実に、実に美しい本だなあ。
- 高岡重蔵『欧文活字』(烏有書林)
本日の昼休み、岩波ブックセンターで購入したもの。これは、《優れた欧文組版で海外での評価も高い嘉瑞工房の高岡重蔵氏が1948年に著した名著『欧文活字』が、新たに巻頭・巻末付録つきの新装版として復活。》という1冊。
先日の朝日新聞でも紹介されてましたね。「欧文活字のバイブル」(7/25朝日新聞)。
新装版は、《本文を新組に、巻頭には現嘉瑞工房代表の高岡昌生氏の活版原版刷作品4点、巻末には高岡重蔵氏のタイポグラフィ習作集「Light up won't you?」とタイポグラフィ作品集「Wandering from type to type」を付した。》となっていますから、旧版をお持ちの方もチェックの必要がありそうです。
なにぶん欧文金属活字の解説書ですから、広く一般の方向けとは言い難い。でもね、別に活字や印刷の専門技術的なことがさほどわからなくても、まずはあなたが本、モノとしての本を好きなら、この本をぜひ手にとってみてほしいのです。この本におさめられた活字の美しさ、レイアウトの美しさは、感動的というかちょっと圧倒的で、専門知識の有無など関係なく読み手に伝わってくるものです。本の世界には、電子なんとかには交換不可能な世界がまだまだ多く残されていることを実感できるはずだと思うのです。シンプルなカバーに包まれた文庫判上製という造本も美しくて、すてき。
《活字組み版技術者のバイブルといわれ版を重ねた名著》、そういう本が、電子書籍元年といわれるこの年に復刻されるなんて、うれしいではないですか。ねえ。
↑最近、空犬通信で取り上げた本のなかで、たとえばこういう本たちにご興味のある方にはおすすめです。