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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

無花果、宇宙、他人……最近読んだ本たち。

  • 若井春侑『無花果日誌』(角川文庫)
  • 谷口義明『カラー版 宇宙を読む』(中公新書)
  • 池田清彦『他人と深く関わらずに生きるには』(新潮文庫)



若井春侑と言えば、文学界新人賞受賞作の表題作を含む『脳病院へまゐります。』(文春文庫)。旧仮名遣いの古くて新しい情痴文学の登場という感じで話題になり、ぼくも当時は出てすぐに読んだものです。こちらも谷崎読み、中身も文体もキライではないものの、読中も読後もどうもキワモノ感が消えず、今ひとつ入れない、で、以来ほとんど気に留めることもなかったのですが、久しぶりに手にした本作は、中也を愛する女子中学生(途中で高校生に)が主人公の、拍子抜けするぐらいにまっとうで古典的な青春もの。解説者が言うほどの傑作かどうかはともかく、ぼくはおもしろく読めました。ああ、こんなふうにも書けるんだ、なんて思いながら。本作は現代仮名遣い、舞台も現代です。



しばらく前の日記でこむずかしい中公新書に苦言めいたことを書いたことがありますが、この『宇宙を読む』は実に平易な文章でわかりやすく書かれていて、宇宙好きのくせして、理科的知識がいっこうについてこないぼくのようなウルトラ文系にもすらすら読めました。例の惑星騒ぎ直前の刊行ですが、冥王星が惑星の定義からすると異質で微妙な立場にあることなどが適切に記述されていました。


ある書店さんの手書きポップにつられて購入した『他人と』は、感想の述べにくい本です。この手の本はどれぐらい「よくぞ言ってくれた、書いてくれた!」と共感できるかで本に対する印象がずいぶん違ってくると思うのですが、その意味で、なるほど、と思うところは少なくはないこの本から気持ちよい読後感が得られないのがなぜなのか、よくわからぬままに読み終えました。

《死んだ後まで戒名など付けて、ウジウジと現世につながっているのはさらに下品である。人は死ねば死にきりである。それでよいではないか。》

これが、死んだら即刻忘れてほしい、葬式も墓も何もいらない、墓参りだの法事だの絶対にしてほしくない、と思っているぼくがもっとも共感できた一節です。


ほかにもまだあります。長くなったので、2つに分けます。続く。


◆今日のBGM◆

  • ジョージ・ハリソン『Thirty Three & 1/3 』


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コメント

「他人と~」読まれたのですね~。
>共感できるかで本に対する印象がずいぶん違ってくる
というのは同感です。
私はぱらっと見た程度なのですが、帯や表紙から感じるような
軽い印象とは違う文体でしたね。

  • 2006/09/12(火) 22:22:44 |
  • URL |
  • しおぴょん #jwdUYZAM
  • [ 編集 ]

そうなんですよ

実は、書店でばったり出会ったみたいに書いてますが、しおぴょんさんのサイトで見た表紙とタイトルが頭に入っていての出会いです。事後報告(?)ですが(苦笑)。

>帯や表紙から感じるような
>軽い印象とは違う文体でしたね。
そうなんですよ。このオレンジ+クジラ(?)は中身と全然リンクしてなくて、むしろそれがいいのかも、それが戦略かも、などと思いました。

  • 2006/09/12(火) 22:57:11 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

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