書店関連の話題のうち、開店閉店以外の情報で、Webやツイッターで目についたものからいくつかピックアップしてご紹介します。
まずは、ツイッターで話題になっていた、こちらを。
- 「発注代行システム」(5/21 書店の雑記ノート)
《いわゆる「売れ筋」というものが自動的に注文されるシステムです。》《この稼動によって、店舗からの注文は一部を除いてできなくなり、またs-bookやwebまるこからの注文も、してはいけないことになるそうです。》などとされているこのシステム、書店好きとしては非常に気になります。記事全文と、さらには、ツイッターでの書店員さんたちの反応をすべて引用したいぐらいですが、それはこちらがすべきことではないので、興味を持たれた方はこの記事をご覧になったうえで、いろいろ情報をあたってみてください。
- 「コーヒー飲みつつ、書評合戦、紹介グッズ陳列…進化する書店」(5/20 MSN産経ニュース)
《日本最大の書店が昨年オープンするなど、書店“激戦区”の大阪・梅田で、ユニークなアイデアで客を取り込もうとする店舗が相次いでいる》なるリードで始まるこの記事、三省堂書店ルクア大阪店の「ブック&カフェ」や書店内書店、スタンダードブックストア茶屋町の雑貨店のような店造り、紀伊國屋書店梅田本店の書評合戦「ビブリオバトル」が紹介されています。梅田の書店事情の盛り上がりについては、この空犬通信でもMJ梅田訪問記のこの記事をはじめ、何度か取り上げていますが、こうして全国紙で、「不況」を憂うノリ(そういうのが多い)ではないかたちで取り上げられるのは、やはりうれしいことです。
記事の最後には、関西ウォーカーの玉置泰紀編集長のこんなことばが引かれています。《「店舗数が増え、さまざまな趣向を凝らした書店が登場することは客側にとって本へのアプローチがしやすくプラスになる。書店がサロンのように交流の場、文化発信の場として進化していくことも意義深い」》
- 「JPO、被災地区の書店営業情報を公開へ」(5/17 新文化)
元気いっぱいの梅田と違い、2か月を過ぎたいまもなお、厳しい話題の多い東北の書店。今朝の朝日新聞にも、作家熊谷達也さんによる「“辺境”“忍耐づよさ”だけでなく(「ニュースの本棚」)、「町から町へ東北の本」(「本の舞台裏」)の2本、東北関連の記事が載っていましたね。ときどき、被災地の書店の営業再開などの知らせを、Webやツイッターで見かけると、それが行ったことのない地域、知らないお店であっても、とてもほっとした気分にさせられますが、一方で、いまなお休業を強いられているところ、連絡のとれないところもあると聞くたびに、心が痛みます。
記事を引きます。《日本出版インフラセンター(JPO)の書店マスタ管理センターは青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県で書店マスタに登録されている書店、大学生協の1253店を対象に、現在営業している書店リストを5月下旬からサイト上に公開する。営業店は約1100店の見通し。これらの情報は日書連、取協、出版社、地方紙、業界紙の情報提供からまとめるもの。随時更新する予定。スタンド販売店、ネット書店、コンビニエンスストア、書店本部・営業所は含まれない。書店マスタ管理センターのサイトはhttp://www.ksmaster.jp/》。
この件、出版関連業の集中する東京にいる我々は当然のことですが、よその地域の話だからといって、無関心でいたり、忘れてしまったりすることのないよう、常に目を向けていたいですね。
- 「書店ペーパーが友情コラボ?!」(5/20 WEB本の雑誌 「本の雑誌特派員」)
この空犬通信ではたびたび取り上げていますが、わたくし空犬は書店独自の情報発信にとても興味があるもので、書店が独自に出しているフリーペーパーの類が大好き。そうしたフリペとの出会いは、書店をおとずれる際の楽しみの1つになっています。
ふつう、この手のフリペは、そのお店が独自で出すもの。他店のフリペを置く例は少なく、同じチェーン内でも、よその支店で出しているフリペを置くような例はほとんど聞いたことがありませんでした。
それでも、たとえば先日、合同開催フェアを紹介した千駄木の往来堂書店と吉祥寺のBOOKSルーエのように、独立系のお店ならば、お互いのフリペを置いたり、お互いのフリペに寄稿し合ったりということも比較的実現しやすいでしょう。吉っ読の飲み会でフリペ好きを引き合わせたり、大阪でゲットしてきたおもしろフリペを東京の書店飲み会で配ったりするのも、そういうコラボがいろんなところで実現すればいいのになあ、という思いからだったりするのです。
