空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

熊本の書店はやっぱりおもしろい……ブックオカ2013レポート番外編

しばらく前にレポートを3本アップした、ブックオカ2013。福岡入りの前日、金曜日の夜に熊本に入り、土曜日の半日は、熊本の書店回りにあてました。熊本の書店事情については、昨年、一昨年とくわしめのレポートも書いていますので、今回は、新規店とリニューアル店を中心にごく簡単に紹介したいと思います。


まずは、熊本の本屋さんと言えばこちら、個人的にも大好きなお店、長崎書店から。


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↑商店街でも目を引く外観です。


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↑店内、昨年訪問時から大きな変更はないようでしたが、棚が高くなっていました。


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↑今年の夏に続けて出た「本の本」たちがずらりと平台に並んでいます。『本屋図鑑』も一緒に。得地直美さんの原画も見えます。


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↑同店の名物文庫フェア「La!Bunko」のコーナー。毎年デザイナーが変わり、今回は冊子もカラーに戻りました。写真に写っているPOPやモビールは、今回のデザインを手がけたデザイナーの方の手になるものだそうです。楽しい感じの売場になっています。


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↑同店名物(?)のひとつといっていいでしょう、精神世界の棚。


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↑前回訪問時は、コミックコーナーにお客さんがいたので、撮影ができず、じっくり見ることもできなかったのですが、今回見てみると、なかなか元気なコーナーになっていました。


熊本 長崎14

↑人文書の棚は、同店が力を入れている棚の1つ。月曜社のに「エクリチュールの冒険」シリーズが5点、面で並んでいました。こんな面陳は初めて見た気がします。


今回、長崎社長は、ちょうど東京に用事とのことで入れ替わりになってしまい、現地では会えなかったのですが、長崎書店の若手スタッフのお二人、人文他担当の児玉さんと、雑誌担当の宮川さんが、金曜日の夜、酒席に付き合ってくださり、土曜日も店内を案内してくれました。


続いて、長崎書店のすぐ近く、同じ商店街にある金龍堂まるぶん店。近隣のライバル店同士ではありますが、学参や教育書など、長崎書店にないものが充実していて、長崎書店とは相互に補完しあっているような感じです。昨年訪問時はリニューアル中で、お店の一部しか見られなかったのですが、その後、リニューアルオープン。郷土書のコーナーを拡大、充実させたことが業界紙で取り上げられたりしました。


熊本 金龍堂1熊本 金龍堂2熊本 金龍堂3

↑間口が非常に広い、開放的な造り。お店の正面外観からして独特な感じです。店先にはなぜかカッパがいます。


商店街の路面店で、この入り口の感じですから、縦長の150坪ぐらいの感じを想像されるかもしれませんが、見た目よりもずっと広くて、260坪あるそうです。棚は高さをおさえたものが使用され、通路も広くとられているので、店内は圧迫感がなく、広々した感じ。


熊本 金龍堂4熊本 金龍堂5

↑こちらが、1階の奥にある郷土本コーナー。圧倒的な広さと量です。座り読みイスまでもうけられています。熊本だけでなく、九州全土がカバーされています。しっかり棚を見ようと思ったら、ここだけでもずいぶん時間がかかりそうなぐらいの充実ぶりでした。


熊本 蔦谷三年坂

↑蔦屋熊本三年坂。今回はざっと店内を見て回るだけにしました。『本屋図鑑』登場店ですが、『本屋図鑑』がなかなか見つからず、ずいぶん探して、ようやく新刊島に差しで1冊だけあるのが見つかりました。


今回、初めての訪問となるお店が3店ありました。まずは、熊本の地元百貨店、鶴屋の中にできたビブリオテーク。


熊本 ビブリオテーク1熊本 ビブリオテーク2

昨年訪問のすぐ後、11/7にできた新規店です。ただ、本は非常に少なくて、雑貨・カフェがメインのお店。本もファッション・インテリアなどジャンルを限定したセレクトで、書店としての品ぞろえを云々するのもどうかという感じです。徒歩圏に、上に紹介した3つの書店に加え、喜久屋書店もあるような立地ですから、ふつうの新刊書店を入れてもしかたありません。その意味では、きちんと周囲の店と差異化がはかられ、百貨店の客層にも合わせたものになっていると言えそうです。


次は、純粋な新刊書店というわけではありませんが、本を置いているので、合わせて紹介します。「TSUTAYAミュージックカフェ・モリコーネ」


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書店レポートがこんなに!……そして池袋の天狼院書店を見てきましたよ

「本屋はやっぱりおもしろい!」……そのことを少しでも伝えられたら、という思いで、あちこちの書店を訪問しては、へたくそな訪問記をブログにアップするというのをこれまでなんとなく続けてきたわけですが、誰にどう届いているのかもわかりませんし、それはただの自己満足ではないかと言われればまさにその通りなので、ならば、自分で記録をとったり写真を管理したりして楽しめばいいのではないか、何もこんなに時間をかけてblogにアップする必要はないのではないか、などという気もして、ため息をついたりすることも多い空犬です。


さて、そんな軟弱な書店レポの書き手にとって、大変に気になる書店レポの連載が、最近いくつか続けて目につきました。取材にかける情熱も文章力も当方のそれとは比べものにならないぐらいに力の入った書店レポートなので、まとめてご紹介します。



「本屋探訪記」は、《BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け!》という書店訪問レポート。第1回目は京都の三月書房、第2回目は大阪のスタンダードブックストア、第3回目は、東京・渋谷のSPBSが取り上げられています。


著者のwakkyhrさんは、《本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。このほか、電子雑誌「トルタル」や本と本屋とつながるWebラジオ「最初のブックエンド」、本を贈る文化をつくる活動「贈本計画」に参加。「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。ネット書店を近日中に開店予定》という方。


「週末の旅は本屋さん」は、《新幹線や飛行機に乗らなくても、いとも簡単に未知のワンダーランドへと飛んでいける場所がある。それは書店。そこでは、素晴らしい知的興奮に満ちた体験があなたを待つ。さすらいの書店マニア・小寺律さんが、百花繚乱の個性を放つ注目の本屋さんへとナビゲートします!》というもの。連載媒体が、女性誌CREAのサイトというのが書店ものとして異色な感じです。


著者の小寺さんは、《本と本屋さんと、お茶とお菓子(時々手作り)を愛する東京在住の会社員。天気がいい週末には自転車で本屋さん巡りをするのが趣味といえば趣味。読書は雑読派、好きな作家は、小川洋子さん、宮下奈都さん》という方。


wakkyhrさんも小寺律さんも、当方の主催イベントに参加してくださったことがあるなど、何度かお会いしたことのある方です。お二人とも大変な書店好きで、書店にかける情熱は半端なものではありません。


