。8/22の夜は、宿に戻ったら、さすがに足が動かなくなってましたから。
このほかに回ったのは、河原町・烏丸周辺では、ジュンク堂書店京都店、ブックストア談京都店・B'sHobby京都店、くまざわ書店四条烏丸店、寺町通の喜久屋書店漫画館京都店、新京極通の紀伊國屋書店MOVIX京都店。京都駅周辺では、くまざわ書店京都ポルタ店、三省堂書店京都店、ふたば書房京都タワー店(京都タワーブックセンター)。……我ながら回り過ぎだ。回れなくて残念だったのは、アバンティブックセンター。あとは、ごく簡単に。
↑三省堂書店京都駅店。お店に入ったのが、閉店10分前だったので、ぜんぜんゆっくり見られず。京都コーナーが広めにとってあるのが気になります。初めてみるフリペ「月刊旬庫の友」「三省堂書店京都駅店オススメ通信」と、独自フリペを2種類も発見! ゆっくり見たかったなあ。残念。

↑ブックストア談。地下がプラモ(B'sHobby京都店と名前が別になっていますが)で、2、3階がコミックと、オタ度の高い品揃え。東京で言うと、書泉みたいな感じでしょうか(笑)。ほかのブックストア談とも違って、ここだけなんだか超個性的なお店になっていますね。すごい。何度も来てるはずのお店ですが、前からこんな感じでしたっけ。地下では、出張先だというのに、間違えてプラモを買いそうになってしまいましたよ。

↑ジュンク堂書店京都店。個人的に、とてもいい思い出があって、大好きなお店です。お店で展開中の児童書フェアから、サイン本を購入。
紀伊國屋書店MOVIX京都店について、昨日、こんな記事が。「紀伊国屋書店:MOVIX京都店、今月末で閉店 /京都」(9/3 毎日新聞)。《紀伊国屋書店が府内唯一の店舗「MOVIX京都店」(京都市中京区新京極通三条下ル)を今月末で閉店することが2日、分かった。05年4月の開店から6年半だが、「複数の競合店の出店もあり、売り上げが低迷し、回復困難と判断した」(同社総務部)という。》。人通りもある通り沿いの店で、近くにはシネコンがあり、立地的には悪くないように思えるんですが、たしかに、ぼくが訪問したときも時間帯と周囲のにぎわいからするとちょっと静かな感じだった旨のメモを自分でも残しているほどでした。残念ですね。
以上、書店レポ京都編です。たまに京都に来て、わずかしかない空き時間に何するかといったら、おいしいものを食べにいくでもなく、書店ばっかり回ってへとへとになってるんだから、興味ない人(がこのようなブログをお読みになっているとは考えにくいですが;苦笑)から見たら、確実にただの変な人だろうなあ。友だちも少ないわけだよね(苦笑)。
日数の割に盛りだくさんな出張でした。書店にしか行ってないので、京都を満喫した、とはまったく言えないのですが(苦笑)、久しぶりの京都、とくに河原町は、自分なりに楽しめた気がしています。
大阪・京都滞在中は、ツイッターでのたくさんの情報に助けられました。あらためて御礼申し上げます。また、今回は、書店回りは仕事抜きの個人的なものだったし、知り合いの書店員さんもいないお店ばかりだったので、訪問した各書店では担当の方にごあいさつなどしませんでした。一方的に見て回るだけで、好きなことを書いています。素人が趣味でしていることということで、ご勘弁ください。
ところで。出かける前、あれほど時間をかけて選んだ旅のお伴の文庫本ですが、たった2冊なのに、両方読み残して帰ってくる羽目に(涙)。帰りの新幹線、無茶な書店回りの疲れが出たんでしょう、お酒を一滴も飲んでないのに、ほとんどずっと意識を失っていたからです。選ぶのに、あんなに時間をかけたのに、3日の旅でたった2冊を読了できないとは、いったい何やってんだか……(苦笑)。