今日は、往来堂書店で開催中の、同店の名物フェア「D坂文庫 2013・冬」 を見てきましたよ。
↑「D坂文庫 2013・冬」、店頭の様子。場所はいつもの、入り口入って正面。ポスターのかっこいいデザインは今回もHさんの手になるものですが、前回 のとは色味や雰囲気が違っていて、おもしろいですね。
↑D坂といえば、おなじみ、オリジナル帯、フェア冊子、おまけのメモ帳。ほんと、手間を惜しまない人たちです。
冊子の表紙には、店長笈入さん、渾身の(?)一文が。「行くってぇと」と、がらっぱちになったかと思えば、「買えますよネ」なんて優男みたいになったりと、いつになく笈入さんのノリがおもしろい文章なので、サイトでも読めますが、全文引いちゃおう。
《本屋は人が集まる場所であるべきだと思うんですよネ。 え? 商店なんだからあたりまえ? でも今、わざわざ本屋に行かなくても本は買えますよネ。 今までも本や雑誌を買いに、人は店に集まって来てくれていたワケですけど、みんなそれぞれバラバラというか… 買いに集まってくださっている人びとどうしはつながりはありません。 だから家にいながらにして買い物できるようになるとお店に来る理由がない。 結局人なんだろうと考えています。 あすこへ行くってぇと、誰かが本の話してたり、何か教えてくれたり相談に乗ってくれたり、「本とも」に会えたりする。 「D坂文庫」はそんな方向の第一歩だと思っています。》
さて、そんな「D坂文庫」、今回も選書に参加させてもらいました。これまでは、往来堂書店で売れそうなものをけっこう意識して選んできたんですが、たまには趣味丸出しでいこう、ほかにジャンルがかぶる人もいなさそうだし、というので、はじめてSFを選んでみたら、今回はほかにもSFを選んだ方が数人いて、作品・作家こそかぶらなかったものの、なんだかちょっと埋もれてしまいました(苦笑)。悔しいなあ。でも、こういうのも、複数の方、それも、直接は知らない方が集まって選書しているフェアの楽しみでもありますよね。
選書はサイトで見られますが、店頭での出会いを新鮮なものにしたかったので、事前にそちらを見ることはしないでいきました。いつも思うことですが、メンバーはほぼ毎回同じなのに、ほんと、バラエティに富んだおもしろいセレクトになるんですよねえ。知らない本が並んでいればもちろん気になるし、知っている本が並んでいたら、どなたが選んだのだろう、とか、どんな選書コメントだろうと、やはり気になる。そんなに規模の大きなフェアではないのに、片端から見ていくことになるので、しばらくフェアコーナーの前から動けませんでした。
関東近郊の方は、ぜひ往来堂書店の店頭で、このすてきなフェアをチェックしてみてください。遠方の方は、サイト のほうでどうぞ。選書コメントも、すべてサイトで読めますよ。
ついでに、「D坂文庫」以外の、店内の様子も紹介しておきましょう。
↑文庫のランキング。2位に『魔法のびん詰め』(王様文庫)という本が並んでいるのが見えるでしょうか。これ、よそでどれぐらい売れているのか知りませんが、文庫ランキングの上位、それも3位以内にあがってくる本ではないですよね。なぜ、この本が……と、驚きつつ、思い出すのは、いつだったかの記事で紹介した、ガラス瓶がずらりのフェア 。
今も、レジの前の棚にそれらの瓶が少し飾られています。先のフェアや常設の効果なのかどうかわかりませんが、この本、すごく売れているんだそうですよ。ぼくのような野暮なおっさんには、「ただの瓶じゃん……」としか思えなくて、こういうのがランキング上位にくるのは、ほんと不思議です。ちなみに、この文庫は、びんを使ったレシピ本なんだそうです。
↑ランキングの1位は、復刊されたばかりの、吉野せい『洟をたらした神』(中公文庫)。こちらは、ランキングの隣で、フェア「吉野せいとその周辺」フェアが展開中です。
↑『洟をたらした神』のカバーを手がけたのは、「空想製本屋」 さん。往来堂書店に出入りしている方にはおなじみの名前ですよね。「D坂文庫」にも選書で参加されています。
文庫のカバーで見るだけでもすてきなんですが、店内に、原画と色校が飾られていますので、お店を訪問された方は、ぜひそちらを忘れずにご覧ください。原画は、複雑な色味の染色がされた紙に模様が刺繍された、とても質感のある絵。カバーのそれとはまた印象が違う、とてもすてきなものでしたよ。こんなふうに、フェアでいちおしの本のカバーの原画や色校を見せるのは、なかなかおもしろいやり方ですよね。それが別に美術書でなくても、ギャラリー気分で楽しめます。上の写真は、照明が光ってしまって、うまく見えないと思いますので、ぜひ店頭で、実物をご覧ください。
【“往来堂書店の名物フェア「D坂文庫 2013・冬」を見てきましたよ”の続きを読む】
スポンサーサイト
今日は、用事があったので、会社帰りに新宿へ。紀伊國屋新宿本店をぶらぶらした後、BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿 にも寄ってきましたよ。
↑貼り紙が見えるでしょうか、11/30までの3日間限定で、中古本のセール中でした。
以前にも紹介したことがあります が、同店は、音楽関連書籍や本・読書関連グッズがぎっしりのお店。店内の様子については、先の記事をご覧ください。
店内に足を踏み入れると、レジの前あたりにハヤカワ文庫がたくさん並んでいるなあ、と思ったら、「ハヤカワ文庫セレクト × BIBLIOPHILIC LEATHER BOOK COVER」 というフェアが開催中で、なんと、ずっと探していた「ハヤカワ文庫トールサイズ用のブックカバー」、それも革製のが何色も売られているではないですか!
