あらためて、昨日、東京・荻窪で行った吉っ読のイベント「ブックンロール」Vol.3の様子をレポートします。(以下、まだ写真の用意ができていないため、文章のみのレポートです。後日、写真が整理出来次第、この同じ記事に、写真を追加します。)
今回のブックンロール、書店がテーマのトークがメインであるのは昨年夏と同様ですが、今回はライヴのパートを増やし、以下のように、トークとライヴが交互になるような構成としました。
- ライヴ1 C調ボーイズ(約20分)
トーク1 「街の本屋ですが何か?」前編(約30分)
ライヴ2 ブックスピストルズ(約30分)
トーク2 「街の本屋ですが何か?」後編(約30分)
ライヴ3 酔舎バンドwith みぎたとしき(約30分)
昨年のように、最初にライヴをやってしまって、その後にトークとするなど、前半後半に分けてしまうのとどちらがいいか、ちょっと迷いつつの実施だったので、トークとライヴが交互の構成がおもしろかった、あきなくてよかった、という感想を聞けてちょっとほっとしております。
トーク&ライヴの2部構成のうち、まずはトークの様子から。昨日のトークは、「街の本屋ですが何か?」というタイトルで、往来堂書店とBOOKSルーエという、非チェーンの独立系書店2店にスポットをあてて、街の本屋さんについてのいろいろを語ってもらおう、というものでした。トークの出演者は以下のお三方。司会進行は空犬がつとめました。
- 笈入建志さん(往来堂書店)
- 長谷川仁美さん(BOOK EXPRESSエキュート品川サウス店)
- 花本武さん(BOOKSルーエ)
まず順に自己紹介と自店の紹介から始めてもらいました。その後、本題に入る前に、書店事情にそれほどくわしくない方もいるかもしれないということで、街の本屋さんが置かれている状況がわかるよう、最初に空犬が、現在の新刊書店の数が約15,000で、減少傾向にあること、一方、大型店の新規出店が相次ぐ傾向が続いており、総床面積は微増傾向にあること、つまり、おおざっぱに言うと、大きな店が増えて小さな店が減っている、という傾向にあることを説明しました。
笈入さんと花本くんには、お店の客層や、休日と平日の違い、それらをお店作り、棚作りにどう反映しているのか(またはしていないのか)といった話をしてもらいました。千駄木=平均年齢が高い、吉祥寺=若い子が多い、だからいかにもそれぞれの客層にあった本が売れるという面は一応はあるものの、そんなに単純な話でもない、ということが具体的に聞けました。若い子が来る来ないの流れで飛び出した、笈入さんの台詞、「女子高生が来ればおじさんも来る」は名言でしたね(笑)。真偽のほどはよくわかりませんが(笑)。
そして、そのような客層に大して、どう棚を作っていくのか。往来堂は編集棚ということばを業界に知らしめたお店の1つですし、対するルーエも、2階、とくに花本氏が手がける棚は「濃い」ことで知られています。往来堂が書店特集雑誌などのメディアに取りあげられる際に、同店の仕入れや棚作りには必ずふれられますから、ここでは繰り返しませんが、笈入さんの口から直接棚作りの話が聞けると、文章で読んでいても、そして打合せのときに個人的に話を聞いていても、やっぱりおもしろく聞けてしまいます。しかも、花本くんの話と続けて聞くと、2店の違いや個性がより際立つ感じで、印象的な話でした。
笈入さんの話を受けて、花本くんがどんな棚作りの秘技を披露してくれるのかと思ったら、「他の棚で置けないような変な本がぼくのところに集まってくるんですよー。そういうのをしかたなく置いている“ふきだまり”みたいな本棚をおもしろいと言ってくれる人がいるんですよー」(大意)と、とぼけてるのかなんなのかよくわからないことを言って会場の反応を誘っていたのが印象的でした(笑)。この流れで飛び出した花本くんの台詞、「おもしろい棚ができた時点で、書店員は喜んでもいいんじゃないか」は、後で観客としてご覧になっていた知り合いの書店員さん複数から、印象に残る台詞だとされてましたよ。
ところどころで、お二人・2店のことをよく知っている長谷川さんも、2店と自店の違いや共通点について語ってもらいました。長谷川さんのブックエキスプレスは、まさに「駅の本屋」の代名詞的存在。こうして話を聞いてみると、「駅の本屋」がある意味、「街の本屋」の機能を果たしている面があることがよくわかりますね(ただし、「駅の本屋/街の本屋」問題については、街の活性化への影響などの観点から、「駅の本屋」に批判的な意見も多くあることはもちろんわかっていますので、ここでは良し悪しではなく、純粋にトークの感想としてふれておきます)。
前半では、街の本屋さんをめぐる、「人(=お客さん)」と「棚」のことを中心に話を聞きました。ふだんの棚作りの話がどんなふうなのかがわかったところで、そうしたレギュラーな部分以外の試みとして「フェア」の話を後半で取りあげます。長くなるので、いったん稿をわけます。