ぼくは、年に数回の出張や地方ブックイベントへの参加をのぞけば、ふだんの書店回りは首都圏および近郊の、ごく限られたエリア内のものでしかありません。その点お二人は、ほんとにあちこちに足をのばしています。とくに小寺さんは、行き先を聞いただけでこちらの足がつりそうな、信じられない距離を自転車でカバーしたりしていますから、その書店愛にはほんと、頭が下がります。


遠くまで足をのばしている、といえば、さらにものすごいのが次のナカムラクニオさん。連載のタイトルが「世界の果ての本屋さん」で、文字通り、ちょっと書店が好きぐらいではなかなか足を運ぶことができそうにない、世界の果て的なエリアを取材しています。なにしろ、初回がパプアニューギニアですから。本気度が違います(笑)。


ナカムラクニオさんのプロフィールはこちら。《1971年東京生まれ。荻窪にあるブックカフェ「6次元」店主。フリーランスで美術や旅番組などのディレクターとして番組制作に携わり、これまでに訪れた国は40ヶ国以上。趣味は世界の本屋とカフェ巡り、うつわの金継ぎ。+DESIGNING「デザインガール図鑑」、朝日小学生新聞「世界の本屋さん」mille「世界の古道具屋」連載。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方〜都市型茶室「6次元」の発想とは』(阪急コミュニケーションズ)がある》。


中村さんも、先のお二人同様、縁のある方で、つい先日も、ブックオカのイベントで一緒になりましたし、12月には6次元でのこんなイベントに出演させてもらうことになっています。


こういう力の入ったレポート群を目にすると、もう自分が駄文をさらす必要はまったくないなあ、もうよけいなことは書かなくてもいいなあ、という気にさせられますね。なんちゃって書店レポートは、いつ引退しても大丈夫そうで、なんだか安心です(笑)。


と、気が楽になったところで、先日見てきた書店のレポートを簡単に。(なお、wakkyhrさんや小寺さんのレポートと違い、お店に断って取材をしたものではありませんので、写真は外からのみ。文章も、お店の方の確認をとっていいない、単なる個人の印象です。)


先日、池袋で書店回りをした際に、気になっていた天狼院書店を見てきました。オープンは今年の9月。場所は、ジュンク堂書店池袋本店の右脇の道、東通り沿いで、ジュンクから徒歩で数分のところにあります。こちらにくわしい案内があります。


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BOOK APART、精文館書店尾張一宮店、ブックスあしたや……新刊書店の開店・閉店いろいろです

書店の開店・閉店関連情報のまとめです。(店名の後ろのかっこ内の数字は坪数。)


●オープン


  • 10/21 BOOK APART(横浜市港北区)
  • 11/16 螺旋(愛媛県松山市)
  • 11/22 精文館書店尾張一宮店(1060;愛知県一宮市)
  • 11/22 D&DEPARTMENT FUKUOKA(200;福岡県福岡市)
  • 12/ 1 いまじん恵那店(300;岐阜県恵那市)
  • 12/ 4 夢屋書店アピタ一宮店(130;愛知県一宮市)
  • 12/10 文教堂河辺とうきゅう店(200;東京都青梅市)
  • 12/11 東武ブックス篠崎駅前店(43;江戸川区)
  • 12/13 明林堂羽屋店(250;大分市)

横浜のBOOK APARTは、《移動式本屋「BOOK TRUCK」の固定店舗》というめずらしい例。関連記事はこちら。「横浜市・大倉山に集合住宅型の本屋「BOOK APART」がオープン」(11/12 BOOK STAND)。記事を引きます。《各地に出張する「BOOK TRUCK」の一拠点として書籍を販売する》。《3階建ての集合住宅は、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を2010年に受賞した建築ユニット「SANAA」の妹島和世さんによる設計。「この住居の特徴を活かした本屋を目指す」とは、オーナーの三田修平さん。ダイニングには"暮らし"をテーマにインテリアやガーデニングの本、寝室には絵本と、各部屋に売り場を作り、そのシーンに合った書籍を選書している》。


螺旋は《愛媛県内では珍しい、現代美術や建築、ファッションの書籍をメーンで扱う本屋》。関連記事はこちら。「「現代美術や建築に焦点 松山、異色の本屋オープン 「ワクワク感を」」(11/27 MSN産経ニュース)。


記事を引きます。《所狭しと商品が並ぶ店内。だが、白を基調としていることと、陳列にこだわっていることで、雑多な感じはしない。むしろ統一感と清潔感があり、ついつい長居してしまう居心地のよさだ》。


《5年半、本の仕入れに携わってきた玉井さんは、「ネットではなく、実際に手に取ってもらえる店を開きたい」と一念発起。今年5月から準備を進め、今月16日のオープンにこぎ着けた》。


《コンセプトは「ミュージアムショップのようなワクワク感を」。本を選ぶ際には「人にインスピレーションを与えられるものかどうか」を基準にしているといい「商品に触れて何かを感じ取ってもらえたら、来てもらうだけでいい」と話す》。


《反射材を用いたアクセサリーや、デザイン性の高いカラフルなタイツなど、本以外の商品も、ひねりのある面白いものばかりだ》。


「D&DEPARTMENT FUKUOKA」は、博多にできたセレクトショップ。新刊書店ではないようですが、書籍の扱いがあるとのことですので、紹介しておきます。関連記事はこちら、「博多にセレクトショップ「D&DEPARTMENT」-福岡初出店」(11/22 博多経済新聞)。


《「流行に左右されないロングライフデザイン」であることを基準に選んだ商品を集めた、デザイナー・ナガオカケンメイさんが展開する同店。福岡への出店は初で、東京、大阪に続く直営3店目。全国では東京、大阪、北海道、静岡、鹿児島などに続く9店目の出店となる。場所は博多駅前1丁目で、「D&Dを目的に出掛けるような通行人がいない場所を選んだ」(ナガオカさん)という。店舗面積は約200坪。物販スペースとカフェで構成する》。


《物販スペースでは、日本の1960年代のデザインを見直したプロジェクト「60VISION」の商品やけやき通りの書店「ブックスキューブリック」の店主・大井実さんセレクトの書籍をはじめ、生活雑貨や家具、食品など約1800点をそろえる》。


店舗形態と商品構成から書籍の量はそれほど多くはなさそうな感じですが、キューブリックの大井さんがセレクトしたものということで、どんな内容になっているのか、気になりますね。



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「人文会45 周年記念シンポジウム」に参加してきました

先日、しばらく前の記事でご紹介しました、人文会のシンポジウムに参加してきました。



人文会45 周年記念シンポジウム


当日のプログラムは以下の通り、2部構成でした。


第一部 『町と書店と人と 神保町で人文書を売る』
講師:柴田信さん(岩波ブックセンター)
第二部 『人文書をどう売り伸ばすか? 私の取り組み』
パネリスト:伊藤稔さん( 紀伊國屋書店)、久禮亮太さん(あゆみBOOKS) 森暁子さん(ジュンク堂書店)