フェアの様子、ブックカバーの見た目や色、セレクトされているハヤカワ文庫のリストは上にあげたリンク先で見られますので、気になる方で店頭を見にいけない方は、そちらをご覧ください。
以前ほど熱心ではなくなってしまいましたが、それでも、一応SF読みの端くれです。ハヤカワ文庫のSFやノンフィクション、とくにポピュラーサイエンスものは好きなので、購入率が高いレーベルの1つです。
なので、当然、行き帰りの電車でハヤカワ文庫を読みたくなることも多いんですが、適当なカバーがない。というのも、以前にも書いたことがありますが、書店ではカバーは断ることにしていて、通勤時など外で読むときは、手元に何枚か用意している、お気に入りの革製カバーをかけて読むことにしているからなのです。外での読書は、お気に入りの革カバーとセットみたいになっているので、カバーをかけずに裸で読むのは気が進まない。というわけで、ハヤカワ文庫の新しいものは外で読めない、そのため、ハヤカワ文庫の読書量自体が減ってしまう、という事態に、同レーベルのトール化以来、陥っていたんですよねえ……。
トールサイズ対応のブックカバー、それもできれば革製のものがいいというので、ずっと探していました。なかなかこれというのを見つけられずにいたんですが、今日、とうとう出会っちゃいましたよ。うれしいなあ。
↑何色かあったうち、黒いのを買ってきました。ほんとはネイビーが欲しかったんですが……。
革製のブックカバーとしては、かなり薄手のもので、ややぺらんとした感じ。スエードみたいな質感です。もう少ししっかりした感じのほうが好みなんですが、まあいいでしょう。表4側はフラップのみで、背表紙をとめる帯状の部分はなし。とれてしまうことはないかもしれませんが、本がやや「動く」ので、そこは好みが分かれそう。表4側の折り返しには、BIBLIOPHILICの猫ロゴが入っています。なかなかかわいい。
ここで、購入を検討される方に1つご注意を。手作りっぽい感じの見た目からも想像がつくかもしれませんが、けっこう個体差があります。見本として、本にかけた状態のものがあったので、見てみると、案の定、かなりジャストサイズな感じ。本好きや書店関係者の方には言うまでもありませんが、本のサイズは、同じ文庫判でもけっこうサイズに、とくに天地に幅があります。そのことを考えると、遊びがないサイズのカバーだと、入らないものが出てくることがあります。
実は過去に、それで痛い目にあっているので(この件は後で別に書くかもしれません) 、店頭で、いちばん欲しい色だったネイビーを試してみました。……入らない。正確にいうと、入らなくはないんだけど、ぎゅっと押し込まないといけない感じで、天地の折れがやや心配。2枚目を試してみます。……入らない。3枚目は……入らない(泣)。
お店の人に相談したところ、在庫を出していただけることになったので、他のも試してみたのですが、やはりどれも、入らないわけではないけれど、ふだん使いとするには、やや出し入れが微妙、という感じでした。お店と商品のために、念のため申し添えておくと、すべてがそうだったわけではなく、他の色を試してみたところ、するりと入るものもありました。で、結局、色的には第2候補だった、上の写真の黒を選んだという次第。
店頭に出ていたのが、不良品だ、みたいなことがいいたいわけではありません。手作りの革製品にサイズの揺れがあるのは別にめずらしいことではありませんからね。ぼくは、ぎゅっと押し込む感じが気になってしまいましたが、まったく気にならない、むしろ、ゆるゆるしないでちょうどいい、という方もいるでしょう。とりあえず、購入を考えているみなさんに言いたいのは、店頭で出し入れを試してから買う方がいい、ということです。帰ってから、サイズが微妙に合わなくて、交換してもらいにいったり、クレーム騒ぎになったり、せっかく買ったものを使わなくなってしまったりがあると、お店とお客さん、双方に不幸ですからね。
買ってきたカバー、早速わが家のハヤカワ文庫で試したところ(ブラッドベリを入れてみました) 、なかなかいい感じです。自分で作るなら、もしくはオーダーするなら、もう少し天地に余裕が欲しいところですが、天地の端が傷むようなことはなさそうだし、これはこれでいい感じです。よし、これで、明日から通勤時にハヤカワ文庫が読めるようになるぞ。うれしいなあ。
ハヤカワ文庫読みで、革のカバーが欲しいなあ、と思っている方がいらっしゃったら、ぜひお試しあれ。ちなみに、お値段は税込2200円。
↑前回の記事でも写真をあげましたが、ロゴ入りのビニール。猫好き&本好きがいたらプレゼントに使いたいと思いながら、前回のものもまだ手元にあったりします。
↑オープン1周年記念ということで、1000円以上読書グッズを買うと、写真のしおりがもらえます。地は紙なんですが、金の模様に黒の箔押し(かな?)がのっている、でこぼこ感が気持ちいいしおりです。自分で使ってもいいけど、猫好き兼本好きにプレゼントしたいなあ。
【“BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿でとうとうトールサイズのブックカバーを入手”の続きを読む】
往来堂書店さんから、『千駄木の本屋さん 往来堂の十五年』 、店頭在庫が完売になったと、本日うれしい連絡をいただきました。
調子に乗ってけっこうたくさん作ったもので、在庫をずっと抱えてることになったらどうしよう……などと、実は不安だったんですが、製作から1年も経たずに数百部が完売となりました。うれしいなあ。お買い上げくださったみなさま、ありがとうございます。
(ちなみに、この冊子、これでお金を得ようなどというつもりで作ったものではなく、献本などに使った分以外は、すべて往来堂書店に差し上げてしまいましたので、完全な持ち出しなのです。簡単な造りの冊子に見えますが、増刷となると、あれでも、けっこう費用がかかるんですよね。増刷をしない、というのは、そういう事情によるものです。)
その往来堂書店では、昨日11/23から、同店の名物フェア、冬の「D坂文庫 2013・冬」 が始まっています。
↑店頭の様子、写真を往来堂書店さんから送っていただきました。
わたくし空犬も選書で参加させていただきました。フェアの様子は、近くお店におじゃまして、いつものように取材させてもらうつもりですが、近隣の方は、ぜひ直接見に行ってください。
久しぶりに新刊書店の開店・閉店いろいろをまとめます。前回から少し間があいてしまい、案件がたまっていて、件数が非常に多いので、それぞれについてはなるべく簡単に。
●オープン
10/28 Applause アプローズ第2ターミナルビル店 10/28 Applause アプローズ第2ターミナルビルゲート店 10/28 彩 11/ 7 カフェ&ブックス ビブリオテーク熊本・鶴屋店 11/ 9 アミーゴ書店若葉台店(60) 11/10 ニュースタイル近江八幡(20) 11/12 BOOK EXPRESS南流山店(20) 11/15 Books Future赤坂店(20) 11/15 宮脇書店ゆめタウン安古市店(81) 11/16 山下書店南行徳店(43) 11/17 蔦屋書店ひたちなか店(1764) 11/28 文教堂中之島フェスティバルプラザ店(50) 11/30 ブックファースト阪神尼崎店(51) 12/ 1 メロンブックス柏店(15) 12/ 6 宮脇書店取手店(500) 12/中 黒木書店飯倉店 2013/3/15 ブックファーストボーノ相模大野店(339) 最初の3軒は、すべて関西国際空港第2ターミナルビルにできたお店。《国内雑誌、旅の本、文庫、話題の書籍》などの扱いがあるとのことで、うち「彩」は洋書の扱いもあるそうです。
