空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

クマとヒトとらも、全日本プロレス……昨日ルーエで買った文庫たち。

昨日は、記事にもあげた通り、会社帰りに、往来堂書店とブックスアイに寄ってきました。その後、ブックンロールがらみの用事があったので、吉祥寺へ、いつものようにBOOKSルーエにも寄ったのです(2軒も書店に寄ったんだから、そんな日ぐらいまっすぐ帰ればよかろうに、という声が聞こえてきそう……)。


さすがに、2店でお金も使ったし、荷物も重いしで、最初から「今日は買い物しないよ」と宣言していたんですが、どういうわけか、帰るときには、まんまとおすすめ文庫をつかまされていました。いったいどうなってるんだ。


  • 中島らも、ミスター・ヒト『クマと闘ったヒト』(MF文庫ダ・ヴィンチ)
  • 和田京平『読む全日本プロレス』(MF文庫ダ・ヴィンチ)



「これ、見てくださいよ!」と花本氏に拉致られて向かった先は、新刊文庫平台。なんか、いかにも空犬が好きそうな文庫が並んでいる。しかも、POP付きだ。さらに、『クマ』のほうは、レジ台にまで平積みという特別扱いぶり。この並び、この扱いを見せられたら、買わないわけにはいかんでしょう。ねえ。


メディアファクトリーの「MF文庫ダ・ヴィンチ」、もう2周年なんですね。まずはおめでとうございます。なんだか落ち着かないレーベル名だし、正直なところ、そんなに期待も注目もしていなかったんですが(失礼!)、あらためてみると、ラインナップがバラバ……もとい、バラエティに富んできて、なかなかおもしろいタイトルがそろってきましたよね。


しかし、2周年記念とどういう関係があるのかわかりませんが、今月の新刊、5点のうち、2点がプロレス関連作品と、妙なバランスになっています。こういう「好きなんだからいいじゃん」的な感じ、個人的には好きなんですけどね。でも、一般的な受けはどうなのかなあ、とちょっと心配にも……。


だって、うち1冊は、著者が「ミスター・ヒト」で、書名が『クマと闘ったヒト』ですよ。内容紹介とか、帯の《プロレス黄金時代の内幕を大暴露!!》の文言がなければ、知らないヒト、いや、人にはなんの本だか、さっぱりわかりませんよねえ、これ。しかも著者、らもさんと併記だし。ますます、どんな本だかわからない。



でもね、これ、プロレス/格闘技に関心のある向きには必読の1冊とされている(はずの)本、なんですよ。ぼくは、10年ほど前に出た単行本で読んでいます。


ぼく自身は高橋本に代表される暴露本のたぐいは大嫌いなんです。この本も、相当にヤバい話がたくさん語られていて、分類すれば「暴露本」に含まれることは間違いないんですが、単なる暴露本とはいろんな点で一線を画しているんですよね。それは、中島らもという、このテーマを扱うにはちょうどいい距離感の聞き手を得たこと、初出媒体がいわゆるプロレスメディアでなかったために、業界的な制約から(完全にではないが少なくとも部分的に)解放されていたこと(そのために、普通なら通らないヤバい話が載ってしまった経緯などについては、吉田豪さんのあとがきを)、があるのかもしれません。


まあ、そういうむずかしいことはどうでもよくて、これ、とにかく滅法おもしろい本なので、現役のプロレスファンはともかく、そういえば昔プロレス好きだったなあ、というお父さんで、未読の方には全員読んでいただきたいです。ちなみに、巻末に親本に収録されていないインタビューとあとがきが追加されてますから、既読の方もやはり買わなくてはならないのであった。


もう1冊は、全日本プロレスで長くレフェリーを努めた和田京平が全日本プロレスについて書いた本。こちらは暴露色はなくて、団体や関係者への強い思いに貫かれた本、のようですね。


こちらは、親本で読んでないので、どんな感じかまだわからないけれど、全体をぱらぱらやって、あとがきを読むかぎり、いわゆる中の人が暴露ではないスタンスで書いた(たとえば宮戸氏が書いたUWF本などに典型的な)本にありがちな、きれいな話、いい話に偏ってしそうな心配も。まあ、なつかしのレスラー、なつかしの試合、なつかしのエピソードを、ごく近くにいた人の視点からの話として読めるのは、それはそれで楽しいからいいんだけどね。


しかし、これ、同時に、同じレーベルから出た、プロレスという同じジャンル、しかも団体の中心レスラーなどではない立場の人が書いた本という点でも共通点がある2書とは思えないほど、ノリが見事にぜんぜん違います。だから、併読するといいかも。その意図もあって、同時刊行されてるんだろうし。


まあ、当たり前のことではあるんだけど、同じ人物について語っても、これでもかというぐらい印象が違ってるからね。たとえば、プロレスファンの間でも何かと毀誉褒貶の多い、ジャイアント馬場夫人の元子氏について。


(ジャイアント馬場と元子夫人を指して)《ヒト 一言で言ったらズルイ(キッパリ)! あのオバハンは言ったら頭良くないよ(キッパリ)。》(『クマと……』)

《プロレス界では元子さんのことを鬼だ何だという人がかもしれません。しかし、私に言わせれば、元子さんは一番の常識人なのです。》(『読む全日本……』)


どの団体のファンか、誰に肩入れしているか、どの程度のファンか、どちらの本を先に読むか、など、いろいろな要素で、受ける印象は人によって違うだろうが、どのような読み方をしたとしても、和田京平さんは分が悪いわな。さすがに、このとってつけたような一文には、前後をかなり丁寧にかつ好意的に読んだとしても、まったく説得力がありませんから(苦笑)。


……しかし、プロレス文庫について何を熱くなってるんだ、と言われれば、もう、すみませんと引き下がるしかない。せっかく書店の諸々についてマジメなことを書いて、訪問者の方も増えたというのに、そして、怪獣だの特撮だののネタも封印していたというのに、こんなこと書いてたら、またざざーっと訪問者数カウンタがダウンしていくのが目に見えるようだなあ(苦笑)。


また明日から、マジメな書店ネタに戻ります。


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