第一部の講演も、第二部のシンポジウムも、どちらも聞き応えのある内容で、いろいろ刺激になりました。いずれも非常に内容の濃いもので、とてもこのblogの記事に簡単にまとめられるようなものではありません。ですので、以下は、当日の雰囲気が多少わかれば、という程度のごく簡単なレポートだと思ってお読みください。


まず第一部の、岩波ブックセンター・柴田信さんのお話。レジメによれば、テーマは「書店の危機」「書店の危機感から取次店を見る」「書店の危機感から出版社を見る」の3つ。「危機」の話といっても、本が売れない、書店が毎年何店閉店しているといった、メディアで出版不況が取り上げられる際によくある単純な悲観論ではありません。「危機」の内容を、「経営の危機」「現場の危機」「スタッフの危機」に分けて何がどのように問題なのかを、自店の例を紹介しながら解説。柴田さんは、そうした「危機」が共有されていないのが問題であることを指摘します。海文堂書店のことにも言及され、書店が閉店するというのは、(本を売る)「現場」がなくなるという危機であること、そのことを出版社もきちんと認識すべきであることを強調されていました。(以上は空犬の解釈で、実際には、柴田さんはこんな単純にまとめられたわけではもちろんありません。)


非常に示唆に富む、とても興味深い話でしたが、書店の問題から、取次・出版社の話に移る予定のところ、取次の話に入ったあたりで時間切れ。最後の取次に関するところと、版元に関するところが駆け足になってしまったのが残念でした。とくに版元の危機に関連してふれられた「直取引」の問題は、書店にも版元にも関心の高い人が多いでしょうから、今回の講演で話しきれなかった部分について、人文会のみなさんには、柴田さんにお話いただく機会を別に作っていただきたいなと思います。(さすがに、柴田さんをbeco talkにお呼びするわけにはいきませんからね(苦笑)。)


書店の危機と言えば、わたくし空犬も『本屋図鑑』を一緒に作った、夏葉社の島田氏とこんな会を立ち上げて、町の本屋さんの問題に、これまでやってきたことからさらに一歩踏み込んだかたちで取り組みたいと考えていたところでしたので、まさに、いまいちばん聞きたいテーマの話を、業界の大先輩から聞くことのできたかっこうで、とても貴重な機会になりました。


第二部は、書店員によるトーク。座談会形式ではなく、1つのテーマにつきお一人がメインスピーカーとして話をし、それについて、司会の方が他のお二人にも話を聞くというスタイルのトークでした。レジメを引用すると、当日のテーマと、それぞれのメインの話し手は以下の通り。

『人文書の読者にとって魅力のある品揃えとは?』
第1テーマ フェア(紀伊國屋書店伊藤稔さん)
第2テーマ 仕入・棚作り(ジュンク堂書店森暁子さん)
第3テーマ 顧客分析(あゆみBOOKS久禮亮太さん)


タイプの違うお店・役割の方がうまく人選されていたこともあり、同じテーマで話しても似たような感じにはならず、お店や立場の違いがよく出ていたように思います。また、3人が30代というのも大正解で、昔はよかった的な感じが一切なく、いままさに書店の現場でどんな取り組みをしているかという「現場感」がよく出たトークになっていたように思いました。実際に書店で人文書に取り組んでいる方には、参考になる部分が多かったのではないでしょうか。



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内堀弘さんの古本エッセイ、『古本の時間』がすばらしい

以前の記事で取り上げた本の本、書店関連の本で、別途くわしく紹介、としておきながら、取り上げるタイミングを逸していた2冊のうち、もう1冊はこちら。



古本の時間 書影


『石神井書林日録』『ボン書店の幻』などの著書がある、内堀弘さんの古本エッセイです。版元の内容紹介を引きます。《数知れない古本との出会いと別れ。多くの作家やファンとの交流の歴史。古本の醍醐味と業界の仲間たちを温かい眼差しで描く、珠玉の古本エッセイ集》。内堀本を愛読する身にはうれしい新刊です。


内堀さんは、すてきな文章を書く方で、読んでいると、紹介したいくだり、印象的なくだりが次から次に出てきて、本があっというまに付箋だらけになってしまいました。ここで、いくつかを引こうかと思いましたが、部分を引くよりも、やはり実物にあたっていただきたいので、控えます。


夏葉社『昔日の客』のことにふれたくだりがあるほか、夏葉社『冬の本』に内堀さんが寄せた文も収録されています。「本の本」がたくさん登場するのもうれしい。古本好き、古本屋さん好きはもちろんのこと、夏葉社本のファンや「本の本」好きにも見逃せない1冊になっています。


詩歌専門の古書店主が書いた本だというと、詩歌、読まないなあ、興味ないなあ、そういう人が書いた本って知らない本・名前ばかり出てきそうだなあ……そんなふうに思われる人もいるかもしれません。実際、ぼくも、『石神井書林日録』を手にしたときは、そんなふうに思いました。でも、読んでみるとわかりますが、文章に出てくる書名・人名を知っているかどうかが前提の本ではまったくないのです。詩歌にそれほど強くない方(紹介者のぼくもそうです)も、どうぞ安心して手にとってみてください。


本書が気に入った方には、内堀さんの他の本、『ボン書店の幻』(白地社)と『石神井書林日録』(晶文社)もあります。残念ながら品切れのようですが、前者はちくま文庫版がありますし、古書店でも見かける本なので、探してみるといいでしょう。


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『世界の夢の本屋さん3』が発売に……そして6次元でトークライブが

しばらく前の記事で紹介した『世界の夢の本屋さん3』が発売になりましたね。



世界の夢の本屋さん3 本体



目次版元のサイトでも見られます)で、取り上げられている都市名を見てみるとこんな感じ。メキシコシティ、サントリーニ、ミラノ、ポルト、リスボン、パリ、ハンブルグ、ベルリン、ヘルシンキ、コペンハーゲン、オスロ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、オハイ(「オハイオ」の誤植ではなく、Ojaiです)、シアトル、アニック、ヘイ・オン・ワイ、ロンドン。今回はアジア圏がなく、北米とヨーロッパ中心のセレクトになっていますが、たくさんの街から選ばれているのがわかります。それぞれの街でどの店が取り上げられているかは、ぜひ現物で確認してみてください。


今回は、1巻、2巻になかった趣向として、「世界の本屋さんからあなたへ」と題して、書店主の手紙が掲載されています。直筆の手紙の図版に、翻訳が添えられているのですが、本に関する名言の引用のみという、いやにあっさりしたものもあれば、書店の仕事とは何かをしっかり伝えようという思いで書かれたとおぼしき、父から子への、じーんとさせられる手紙もあったり、読者や同業者へ呼びかけるような手紙があったりなど、なかなか読ませます。