ビブリオテークは、先日訪問してきた熊本の老舗デパート、鶴屋百貨店の東館1階にできたお店。ビブリオテークは、東京・有楽町、大阪・梅田、福岡・天神で、今回の熊本が4店目。サイトには《都市生活のライブラリー機能として、和書・洋書を問わず厳選したデザイン・写真集・アート・グラフィック・ファッション・インテリア・アート関連雑誌・ミニコミ本など、スタッフが独自の視点からセレクトした書籍を販売》とあります。
近くには、蔦谷書店熊本三年坂、金龍堂まるぶん店、長崎書店(これらは、現在準備中の熊本書店レポートでふれます) などがあります。セレクトショップで、サイトの写真を見るかぎり、本はそれほど多くはなさそうな感じですが、周囲の書店への影響はゼロではないでしょう。気になります。
アミーゴ書店若葉台店は東京都稲城市の、ニュースタイル近江八幡は滋賀県近江八幡市の、BOOK EXPRESS南流山店は千葉県流山市の、Books Future赤坂店は東京都港区の、宮脇書店ゆめタウン安古市店は広島市安佐南区の、山下書店南行徳店は千葉県市川市のお店です。
茨城県ひたちなか市の「蔦屋書店ひたちなか店」は既報ですが、以前に紹介したときと開店日や坪数などが変わっていますので、再度ふれておきます。坪数は総面積で、資料によって多少こまかな数字の違いはありますが、書籍・雑誌は1000坪、セルCD・DVDが150坪、ゲームが35坪、文具・雑貨が400坪となっています。併設のカフェ、タリーズコーヒーも150席といいますから、大きいですね。
「北関東最大」をうたう同店、新聞他で取り上げられていますね。店内の写真が見られる関連記事はこちら。「「見つからない本はない」品ぞろえでネットに対抗--蔦屋書店ひたちなか店オープンへ」 (11/16 CNET Japan)、「北関東最大の書店「蔦屋書店 ひたちなか店」がオープン」 (11/19 CDジャーナル)。
トップカルチャー代表取締役社長の清水さんは、同店について、《大型書店を開店することで、見つからない本はないというほどの品ぞろえをし、店舗ならではの探しやすさ、見つけやすさ、本との出会いを提供していきたい。買い物するだけではなくお客様に“場”を提供することが狙い》《目の前で本が売れる、CDが売れることで作り手側にも活気が出ると考えている。大型店舗の出店は業界を活性化し、市場全体を盛り上げる》(CNETの記事より) と話しています。
大阪市北区、フェスティバルホール跡地にできる「中之島フェスティバルタワー」、その中の商業施設「フェスティバルプラザ」地下に入る文教堂のお店は以前に紹介したときは、支店名がわからなかったのですが、このような名前になったようです。
メロンブックス柏店は千葉県柏市の、宮脇書店取手店は茨城県取手市の、黒木書店飯倉店は福岡県福岡市のお店。うち、宮脇書店は500坪と大型店。たしか、2010年に宮脇書店の取手店は一度閉店になっていると思うのですが、場所・形態などを変えた再出店ということでしょうか。サイトなどに告知がなく詳細がわかりませんが、事情ご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示ください。黒木書店は、後述の通り、天神を含む2店が閉店で1店新規。
何かと話題の尼崎には、ブックファーストが、関西では3年半ぶりだという久しぶりの出店。サイトによれば、《現在リニューアル工事を行っている阪神尼崎駅の商業施設「AMASTA AMASEN(アマスタ アマセン)」1階》に入るのだそうです。さらに、来年春には、今度は関東で、小田急相模大野駅に直結の大型複合施設「bono相模大野」の4階に出店。こちらも、340坪弱と、ワンフロア型の店舗としては比較的な大きめのサイズ。商業施設自体も、約180店舗が出店するという大きなもののようです。関連記事はこちら。「ブックファースト、来年3月相模大野に新規店出店。」 (11/16 文化通信)。プレスリリースはこちら (PDFファイルです) 。
相模大野周辺には、くまざわ書店他、新刊書店が数店ありますが、駅から直結の商業施設に300坪クラスのお店ができると、周囲のお店には影響が大きいでしょう。既存店との棲み分け・競合がどのようになるのか、気になるところですね。
●リニューアル
8/31 文真堂書店連取店 10/13 山十・伊東文具店(40) 11/10 文真堂書店新前橋店 11/13 三省堂書店有楽町店 11/15 TSUTAYA新涯店(150) 11/16 精文館書店幸店(260) 11/16 あゆみBooks仙台一番町店(170) 11/18 えほんの店コッコ・サン 11/19 啓林堂書店郡山店 11/20 ブックスキヨスククロスト店(32) 11/30 丸善丸の内本店 12/ 5 蔦屋書店宮崎高千穂通り店(600) 12/ 6 未来屋書店内原店(370) 12/ 8 蔦屋書店新潟万代店(400) 今回紹介するリニューアル店には、震災に関係したお店が2軒あります。陸前高田市相川の「山十・伊東文具店」は、《2011年4月には高田地区で仮設店舗で文具のみの取り扱いで再開》、《本を扱うことから2011年12月に増床のため竹駒地区に移転》を経て、《津波で被災した後、3度目》となる、今回の移転オープン。《プレハブ建物での営業》だそうですが、《約2万冊の書籍と10坪ほどのスペースの文具コーナー》があるとのこと。以上は、「陸前高田の書店「伊東文具店」が再再再オープン-震災後3回移転」 (10/19 三陸経済新聞)から。
今回のオープンにこぎつけるのにどれだけ大変な思いをされたか、東京にいる身には想像もつきません。こうして文章にするために記事を引用しているだけでも、キーを打つ手が震えます。地元の本好きのみなさんの、心のよりどころのような場所にきっとなることでしょう。いつか訪問したいものです。
もう1軒は、仙台市青葉区の「あゆみBooks仙台一番町店」。新規オープンからまもない時期に被災、なかなか営業再開の知らせが聞こえてこなくて、地元の方はもちろん、出版関係者にも心配していた方が多いと思いますが、ようやく復旧。以前の記事 でふれたときは、開店日がわからなかったので、あらためて取り上げました。2店の関係者のみなさま、リニューアルオープン、ほんとうにおめでとうございます。
7月に閉店の件にふれた 愛媛県松山市の児童書・おもちゃ専門店、コッコ・サンは、移転リニューアル。サイト トップにリニューアルの告知とオープニングイベントの案内が大きく載っています。
【“蔦屋書店ひたちなか、山十・伊東文具店、ジュンク京都BAL……新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
西荻窪beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk。その第3弾、「「いか文庫」が「いか文庫」になるまで」は、おかげさまで先日無事終了となりました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
続いて、第4弾のご案内を。来年1月に、こんなイベントを開催します。
beco talk vol.4 でるべん 勉強会続編「他店の棚」vs.「空犬通信」 やっぱり「棚」はおもしろい 日時:2013年1月18日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:石井伸介(プレジデント社) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 8月に開催された、でるべん勉強会のトーク 再び、ということで、でるべんの会では時間切れで紹介できなかったお店や新しいお店を、書店マニア編集者が2人がかりで語りまくろう、というものです。
