以前の記事で、開店前の様子を紹介したオリオン書房の新店、オリオンパピルス。今日、やっと訪ねることができましたよ。ツイッターで見かける同店の感想が好意的なものばかりで、評判になっているようだったので、楽しみにしていたんですが、行ってみたら、そうした評判評価も納得、とてもすてきなお店でした。以下、お店の様子を紹介します。
(以下、店長の小宮さん、人文他のセレクトを担当した旧知の里見さん、文具・雑貨担当の堤さんにうかがった話をもとにしています。写真はすべて空犬がお店の許可を得て撮影したものです。写真がたくさんで、だらだらと長いです。)
6/1にオープンしたオリオンパピルスは、JR立川駅直結の商業施設、グランデュオ立川の6階にあります。お店のリンク先のフロアマップをご覧いただくとわかりますが、女性客を意識したとされる人気ショップがずらりと並ぶなかにあって、約95坪という広さは、ハンズビーに次ぐ広さ、同フロアのメインショップの1つという位置付けでしょうか。



↑エレベータ側から見たところ(左)、お店のサイン(中)、通路から左奥の壁を見たところ(右)。
事前情報として参考にさせていただいた「ウラゲツ☆ブログ」さんの「新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん」(5/16)では、《書籍雑誌:95坪、文房具・雑貨・CD・カフェ:ほか》とありましたが、カフェはありませんでした(同じフロアにタリーズが入っていますが、場所は少し離れています)。
もっとPAPER WALL寄りの感じを想像していたんですが、立川のそれとも、品川のそれとも違って、独自の雰囲気になっています。本と雑貨を完全に分けずに、いろいろなものがいい意味で混在しているし、什器もいい意味でばらばら、足を踏み入れての第一印象は、おもちゃ屋さんみたいでおもしろそう!、でした。(以下、書店好き・本好きが棚を見る楽しみを奪ってはいけないし、実際に店頭で見てほしいので、本の棚の写真はあえて少なめとし、文具・雑貨寄りにしています。)

↑セレクトショップなので、ふつうなら平積み・面陳になりそうもない本があちこちで目に入ります。写真は文芸の棚の一部。話題の『いねむり先生』は1冊だけで、平積みになっているのは色川武大の文庫たち。
文芸のセレクトも、本好きのツボを刺激しそうなものになっていて、ブローティガンの文庫がまとめて平積みになっているのはまだわかりますが、冨山房百科文庫の『退屈読本』上下が平積みになっていたり、というのはうれしい驚き。ほかにも、金井美恵子の文庫がずらりと平積みになっていたり、詩のコーナーでは『珈琲とエクレアと詩人』(港の人)と『北園克衛詩集』が並んで平積みになっていたりと、気になるものを挙げ出すときりがありません。
棚は、文芸・美術・児童など、よくある分類になっているものもありますが、通常の分類に収まらない棚もあります。それぞれの棚には、ジャンルのプレートはありませんが、わかりにくい感じはなくて、なんとなく見てわかるというふうになっています。


↑装丁関連の本が並ぶ台。装丁本好きとしてはうれしくなるセレクトですね。マイナーなものまで、よくそろえてあります。近くには、印刷やリトルプレス関連の本と一緒にガリ版印刷キットが並ぶ台も。
什器にも工夫がこらされています。スチールあり、木ありで、高さも色もタイプもばらばら、なかにはかなり年季の入った見た目の中古のものなども使われているようです。一見不揃いなのに、まったく違和感なく、仲良く並んでいます。



↑什器といえば、たとえばこの写真、棚の背の部分に何やらぺたぺたと紙が貼ってあるのが見えるでしょうか。この棚、写真左には中島義道、佐野眞一らの名が見え、その下の段(写真中)には労働関係が、その下の段(写真右)はナガサキ関連本と松本清張が同居するなど、まとめ方、本のつなげ方のおもしろい棚になっていますが、その棚の背や脇の部分に、直接本とは関係あるのかないのかよくわからないものが貼ってあって、これが見た目にもおもしろいアクセントになっています。
ちなみに、写真左に見えるのは、山田かまちのデッサン展のチケットの実物なんだとか。この棚には、内容的に直接関連のないアナログレコードが飾りに使われていたりしますから、こうした棚の「遊び」もぜひチェックしてみてください。
先にも書きましたが、文具・雑貨は店内でコーナーが完全に仕切られているわけではなく、いい具合に混ざりあっています。本好きが気になりそうなものもたくさん置いてあって、目移りがしてしまい、何を紹介していいのかもわからないので、おすすめのもの、プッシュしているものを担当の方に案内していただきましたよ。以下、文具・雑貨はお店のおすすめを中心にピックアップ。


