空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

傷だらけの店長、書店ポップ、今泉棚……重要な本・書店本が続きます

しばらく前から、まもなく出るものまで含めると、このところ広義の「本の本」で、気になるものがいくつも出ています。たとえば、こんなのたち。





Amazonにあがっていないものでも、『書店ポップ術 グッドセラー死闘編』(試論社;刊行済)、『「今泉棚」とリブロの時代』(論創社;8月刊行予定)などもあります。


本と書店を応援するサイトを自称する以上は、こういう本をこそ取り上げないとね。というわけで、本によってはしばらく先になるものもあるかもしれませんが、近々にこれらについて、感想をまとめたいと思います。


ちなみに、今読んでいるのは、『傷だらけの店長』。連載で読んでいるけれど、やっぱり通して読まないと。これ、最近ひんぱんに取り上げている吉祥寺の書店事情や、渋谷や池袋の出店問題を思わせるところがあったりもして、内容のいちいちが身にしみます。かなりつらい内容を含む本だけれど、でも、書店本としては必読といっていい1冊だと思います。くわしくは後日。


ところで。「本の本」といえば、いま「話題」の、あれは取り上げないの?と思われる方もいるかもしれません。(以下、ある本について、やや批判めいたことを書いていますので、そういうのが苦手な方は読み飛ばしてください。)





賛否両論、大いに話題を呼んだブログの書籍化ですが、うーん、この本については、ちょっと正直なところ、あんまりふれたくないのですよ。賛否両方の意味で、あんなに話題になるのも、正直わからないし。


この方の会社の一連の騒ぎについては、同じ業界で働く者として本当に気の毒に、そして残念に思うし、出版活動に関しては応援したい旨の記事も書いたことがあるぐらいで、関心は大いにあります。書き手ご本人のことについても、「リストラ」の対象になったこと、悩んだ末に退職を決意されたこと、そのあたりの事情については、たしかに同情すべきところがたくさんあります。でもなあ、だからって、今まで自分が働いてきて、お給料をもらってきた会社について、こんなふうに書いていいとはぜんぜん思えないもの。


だいたい、「リストラ」ってことばが先行してるけど、これ、「リストラ」でほんとに大変な目にあった人からしたら、なんだかなあ、な「リストラ」ですよね。だって、大手出版社のお給料を長くもらってきた、つまり金銭的には恵まれた待遇で40代までやってきたわけでしょ。そして、割増退職金、しかも少なくない額のそれももらったんですよね? 家族もローンもなし。で、今回また印税も入る。そういう立場の方に、みんな、そんなに関心あるの?


なんで、賛否も含めて、こんなにみんなが取り上げるのか、持ち上げるのかが、ほんとによくわからない。ぼくの知り合いに、やっと入れた小さな出版社の上司から、ろくな理由も提示されぬままに試用期間でいきなり首を切られちゃった若者がいる。ごく最近のことだ。ほかにも、いくつも大変な話を周りで見聞きしてきた。かくいうぼくも、実は最初に入った出版社では、給料の遅配やボーナスゼロ(カットではない、ゼロだった)があったりして、いろいろあって、クビにこそならなかったけど、自分から辞めざるを得なくなったりという経験がある。その会社のことも、やっとつかんだ編集の仕事も大好きだったのに、だ。だから、ちょっとぐらいこんなこと書いてもいいと思うし、書く資格もあると思うんだけど、どうしてもこの本(元のブログも含め)のこと、好きになれないんですよ。ぜったいにお金を出して買いたくない、そんな本なのです。


この先、10年も20年も、多くの出版社が、今の規模や待遇を維持するのはもちろん無理でしょう。そんなことは、この1年ほどの業界の動きを見ていれば誰だってわかりますよね。だから、当然、高給取りならもちろん、そうでない場合でも、社員を支えきれない会社はもっと出てくるでしょう。この会社のように有名どころ、大手にも、思い切った手段に出るところが現れるのは、そんなに先ではないはず。電子の波にうまく乗れるかどうか、とか、そんなレベルの話じゃないもんね。


そのたびにさ、いままでいくらいくらもらってて、こんな仕事で、いまこんなになってて、みたいなことを暴露する人が現れたらさ、たまらんよ。その会社の人だけじゃなく、同じ業界で働く人も、そして、このような状況になってもない、出版の仕事に情熱を持っていたり、憧れたりしている人たちにとっても(あんまりいないかもしれないけど)。斜陽の出版界がこの手の暴露合戦にならぬことを切に祈ります……。


最後に。「大失業時代、最強のビジネス書」なる帯の文句は、ほんと、どうよ、これ、って思います。違和感、どころじゃなく。新潮社がこういう本を、こういうあおりで売るとは、ちょっとショックですね。行く先々の書店で平積みを見かけるし、ある書店なんて、手書き(かな?)のPOPもついてた。営業で来てたころに好きだった店だとかなんとか、そんなことが書いてあった。……。みんなは、この本の中身も、この本の経緯も、こういう帯のあおり方も、さんざんネタにした会社で営業をしていたときのことをPOPに使ったりする臆面のなさも、ぜーんぶ平気なのかなあ。


ああ、取り上げたくない、って話だったのに、結局いっぱいいろいろ書いてしまった。もう一切言及しないと思います。関係者や、同情派の方がお読みになってたら、勝手なこと書いてて、すみません。


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