トークは、終始、書店の棚の話になります。このような三部構成を考えています。 1)「他店の棚」の作り方 2)「他店の棚」蔵出し 3)「他店の棚」と書店紹介のこれから
「「他店の棚」の作り方」では、石井さんが、どんなふうにお店を回り、取材し、それを冊子「他店の棚」にまとめているかを、空犬が聞き出します。前回のでるべんの会では、わたくし空犬はトークのヘルプで、自分の話はあまりしなかったんですが、今回は、自分で作った冊子『往来堂の十五年』やこのblog「空犬通信」のことも話す予定で、どんなふうに取材しているか、お店・棚のどんな店に注目しているか、など、お互いの手法の違いや共通点について、2人であれこれ話したいと思います。
「「他店の棚」蔵出し」は、石井さんが前回のでるべんの会で紹介できなかったお店を写真で紹介します。今回は、わたくし空犬も最近取材したお店のなかからいくつかピックアップして紹介したいと思います。空犬通信には掲載しなかった写真などもお見せしたいなあと思っています。
「「他店の棚」と書店紹介のこれから」では、お互いの書店観・棚観について意見を交わしつつ、書店情報発信について、今後のどんなふうにしていくか、展望のようなものを示せたらと思っています。
予約は、本日、11月21日(水)から受付開始です。beco cafeに、電話・メール・ツイッターなどで直接お申し込みください。
なお、このトークですが、書店員のみなさんにぜひ聞いていただきたい見ていただきたい、ということで、今回は書店員の方のみの申し込み受付とさせていただきます。(お申し込みの際に、書店におつとめかどうかをお店のほうでおたずねしますので、ご了承ください。書店員以外の方は、キャンセル待ちの扱いとさせていただき、空きが出ましたら、後日、お店のほうからご連絡させていただきます。)
上記のようにしていましたが、どなたでもご参加いただけることになりました。
「他店の棚」についてはこちらの記事 を、イベント「でるべんの会」の当日の様子についてはこちらの記事 を、今回のイベントの申し込み方法、出演者プロフィールなどは、こちらの記事 をご覧ください。beco cafeのサイトにも案内 があがっています。
イベント終了後は、いつものように、お店の閉店まではドリンクタイムとして、出演者とお客さんのみなさんでお酒を飲みながらおしゃべりを楽しめる時間ももうけています。イベントでは、質疑応答の時間はもうけませんので、ぜひトーク後の時間に出演者に話しかけたり質問したりしてください。また、お客さんも(無事に集まれば、ですが) 全員が書店関係者になります。ぜひ同業同士、会場で楽しく情報交換していただけるとうれしいです。
それでは、来年最初のbeco talk、1/18(金)、西荻窪beco cafeで、書店員のみなさまのお越しをお待ち申し上げております。
福岡の書店レポート、最後は一箱古本市&古書店編を。まずは、「一箱古本市」の様子から。
当日は、天気に恵まれ、絶好の古本散歩日和に。けやき通りはたくさんの人で賑わっていました。
ブックスキューブリックの前で大井さんにお会いできたので、ごあいさつ。ちょうど大阪からいらした隆祥館の二村さんもその場にいらしたので、しばし3人でおしゃべりを。お店の前には、前日の晩にブックオカのトークイベントに参加していた作家の田中慎弥さんもいらっしゃっていて、店頭でサイン本を作っていました。
↑そのブックスキューブリックの前の様子。「一箱古本市」における、サービスエリア的スポットというか、寄港地というか、お客さんが自然に集まる場所になっています。すごいひとだかりでお店の様子が見えません……。
↑ブックスキューブリックの前に置かれた小型の活版印刷機。ブックスキューブリックで本を買い、そのレシートを見せると、すてきなしおりをその場で印刷してくれます。
あまりたくさんの買い物はできませんでしたが、暑いぐらいの好天のなか、たくさんの本好きの人たちの波に混じって、並木が気持ちいい「けやき通り」を、古本を眺めながらぶらぶら散策するのは、ほんとに楽しいひと時でした。
昨年は、スケジュールがタイトだったので、古書店には手が回らなかったんですが、今回は、一箱古本市を見た後、古書店にも足をのばしました。ブックオカ公式ガイドのマップを見ると、一箱古本市の会場であるけやき通りと交差している大正通り沿いおよびその近辺には、いくつかの古書店があります。ようし、まとめて回るぞ、と張り切って歩き出したのですが……。
↑徘徊堂。お店の貼り紙には、広島の古本まつりのため、1週間ほどお休みとありました。地元で古本市が開催中なのに、別の地域の古本まつりに参加で閉店? そんなのありですか……。
↑バンドワゴン。こちらも、店内商品整理のため臨時休業とあります。何もこの日にしなくても……。
↑赤坂堂。ここもお休み。見たかった古本屋さん、全敗って、そんな……(泣)。
お店にはお店の事情もあるでしょう。でもなあ、3店とも、一箱古本市の会場からすぐのところにある、ブックオカの公式ガイドに店名と地図が掲載されているお店ですよ。地元の本のおまつり「ブックオカ」開催中の土日、それも「一箱古本市」が開催されている土曜日にお店を閉めるというのは、やり方として、ちょっとどうかなと、正直なところ思いました。この日、「一箱古本市」を楽しんだ後、周辺の古書店巡りもと楽しみにしていた本好きは、ぼくだけではないと思うのです。ちょっと(というか、けっこう) がっかりです。
↑「まんだらけ」。たまたま宿の近くにあったので、見つけました。「西日本最大級」「宇宙一の高額買取」など、威勢のいい文字が並んでいます。
中野でいつでも行けるからいいや、と、スルーのつもりだったのですが、古本屋さん、立て続けに休業にあたってしまって、時間ができたので、寄ってみました。そしたら、これがすごかった。
ワンフロア型の大型店舗で、何坪ぐらいあるのかな、端から端まで歩いたわけではないし、全体を見渡せる造りでもないので想像がつきませんが、とにかく大きい。ただ、ブロードウェイ内でジャンルごとに、こまかく店舗が分かれていて、ほとんど魔窟化、どこに何があるのか、何度も足を運んでいる中央線沿線住民でも把握しきれないような事態になっている中野のお店に比べると、こちらもたしかに大きくて広くて簡単に把握しきれないぐらいのモノたちにあふれてはいるのですが、ワンフロアでまとまっているので、うろうろしていれば、たいていものが目に入り、初めての身にも探しやすい。ものすごく長居してしまいました。
最初は、めずらしいおもちゃでもないかな、と、おもちゃ目当てで入ったんですが、古書の棚も思いのほか充実。ひょっとしたら、中野の「マニア館」より点数も多いんじゃないかなあ。ジュブナイルSFや探偵もの、特撮関連書籍などにもいいものがたくさんありましたが、値付けはさすがにしっかりしていて、ほんとに欲しいものには簡単には手が出ないのは、中野と同じ。
一方、おもちゃのほうは、別にちゃんと比較したわけではないし、そもそも中野での相場を把握しているわけでもないのですが、なんとなくこちらのほうが安い気がしました(先日、「まんだらけ・門」の「マニア館」の特設ショーケース」で開催されていた「4大少年誌の世界」 をのぞきがてら、中野の特撮関連おもちゃの品ぞろえも見てきたんですが、やっぱり福岡のほうが全体に値段がこなれている感じがしました。単なる、素人の印象ですが) 。なもので、滞在中、《まんだらけ、このまま長居してると、ソフビとかプラモとか買っちゃいそうなので、脱出》などと書いたんですが、誘惑に抗しきれず、結局、いろいろ買ってしまいました。何やってるんだか、福岡まで行って……。
