空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ノルウェイの森→エイプリルフール→小坂忠→古書ほうろう

先日、 「週刊読書人」12/10(2868)号を読んでいたら、1・2面の特集「栩木伸明氏・文月悠光氏対談 再び「ノルウェイの森」へ」に、こんなくだりがありました。


《栩木 (中略)それから細野晴臣さんがレコード屋の主人役で出て来たのもうれしかった。ワタナベのバイト先のレコード屋に緑が来るシーンがあって、壁にレコードがいくつか掛かっている。その中の一つが「エイプリルフール」のものでした。それは松本隆(当時・松本零)、細野晴臣、小坂忠、柳田ヒロ(当時柳田博義)菊地英二(*読点なしは原文ママ)という五人で、一九六九年に、半年間だけ活動したバンドなんです。》




作品的に重要な場面だとか、そういうことではないでしょうが、気づく人が気づいたら思わずにやりとしてしまうような、そんな場面ですよね。


村上春樹と音楽の関係については、本も出ているぐらいで、あらためてここでふれるまでもないでしょう。ずいぶん昔のことですが、村上春樹のエッセイ『村上ラヂオ』を読んでいたら、レコード屋にふれた一編がありました。中古レコード屋巡りが好き(音楽好きの作家はたくさんいますが、中古レコード屋巡りが趣味だと自著で公言している作家はそんなにたくさんはいませんよね)だという村上は、そのなかで大胆にも《世界はまた中古レコード店でもあるのだ》などと断言していたりします。



超のつく売れっ子作家、ノーベル賞候補レベルの作家をつかまえてこんなこと書くのもなんですが、仲間を見つけたような感じがして、ちょっとうれしくなります。だいたいね、レコードとレコード屋巡りが好きな人に、悪い人はいないのですよ(たぶん)。


映画『ノルウェイの森』、原作も別に好きじゃないし、思い入れもないし、映画としてはぜんぜん興味ない作品だったんですが、先のようなくだりを読むと、それだけでちょっと観たくなってしまったりしますから、我ながら困ったものです。




ちなみに。先のくだりで、エイプリルフールのメンバーとして名前のあがっている方々のうち、小坂忠さんは、12/10の夜、なんと古書ほうろうでライヴ。「小坂忠、古書ほうろうで歌う  12月10日(金)19時半」。そんな日に、まったく関係のない記事で小坂忠さんの名前を目にすることになるとは、なんたる偶然。



↑このアルバムの発売記念ライヴなのだとか。


小坂忠さんと言えば、誰でもみな名前を知っている、その歌を知っている超のつく大物とは言えないかもしれませんが、そもそも先の記事のくだりにあるように、ある世代のある人たちにとっては、その作品のジャケットがあるだけで、関わっていたバンドに言及されるだけで、そしてご本人の名前が出てくるだけで、おっと思わされる、そんな存在なのです。そんなシンガーが、古書店で歌うとは! いやはや、ほんと、すごいなあ。吉祥寺の百年など、音楽がらみのイベントを実現している古書店がほかにないわけではありませんが、それでもやっぱり驚きの企画です。


ライヴの件、気づくのが遅かったのと、そもそも別件があったのとで、残念ながら見にいけなかったんですが、ああ、観たかったなあ。どんなライヴだったのかなあ。気になるなあ……。


先にあげた記事、「小坂忠、古書ほうろうで歌う  12月10日(金)19時半」では、古書ほうろうさんの、小坂忠さんへの思いや、店名の由来などにもふれられていますので、ぜひご一読を。古書ほうろうさんには、今後もこのようなすてきな音楽イベントを実現していただきたいものですね。



◆今日のBGM◆


  • 小坂忠『ほうろう』


小坂忠さんの代表作といえば、やっぱりこれ、『ほうろう』。


バックをつとめたのはティン・パン・アレイのメンツ、コーラスには山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子が参加と、当時、このタイプの音楽をやるには最高といっていいメンバーで作られた、和製ソウル/R&Bの傑作。曲もいいし、詩も印象的だし、演奏もいいし、何より、小坂忠さんのソウルフルで優しい歌がすばらしい。


捨て曲なし、全曲いいんですが、とくに冒頭の2曲、タイトルナンバーの「ほうろう」と続く「機関車」はもう最高ですね。「ほうろう」、イントロのギターに続く歌が、最初に聴くとちょっとアウトっぽいと言うか、調性が不思議な感じで、それがまたかっこいい。細野さんのベースが効きまくっている演奏も、ファンキーでタイトでかっこよくて、しびれます。


「機関車」は、歌もさることながら、全編にフィーチャーされているスライドギターがこれまたすばらしい。かなりゆったりした曲で、下手に弾くと間がもたなかったり、音程のぶれが目立ったりしそうな感じですが、ギターの鈴木茂が見事に弾ききっています。サビの歌も、歌詞も耳に残ります。サビのコーラス、きれいにハモっているわけではなくて、ラフに合わせて歌いましたって感じなんですが(吉田美奈子かな)、それが小坂さんのボーカルに重なってくるところなんて、ほんとにかっこいいもんね。


先に、「週刊読書人」の記事を読んだのがライヴ当日だった云々と書きましたが、偶然といえば、ぜんぜんどうでもいいことなんですが、もう1つ。ギターで参加させてもらっている友人バンドで、先日、ライヴに出たんです。そのバンドで演奏した数曲のうち3曲が、この小坂忠さんの代表作『ほうろう』からのものなのでした。曲は「機関車」(原曲のスライドはペダルスチールかな、みたいな音とプレイですが、フレットにあたる音が聞こえたりしますから、ふつうのスライドプレイなんでしょうね、これ。ぼくはふつうに、レギュラーチューニングのエレキで弾きました)「ゆうがたラブ 」「ふうらい坊」の3曲。素人が挑戦するような曲じゃないですよね(苦笑)。


ちなみに、この名作には、今年2010年に、小坂さん本人が歌を再録した『HORO2010』なる盤もあります。興味はあるけれど、そちらは未聴。そのうちに聴かなくちゃと思ってます。



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