ブックンロール直前で、まだまだ準備しなくちゃいけないことが残っているんですが、イベントの前にどうしても、この件だけ紹介しておきたくて。明日、会場では話題になっている書店フリペをいくつか配布しますが、「炎の文庫日誌」「クロネコ通信」に加え、精文館書店中島新町店で発行されている「勝手に課題図書新聞」が加わり、3紙となりました。いいタイトルですねえ(笑)。


↑左が表、右が裏。色味が暗いのは撮影環境の問題です。
いろいろな書店フリペを見てきましたが、やはり多いのは、文芸や文庫の新刊を紹介するもの。フリペ=フリー(無料)とはいえ、たくさんの人に手にとっていただくには間口を広げないといけないわけで、その点、文芸や文庫はやりやすい。作るにはジャンル限定のほうがまとめやすい気もするのですが、限定すればするほど、手にとるお客さんの数もしぼられてしまい、結局宣伝告知効果も薄れてしまう、という問題がありますから、ジャンルや対象を限定したフリペって、なかなかむずかしいのだろうと思うのです。
そのような、文芸・文庫が主流のフリペ群にあって、この「勝手に課題図書新聞」が中高生に対象をしぼっているのは、それだけでユニーク。取りあげられているのは、表がYA的な読み物数点、裏が読書感想文の書き方ですから、ジャンルとしては、「児童書・学参」の中間のような感じ、でしょうか。YAがフリペで取りあげられることはあるでしょうが、フリペの文章の半分が読書感想文指南にあてられているというのはめずらしいケースではないでしょうか。けっこうたくさんのフリペを見てる空犬も初めてです。
その読書感想文指南の面を見てみましょう。「イケてる読書感想文の書き方!?」とあって、5段階にわけた手ほどきがされているのですが、書き方もマジメ一辺倒ではなく、ユーモアがあってとていもいいんですよ。読みながら付箋を貼るのに書いておくのは「「コイツ嫌い!」とか」でもいいとあったり、「本の後味を楽しむことも大切」と、本好きにとっては当たり前でも、義務感から「読まされている」タイプの読者が忘れがちなことにさらりとふれられていたりとか。なんだか、中高生だけに読ませるのはもったいないなあ。読書感想文に困っている小中高生のいる親御さんにもいいかもしれませんね。本の読み方と作文を教えられる親は、なかなかいませんからね。
作成されたのは、精文館書店中島新町店の久田かおりさん(@bea_rieche)(タイトルにも「時間的書店員ひさだの」と枕詞がついています)。体裁は、A4両面で、1色。文章は手書きではなくワープロ刷りですが、手作り感のあふれるものになっていますよ。発行頻度は年1回。
書店フリペ好きのオトナ、それに本来の対象である中高生にチェックしてほしいのはもちろんですが、お子さん、甥っ子・姪っ子さん、お孫さんなど、回りに読書感想文で苦労している、または苦労しそうな小中校生がいるオトナにもいいと思いますよ。ちょうど季節は初夏、まもなく読書感想文の季節ですしね。
というわけで。この「勝手に課題図書新聞」、ブックンロールで配布が決まっている2紙とも、また、最近の記事で紹介してきた書店フリペともまったく違うノリのもので、とても新鮮で楽しく読ませていただきました。
ところで。昨年のブックロールでもがんばっていいろいろな書店フリペを集めましたが、東京と大阪からそれぞれ数店ずつで、他の地域はゼロでした。今回は、東京のほかに、島根と名古屋と、ふだんは行く機会のないエリア発のフリペが「参加」してくれることになりました。うれしいなあ。