帰宅して翌々日のこと。 「パパ、なんかお荷物届いてたよ。『まんが らけ』ってところから。旅行で、本、買ったんでしょ?」と娘。 「……ああ、うん、まあね」と、パパ。 「やっぱり!(笑)」、と、なんだかうれしそうな娘。 ……まさか、「まんだ らけ福岡店」からの荷物であるその段ボールの中には、実は1冊も本が入ってなくて、ソフビとプラモとかのおもちゃが入ってるんだ、などとは、もちろん娘には言えませんでした……。
というわけで、天神の古書店巡り、まさかの全敗で収穫ゼロに終わるところを、意外にも「まんだらけ」の存在に救われ、なんだかとても楽しく終えることができました。この結果でいいのか、という問題はまあ、あるのですが(苦笑)。
だらだらと長くなってしまいましたが、福岡書店回り&ブックオカレポートは以上です。福岡滞在中は出会いと収穫がたくさんありました。あらためて、当日お店で応対してくださったり店内を案内してくださった書店員のみなさん、2日目の夜に酒席を設けてくださったみなさん、本当にありがとうございました。ブックオカ、また来年も行けるといいなあ。
次回は、熊本の書店レポートです。
福岡の書店レポート続きです。引き続き、天神界隈から、今度は、昨年、移転の件を失念していて訪問し損ねた、書斎りーぶるを。
↑お店外観。場所は、天神の中心から、少しはずれたあたりにありました。
↑店舗部分はワンフロアで120坪。サイトによれば、2階に30坪のイベントスペースがあるようです。
お店の印象としては、セレクトしすぎないセレクトショップという感じでしょうか。一般的な新刊書店と比べると、独特なセレクトになっている感じで、ディスプレイにも凝っているし、おしゃれな文具などの扱いもあります。ただ、気どった感じはまったくありません。雑誌、それもおしゃれ雑誌にかぎらず、子ども向けやお父さん向けのふつうのものなども並んでいましたし、男の子向けのコミックの新刊などもひと通りそろっていて、全般をカバーした品ぞろえになっているようでした。
近くに、福岡市文学館(写真上) があることもあってか、福岡本・郷土関連本の棚がなかなか充実していました。他の書店の郷土本棚では見かけなかった、文学館がらみの本・冊子類などの扱いもありました。こういうのが欲しかったんだよなあ、という感じの、福岡文学関連の本を数冊入手できました(写真下) 。
店内では、複数のユニークなフェアが展開中でした。なかでは、図書館の予約待ちランキングというフェアがなかなかユニーク。おおよその読了時間に予約人数をかけた時間をランキングにしたもの。ちなみに、訪問時の1位は『舟を編む』でした。
同店にはカフェスペースもあります。ちょうどお茶の時間だったので、ここでお茶をしていこうと決めていたのですが、イベントで使用中で、カフェスペースは試すことができませんでした。残念。
そうそう、イベントといえば、驚くべきは、同店開催のイベントの数。下の写真は店内で配布されていたイベント案内のチラシですが、両面にぎっしり、11月の1か月だけで、20ほどのイベントがあがっています。
見ると、全国区で名前を知られている有名人・有名作家が出演するものはあまりないようですが、地域に根ざした人選になっているということでしょうか。これだけのイベントをこのペースで実現できているというのはすごいことですね。
品ぞろえ、フェア、イベントなど、書店激戦区の福岡のなかでも、独自色を出すことに成功した、いいお店だと思うのですが、気になるのが立地。中心から離れているから即ダメということではもちろんないとは思うのですが、他の書店に比べると、やや、ぽつん、という感じがする立地に思え、実際、休日の人出でにぎわう天神の中心のほうに比べると、周囲の人通りの「密度」がまったく違うので、ちょっと心配になってしまいました。イベントが多いのは、わざわざ来てくれるお客さんを増やすための方策なんでしょうね。
リブロ福岡天神店、書斎りーぶると、昨年訪問できなかった、今回のメインのお店を紹介できたので、あとは簡単に。
↑ジュンク堂書店福岡店。もともと大きなお店(1700坪)でしたが、昨年訪問直後の12月に増床。現在は、東京の池袋本店や大阪・茶屋町のM&Jと同規模の、2060坪という超大型店となっています。今回の増床で、それぞれの売場はさらにパワーアップ、全フロアをこまかくチェックしたわけではありませんが、実用書や人文書などの品ぞろえはものすごいものになっていて、その圧倒的なボリューム感は、いくつかの売場をざっと歩いて回っただけでもすぐにわかります。
個人的にびっくりしたのが、地下1階のワンフロアを、丸善の文具と分け合っている洋書売場。東京以外では、以前にふれたことのある茶屋町M&Jの洋書売場を例外として、ここまで大きな洋書売場は見たことがないです。写真を1点も撮ってこられなかったのは残念。フロアガイドの写真だけだと広さのイメージが伝わらないと思いますが、実際の棚の感じはすごいものになっていましたよ。
3日の夜は、書店・出版関係者のみなさんが集まった飲み会があったんですが、その席でも、洋書の話題が出ました。価格差の問題で、和書以上に対Amazon問題が深刻なのが洋書。たくさんの本好きでにぎわう同店ですが、さすがのジュンクも洋書でこの規模を維持していくのは大変でしょう。ここに来れば洋書の実物を確認して買える、というイメージが広まれば、天神エリアにかぎらない、かなり広いエリアの洋書好きを取り込めるかもしれません。がんばってほしいものです。
次は、博多駅周辺に。まずは、丸善博多店。JR博多シティの8階にある、800坪のワンフロア大型店。
↑激オシ文庫フェアの棚を撮らせてもらいました。フリペ展もこのすぐ隣で開催中でした。昨年に引き続き、ちょうど知り合いの方がいない時間帯だったので、店内は取材できず。
続いて、紀伊國屋書店福岡本店。博多バスターミナル6階にある、1000坪超のワンフロア大型店です。
↑店内のフェアをいくつか撮影させていただきました。「THE BOOKS in Kyushu Okinawa」はミシマ社の『THE BOOKS』の中から《九州・沖縄の書店員が心からオススメする33冊!》(POPより)。
↑「ritokei シマのくらしの本フェア」は、かなり幅広く「島本」がセレクトされていて目を引きます。「筑豊文庫と筑豊の暮らし」といった、郷土色の強い渋めのフェアも。「激オシ文庫」も目立つ展開で、フリペ展もすぐそばに。棚前でお客さんの足を止めさせるための工夫が、店内のあちこちに見られます。
背の高い書棚が整然と林立する丸善博多店、店内を回遊するのが楽しくなるような配置の紀伊國屋書店福岡店。個性の違う大型店を続けて見るのは楽しいです。どちらも、駆け足で見るにはもったいないお店、もっとゆっくり見たかったなあ。
新刊書店のフェアといえば、ブックオカのイベント「第2回 書店フリペの世界展〜全国の書店員がつくった 小さな偏愛メディア」 (以下「フリペ展) 、各店の様子を見てきましたよ。
【“書斎りーぶる他新刊書店とフリペ展……福岡書店レポート その2”の続きを読む】
大変遅くなりましたが、先日訪問してきた福岡と熊本の書店の様子をレポートします。福岡は書店の数が多いので、今回は、昨年行けなかったお店と、リニューアルなどで昨年と様子が変わっているお店に絞って紹介します。(以下、店内の写真は、すべてお店の方に断って撮影したものです。写真は、11/2〜4ごろの様子で、現在とは棚やフェアの様子が変わっている場合があります。)
まずは、福岡編、天神界隈から。天神の書店は、今回は2店をピックアップ。まずは、昨年、ちょうど開店直前の時期にあたってしまって、見ることができなかったリブロ福岡天神店。