文章と言えば、著者、清水玲奈さんの「はじめに」と「おわりに」も本屋さんへの思いがよく出ていてとてもいいので、店頭でこの本をチェックするときは、そちらから読むのもいいでしょう。


というわけで、『世界の夢の本屋さん3』、これからのシーズン、本好き本屋好きへのクリスマスのプレゼントにもぴったりの1冊だと思いますよ。店頭で目を引く本なので、見かけたら、ぜひ手にしてみてください。


ところで、この本の刊行記念として、こんなイベントが行われます。



会場である東京・荻窪のブックカフェ、6次元のサイトから案内を引きます。《『世界の夢の本屋さん』シリーズ著者の清水玲奈さん、『本屋図鑑』編集部の空犬太郎さんをゲストに迎え、世界の本屋さんの魅力について語り合います》。司会は6次元のナカムラクニオさん。


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本を愛するということ……村山早紀さんの『ルリユール』

本の本、書店関連の本は、新刊案内や店頭で気になったものをまとめてときどき紹介しています。以前に取り上げたもので、別途くわしく紹介、としておきながら、イベントが入ったり、急ぎのネタがあったりで、すっかり遅くなってしまっているものがあります。2冊ほど、しばらく前に出た「本の本」関連で、印象的だったものをご紹介します。まずはこちらから。



ルリユール 書影

↑革背の古書を模したようなカバーがとてもいい感じです。


新刊案内でタイトルを見かけて以来、ずっと気になっていた本です。《謎のルリユール(製本)職人と弟子の物語。本への愛と人生の不思議な輝き》、こんな内容紹介を目にしてしまったら、『ルリユールおじさん』を愛読する身としては、装丁・造本全般に関心のある身としては、読まないわけにはいきませんよね。


で、楽しみに待っていたら、著者の村山先生に御本をいただいてしまいました。娘が大ファンの作家さんから本を送っていただいた、ということで、パパの株が格段にあがったことは言うまでもありません(笑)。村山先生、あらためて、ありがとうございました。


さて、そんなわけで、我が家に届いた『ルリユール』。すぐにも読みたいところをガマンして、ここは、本来の受取人である、我が家の本好き小学生が読み終わるのを待ってから手にしました。すると、我が子もパパも一気読み。親子で楽しめる物語でしたよ。もちろん、装丁・造本に関する予備知識などはまったく要りませんし、本好きならば誰でも楽しめる物語ですが、装丁・造本に興味のある人ならば、より深く物語を楽しめそうな感じでした。


作者の村山さんは、今回の作品のために、装丁・造本関連の資料をたくさん集めたと「あとがき」に書いていますが、わたくし空犬も、もともと、本、とくに物としての本にはひとかたならぬ思い入れのあるほうで、装丁・造本関係は昔から関心があり、目に付く関連本はたくさん買い集めてきました。そのような趣向の持ち主ですから、この作品で描かれている、本が自分だけの1冊に仕立て上げられる過程、壊れかけていた本が魔法のように甦る過程が楽しめないはずがありません。愛蔵の古書のいくつかを抱えて、自分でも黒猫工房(本書に出てくる製本工房)を訪ねてみたい気分にまでさせられました。(ただ、実際には、子どもの頃からの愛読書で、経年により、古び傷んでしまった本はあまりなくて、手元で、状態の悪いものは、どちらかというと大人になってから古書で買い求めたものが多いんですよね。その点は、(修復を要するものがなければ、それはそれでいいことなので、変な話ですが)自分でもちょっと残念な気がします……。)


「ルリユール」自体、お話のテーマとして、素材として、とても魅力的なものだと思うのですが、それをストレートに扱った児童書・絵本・YAは、そんなに多くはありませんね。このテーマで人に本をすすめる機会があったら、これまでは、絵本なら『ルリユールおじさん』、コミックなら『白い本の物語』をあげていましたが、これからは、YA〜一般の読み物ならばこの『ルリユール』をおすすめしたいと思います(ちなみに、『ルリユールおじさん』については、以前にこんな文章を書いたことがあります。「大人が読んでもおもしろい!理論社本 その6 『ルリユールおじさん』他」(吉っ読日記)


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シリーズ「本屋さんのすべてがわかる本」はすごかった

しばらく前の記事で紹介した、ミネルヴァ書房の「本屋さんのすべてがわかる本」(秋田喜代美監修、稲葉茂勝文)。記事執筆時点では、版元のサイトの情報しかなく、くわしいことがわからなかったのですが、その後、版元の方から資料をいただき、どのようなシリーズかが少しわかりましたので、あらためて紹介したいと思います。



本屋さんのすべてがわかる本 書影1本屋さんのすべてがわかる本 書影2

↑第1巻と第2巻の書影。


シリーズ全体については、サイトの案内にこのようにあります。《本屋さんは教育の宝庫。学べることはたくさんあります。このシリーズでは歴史、国際理解、キャリア教育、メディアリテラシー、読書推進といったあらゆる切り口から本屋さんの魅力にせまります。日本はもちろん世界の本屋さんについても豊富な写真でわかりやすく解説しています。さあ、このシリーズで本屋さんの歴史から活用法までを、しっかりと見ていきましょう。そして、どんどん本屋さんへ行ってみましょう!》


第1巻については、《本の売り買いのはじまり、現在の本屋さんのかたちがつくられるまでの経緯、世界各国の本屋さんなどについて知ることができます》、第2巻については《日本の本屋さんの誕生とうつりかわり、書物の歴史、出版制度など、豊富な写真でわかりやすく解説》という説明があります。


第1巻を見ると、2部構成になっていて、パート1は「本屋さんの歴史」、パート2は「写真でいる外国の本屋さん」。パート1は、「本の売り買いのはじまり」「近代の本屋さんのうつりかわり」「出版社と読者との仲介役」「本屋さんの歴史、イギリスでは?」「アメリカの本屋さんの歴史」に分かれています。それぞれは見開き、または1ページと、分量こそそれほど多くはないのですが、AB判と大きい紙面で、カラー図版も豊富に使われているため、情報が少ない感じは受けません。各テーマの解説がコンパクトにまとめられているため、年若い読者が本屋さんの歴史を概観するには、まさにぴったりの内容と分量になっています。


パート2は「ハッチャーズとは?」「ヨーロッパとオセアニアの本屋さん」「イスラム圏の本屋さん」「「一党独裁国家」の本屋さん」「アジアのさまざまな国の本屋さん」に分かれています。紹介されている書店の外観や店内の様子を伝えるカラー図版に、コンパクトな説明が添えられています。ユニークなのは、イスラム圏や北朝鮮の書店など、素人が簡単には訪問できないエリアの書店がちゃんと図版入りでカバーされていること。このあたりは、1巻、2巻に協力として名を連ねている、世界の本屋さんと言えばこの方、能勢仁さんが参加が大きいのでしょうか。


