さて、前回の記事で紹介したオリオン書房の新店、オリオンパピルス。この雰囲気、この品揃えのお店ですから、何も買わずに出てくるなんて、不可能ですよね(笑)。というわけで、短時間の滞在の割にはずいぶん散財してしまったので、うち、2冊だけ紹介します。

↑前回の紹介記事ではふれませんでしたが、吉祥寺のトムズボックスの本を集めてあるコーナーがありました。吉祥寺利用者としては、トムズボックスで買えばいいんですが、このお店で出会えたのがうれしかったので、ずらりと並んでいたなかから太田大八『雑誌「宝石」の挿絵 1952-1960』を。探偵小説・ミステリー好きでも、こんなのが出てるの、知らない人が多いんじゃないかなあ。トムズボックスは何度も顔を出していますが、この本はチェック漏れで、知りませんでした。自分の得意なジャンルで、知らない本に会う機会ってそうそうないので、こういう出会いはうれしいですね。
新聞や雑誌の連載が単行本にまとめられる際、挿絵って割愛されてしまうことが多いのですが、トムズボックスでは、このように、挿絵だけをまとめた本をいくつも出しています。これは古いのを集めたものですが、古いのだけではなく、現代作家・作品のもありますよ。挿絵目当てで、新聞連載記事をスクラップしているような本好きの方っていますよね。そういう方は、トムズボックスの本をチェックしてみるといいと思いますよ。

↑これは、オリオン書房ノルテ店で見かけた話をしばらく前の記事に書いたことがありました。Tomi Ungerer(トミー・ウンゲラー)の『Far Out Isn't Far Enough』。
このほか、雑誌やコミックも購入。さらに、文具・雑貨からも何か買いたかったので、地球儀とか、図書カードとか、シャーレとか、ガリ版印刷機とか、いったいそんなものを買っていつ、何に使うつもりだと自分で突っ込みたくなるようなものたちとさんざん迷ったあげく、なかでは比較的実用的だと思われる、前回の記事で写真入りで紹介した芯ホルダーを購入しました。この持ち重りのする感じ、いいなあ。気に入りました。問題は、何に使うかだなあ。何しろ、エンピツ、ふだん使わないからなあ(苦笑)。


↑初めてのお店での買い物ということで、ふだんはことわるブックカバーをかけてもらいました。オリオンのとも、PAPER WALLのとも違った独自のデザイン。なかなかいい感じですよ。写真にはありませんが、しおりもエンボスのある黒い紙にロゴの入ったもので、シンプルで、なかなかかっくいい。かっこいいと言えば、いただいた名刺の裏側までかっこいいのであった。ぼくは書店に「おしゃれ」を求めたりしないほうなんですが、こういうところがしゃれている、と書くとうまく伝わらないかもしれませんが、きちんと「デザインされている」のはとてもいいと思います。


↑買い物ではありませんが、これもぜひ紹介しておかねばなりません。パピルス独自のフリーペーパーを作るらしいことは、今回案内してくれた里見さんから事前に聞いていたのですが、完成品がこれ。「パピルス無暦だより」。編集人も里見さん。「月刊弘栄堂」や「吉祥寺上空」など、里見さんが過去に手がけてきたフリペをご存じの読者の方もいると思いますが、それらの雰囲気を濃厚に感じさせるこのフリペは必読ですよ。里見さんいわく、今回は0号ということで、これぐらいしかできなかった、ということですが、「これぐらい」にしては何やらずいぶん力が入っています。
次の第1号が本当の意味での創刊号ということで、ものすごく力を入れて作るそうです。「書店のフリペ史に残るものを作るから」と里見さん。な、なんか、すごい自信と熱意だなあ(笑)。書店フリペ好きとしては気になります。最近、書店発フリペがツイッターでも盛り上がっていて、この空犬通信でも、いくつかまとめて紹介する予定で、原稿を準備中なので、内容については、またあらためて取り上げることにします。
なお、パピルスを訪問したという方から、フリペに気づかなかったという話を聞きました。場所は、上の写真にある通り、棚の中にありますよ。レジのところにはたしかなかったはず。なので、同店を訪問された際は、書棚のなかを探して、このフリペを見つけて持ち帰るのをお忘れなく。