↑リブロ福岡天神店。岩田屋本館の7階にある、ワンフロア、330坪のお店。業界紙などの報道で店内の写真を見て楽しみにしていたのですが、期待以上のお店でした。
↑入り口付近。ふつうなら、新刊の面陳か売上ランキングなどに使われそうな場所に、「BOOK WALL」という棚が設けられていて、各ジャンル担当の方のおすすめ本が並んでいます。写真だとちょっとわかりにくいですが、お店の入り口脇の「一等地」に、この本を並べるのか!、といった、いい意味での驚きの本が並んでいたりして、すごくお店の主張のようなものを感じさせる棚になっています。ちなみに、ランキングはこの裏側。右はフェア用と思われる棚。季節が季節なので、今はこのときは日記・手帳。
↑ブックオカの主催イベントは「激オシ文庫フェア」は入り口のワゴンで展開。参加各店でセレクトが違っているので、全部のお店でチェックしたくなります。本には写真のようなフェア帯がかかっています。ちなみに、フリペ展も同じワゴンで展開中でした。フリペもお店によって配られているものが違うのですが、吉っ読の「ブックトラック」は、こちらでに置いていただきました。
この福岡天神店、リブロの他のお店とは什器など、店内の雰囲気がけっこう違っていて、独自な感じになっています。後でふれる「カルトグラフィア」や「わむぱむ」など、池袋本店と同じコーナーがあることから、もっと池袋本店寄りの雰囲気なのかと想像していましたが、同じなのはコーナーの名前だけで、お店全体としては、どこにも似ていない感じになっているように思えました。
↑什器もご覧の通り、この店独自のもので、色味といい、ジャンルガイドの表示といい、なかなかかっこいい。照明も、場所によって違うものが使われていたりなど、こまかいところにも工夫が。
文芸書の棚は、ひと昔前のリブロ池袋本店のそれを思わせるような雰囲気もあったりして、文学好きなら、にやりとさせられるかもしれません。(レギュラーでそうなっているのかはわかりませんが、ぼくが訪問したときは、海外文学の棚前では、パウル・ツェラン全詩集全3巻(!)が平積みになっていました。詩のコーナーは別にあるのに。)
写真は撮れなかったのですが、この文芸の棚の一角に、地元、福岡の作家の棚がありました。しかも、なかなかの充実ぶり。昨年、福岡の書店を回ったときは、地元作家棚・郷土本棚は、あちこちのお店になかったわけではないものの、あまり印象に残らなかったので、こういう棚に出会えるとやっぱりうれしいですね。
文芸以外のレギュラーの棚もなかなかおもしろいのですが、このお店の目玉はやはり「カルトグラフィア」「わむぱむ」といった、池袋本店の遺伝子を引き継ぎながら独自展開させたコーナーたちでしょう。順に見ていきます。
↑「カルトグラフィア」は、店内の中央より少し手前、レジの斜め前あたりにあります。ご覧の通り、レギュラーの棚とは、色味や形状の異なる、ブロックを組み合わせたような感じの什器が使われていて、店内で非常に目立ちます。1つのテーマでまとめられているのではなく、池袋本店1階のような人文をまとめた棚もあれば、フェアに使われている棚もあったりと、複数のテーマが同居、全体として独特の雰囲気を出しています。
↑とくに目を引いたのが、「BOOK COVER EXHIBITION 2012」の副題のある「BOOK at ME.」。B4判オールカラー16ページの立派なフェア冊子(写真中)によれば、《九州のクリエイター100人が「愛した本」のブックカバーをデザインします!!》ということで、その「愛した本」が並べられていました。人気の展示のようで、街を歩いていると、写真右のようなブックカバーセットの袋を持った人を何人も見かけましたよ。
このフェア、「イムズプラザ」がメイン会場のようですが、リブロにもこのような販売ブースが特設されていて、さらに、同店限定ということで、全100作品の「ブックカバーコンプリートセット」も販売されていました。おみやげに買っていこうと思ったら、なんと最後の1セット! 人気なんですねえ。というわけで、こんなたくさんのすてきなブックカバーを独り占めしていてもしかたないので、吉っ読の飲み会か、beco cafeのイベントのどちらかで、ブックカバー好きの方に配布したいなあなどと考えています。
↑開店前後のメディアの紹介記事で、もっとも多く取り上げられたのが、「わむぱむ」のコーナーでしょう。すてきな児童書コーナーはあちこちでたくさん目にしてきたつもりですが、この「わむぱむ」、実際に目の当たりにすると、すごいですよ。きらきらで、楽しくて、いい大人までうれしくなってしまいます。池袋本店のそれとも、まったく雰囲気の違う売場になっています。
円筒状のスペースで、天井はミラー貼りになっています。そこから写真にあるように、たくさんの本がぶらさがっています。棚は天井までの背の高いものですが、本は大人がふつうに手の届くあたりまで。大人の背を超えるあたりの一段には、絵本が面で並べられていますが、その上は空いているので、それほど広くはないにもかかわらず、圧迫感はありません。
写真が中途半端なアングルになっているのは、滞在中、ずっと子どもの姿が絶えなくて、お客さんを入れずに撮影することが不可能だったため。本当は、コーナーの入り口あたりから、全体をとらえた写真も撮ってきたんですが、何人もの子どもたちの姿が、お顔まで含めてばっちり写っていて、さすがに修正しきれず……。写真右は、外側部分で、棚がおもしろい形状になっているのがわかるでしょうか。外側も、高さをうまく使ったディスプレイになっていました。
【“リブロ福岡天神店はすてきなお店でした……福岡書店レポート その1”の続きを読む】
以前の記事 で、渋谷のパルコに書店関係の動きがいくつか続いたことにふれました。先日、店頭の様子をのぞいてきたので、簡単に紹介します。(すみません、ほんとは福岡と熊本を先にまとめなくてはいけないんですが、あちらは、分量的に大変で、まだ手こずってます……。)
↑渋谷パルコPart 1。ご覧の通り、6階が「シブポップ」と名付けられ、フロアガイドにも大きく朱書きされています。カルチャー関連のショップが集まったフロアになっていて、店舗のリストとフロアレイアウトは写真の通り。
↑エレベーターの扉にも大きな案内が出ています。中に入ると……ご覧の通り、『ONE PIECE』一色。これは、もちろん、6階にワンピースの公式グッズショップ「ONE PIECE 麦わらストア」が入っているため。関連記事はこちら。「渋谷パルコにワンピース公式グッズショップ「麦わらストア」-初の常設店」 (9/28 シブヤ経済新聞)。
↑渋谷サブカル書店。人通りの合間を縫うように急いで撮ったら、ぼけぼけ(涙)。かろうじて、白木調の書棚が並んでいること、棚の高さは控え目でワゴンのような台に雑誌類が面で並んでいること、などが見えるでしょうか。写真正面奥が、復刊ドットコムの棚で、その右あたりにレジ。さらに写真左奥に、書籍類の棚が続いています。約30坪。通路側が広く開いていること、什器の色が明るめであることもあって、古書店らしからぬ明るい感じのお店になっています。
お店全体の名前としては「渋谷サブカル書店」という名前になっていますが、母体になっているのは、江戸川区と千葉市に店舗のある古書店、草古堂。ショップカードも「草古堂」と大きくある横に「渋谷サブカル書店」のロゴが入ったものになっていました。
「復刊ドットコム」のリアルショップができた という記事を見て、どんな形態なのか気になっていたんですが、店舗内の売場という扱いで、とくに仕切りなどが設けられているわけではありませんでした。ただ、什器や本の陳列の感じは、他の棚とははっきり違うものになっているので、店内でも非常に目立ちます。(上のリンクに店内の写真あり。)
