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空犬通信

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続マスターズ・オブ・ホラー……恐1グランプリ残り一気観!

9/10の日記で紹介したホラーシリーズ、「マスターズ・オブ・ホラー」。全13作のうち3作の感想を記しましたが、この週末、少しまとまった時間がとれたので、残り10作品を一気に観ました。



例によって、ラストやネタにはなるべくふれずに、ひとこと程度の感想を添えるにとどめて紹介します。



  • 『愛しのジェニファー』(監督:ダリオ・アルジェント)

『サスペリア』『フェノミナ』のアルジェントはぼくの大好きなホラー監督の1人。これは完璧な肢体、しかし顔は獣のようにおそろしいという女に人生を狂わされる男の話です。途中までなかなか画面に出てこないジェニファーの顔に、気の弱い人はまず相当引くでしょう。こわくてキモくてグロいと3拍子そろったうえに、犠牲者に動物や子どもが含まれるため、大変に後味の悪い作品でもあります。



  • 『虫おんな』(監督:ラッキー・マッキー)

虫大好き女のもとにブラジルから送られてきた1匹の正体不明の虫。その虫は実は人間を……という話で、虫が苦手な人には耐えられない描写が満載です。邦題もいかしてます(原題は"sick girl")。


  • 『ハンティング』(監督:ラリー・コーエン)

田舎道で故障して立ち往生したバス。そのバスの乗客が地元の男と、流れ者の男に次々に襲われる。やがて二人は獲物を取り合って対決するが……ラストにもさらにひとひねりで、理不尽にこわい作品。


  • 『ムーン・フェイス』(監督:ドン・コスカレリ)

『ファンタズム』のコスカレリによる、「森でばったり殺人鬼」もの。殺人鬼に対する女性が、ミリタリーオタクの夫によってサバイバル術をみっちり仕込まれていたという設定になっているところが特徴です。


  • 『ダンス・オブ・ザ・デッド』(監督:トビー・フーパー)

第三次世界大戦後、死者をも余興の道具にしてしまう荒廃した世界。そんななかで家族を守る家族愛を描くのかと思わせて、このラスト。ゾンビをおちょくった「ダンス」もすごいです。


  • 『ヘッケルの死霊』(監督:ジョン・マクノートン)

死者を甦らせるネクロマンサーの元を訪れた1人の男に、老婆が語る昔話。墓地のシーンはおぞましいけれど、全体(特にラスト)にユーモアがあって、ものすごく奇妙な「家族ものホラー」に仕上がっています。ロメロが協力者としてクレジットされています。


  • 『チョコレート』(監督:ミック・ギャリス)

男が夢で体験したチョコレートの味と香りは、ある女性が実際に体験したものだった……夢の女に取り憑かれていく男の悲劇。ギャリスは『ライディング・ザ・ブレット』もあまりこわくなかったし、脚本の『ザ・フライ2』にいたっては、『ザ・フライ』の冒涜だとしか思えなかったしで、どうも合わないようで、本作も設定に説得力がなくてシリーズ中、個人的にはもっともこわくない作品でした。



  • 『閉ざされた場所』(監督:ウィリアム・マローン)

女子高生が連れ込まれた屋敷では、最愛の息子を失った音楽家夫婦が悪魔的な儀式で息子を甦らせようとしていた。『TATARI』の監督ですが、本作は個人的には特に印象に残りませんでした。


  • 『ディア・ウーマン』(監督:ジョン・ランディス)

酒場やクラブで男たちを襲ったのは鹿か謎の美女か。ランディスらしいユーモアに満ちた獣人ホラーで、あんまりこわくありません。ほとんどセリフのない鹿女役のエキゾチックな女優の存在感が際だっています。



  • 『ゾンビの帰郷』(監督:ジョー・ダンテ)

『グレムリン』のダンテによる、ブッシュ政権&イラク戦争への強烈な諷刺に満ちた、死んだ兵士=ゾンビもの。ゾンビによる「ガブり」がないこと、蘇りの目的が選挙の投票だったりすること、一般人とゾンビが心を通わせる場面があるなど、従来のゾンビの約束事をひっくり返しつつ、『ナイト・オブ』の墓地のシーンのオマージュがあったりして、きちんとゾンビものになっているところが印象的な作品です。



オリジナル脚本ものもありますが、原作ものもリチャード・マシスン、H・P・ラヴクラフト、ジョー・ランズデール、クライヴ・バーカーなど、監督同様、豪華なメンツ。原作ファンなら比べてみる楽しみもあるでしょう。


さて、副題が「恐1グランプリ」ですから、個人ランキングも参考に挙げてみます。こわさ+おもしろさで選びます(個人的な好みなので、「なんだ、こんなのこわくないじゃん」とかそういうつっこみはなしにしてくださいね。)


1位は文句なしにダントツにこわくて痛くて残酷な『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』。三池おそるべし、です。残酷さ、後味の悪さ、救いのなさでは、アルジェントの『愛しのジェニファー』もありますが、三池にはおよばず、という感じでした。2位は、こわさなら、人間ハンティングものとしてよくできていた『ハンティング』、作品としての出来なら、『世界の終わり』か『ゾンビの帰郷』の2作も印象に残りました。前者はホラー映画へのオマージュに満ちている点も好みです。


観終わってあらためて、本当にこわいのは、凶悪な虫でも、化け物のような風貌の者でも獣人でも、おぞましい姿のゾンビでもなくて、ふつうの姿のふつうの人間であることがようくわかりました。人間、コワイです……。しかし、いくら時間があるからって、ホラー10作品連続って、我ながら何やってるんだか……。心身ともに疲弊しました。はあ。


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コメント

恐れ入りました

ホラーを10作品立て続けに観るなんて、空犬さんしかできない業ですね。たしかに人間は怖いけど、人間の作り出す恐怖って、観る人のいちばん怖がるつぼがわかって作ってるだけに、ほんとにこわいです(わたしは)。なのに、この記事読んで、ホラー観てみたくなるのも人間の心理。きっと、その心理を見越してこの記事書いてたりするんでしょうね。空犬さん。

  • 2006/09/25(月) 00:39:30 |
  • URL |
  • micalion #-
  • [ 編集 ]

すごい!

すごいパワーですね。かつ簡潔で的確(そう)なレビュー。
ご紹介いただいた中では『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』と『ハンティング』に興味をひかれました。
本文の中で触れられていた『サスペリア』は若かりし頃に見ました。ホント怖くて全身が総毛立ちましたね。

  • 2006/09/25(月) 07:54:47 |
  • URL |
  • じっちゃん #4o1CV0zs
  • [ 編集 ]

いや、なんというか……

micalionさん>
>空犬さんしかできない
「できない」ではなく、ぼくのような物好きしかしない、のほうかも(苦笑)。ホラー映画はマニアがたくさんいる世界らしいので、ぼくは入り口あたりをうろうろで十分です(深入りは、それはそれでこわいので)。

じっちゃんさん>
『サスペリア』はホラーファン以外にも受けのいい作品ですね。いい映画で、個人的にも大好きです(例のボックスセットを買うぐらいに)。これが好きならマスターズ……の中にもけっこう好みに合う作品があるかもしれませんよ。ぜひお試しを。

  • 2006/09/26(火) 00:24:25 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

ほかの方のランクも知りたい

本文に書き忘れたのですが、ほかに全13作をご覧になった方がいたら、ぜひ、ランクや感想などをコメントで教えていただけるとうれしいです。

  • 2006/09/26(火) 00:25:30 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

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