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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

今度はMeetsが書店特集……そして、東京・小平の松明堂書店が閉店

今日発売の雑誌、『Meets Regional』7月号(エルマガジン社)の特集は、「本屋の逆襲!」。発売前から楽しみにしていた雑誌なんですが、早くもツイッター他で話題になっているようですね。早速購入してきましたので、近いうちに、最近の書店関連雑誌と一緒にまとめて取り上げようと思います。


さて、今日から6月。6月のブックイベントと言えば、仙台では「Book!Book!Sendai」、そして東京ではブックンロールVol.3です。って、規模や中身が違い過ぎて、こんなふうに並べるのは先方に失礼なんですが、まあ、同じ月、同じブックイベントってことでお許しいただきましょう。これらのイベントについても書きたいことはいろいろあるのですが、今日は小さな書店の閉店の話題を。東京は小平市、西武国分寺線鷹の台駅そばの新刊書店、松明堂書店が、昨日5/31で閉店となったようです。


全国区で有名といった感じのお店ではありませんが、一度訪れたら必ず印象に残るような、そんなお店でした。と、偉そうに書いてますが、個人的にあまり用事のない駅の書店さんだったので、ぼくも2度ほど訪ねたことがあるだけ。でも、そのときのことはとても印象に残っています。ただ、どんなお店だったかをくわしく語れるほど通じているわけではありませんので、お店の紹介は、より適任の方にお願いしましょう。書店紹介の記事をときどき参考にさせていただいている「INAX出版 営業日誌」に、10年ほど前の記事ですが、こんな記事があります。「松明堂書店」(2001/11 INAX出版 営業日誌)。


《津田塾、武蔵野美術、一橋など大学や高校が数多く、日中は学生で賑わう西武国分寺線鷹の台駅。そんな駅前にある松明堂書店は、1F、2Fを合わせて50坪ほどですが、個性的な品揃えが光る本屋さんです。地下には個展や集会も行なわれるギャラリー「Shomeido hall」を併設しています。》……ギャラリー併設の駅前書店。いいですねえ、そんなのが最寄り駅の駅前にあったら。


《書棚には、『多摩の怪談』『多摩のラーメン』などご当地モノの軽い読み物から、人文書や評論など、思わず手にとる好奇心をくすぐる本が、棚の"隠し味"のように効いています。また「ご家族で訪れてもらい、誰もが何かしらの気に入った本を見つけて帰って欲しい」と、2Fの児童書にも力を入れています。》……どの年齢層でも楽しめる品揃えを、と考えられていたんですね。


《お店の入口には、手書きの凝ったPOPが貼られ、おススメ本が一目でわかります。「けっこう作るのが好き」という店長の志賀さんの力作です。以前は書店のホームページ上でも、ジャンルを問わず必ず1冊読破した本の書評を公開していました(現在は休止中)。》《まずはレジ前の棚をチェックすることをお勧めします。店長が日々の手入れを欠かさない棚です。世間の関心や旬の話題の周辺にある、かつ視点を少しズラしたような本が並びます。装丁にインパクトのあるものも効果的に並べていますが、店のスペースを考えれば、なかなかできることではありません。》……最後の文にある通り、このサイズなら、ふつうに売れ線のものや雑誌・コミックの新刊を並べるだけで埋めることもできるでしょう。というか、何もしなければそうなるでしょう。棚をそのようにせず、「個性的」な棚にしたお店の方はどんな方だったのか、気になります。


《店長は、専門書の品揃えに定評のある都内の書店で仕入の目とカンを鍛え、こちらのお店に移って12年めになります。それまでは割と平凡な品揃えだったそうですが、売れた本の集計結果などを参考に、これぞと思う本を置き始めると、面白いように反応が返ってきたそうです。高い本でも内容が優れてるものは構わず売れるそうです「基本的に、お客さんに合わせたものを置いているだけ」だそうで、「郊外の立地とか店の規模とか、"固定観念"を外して考えることが大事」なのだといいます。》



先に断った通り、ちょっと前の記事ですから、最近の様子とは違ったところがあるかもしれません。もうお一方、お近くの方で、最近の様子、それも閉店当日の様子を伝えてくれる記事も紹介しておきましょう。岡崎武志さんのブログから。「さよなら松明堂」(5/31 okatakeの日記)。