それ以外の古本の扱いですが、パルコ内の古書店ということで、いくら「サブカル」をうたっていても、やっぱりおしゃれ寄りなんだろうなあ、ぼくのようなおやじが買うものはないかもなあ、などと、訪問前は勝手に心配していたんですが、行ってみたら、うれしいびっくり。たしかに、ファッション誌や美術系洋書などはたくさんありますが、ひと昔前のマンガ・アニメ・特撮関係など、ぼくのようなボンクラ系のおやじ大歓迎みたいな本がたくさんあるのです。
先の写真で、お店の通路側に白い柱が見えていますが、その左側、店舗の入り口側の目立つところに、サンライズのムックとか、松本零士のアニメ関係の本とか置いてましたからね。立地から勝手に、おしゃれ古書店だろうと決めつけていたのを深く反省。持ってなかった、SF関連の雑誌と、特撮(しかもソフビ!)関連本を購入してきました。やっほー。
店内の商品が、そういう路線のものばかりかというとそんなことはなくて、数はそれほど多くはありませんが、いわゆる古本らしい古本もちゃんとあります。何があってどんな値付けで、などとこまかいことは書きませんし、チェックもできていないのですが、マンガ・アニメなどのサブカルやファッション雑誌などに興味がない古本好きが見ても、楽しめる棚になっているのではないかなあと、そんな気がしました。
先にリンクをあげた「復刊ドットコム 社長blog」の記事「No.163「渋谷サブカル書店OPEN」」に店内の様子が写っていますから、それらも見てみてください。
斜め前には、ヴィレッジヴァンガードフリークス渋谷パルコ があります。サイトの案内によれば、《普通のヴィレヴァンはもう飽きた!よりマニアックに、より(店長の)欲望を追求した店舗が渋谷パルコに誕生! アニメ・コミックス・フィギュアなどなどそっち系に偏りまくったお店です! あなたの中に眠っている新たな欲望を刺激させます!》というこのお店、ふつうのVVも、十分にマニアックに思えるぼくのような薄口の利用者には、従来のVVとの違いまでは残念ながらわからないのですが、ざっと一周した印象ではたしかに、マンガやアニメ関係は多めに見えました。
このほか、先に書きました通り、『ONE PIECE』のショップもありますし、おやじには無縁だろうと思ってスルーしてしまったのですが、先日お目にかかった方(男性)によれば、「すごくおもしろい!」というSHIBUYA GIRLS POP もあります。「シブポップ」「サブカル」といった、キーワードだけでスルーしてしまう人が、とくに本好き書店好きにはいるかもしれませんが、ものは試しと思って、一度見に行かれるといいと思いますよ。他のショップのことはわかりませんが、少なくとも、「渋谷サブカル書店」は、空犬通信を訪問してくださるような方ならば、けっこう楽しめるのではないかと思います(実際、ぼくも先日訪問したときは、荷物が重くて、何冊もあきらめちゃったのがあるので、再訪しなくては、と思っているところなのです。)
【“渋谷パルコに「シブポップ」?!……渋谷サブカル書店を見てきました”の続きを読む】
以前に、この記事 とこの記事 でふれましたが、最近、書店本が続きますよね(後者で紹介した本は、その後、書名・発売日などが変わっていますが) 。今月も気になる書店本が出ましたよ。早速紹介します。
『独裁者の最強スピーチ術』(星海社新書)などの著書をお持ちの川上徹也さんの新刊。書名通りの、あったかいイメージの本に仕上がっていますね。(カバー装画は須山奈津希さん。本文にもカラーのイラストがいくつも入っています。)
内容紹介に、《全国15000軒もの本屋さんで、日々生まれている意外と知られていない心温まる物語を紹介》とあるように、本屋さんを舞台とする、あったかいエピソードを28編収録したもの。各編の語り手・主人公は、書店員の方が多いのですが、一般読者の方(高校生、それになんと、中学生まで) のエピソードもあります。
最初の1編は、「宮城・書店店主」さんによる「一冊の『ジャンプ』」。「伝説のジャンプ」を冒頭に持ってくるのは、ちょっとずるいかもしれませんが(笑)、でも、本全体としては、震災ものや、大きめの感動話に頼っているわけではなく、もっと小さな、ほんとにパーソナルなエピソードも話もあります。いろいろな地域の、いろいろなお店の、いろいろな人のエピソードが集められています。
こういう「いい話」、ハートウォーミングな話を、甘ったるいと感じる人も、もしかしたらいるかもしれません。でもね、いま書店の話というと、1日1店閉店だの業界が苦況にあえいでいるだのといった、乱暴で気落ちさせられるようなまとめ方をされることが多いですよね。別にそんな書き出しにする必要がない記事まで、「活字離れから書籍販売が落ち込む中」だの、「出版不況で本が売れない中」だの、そんな書き出しのものばかり、メディアでは、閉店だ店舗数減少だ苦戦だ、と、そんなことばっかり書かれてるわけですよね。
そんなときだから、「書店ってやっぱりいいよね」ということを、ちょっとストレート過ぎるぐらいストレートに伝えてくれる本があってもいいと、ぼくは個人的には思うのです。
書店のことが好きな方はもちろんですが、それよりむしろ、毎日のように利用したり街で見かけたりしているから当たり前のような存在になっていて、書店を特別な存在として気にしたことなどない、という方にこそ、ぜひ手にとっていただけたらなあ、と、そんなことを思います。(残念ながら、そのような方が、こんな書店の話だらけのブログを訪問して、こんな記事を読んでいる可能性は低いでしょうが(苦笑)。)
著者の川上さんは、ほんとに書店がお好きな方で、書店のことばかりやたらにブログやツイッターに書いている当方のことも、それで目に留められたのでしょう。ぼくが主催しているイベントに参加してくださったことが何度かあり、それがきっかけで、お話するようになりました。今回の本には、たくさんのエピソードが必要ということで、知り合いの書店員さんをご紹介するかたちで、少しお手伝いさせてもらえたのは、書店好きとしてはうれしいことでした。(巻末のSpecial Thanksに名前を載せていただいているのは、そのような経緯でのことなのです。大したことをしたわけではないのに、ありがたいことです。)
本の巻末と版元のサイトに案内がありますが、この本、続編が出るかもしれません。《「本屋さんに行こう!」大賞のご案内 本屋さんで本当にあった物語を大募集! 本書の出版を機に、あさ出版では、本屋さんのエピソードを今後も紹介していきたいと考えています。みなさんが、体験、経験した本屋さんでの物語を、ぜひご応募ください》。本書を読んで、自分にもこんな体験があったなあ、などと思われた方(とくに書店員さん限定、ということではないようです) は、応募してみてはいかがでしょうか。詳細は、本書の巻末と、こちらのサイト に出ています。
西荻窪beco cafeで、ほぼ毎月開催している出版・書店関連テーマのトークイベントbeco talk。その第3弾、「いか文庫」店主さんが出演する「「いか文庫」が「いか文庫」になるまで」 は、今週金曜です。
beco talk vol.3 エア書店員インタビュー「いか文庫」が「いか文庫」になるまで 日時:11月16日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 会場:beco cafe (東京・西荻窪) 会費:1000円(ワンドリンク付き) 出演:粕川ゆき(いか文庫「店主」) 、空犬(吉っ読) おかげさまで定員となり、予約受付終了となりました。ありがとうございました。