このほか、両パートとも、コラムがいくつも掲載されていて、「世界の本屋さんトップ10」といったランキングものや、製本・ISBNなど本作りや流通に関わるもののほか、「本が焼かれる」というタイトルで言論弾圧や焚書にふれたものまであります。


第2巻も、同じく2部構成になっています。パート1は、「日本の本屋さんの歴史」、パート2は「明治維新から現代までの本屋さん」。前者は「日本の本屋さんは、いつごろできたの?」「日本の出版のはじまりはお寺から」「日本の出版文化は京都から」「江戸のまちの本屋さん」「庶民に読書を広めた貸本屋さん」に分かれ、後者は「文明開化と印刷技術」「明治・大正時代の本屋さん」「古本屋街の起こり」「取次の誕生」「戦後になると……」「日本の出版の特徴」に分かれています。


こちらも世界編同様、それぞれのテーマは見開きまたは1ページとコンパクトな分量にまとまっていますが、その分、全体の流れをとらえやすいようになっています。こちらもカラー図版がふんだんに使われています。この分野の本はかなりおさえてきたほうだと思いますが、初めて見るような、類書であまり見かけないような図版もあり、勉強になります。とくに、『本屋図鑑』に関わった身としては、『本屋図鑑』ではふれられなかった江戸・明治・大正時代の本屋さんが、図版入りできちんと紹介されているのもうれしいところ。


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「町本会」を立ち上げます……西荻窪beco cafeで来年1月に書店テーマのトーク

西荻窪のブックカフェ、beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk先日の記事で、1/24の回を先にご案内しましたが、2014年最初のbeco talkは、今回ご案内する1/17の回になります。


    beco talk vol.12
    「町には本屋さんが必要です会議」
    〜町本会立ち上げ、公開企画会議

    日時:2014年1月17日(金)
    OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30)
    会場:beco cafe(東京・西荻窪)
    会費:1000円(ワンドリンク付)
    出演:笈入建志(往来堂書店)、島田潤一郎(夏葉社)、空犬(本屋図鑑編集部)
    *11/18(月)から予約受付開始となります。

町の本屋さんはどうあるべきなのか。町の本屋さんは何をすればいいのか。町の本屋さんにいま何ができるのか。海文堂書店の閉店に危機を感じた本屋図鑑編集部と往来堂書店の笈入さんの3人が、本屋を愛するみなさん、本屋に関心のあるみなさんと一緒に考えてみたい、というのが今回のトークです。


話を1回限りのものに終わらせず、継続的かつ具体的に活動を続けていくために、「町には本屋さんが必要です会議」、略称「町本会」を立ち上げることにしました。このような趣旨の会です。


《町から「本屋さん」が消えつつあります。激しい競争、仕入の困難など様々に原因が語られますが、いま私たちに必要なのは町の人々に本当に必要とされる本屋のイメージではないでしょうか。「町本会」という場を通して、何から取り組むべきかを具体的に考えていきたく思います》。


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「書店で働くということ」を考える……ミシマ社『善き書店員』が刊行されました

新刊案内で予告を見かけて以来、ずっと発売を楽しみにしていた書店本(いや、「書店員本」というべきかな)が刊行されました。



善き書店員 書影善き書店員 チラシ

↑大変にシンプルだけど、店頭では目を引きそうな装丁。右はチラシ。


版元の内容紹介によれば、このような本です。《この時代において「善く」働くとはなにか? 500人超のインタビューをしてきた著者が、現役書店員6名へのロングインタビューを敢行。その肉声の中から探し、見つけ、考えた、体を動かし普通に働く人たちが大事にするようになる「善さ」とは――。「肉声が聞こえてくる」、新たなノンフィクションの誕生》。


本に登場するのは、以下の書店員さんたち(「所属店名はインタビュー当時」とのこと)
佐藤純子さん(ジュンク堂書店仙台ロフト店)
小山貴之さん(東京堂書店神田神保町店)
堀部篤史さん(京都・恵文社一乗寺店)
藤森真琴さん(広島・廣文館金座街本店)
長﨑健一さん(熊本・長崎書店)
高頭佐和子さん(丸善・丸の内本店)


この本、版元のご好意で見本をいただいてしまったんですが、届いたその日の晩に、一気に読んでしまいましたよ。お店ではなく書店員に焦点をあてた書店本は過去にもあったし、インタビューをもとにしたもの、対談本などもありますが、肉声を最大限に活かす、という、本書のまとめ方は、それらの多くを読んできたはずの身にもとても新鮮なものでした。これまでになかったタイプの1冊かも……いただいたから、ということではなく、ほんとうにそのように思いました。


ただ、そのような話し手の話しぶりやくせまでがとらえられたリアルな文章であるがために、ところによってはちょっと読みづらくなってしまっていたり、前後の脈絡がややすっきりしない感じになってしまっているところがないわけではありません。でも、そうした多少のでこぼこが気にならないぐらいにおもしろく読めてしまいますし、そういうでこぼこがあるからこそいい、とも思えてしまいます。全体としてはまさに、通常のインタビューまとめでは得られないような、その人の「しゃべり感」(そんな表現、ないけれど)が強く伝わってくる本になっているなと、そんな感じがしました。


いまこの時代に書店のことを語ろうとすると、好きだ大事だ文化だ残したい、というような(本好きに大井)愛情論か、厳しい苦戦だ閉店が続く風前の灯火、というような(メディアに多い)悲観論か、どちらかに分かれがちですが、この本にはどちらも出てきます。バランスをとったわけではないでしょう。書店のことをリアルに語ろうと思ったら、両面の話にならざるを得ない、ということなのだろうと思います。


同業の書店員のみなさん、とくに若い世代のみなさんには読んでほしい。そして、本の業界のなかだけでなく、書店に関心のある人に広く読まれるといいなあと、心からそう思います。


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まもなく「人文会45周年記念シンポジウム」が開催されます

今月、11/20に、書店に関心のある方の興味を引きそうな、こんなシンポジウムが開催されます。



人文会45 周年記念シンポジウム


サイトの案内を引きます。《人文会は人文書の普及と書店店頭における人文書の棚構築を目的として1968 年に創立されました。創立以来多くの書店の皆様と販売会社の皆様のご協力をいただきながら地道な活動をしてまいりました。今年で人文会は45 周年を迎えます。今回は、柴田信氏(岩波ブックセンター会長)と書店員の御三方にパネリストとしてご参加いただきます。シンポジウム終了後ささやかですが、懇親会の場を設けさせていただいております》。


会は二部構成になっています。第一部の柴田信さんの講演のテーマは、『町と書店と人と 神保町で人文書を売る』。「1、経営の危機 2、店舗運営(現場)の維持存続 3、経営を支援する現場の喪失 4、有為な店員 経営に無関心 5、目指せ取締役 そして独立」といったサブテーマが資料にはあがっていますから、かなり具体的かつ現実的な話が聞けそうですね。


第二部は書店員によるシンポジウムで、テーマは『人文書をどう売り伸ばすか? 私の取り組み』。パネリストは紀伊國屋書店の伊藤稔さん、あゆみBOOKSの久禮亮太さん、ジュンク堂書店の森暁子さん。人文書の現場で日々仕事をする書店員さんたちのリアルな話、こちらもおもしろそうです。


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『世界の夢の本屋さん』の続編が刊行されます!

