ブックンロールをあさってに控え、直前だというのに、まだ資料類の準備が終わっていなくて、やや焦り中の空犬です。それなのに、今日買ってきた雑誌『レコード・コレクターズ』のキャンディーズ特集に目を奪われたりしているものだから、なかなか終わりません……。
こんな日ぐらい、blogの更新は休めばいいのですが、どうしてもイベント前に紹介しておきたい件があるので、ちょっとだけ。書店フリペの話題、続きと補足です。
書店フリペと言えば、空犬通信では過去に紹介済みのこちらも紹介しておかないといけませんね。リブロ池袋本店で発行している「池店別冊」です。

↑其四号。
文庫判8ページ、基本 、1色のワープロ組の文章が中心ですが、ところどころ使われた色や書影・写真がアクセントになっています。編集人は辻山良雄さん。この「池店別冊」と辻山さんについては、以前の記事でふれていますので、そちらもよろしければご覧ください。本の紹介のほか、本に関わるいろいろな方々のインタビューが収録されていて、夏葉社の島田さんやブックディレクター幅允孝さんが取りあげられたことは以前の記事にも書きましたが、今回は、編集者・丹治史彦さんが登場しています。
次は、できたてのほやほや、まさに、最近の書店フリペの話題の盛り上がりのなかかから生まれたといっていいものを紹介します。啓文堂書店から初(でいいのかな)のフリペが登場です。多摩センター店で文芸&コミックを担当されている西ヶ谷さんが作成された「クロネコ通信」。

「クロネコ通信」……なんとなく親近感を覚えるタイトルだなあ。犬が猫を紹介する構図ですな(笑)。現物を見ていただきたいので、写真はご本人撮影の、あえて粗めのものをあげてあります。
A4の1枚もので、1色。タイトル部と書影をのぞいて、本文はオール手書きです。おすすめ本に、新刊情報、さらにお店のイベントやフェアの告知もあるなど、担当の方の思いがぎっしり詰まった1枚になってますよ。配布は多摩センター店のみの予定で、啓文堂の他のお店では(現時点では)予定はないそうです。配布開始は、6/16より。
ちなみに、タイトルのクロネコというのは、啓文堂書店多摩センター店のマスコットキャラなんだそうです。お店のマスコットキャラがあって、しかもお話会に登場するということは、着ぐるみか何かがあるってことですよね(注:勝手な想像で書きましたが、着ぐるみはいないそうです)。それはすごいなあ(笑)。まさにフリペのキャラにぴったりだ。
先日の、ブックンロールでフリペを配布しますがいかが?と呼びかけに応えてくださった、今のところ唯一の書店/フリペです。感謝です。これだけフリペの話題がツイッターで盛り上がっているというのに、まったく反応がなくて、まあこのblogとツイッターで呼びかけたところでぼくの力ではそんなもんだろうなあと、いささかへこんでたので、これはうれしいなあ。というわけで、「炎の文庫日誌」と一緒に、この「クロネコ通信」もブックンロールで配布しますよ。
すでに紹介済みのフリペについて、少し補足を。一昨日の記事で紹介した、ブックセンタージャスト高津店(島根)の「炎の文庫日誌」、記事執筆時は、関東での配布店は丸善ラゾーナ川崎店(@maruzenkawasaki)のみでしたが、その後、同店とフリペのコラボを早々に実現していた三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)でも配布が始まったそうです。店頭の様子の写真はこちら。こちらの予想、想像を大幅に超える書店フリペの広がり、ほんと、すばらしいことですよ。
あと、昨日の記事で紹介したオリオンパピルス発行の「パピルス無暦だより」についても、ちょっと追記を。昨日の記事のあと、早稲田の古本屋・古書現世の向井透史さん(@wamezo)がこんなふうにツイートされているのを目にしました。公開されているものですので、引かせていただきますね(何度かに分けてツイートされたものですが、文章は変えずに、つなぎの部分をのぞいて紹介させていただきます)。
《空犬さん(@sorainu1968 )のブログ(http://t.co/yD9I8ow)を読んでいてビックリしてしまった。立川の書店、オリオンパピルス発行のフリペの名前は「パピルス無暦だより」といい、その誌名は三鷹台にあった古本屋「無暦堂」へのオマージュなのだという》
《無暦さんは自分と同じ日に東京古書会館の古書市場、水曜日の東京資料会に入った同期だった。年は15ぐらい上だったが、温厚で、知的で、それでいて風貌は山賊の親分みたいでw いろいろと面倒をみてくれた。人との付き合いを大事にしながらも自由な人で、まさに「無暦」な感じだった》
《数年後、無暦さんは入院した。ガンだった。中野の病院に入っていたのだが、見舞いに行こうとした日、仕事が遅くなり急遽行くのをやめてしまったのだが、その数日後にお亡くなりになった。あんなにデップリしていた無暦さんは、とても細くなっていた。なんだか、涙が止まらなかった》
《主のいなくなった無暦堂は、古書市場の仲間で整理することになった。本を全て市場で処理しお金は遺族の方に渡した。棚も全部自分たちで壊して店を無に戻した。後にその仲間で無暦さんの墓がある大分に旅行した。とても静かな、山奥にひっそりとあった。緑がキレイな場所だった》
《無暦堂はごく普通の、町の古本屋だった。そんなお店のことをちゃんと憶えている人がいて、人に発信するフリーペーパーの誌名として生き返っている。自分のことじゃないけれど、とても嬉しかった。》
無暦堂さんのことについては、向井さんの古書現世店番日記でもふれられていますので、ご興味のある方はぜひそちらも読んでみてください。紹介はしておきながら、無暦堂さんについてはくわしいことをぜんぜん知らなかったので、お店について興味深い情報を得ることができて、驚いています。あるお店のフリペを紹介した記事に、こんな反応があるなんて、思ってもみなかったことで、紹介した身としても、うれしいかぎりですね。ここでも、フリペを通して、お店や人がつながっているわけです。でも、いちばんうれしいのは、フリペにその名をつけた、作り手の里見さんとフリペに寄稿されたお店の人たちでしょう。向井さん、貴重な情報を、ほんとうにありがとうございました。