空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

連休中に読んだ本を今ごろ……そして今晩は『プラネテス』座談会

連休最終日にあげようと思っていた記事なので、今さら感がありありなんですが、途中まで書いたこともあり、また、今晩のネタもありなので、アップしておきます。連休にはこんな本たちを読みましたよ。全部だとけっこうな冊数なので、主なものに絞って紹介します。


  • クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』(朝日新聞出版)
  • 幸村誠『プラネテス』(講談社、モーニングKC)
  • 車谷長吉『人生の四苦八苦』(新書館)
  • 中井久夫『災害がほんとうに襲った時 阪神淡路大震災50日間の記録』(みすず書房)
  • 『音盤時代』Vol.0(ディスクユニオン)
  • 野呂邦暢『ふたりの女』(集英社)


『おかしな本棚』、ツイッターで何度も書きましたが、これ、ものすごーく好みの本で、買ってしばらくは毎日眺めてました。この本については、稿をあらためて紹介したいと思います。


この空犬通信には何度も書いてますが、子どもの頃に読んでいたなつかし漫画(手塚・藤子・松本・石森とかそのあたり)をたまに読み返すような場合をのぞくと、ふだん、コミックはほとんど読みません。そんな非コミック読みなんですが、この『プラネテス』はなんとなく気になって読み始めちゃったんですよねえ。


だって、宇宙SF好きとしては気になるではないですか。デブリ(宇宙ゴミ)の回収業者が主人公だなんて。SFはそれなりに読んできたし、SF映画も相当たくさん観てきましたが、デブリが重要なアイテムとして出てきたり、それを回収・処理する人たちが主人公だったりする作品なんて、ちょっと思いつきませんからね(ぼくが不勉強なだけで、有名作品があったりしたら、ごめんなさい……)。


最初の1編を読んで読むかどうか決めようと思って手にしたら……すっかりやられちゃいましたね。っていうか、ずるいですよ、最初の1編がSF者、とくに宇宙SFが好きな者にはちょっとたまらないようなエピソードになってますからね。ふだんは恋愛ものって苦手なんですが、このラストは泣きましたねえ。


手に取ったきっかけは、ツイッターである方がこの本にふれているのが目に止まった、それだけです。その時点ではまだお会いしたこともない方の、書評やブログでの紹介記事のような長いものならともかく、ひとことに近いような紹介、それだけでふだん読まないコミックを買ってみようとまで思ったんだから、出会いってタイミングなんですかねえ。ほんと、なんでそんな惹かれたのか、自分でも理由がよくわかりません……。


今のところ4巻まで出ているんですが、あっという間に全部読んでしまい、いままた再読しているところです。そうそう再読というのは、今晩、ツイッターでの座談会があるから、それに備えて予習復習しておこうと思って。このツイッター座談会は、三省堂書店海老名店の方が企画されたもの。海老名店のスタッフの方による、座談会の詳細はこちら。「5月14日(土)23時30分より『プラネテス』twitter座談会開催!」(三省堂書店公式ブログ)。「座談会」はわかるとして、その前に「ツイッター」がつくと、どんな感じなのか想像がつかなくなる方も多いと思いますが、そのような方は、ツイッター座談会前回のものが記録としてまとまってますから、それをご覧になるといいでしょう。こちら


ね、おもしろそうでしょ。ぼくも今晩は夜更かしして楽しもうと思っているんですが、こんな時間(この記事書いているのは夕方)から飲み始めていたりするもので、はて、深夜までもつかどうか(苦笑)。ツイッター座談会、ハッシュタグは、#plnts。


『人生の四苦八苦』、車谷さんのエッセイですが、冒頭から車谷節全開。なにしろ、1編目の最初の文章が、「私は犬が嫌いである」、ですから(笑)。いつもと同じと言えばそれまでなんですが、そのいつもの車谷節(著者を読んでいない人でも、朝日新聞に人生相談欄のノリだと言えば、どんな感じかわかるでしょう)が好きな方は読まざるを得ないでしょう。いつものように、東京堂書店でサイン本を購入。