眼福としかいいようのない美しい写真で、たくさんの本屋さん好きをうっとりさせ、世界中で本屋さん巡りをしたような気分にさせてくれた、あの本の続編が出ます。



世界の夢の本屋さん3 書影

版元のご好意で、内容の一部を資料で見せてもらうことができました。今回も、大判のカラー図版がたっぷり収録されていて、本屋さん好きならページをめくるたびにうっとりさせられること必至の内容になっていますよ。紹介用にということで、図版の一部のデータを版元からいただきましたので、一部をお見せします。


カフェブレリアポルア
ディエチ・コルソ・コモレール・デヴァガール

いかがでしょうか。これだけでわくわくしますよね。刊行前の本の図版ですので、雰囲気だけ、ということでサイズを落としましたが、実際のサイズだと、すごい迫力、うっとり度は倍増です。紙の印刷ならば、さらに美しさを増すことでしょう。どの国のなんというお店なのかなど、データはあえてあげませんので、気になるお店があったら、ぜひ現物で確かめてみてください。


版元の内容紹介を引きます。《店長・オーナーから、本好きのあなたへ、直筆の手紙を収録! 11ヵ国21都市の本屋さんのインタビュー。33店舗の「世界の夢の本屋さん」を紹介! 今まで取材拒否だったあの名店もついに掲載! 新たに北欧・アメリカのエリアも加え、更に充実した内容になってます!》。


サイズ・分量は既刊2冊とほぼ同じ。予価も、3,800円+税と同じで、11/21ごろの発売予定とのことです。前2作の所有者は、買わないわけにはいきませんね。今回も、一度本を手にしたら、ルーペを片手にしばらくは本を手放せそうにありません。


ちなみに、このシリーズ、前2作をまだお持ちでない、本のこと自体を知らないという本屋さん好きは、この機にぜひ手にとってみてください。順にそろえる必要はありませんから、目次を見て自分の興味のある地域や店が取り上げられているものを買ってもいいし、写真をぱらぱら見てから、気に入ったお店がある巻を買ってもいいでしょう。もちろん、気に入ったら3冊コンプリートで。版元のサイトで、取り上げられているお店のエリアと店名のリストが見られます。1冊目『世界の夢の本屋さん』については、こちらを、続編『世界の夢の本屋さん2』についてはこちらをご覧ください。空犬通信でも取り上げています。1冊目についてはこちら、1冊目の書評についてはこちら、中国語版についてはこちら


というわけで、『世界の夢の本屋さん3』、本屋さん好きのみなさんは、ぜひ書店店頭で現物を手にしてみてください。


雨の書店回りはやっぱりつらかった……ブックオカ2013レポート その3

今回のブックオカ、書店回りに使えた2日のうち、11/2の日中は半日を熊本の書店回りにあて、11/3は雨に降られてしまいましたので、福岡の書店はそんなに回れていません。昨年、一昨年とくわしめのレポートも書いていますので、今回は、ごく簡単に。


まずは、博多駅周辺の大型店2店のうち、丸善博多店から。


131102丸善博多1131102丸善博多2131102丸善博多3

↑中央の写真の奥に見える棚で、先日の記事で紹介した激オシ文庫のフェアやフリペ展が開催中でした。


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↑紀伊國屋書店福岡本店。フェアコーナーで、激オシ文庫フェア、「夏葉社の本フェア」、「本屋さんに行こう!!」フェアに、さらに、「第3回 書店フリペの世界展」も開催中。これらが、1つのフェアコーナーで展開中なわけですから、ここを見るだけで、いくら時間があっても足りない感じでした。(なお、フリペ展を紹介した先日の記事で、同店の店名をあやまって、「博多店」としてしまいました。お詫び申し上げます。)


131103ジュンク福岡

↑ジュンク堂書店福岡店。「書店フリペの世界展」が開催中の、1階レファレンスカウンターの近くの台。「福岡の書店員が選んだ激オシ文庫フェア」が大きく展開されていました。


131103リブロ福岡

↑リブロ福岡天神店。カルトグラフィアには、イベントがらみの本を並べた一画があり、そこには『本屋図鑑』のほか、6次元ナカムラクニオさんの『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』のほか、少し前にサイン会が行われた山崎ナオコーラさんの書店小説『昼田とハッコウ』のサイン本と、アロワナ書店カバー付き本などが並んでいました。


訪問したのが日曜日だったせいもあってか、児童書コーナー「わむぱむ」に親子連れが数組いて、子どもたちが、ぺたりと床に座りこんで本に夢中になっている、見る人を幸せな気分にさせずにおかない光景が見られたんですが、さすがに写真を撮るわけにはいかず、しばらくその様子を眺めるだけにしました。


131102キューブリック

↑けやき通りのブックスキューブリックは、一箱古本市のときは、大変な混雑で、なかなかゆっくり見られないのですが、今回はトークイベントの前、夕方に訪れたので、店内を端から端まで、ゆっくり見ることができました。


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2014年最初のbeco talkは吉祥寺+書店がテーマです

西荻窪のブックカフェ、beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk(何しろ、一人で企画しているものですから、そろそろネタもワンパターンになってきた感がないでもないですし、自分よりも若い人で、だれかほかにこういうイベントの企画で本の世界を盛り上げたいという人いないかなあ、などと考えたりもしていたのですが、もう少しだけがんばってみることにしました。)


というわけで、2014年1月のトークのご案内です。今回は、「吉祥寺+書店」です。


    beco talk vol.13
    吉祥寺で本屋をやってみたら
    〜ミステリー専門店「TRICK+TRAP」の1400日〜

    日時:2014年1月24日(金)
    OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30)
    会場:beco cafe(東京・西荻窪)
    会費:1000円(ワンドリンク付)
    出演:戸川安宣(東京創元社)、空犬(本屋図鑑編集部)
    *定員のため、予約受付終了しました。
    (Vol.13になっているのは、1/17にbeco talk vol.12を開催するためです。そちらの詳細は後日、空犬通信で告知します。)

