今朝、朝日新聞の新聞広告(全5段)を見ていたら、『週刊ポスト』の新シリーズ「本に生かされた人々の記録 復興の書店」という記事が目にとびこんできました。書店派としてはこのタイトルの記事を読まないわけにはいきませんね。早速購入、読んでみました。
書き手は、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家の稲泉連さん。不勉強で著書は未読ですが、受賞作『ぼくもいくさに征くのだけれど』(中央公論新社)のほか、『僕の高校中退マニュアル』(文藝春秋)などがある方ですね。
不定期連載ということで、通し番号などは入っていませんが、初回の記事は、「被災地では「御礼状の書き方」が売れている」というタイトルで、ブックポートネギシ社長・千葉聖子さん、金港堂石巻店店長・武田良彦さん、ヤマニ書房エブリア店店長・吉田政弘さんの3店、3人の書店員の方が取り上げられています。
帰りの電車のなかで読んだんですが、まいりました。3店のみなさんの言葉に、電車のなかだというのに、思わず涙が出そうになってしまって……。ぜひ元記事にあたっていただきたいので、今回はあえて文章を引きませんが、各店の小見出しだけ引いておきましょう。「生きてる本屋も殺す気ですか」「何があっても教科書は届けなければ……」「自分で雑誌を買ってきてお客様に渡したい」……この見出しを見て読みたくならない書店好きはいないでしょう。書店に関心のある方は必読です。不定期連載とのことだが、ぜひ続けてほしいなあ。
ポスト、ふだんは書評欄は必ずチェックするものの、それほど熱心な読者ではないのですが、最近では、『AERA』が例の表紙の号で物議をかもしたときに、対照的な前向きな特集号を出して評価されたり、ということがありましたね。「週刊読書人」6/3号に小谷野敦さんが、「新聞・月刊誌がダメな時代に 雑誌本来の姿を保つ『週刊ポスト』」という記事を寄せています。原発関連の報道姿勢についてふれた後に、《概してこのところの『週刊ポスト』は、月刊誌よりよほど充実していて、新聞がダメ、月刊しもダメという時代に、雑誌本来の姿を保っていると思う》と書かれています。当方は不勉強すぎて各紙誌の震災・原発報道の内容を比較することなどまったくできませんが、復興書店にスポットをあてた、このような良記事が出てくるということ自体、同誌の姿勢や小谷野さんの言う充実ぶりとリンクしていると言えるのかもしれませんね。
さて、話戻って、取り上げられている3店のうち、ブックポートネギシの社長・千葉聖子さんは、「新文化」2011/4/28号(ヘッドライン一覧はこちら)で大きく取り上げられていましたね。「3.11大震災/「心をひとつに・・・」書店再生へ決意新た/「ブックポート ネギシ」/大船渡/千葉社長に聞く」がそれ。この記事も非常に印象的でしたね。震災からひと月ほどの時期だったこともあり、会社で震えながら読んだのを思い出します。ポストの記事で興味を引かれた方は、ぜひこの「新文化」の記事も、図書館などで探してみてください。ポストの記事と合わせて、書店に関心のある向きには必読と言っておきます。
追記:NEWSポストセブンで記事の一部が読めます。こちら。でも、これで済ませてしまわずに、ぜひ本記事をあたってください。