《ひさしぶりに鷹の台へ自転車サンポしたら、駅前のギャラリーを持つ書店「松明堂書店」が本日をもって閉店、と貼り紙がある。ショック。鷹の台という町の文化度は、武蔵野美大を始めとする学園が集まること、そして喫茶「しんとん」、「松明堂」。いつも「波」はここでもらっていたし、ちくま文庫がよく揃っている店でもあった。入口はいってすぐの本棚は、よくセレクトされていて、人文系、趣味本、美術、文芸など、いい本棚だった。言ってもせんないことだが、「松明堂」閉店はあまりに大きい損失。》


自転車で行けるようなお近くの方にとっては、このような本屋さんの閉店は本当に残念なこと、まさに「大きい損失」でしょう。《記念に何か一冊と、新潮文庫、小林秀雄・岡潔対談『人間の建設』を買う。望月通陽デザインのブックカバーをかけてもらい、望月デザインのロゴの入ったレシートをはさみながら、「この一冊、カバーをかけたまま、大切にします」と、レジの老婦人に言うと、「ありがとうございます」と頭を下げられた。鷹の台の魅力はこれで半減。》


「望月通陽デザインのブックカバー」、お店の名物だったようですが、先日も書いた通り、ブックカバーは断ってしまうタイプなので、写真でしか目にしたことがありません。実物、見てみたかったなあ。ちょっとだけ残念。


書店好きならすぐにも駆けつけたくなるような、そんなお店であることが、どちらの記事からも伝わってきますよね。ぜひ元記事をあたってください。とくに、INAXさんのほうの記事はけっこう長くて、引用はほんの部分ですので。そのINAXさんのほうの記事の最後は、こんなふうに結ばれています。


《お店には幅広い年齢層のお客さんが途切れなく訪れ、夜6~7時頃になると帰宅途中の会社員で混雑のピークを迎えます。本好きの方が多い、ほとんどが地元の常連さんに支えられた書店です。》……本好きの地元の常連さんに支えられた、こんなすてきな品揃えで、しかもすてきなオリジナルブックカバーまであるお店が、周りには大学が複数あって、学生も多いはずの街でやっていけないんだからなあ……。ほんと、残念なことですね。


ちなみに、この西武国分寺線鷹の台の近くには、古書店もあって、1つは(岡崎さんの記事中に登場する)みどり文庫。こちらは、ぼくは訪ねたことはないんですが、もう一軒、古書ゆめやのほうは、2度ほどのぞいたことがあります。美大がそばにあるせいか、美術書がたくさんあったこと、新古書店的な品揃えとはまったく雰囲気の異なる、いい意味でくすんだ本がけっこう置いてあったのが印象に残っています。ああ、松明堂書店が閉店になる前に、3店をはしごしに行きたかったなあ……。


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コメント

はじめまして、漢字のブログ「ボクちゃん日記」の者です。
松明堂のことを検索しておりましたところ貴殿の記事と出逢いました。

松本さんとはかつて作家の講演会など一緒に企画させていただいたことがありました。
地域文化の発信所が失われたことが残念でなりません。


またおじゃまいたします。

  • 2018/05/21(月) 23:49:56 |
  • URL |
  • ボクちゃん #7mio2xcs
  • [ 編集 ]

松明堂書店

ボクちゃん さん>
訪問&コメント、ありがとうございました。

記事に書いた通りで、
「全国区で有名といった感じのお店では
ありませんが、一度訪れたら必ず印象に残る
ような、そんなお店」が、失われてしまうのは
本当に残念ですね。イベントなどでご縁のあった
方にとってはなおのことだろうと思います。

  • 2018/05/31(木) 19:58:45 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

懐かしい松明堂書店の閉店にビックリ!

何が閉店のきっかになったのかわかりません。紙の媒体から電子書籍に変わったからなのか、コロナのせいなのか。鷹の台駅を利用する大学生が、リモート授業にかわり、店に立ち寄らなくなったせいなのか。これまで読んだ松明堂書店の記事で触れていなかった事を書きます。この書店のご主人はあの有名な松本清張の御子息です。顔の印象が父親にそっくりです。眼がギョロとして分厚い唇。いつ会っても、髪型を除けば松本清張を彷彿させる御仁でした。もうこの書店のご主人に会えないかと思うとなんだか寂しいです。

  • 2021/09/24(金) 15:08:55 |
  • URL |
  • 安齋 #iMAdPa0c
  • [ 編集 ]

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