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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ウルトラの正義、フジ隊員……最近出た特撮本たち。

すみません、今回は特撮ネタです。空犬通信で取りあげるネタのなかでは、いちばん人気のないネタであることは十分にわかっているのですが、好きなもので……。


  • 別冊映画秘宝『モスラ映画50年大全』(洋泉社)
  • 洋泉社MOOK『ゾンビ映画大マガジン』(洋泉社)
  • 神谷和宏『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』(朝日新聞出版)
  • 桜井浩子『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』(小学館)
  • 村枝賢一『魂の仮面ライダー爆談!! COMPLETE+』(辰巳出版)

洋泉社の特撮関連本はあいかわらずすごい勢いですねえ。しかも、モスラとゾンビが一緒に出るって(苦笑)。後者はいわゆる特撮本ではないですが、一緒にあげておきます。


『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』、サンデル本の流れに便乗した(というと、ちょっと言葉は悪いですが、その流れから完全に自由な企画とも言えないでしょうから)本でウルトラネタか……正直なところ、純粋に特撮を特撮として愛している身には、こういう「特撮で何かを語る」タイプの本はあまり興味が持てず、正直、まったく期待もしていなかったのですが、装丁を見て、ちょっと「わかってる」感じかも、と期待してしまいました。


この本の表紙は、帯付きの状態では以下の左写真のような感じです。アイスラッガーを手にしたウルトラセブンの姿で、本の表紙に選ぶにはなんだか一見中途半端な構図の写真に思えます。ところが、帯をはずすと(右)、下にはギエロン星獣が写っています(と種明かしをしないでも、この構図だけでわかってしまうマニアもいるでしょうが;笑)。この怪獣の出てくるエピソードは、怪獣=排除されるべき破壊者、悪の権化たる存在ではなく……と、こうしてエピソードの説明などを始めると長くなるので、物語の詳細や、この怪獣の出自については、関連本なりサイトなりをあたってみてください。何が言いたいかというと、正義とはなにか、という話をする本の表紙に取りあげるにはぴったりのエピソードの一つで、それが表紙画の処理、帯の処理を含め、きちんと考えられているのがわかる作りになっているのです。


ウルトラ正義帯ウルトラ正義帯なし

そういう見た目のこともあって、ちょっと期待して読み始めたところ、まあ、おもしろい読みもあると言えばあるのですが、読了後の感想はやっぱり微妙、という感じでした。ウルトラシリーズは別に正義論の教科書でも教材でもなんでもないんですよね。もちろん、物語に正義とは善悪とはなんぞや、というテーマは含まれているでしょう。でも、それは受け手がそれぞれに受け止めればいいことで、別に気づかなければそれはそれでいいと思うんですよね。やっぱり、なんというか、学校の授業のような感じで、「解説」はされたくない。そんな気がしてしまいました。


次は、『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』。ウルトラヒロインといえば、セブンのアンヌ隊員が人気面ではちょっと突出した存在、しばらく前にも関連本が出て、空犬通信でも取りあげましたが、アンヌに続く存在といえば、初代ウルトラマンのフジ隊員こと桜井浩子さん。ご本人の単著としては、同じ小学館刊で、以下の2冊がありますから、これらをすでに持っていたり読んでいたりする身としては、3冊目がどいういうものなのか、既刊とどう違うのか、ちょっと想像がつきませんが、そういう意味でも楽しみな1冊です。


  • 桜井浩子『ウルトラマン青春記―フジ隊員の929日』(小学館)
  • 桜井浩子『ウルトラマン創世記』(小学館)


最後の『魂の仮面ライダー爆談!! COMPLETE+』は、仮面ライダーシリーズへの愛にあふれるコミカライズ『スピリッツ』シリーズの作者、村枝賢一さんが、ライダーシリーズについて語りまくった1冊。図版はほぼゼロ、本文には脚注が、巻末には放送時のエピソード一覧があるものの、全体に「説明」の少ない作りで、序文にあるとおり資料性が高い1冊とは言い難く、わかる人にわかればいいという内容になっています。


でも、特撮本って、これでいいと思うんですよね。先のウルトラ正義本のように、テーマを正義論に拡大して語れば、読者は増えるでしょう。ウルトラに愛のない人が読んでも、もしかしたらおもしろい読み物にできるかもしれない。一方、こちらのタイプは、取りあげられている作品・シリーズに相当愛なり思い入れなりがないと、そもそも、何の話なのかもわからなかったりします。実際、ぼくも、昔好きだった、というなんちゃって昭和ライダーファンですから、こまかすぎるトリビアの連続は、けっこうついていけなかったりします。それでも、やっぱり本としては、このほうがずっとおもしろいし、特撮本として自分の本棚に長くとっておきたいのはどちらかというと、断然こっちなんですよね。


最後に。この件にふれておかなくちゃ。昭和の怪獣少年で、この人のお世話になっていない人はいないだろうと思われる、昭和特撮愛好家にとって超のつく重要人物が先月おなくなりになりました。「竹内博さん死去 「ウルトラ怪獣大事典」」(6/29 朝日新聞)。


《竹内 博さん(たけうち・ひろし=特撮映像研究家)が27日、胃がんで死去、55歳。葬儀は関係者のみで行う。1971~87年に円谷プロダクションに所属、「ウルトラ怪獣大事典」など特撮関係の多数の本を編集・執筆した。編著に「円谷英二の映像世界」「香山滋全集」など。》


「特撮映像研究家」という肩書きがかっこいい。まさにこの肩書き通りの方でした。正直なところ、書き手としてのお力にはやや限界もあったのか、ご自身の単著にして、書名がその人生のすべてを要約しているような1冊『元祖怪獣少年の日本特撮映画研究四十年』などを見ると、ちょっと文章がつらくて、読むのが大変だったりするのも事実なんですが(Amazonのレビューもぼろくそですね;苦笑)、そこは、「書く」よりも「編む」に長けた資質の持ち主だったということですよね。最近では『定本円谷英二随筆評論集成』という重要作がありましたし、特撮関連本以外では、『香山滋全集』の編(まあ、これを特撮関連本「以外」と呼んでいいのかどうか、はありますが)の仕事も忘れがたい。ちなみに、この香山全集は、我が家にあるそんなに多くはない全集類の蔵書のなかで、もっとも大事な全集の1つです。


元怪獣少年の昭和特撮愛好家の1人として、竹内博さんのこれまでのお仕事にあらためて御礼申し上げるととともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。竹内さん、ありがとうございました。


追記:すでに記事で紹介済みですが、自分の備忘の意もかねて、特撮関連のイベントを列記しておきます。



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