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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

日本語、谷崎、名画座……最近読んだ本たち。

たまにはちゃんと読んだ本の報告をしておかないと、どんどん特殊映画のサイトになってしまってます……反省。


  • 山口仲美『日本語の歴史』(岩波新書)
  • 谷崎たをり『祖父 谷崎潤一郎』(中公文庫)
  • 田沢竜次『東京名画座グラフィティ』(平凡社新書)




『日本語』はコンパクトにまとまっていて、非専門家で、古典に弱いぼくのような読者にもすらすら読めました。日本語ブーム、などと言われると、なんだかなあという気がしないでもないですが、ことばにみんなの関心が向くこと自体は、本好きとしても、本を作る側としてもうれしいことなので、こういうストレートな日本語ものが新書で読めるのは大歓迎です。


『祖父』は、文豪のおじいちゃんぶりが実におもしろい1冊で、谷崎ファンならおさえておきたいところ。著者の渡辺たをりは『谷崎潤一郎=渡辺千萬子往復書簡』(中央公論新社 )の渡辺千萬子の娘。『往復書簡』を先に読んでいるほうが、娘によるこの本の内容をより楽しめるかもしれません。



『東京名画座』は、空犬の関心にはぴったりのテーマで、楽しみに読み始めたのですが……うーん、なんだか物足りない。著者が自分の思い出をただただ連ねているだけ、という印象なのです。地域ごとの地図や、館の外観写真、当時の広告や看板といった図版がもう少しあれば読んでいてイメージがしやすくなり、資料性も高まると思うのですが、図版はほんの少ししかなく、地図のたぐいはなし。東京以外の人には実にわかりにくい話になっているのではないでしょうか。


少し調べれば特定できるはずの映画館の場所などをあいまいなままで書いていたり、映画館の本なのに、最近の館は「……にある映画館」などと館名を記さずに書いていたりと、文章にもずさんなところがあります。名画座をめぐる思い入れたっぷりの昔話を飲み屋か何かで聞かされているような感じ、と言えばいいでしょうか。本人を知っていたり、時代や興味を多く共有している身にはいいかもしれませんが、そうでない身には、描かれている世界が「絵」として入ってこない感じです。


まあ、なつかしい映画館名や作品名がぽんぽんと出てくるし、語り口はやわらかい(というか、ゆるい)のでさらさらと読めてはしまうけれど、残るものはほとんどない、残念ながらそんな読後感です。


同じ名画座の話でも、(新書と単行本の違いはもちろんあるだろうけれど)、嵩元友子『銀座並木座 日本映画とともに歩んだ四十五年』(鳥影社)が資料としても大変にすぐれたものになっていたのに比べると、テーマが興味深いものであるだけにちょっと残念でした。でも無視するにはもったいない1冊なので、絶賛とはいきませんでしたが、紹介しておきます。



◆今日のBGM◆

  • エンニオ・モリコーネ『ニュー・シネマ・パラダイス オリジナル・サウンドトラック』

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