複数の新刊書店・古書店がしのぎを削る、中央線沿線屈指の「本の街」吉祥寺。その吉祥寺に、かつてミステリー専門の新刊書店がありました。お店の名前は、「TRICK+TRAP」。お店に関わっていたのは、ミステリー界を代表する編集者、戸川安宣さん。戸川さんに、当時の日々を振り返っていただきながら、「吉祥寺」と「書店」をキーワードに語っていただこう、というのが今回のトークです。


わたくし空犬は、「吉祥寺書店員の会「吉っ読」」などという会を主催していたりするぐらいですから、「吉祥寺+書店」は、自分の関心と日常にまさにどんぴしゃりのテーマです。この「TRICK+TRAP」も、空犬通信の過去記事に登場していてもおかしくないのですが、吉っ読の活動やブログを始めたのが2006年で、翌年に同店が閉店してしまっているため、これまで紹介の機会がありませんでした。


当時のお店のことを覚えている人、利用していた人はもちろん、そうではない方、お店のことをまったく知らない方にも、どんなお店だったかイメージしてもらえるよう、戸川さんにはいろいろな資料を用意していただけるよう、お願いしています。お店の外観や内装、什器や棚に並ぶ本の様子のほか、サイン会などイベントについても、Webでは見られないような写真・資料類を使って、詳細に紹介していただく予定です。


独立書店、それも特定のジャンルだけを扱う専門店の、開店の経緯から閉店まで、そのすべてについて、当事者の方から直接話を聞くことのできる、大変に貴重な機会だと思います。ミステリーにまったくふれないわけではありませんが、中心になるのは「書店」の話題です。本と本屋さんに興味のある、たくさんの方に聞きにきていただければと思います。


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Viva神保町、蔦屋幕張新都心、福家書店三宮店……新刊書店の開店・閉店いろいろです

書店の開店・閉店関連情報のまとめです。(店名の後ろのかっこ内の数字は坪数。)


●オープン


  • 9/15 SOHO BOOKS(15;岡山県倉敷市)
  • 11/ 1 OVA栄バスターミナル店 (10;名古屋市東区)
  • 11/ 2 Viva神保町(18;東京・千代田区)
  • 11/14 宮脇書店ゆめモール下関店(200;山口県下関市)
  • 11/16 黒木書店吉塚店(75;福岡市博多区)
  • 11/21 ジュンク堂書店神戸さんちか店(兵庫県神戸市)
  • 11/23 未来屋書店鹿児島店(340;鹿児島市)
  • 11/27 TSUTAYAさせぼ五番街店(250;長崎県佐世保市)
  • 11/28 文真堂書店ホームズ草加舎人店(160;埼玉県草加市)
  • 12/17 蔦屋書店イオンモール幕張新都心店(440;千葉市美浜区)

SOHO BOOKSは、児島にできた新しい書店。運営は児島に本社を置くアパレルメーカーで、図書館と公民館だった建物を利用した施設内の、ショップインショップ。サイトの案内を引きます。


《1996年秋(9月)私たちが瀬戸内児島にキャピタル最初の直営店舗として KAPITAL KOJIMA STOREをつくり、はや17年になります。17回目の秋を迎える今年、縁あって児島の旧図書館を新たな拠点として、活用することとなりました。これまで、児島地区の中で離れた場所にあった生産工場と企画、営業を旧図書館に統合し、キャピタルの新社屋としてスタートをきります。そして同時に、この新社屋に隣接して、今年5月に移転のため閉店した岡山西市店を 「瀬戸内児島赭店」(KAPITAL SOHO STORE)としてオープンすることができるようになりました》。


《隣接するスペースでは新たな試みとなるキャピタルの書店をオープン。本のセレクトは東京神保町で10年近く古書に精通し現在は茅場町に店を構える森岡書店森岡督行さんとキャピタルが選び抜いた本を販売します》。お店のサイトで店内の様子や扱い商品などが見られます。


Viva神保町、名前だけでは書店だとわかりにくい感じですが、場所は神保町・すずらん通り沿いの冨山房ビル6階。関連記事はこちら。「神保町に初の大活字本専門店」(11/1 読売新聞)。


記事の一部を引きます。《弱視者向けに文字を大きくした「大活字本」の専門店「Viva神保町」が11月2日、本屋街として有名な千代田区神田神保町にオープンする。店を運営するNPO法人「大活字文化普及協会」によると、大活字本の専門店は全国で初めてという》。


《大活字本は、3ミリ程度の一般書籍の文字を5ミリ〜1センチに拡大したものが多く、著作権者と出版社から許諾を得て製作される。さらに読みやすくするため、黒地の紙に白色の文字を印刷した「白黒反転版」や、へこんで読みづらい本の中央部分をリングでとじ、平らにして読みやすく工夫されたものもある》。


《大活字本など約2000冊をそろえる。点字の絵本も取り扱っており、ルーペなどの読書補助具も置いている》。


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「書店フリペの世界展」を見てきましたよ……ブックオカ2013レポート その2

今回のブックオカ、本人がイベントに参加しただけでなく、自分が関わっているフリーペーパーでも参加させてもらいました。主催イベントの1つで、《今年で3回目、全国の本を愛する書店員が作ったフリーペーパーがブックオカに集結!》という「第3回 書店フリペの世界展」に、「ブックトラック」を並べてもらったのです。


配布されるフリーペーパーや配布店などの詳細は、以前の記事にまとめたので、そちらをご覧ください。


時間がかぎられていたこともあり、また、滞在中に雨に降られてしまったこともありで、全店を回ることはかなわなかったのですが、いくつかのお店の店頭の様子を撮影させてもらいましたので、報告します。


まずは、博多駅周辺の2店から。


131102丸善博多 フリペ展131103 丸善博多フリペ展2

↑丸善博多店。こちらは折らずに筒状に丸めて並べるのが特徴です。ルーエ発の「海文堂の伝言」はこちらにありました。11/9、10の週末に行われる「BOOKマルシェ佐賀2013」のチラシも見えます。この平台の左隣の棚では、「福岡の書店員が選んだ激オシ文庫フェア」が開催中。


フリペ展を眺めていたら、知り合いのTさんが寄ってきて、平台には並んでいないフリペをくださいました。「ON READING MARUZEN HAKATA」。ブックオカ2013のためにTさんが作ったもので、フリペ展には出していないのだとか。左は同店発行の「やっぱりえほんっておもしろい」。


131102紀伊國屋博多 フリペ展

↑紀伊國屋書店福岡本店店。大きなフェアコーナーの中央にフリペ展のフリペが並び、そのお隣では「夏葉社フェア」が展開中で、『本屋図鑑』も目立つところに平積み。さらにその右隣は、本の本、本屋さんの本を集めたフェアが、フリペ展の左側では「福岡の書店員が選んだ激オシ文庫フェア」がほぼ全点で展開中。と、この島全体が本好きならしばらく動けないこと必至のフェアコーナーになっていましたよ。こちらには、我が「ブックトラック」を並べていただきました。