『災害がほんとうに襲った時』は、池澤夏樹さんの書評がとても印象的だったので、手に取ったもの。内容に引き込まれて、あっというまに読んでしまった。みすずの本は高いというイメージがある人が多いと思うけれど、この本は1260円と手にとりやすいし、分量も文章も読みやすいので、池澤書評に惹かれた方はぜひ手にとってほしい1冊。


『音盤時代』は、ディスクユニオンが新しく刊行した雑誌として、音楽&音楽書好きの間ではけっこう話題になっていましたね。音楽雑誌の熱心な読者でなくなってから久しいので、楽しく読めるものか不安半分で手にとってみました。


テーマもいいし、バラエティに富んだ内容・書き手もいい。雑誌名もいい。判型もコンパクトで、読み物中心なので、通読もしやすい。特集もおもしろい。なのに、あまりノレないのはどうしてなんだろう。熱心に音楽誌を読んでいた若いころと違い、この年になるとこちらの音楽の好みも固まってしまってるので、結局、どんなにおもしろい切り口でも、読みやすい文章でも、自分の興味のないジャンルや、知らないアーティストの話になると、しかもそれが続いたりすると、興味が持続できないみたい。あと、これは内容や部数、そして広告の量から仕方ないことなのかもしれないけれど、この体裁・分量で1500円は、ちょっと高いと感じる人がいるかもしれない、そんなことも思ってしまいました。記事のなかでは、湯浅学さんの文章が個人的にはいちばんおもしろかったかな。


以上はいずれも最近の本ですが、古いのも読みましたよ。敬愛する作家の一人、野呂邦暢『ふたりの女』は1977年の作品。前からなんとなく感じていたことですが、あらためて読むと、労働や性の扱いに、中上を思わせるところがあるなあ……と同じことを最近感じたなあ、と思ったら、佐藤泰志にも共通するものがあるなあ、と感じたのでした。


佐藤泰志、今月も小学館文庫・河出文庫と新刊が2点刊行、復活ブレイクの勢いはまだ衰えていない感じですね。これから新たに佐藤泰志にふれる小説好きも多いと思いますが、もし佐藤が気に入ったら、他の佐藤作品にあたってみるのはもちろんとして、それ以外の作家では、この野呂邦暢もいいのではないかな、と思ったりします。


この2人、なんというかちょっと通じるものを感じるんですよね。作風というか、なんというか。どちらも早死した作家で、年齢も前者が佐藤が41、野呂が42と近い。さらに言えば、佐藤は函館を、野呂は諫早を作品の舞台として何度も取り上げていて、それぞれ代表作にも登場させているなど、「土地」にこだわった作家でもありました。こうして、要素を挙げていくと、これらは先にふれた中上健次との共通点でもあることがわかりますね。(中上の場合は、享年46と同じ40代の死、「土地」については、熊野にこだわったことはもう説明不要ですよね。)


野呂は文庫になったり映画化されたりではないので、かたちこそ違いますが、どちらかというと地味な純文学作家が最近になって復活してきているという点では、佐藤も野呂も同じ。野呂の本は、つい先月、最初の1冊として手に取りやすい作品集、『白桃  野呂邦暢短篇選』(みすず書房)が「大人の本棚」(なんと3冊目!)の1冊として刊行されています(ついでにいうと、「復活」というほどではないにせよ、中上も、晩年の小説作品の1つ、『軽蔑』が映画化され、文庫2種が今の新刊として店頭に並んだり、講談社文芸文庫に柄谷との対談が久しぶりの新刊として入ったりしている点で、純文復活組2人と共通していると言えなくもない)。主人公の人物造形や、労働の扱い、性の扱いなど、作風的にもなんとなく共通するものを感じさせる、というのは先にも書いた通り。


……と、野呂本の話から長々と脱線しましたが、佐藤泰志を気に入られた方が他に手を広げるのに。また、野呂邦暢の読者で佐藤の名をまだ知らない人が復活文庫たちに手をのばすのに、少しでも参考になればと思い。


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