↑おすすめの1つがこれ。インクにつけて使うタイプのペンですね。ペン軸とペン先、そして右のほうに並んでいるかわいい小箱はインク。「まだ24色しかないんですよー」と担当の堤さん。「まだ」「しか」って、そんなにあったら十分じゃないですかっ!(笑)箱がかわいいので、インクペンなんて使う機会ぜったいになさそうなのに、間違えて買ってしまうところでした。右の写真はかわいい缶ケースに入ったペン先。


↑おすすめ第2弾。商品名はなんていうんだろう、芯ホルダーですね。要するに、シャーペンの芯がものすごく太い、鉛筆とシャーペンの間みたいな筆記具。昔ぼくも使ってましたが、こんなにかっこいいのじゃなかったなあ。これは思わず買ってしまいました。同じ棚にあるトレイを開けると、なかにも筆記具が。

↑紙製品にも気になるものがいっぱい。これは、一見何のへんてつもないメモパッドのようですが、サイズがいろいろあって、大きいものはミシン目が入っていて、たとえばA3なら、そのまま大きく使うことも可能だし、半分に切ってA4に、さらに半分でA5にして使うこともできるのだとか。


↑紙製品と言えば、これも。紙製の帽子に、紙製の鞄が。汗や脂ですぐにダメになってしまいまそうな感じがしますが、水分に強い素材でできているんだとか。


↑これはなつかしい。図書館・図書室の本についていた、図書カード。見返しに貼付するための袋もあります。袋は、無地もあるんですが、左のような文言が入ったものも。誰がどういう目的で買うのかよくわからないけど、ちょっと欲しくなります。子どもが図書室ごっことかに使うといいかも。



↑ぼくは科学と学習世代なので、地球儀とかビーカーとか、こういうのを見ると萌えるんですよねえ。ちょっと角々した地球儀は紙製の組み立てキット。革のように見えるもの、金属のように見えるもの、紙っぽいものと3種類あるそうです。科学の実験道具もありますよー。「滅菌済み」とあるシャーレのセットとか、自分がそのようなものを使っているシチュエーションはまったく想像ができませんが、でも欲しくなりますよね。もちろん、ピンセットと一緒にね。あと、顕微鏡も一緒に並べてほしいものです。

↑数はそれほど多くはないのですが、CDも置いています。CDは、先日の記事で紹介した西荻窪のにわとり文庫のすぐそばにある、雨と休日の出張棚になっているようです。
とまあ、この調子で店内の紹介をしていたら、終わりません。今日は残念ながら、後に用事があったので、短時間しか滞在できなかったんですが、本好き書店好きはとても短時間の滞在では十分に見て回ることはできないと思いますので、ぼくのようにくやしい思いをしないためにも、時間にゆとりを持っておでかけください。ちなみに、セレクトショップというと、苦手感がある本好きもいるかもしれませんが、ここは大丈夫だと思いますよ。おしゃれを前面に押し出しただけのタイプのお店とはぜんぜん違うものになっていますから。事前に、フロア全体が女子向けっぽい感じと聞いていたので、オヤヂソロが居づらい雰囲気だったらやだなとちょっと不安もあったのですが、その点はまったく問題ありませんでしたよ。
というわけで。オリオンパピルス、想像以上にすてきなお店でした。これで、今でも回るお店が複数あって時間のかかっている立川の書店回りが、さらに時間がかかることになってしまい、もう、うれしい悲鳴ですよ。本好き書店好きの方は、ぜひのぞいてみてください。おすすめです。
ちょっと長くなったので、買い物結果は稿をあらためます。