で、この記事の件、話題になっているお店とフリペは、三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)の「ブンブンコ通信」と丸善ラゾーナ川崎店(@maruzenkawasaki )の「最近こんなの読みました」。どちらも全国チェーンですからね。このような交流は、めずらしいケースではないでしょうか。
《三省堂書店有楽町店の「ブンブンコ通信」と丸善ラゾーナ川崎店の「最近こんなの読みました」がそれぞれの店舗で一緒に並べられているのだ。チェーンも違えば立地も異なる両店舗で、なぜに互いのペーパーが配られているのか担当者に伺ってみると「Twitterで意気投合し、本が好きで紹介しているなら一緒に置いてみよう」ということになったとか。》《縄張り意識からは対極にあると言えるこの試み、実行した担当者はもとより、笑って許可した両店の店長の肝っ玉にも瞠目せずんばあらず、といったところではないか!》
いい話ではないですか。書店フリペ好きとしてはぜひもらいにいかなくては。この件、あちこちで言及、紹介されているようですが、ochaseijinさん(@ochaseijin)がブログで、写真入りで紹介されていますよ。「本屋さん巡り・・・・書店フリーペーパーを渡り歩く」(5/21 世界一速いお買物自転車の日々)。
- 「本との出合い、筋書き描く書店」(5/18 日経MJウォッチ)
『日経MJ』の5/18号に、上のような記事が掲載されたそうです。実物はあたっていないのですが、サマリーを載せているサイトがありましたので、引かせていただきます。
《インターネットから情報を得る人が増え、縮小が止まらない書籍市場。何とか本を手にとってもらおうと、書店関係者らが本との出合いを演出するための試みを広げている。ゲーム感覚で探してもらったり、顧客の好みの本を目の前で製本したり…。本離れを止める手立てとなるだろうか。》
記事には、写真があって、キャプションに《カジュアル衣料店内に約800冊の書籍が並ぶ (東京都世田谷区のフォーティファイブ・アール二子玉川ライズ店)》とありますが、具体的には、どの書店の、どんな試みが紹介されているんでしょうね。《顧客の好みの本を目の前で製本したり…》は三省堂書店神保町本店のオンデマンドのことだと思うのですが、ちょっと気になりますね。
- 「日本初の「ドライブスルー書店」が閉店-テナント契約満了で」(5/17 町田経済新聞)
ああ、これは開店閉店関連情報ですが、ちょっと変わり種の書店のニュースということで、ここで取り上げます。タイトルそのままの内容ですね。《日本で初めてドライブスルーを導入した》という久美堂書店旭町店が、5/31に閉店になるようです。
記事を引きます。《同店は1987(昭和62)年オープン。自動車に乗ったまま本を購入できる日本初の「ドライブスルー書店」として話題となり、日本のマスコミだけでなくCNNからも取材を受けた。》
同店には行ったことがありませんし、だいたい、車を利用しないので、ドライブスルー自体に縁がないんですが、いったいどんなお店だったんでしょうかね。
《「現社長がアメリカ留学中に目にしたドライブスルーの飲食店をヒントに、車いす利用者でも本を買いやすいように導入した」と同社の井之上健浩さん。店舗入り口に車いすとベビーカー用のスロープを設け、棚を低くして本を取りやすくするなどの工夫も施す。「メディアの影響もあり、多い日で20~30人の利用者があった」と振り返る。》
なるほど。飲食店のように、車の中に座ったままオーダーし、車から出ずに買い物ができる、というわけではないようですね。
《翌年にはドライブスルー2号店「本町田店」をオープン。自動車メーカーとのタイアップで自動車ショーやレーシングカーの展示会を行うなど、幅広い催事を展開した。しかし、最近では利用者が減り、常連や電話注文した人が利用しているという。》
なるほど。で、閉店の理由ですが、このように説明されています。《閉店の理由はテナント契約期間満了のため。「現社長が初めて郊外に出した店。閉店するかどうか最後まで悩んだが、建物の老朽化も進んでいるので決断した。利用していただいている方には申し訳ないが、本店や本町田店を利用していただければ」と話す。》