続いて、天神周辺のお店から。


131102キューブリック フリペ展

↑ブックスキューブリック。入り口すぐ左脇のところにコーナーがありました。こちらにはルーエ発の「徳政令」が。


131103 ジュンク福岡 フリペ展

↑ジュンク堂書店福岡店。1階レファレンスカウンターの近くの台で、「福岡の書店員が選んだ激オシ文庫フェア」とスペースを分け合うような格好で展開。


131103リブロ福岡 フリペ展

↑リブロ福岡天神店。入り口の左脇、モニターのすぐ下に写真のようなしゃれた台のコーナーがありました。なお、リブロでは「はれどく」も配布されているのですが、写真に写っていないのは、そのボリュームと気合いの入った表紙でお客さんの目を引いたのでしょう、「はれどく」は大人気だったようで、フリペ展が始まったばかりだというのに、ぼくが取材させてもらったときは切れていて、増刷分を追加する前の、ちょうど谷間だったためとのことでした。


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書評・連載・ラジオ・イベント……『本屋図鑑』関連のいろいろをまとめました その4

書評・連載・ラジオ・イベントなど、『本屋図鑑』関連のまとめ、続きです。数が多くなってきましたので、まとめの3から11月以降のものを分け、新規を追加しました。(*11/7時点での情報です。「予定」とあるものは、名称など詳細が正確でないものがあるかもしれませんが、ご了承ください。この記事は、(『本屋図鑑』関連のイベントや書評はもうあまりないかと思いますが)随時追記・更新していきます。)



福岡の地域ブックイベント、ブックオカ。期間中の3連休初日、11/2に、毎年恒例の「書店員ナイト」が開催。そのゲストに夏葉社島田さんとわたくし空犬がご招待いただき、『本屋図鑑』に関するトークをしてきました。サイトには《毎年恒例の現場書店員・出版社・本好き有志の交流会。今年のゲストは話題の『本屋図鑑』を出版した吉祥寺の小さな出版社・夏葉社の代表島田潤一郎さんと執筆者の空犬太郎さんです》とあります。


当日の様子は、記事にまとめましたので、こちらをご覧ください。


  • 11/3 『本屋図鑑』書評『母の友』12月号(福音館書店)

「Books」欄で取り上げられました。《本屋を「観る」楽しみが広がる一冊だ》と書いていただきました。


トークでも話しましたし、blogの記事にも書いたかと思いますが、『本屋図鑑』を作るにあたって、こんな本にしたいね、と二人で参考にした本があります。それは、福音館書店の『冒険図鑑』。夏葉社島田さんと空犬の、本屋図鑑編集部2人が愛してやまない1冊です。書評や紹介記事は、どのような媒体であれ、うれしいものですが、『冒険図鑑』の版元の雑誌に『本屋図鑑』が取り上げられるのは、我々、本屋図鑑編集部にとっては格別のこと。とても、とてもうれしいです。


  • 11/5 「本屋へのラブレター」(『日販通信』11月号「書店余話」)

『日販通信』は、書店経営者向け情報誌。「書店員さんによるリレーエッセイ」、「書店余話」で『本屋図鑑』が取り上げられました。書き手は、吉祥寺書店員の会「吉っ読」の参加店でもある啓文堂書店三鷹店の西ヶ谷由佳さん。《この『本屋図鑑』の一番の魅力は、文章のあちこちからあふれ出てくる、書き手の本屋に対する想いが感じられるところだと思います》と書いていただきました。


ちなみに、同号の特集は「やっぱりすごい! コンシェルジュの接客に学ぶ」で、そちらも気になります。



サイトの説明によれば、このようなイベントです。《本と名刺の交換会「ブクブク交換会」が、日本最大級のオンライン書店e-hon主催で八重洲ブックセンター本店にて開催致します。読書の秋にちなみ、「本屋さんで出会った本」をテーマに、本と本屋さんが大好きな皆さまと語らいながら、楽しいひと時を過ごしましょう》。


ゲストとして、夏葉社の島田さんが出演します。いくつかのプログラムが用意されているようですが、「『本屋図鑑』全国の本屋さん取材秘話・夏葉社様の活動を紹介」というコーナーがあるようです。


場所は、ヤエスブックセンター本店中2階の「喫茶Tiffany」。要予約とのことです。くわしくはサイトの案内をご覧ください。


「書店員ナイト in 福岡」のトークに出演してきました……ブックオカ2013レポート その1

この3連休に、福岡で開催されているブックオカ2013の恒例イベント「書店員ナイト in 福岡」のトークに出演するため、福岡に行ってきました。簡単にイベントの様子を報告しておきます。(11/8追記:写真を追加しました。)


今年の「書店員ナイト in 福岡」は、11/2(土)の夜、天神のリブラボで行われました。会場は、できたばかりとのことで、木の香りのする、すてきな場所。キャパは数十人、という感じでしょうか。


当日まで心配だったお客さんの集まりですが、開始前に、予約が50人ほどになっていると聞き、ひと安心。関係者も含めてではありますが、当日の会場はそれなりにいっぱいになっていたようでした。


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↑会場はこのような感じ。広々したステージで、背面の壁には本棚も。右の写真を見ると、けっこうお客さんが入っていたのが、よくわかります。ちょっと隠れてしまっていますが、2人とも、本屋図鑑Tシャツを着ています。(写真は、下のサイン会のものも含め、すべて6次元の中村さん・道前さんが撮ってくれたものです。)


夏葉社島田さんとわたくし空犬の本屋図鑑編集部コンビによる今回のトークは、『本屋図鑑』ができるまでと取材裏話を中心とするもの。すでに、大阪・隆祥館書店や西荻窪・beco cafeで同じテーマで話していますので、気分的にはラクでした。


ただ、地縁のない場所でのトークですし(大阪は、ぼくの出身地ですし、知り合いも多いので、その意味では地縁がないという感じはまったくありませんでした)、そもそも「書店員ナイト」は《現場書店員・出版社・本好き有志の交流会》(公式ガイドより)で、トークはあくまで演し物の1つでしかありません。ですから、トーク目当てでない参加者の方もいらっしゃるわけです。


そんな、「ややアウェー」な雰囲気でのトーク。始まってしばらくの間は、あんまり反応もなくて、会場は静かな感じだったんですが、写真を使った取材裏話のあたりからは笑い声も聞こえるようになり、全体としてはいい雰囲気で終えることができたのではないかなと思います。


今回のトークでは、本屋図鑑編集部の来年の活動について、ちょっとした報告もしたんですが、それについては、後日、空犬通信の記事であらためて報告します。


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