イベント終了後、お店の閉店まではドリンクタイムとして、出演者とお客さんのみなさんでお酒を飲みながらおしゃべりを楽しめる時間ももうけています。イベントは満員ですが、こちらの打上は、わずかながら余裕もあります。ぜひ打上だけでも参加したい、「いか文庫」さんと直接おしゃべりもしてみたい!という方は、空犬通信のコメント欄かツイッターでご一報ください(ご連絡なしで来られた場合、お店が満員だと入れない場合がありますので、必ずご一報いただけますよう、お願いします。) 。
beco talkに合わせて、beco cafeに「いか文庫棚」も誕生しました。じゃーん。
↑全貌。先日の古書棚出品の記事 で紹介したときからは、点数も増え、ディスプレイもパワーアップした完成形になっています。
↑メンバーが選書した本や「いか文庫」グッズたちが並んでいます。販売もあります。
この棚は、イベント前はもちろん、イベント後もしばらくはそのまま継続で、自由に見られます。この棚を見るだけでも、「いか文庫」のみんながいかにユニークな人たちかがよくわかるような、そんな楽しい棚になっています。11/16のイベントには来られないという方も、ぜひこの「いか文庫棚」をbeco cafeに見に来てください。
名古屋書店レポートの続きです。今回は、名古屋駅周辺から。
↑三省堂書店名古屋高島屋店。デパート内のお店ということで写真が撮れなかったので、代わりにフロアマップを。資料によれば、560坪とのことですが、開放的な造りとにぎわいのせいか、数字よりも大きく見えます。バランスのいい品ぞろえに、ぐるりと店内を1周すれば主要ジャンルが目に入ってくるように工夫された配置の妙。札幌、大阪などもそうですが、三省堂書店は、こういう商業施設内のワンフロア型店舗のお店造りがうまいですね。
続いて、近鉄のファッションビル、近鉄パッセへ。8階には、星野書店近鉄パッセ店が入っています。ワンフロア、300坪。きらきらのお店がぎっしりのビルなので、エスカレータで上にあがっていくだけで、おやじはくじけそうになります……。
お店は、アイドル写真集やコミック、BLなどのジャンルの、品ぞろえや関連イベントの充実で知られるお店だとのことで、たしかに、店内の「色味」が、なんだかきらきら。やはりここでも、おやじはなんとなく落ち着かない(苦笑)。でも、だからこそ、三省堂書店名古屋高島屋店という、全方位にすきのない品揃えの、強力なライバルが徒歩圏にありながらも、この活気このにぎわいを維持できているのでしょう。
同じ駅からすぐの商業施設内のワンフロア店舗ながら、まったく雰囲気の違うお店になっていて、客層もはっきりと分かれていそう。やっぱり得意分野がはっきりしていて、その層のお客さんをがっちりつかまえているお店は強いですからね。その意味で、好みがどうとかそういう問題とは別に、強烈に印象に残るお店です。こちらも、残念ながら、写真はなし。
↑星野書店を見てから訪れると、その落ち着いたたたずまいと静かな店内の雰囲気に癒されます。ジュンク堂書店名古屋店。駅がすぐ見える立地ではあるものの、ちょっと歩かなければならないという微妙な立地。300坪と、ジュンク堂にしては小さめのお店ですが、背の高い什器の林立するお店ですから、在庫点数的には、先の2店を大きく上回っていそうです。
名古屋駅、見事にカラーが異なる3者が駅周辺、それも同じ出口側にそろっているわけですね。おもしろいバランスだな、と思いました。
続いて、それ以外のエリアの書店を。まず、最初は、地下鉄駅でいうと桜通線の高岳(たかおか) 、住所でいうと名古屋市東区東片端町にある、正文館書店。
2フロア、380坪の中規模店。こまかく売場が区切られた、おもしろいフロア構成になっているので、くわしくは、サイトの案内 を見てみてください。
【“名古屋駅周辺、その他エリアの新刊書店たち……名古屋書店レポート その2”の続きを読む】
先日の記事 でご案内しました通り、西荻窪のブックカフェ、beco cafeがちょっとだけ改装、明日リニューアルオープンとなります。今日は、関係者で、リニューアルを祝う、前祝い会をやってきました。楽しかったなあ。
今回のリニューアルの目玉の1つは、本の販売の開始。新刊と古書の両方の扱いがあるのですが、うち、古書棚については、beco cafe関係者数人で手分けして本を出品し、棚を埋めることになりました。
古書棚の選者は、まあぶる舎さん、夏葉社の島田さん、そして、わたくし空犬の3人。まあぶる舎さんは古書関係の方なんですが、島田さんと空犬は、ただの古本好きで、素人です。なので、それなりの棚にしかならないかもしれませんが、そこは、素人がすること、ということであたたかい目で見ていただければと(苦笑)。
↑こんなショップカードも作っちゃったりして。
西荻窪と言えば、音羽館さん、盛林堂さん、にわとり文庫さん、しばらく前に新しくできたモンガ堂さんほか、いくつもの個性的な古書店が集まっている、古本好きにも人気の街です。うち、盛林堂さんのように、棚を複数の出品者で分け合うモール形式をとっているお店がすでにあります。そのようなプロの手になるプロのお店が近くにあるわけですから、beco cafeが付け焼き刃で古書を扱ったところで、対抗できるわけもありませんし、そもそも最初から「対抗」などという恐れ多いことも考えていませんから、張り合おうなどというつもりは毛頭ありません。。
ちなみに、ぼくの出す本ですが、最近買って読んだ本を並べただけの、新古本だらけの棚になっちゃったらつまらないので、それなりに、自分の得意分野の本を集めてみました。ただ、当然のことながら、手放したくない本は出さないし出せないから、となると、微妙なものを放出することになるわけで、その意味では、我ながら、けっこう微妙なセレクトかも……。このセレクトで、「うわ、こんな本を選んでるのか」などと判断されちゃったら、困るなあ(苦笑)。こんな路線です、とひとことで言えるような特色を出せるほど、点数自体がないのですが、一応、SF関連(サンリオSF文庫とか古い創元SF文庫とか) や、本・書店・出版関連の本は、複数出すつもりです。
↑空犬書房の棚なので、当然、こういうジャンルの本が置いてあったりします。
プロのみなさんはもちろん、一般の古書好きの方から見ても、お遊びにしか見えないようなものだと思いますが、beco cafeに飲食に来られた際には、ぜひ本の棚も見ていっていただければと思います。青衣茗荷さんの手になる、すてきなブックカバーもかかりますので。
↑beco cafeのブックカバー。
↑ブックカバーのイラスト・デザインを手がけたのは、「文芸通信」の青衣茗荷さん。最新、第7号が届きましたので、凝りに凝った封筒と一緒に紹介しておきます。
【“beco cafeの古書棚に出品します”の続きを読む】
写真と資料を整理しているうちに、あっという間に一週間以上が過ぎ、さらに福岡・熊本行きが入ってしまい、整理すべきアイテムは倍増、さぼっているわけではないのに、なかなかレポートを上げられず、毎晩泣きながらお酒に逃避している空犬です。
小田嶋隆さんは『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社)のなかで、《いきなり本題にはいることが、多くの場合、正しい選択になる。読者は誰も弁解なんかを聞きたいとは思ってはいないのだし、弁解をしている側も、本心では自分の弁解を信じているわけではないからだ》としています。言葉もありません……。《とすれば、弁明や申し開きみたいな非コラム的な要素のために行数をついやすのは愚の骨頂》。まさに「愚の骨頂」の見本市みたいな記事を垂れ流している書き手がここに……。
大変遅くなりましたが、先日訪問してきた名古屋の書店の様子を、ごくごく簡単に(って毎回書いては、結局毎回冗長化しているる気がしますが) レポートします。ふつうに書くと例によって、長くなりがちなので、たくさんお店は見てきましたが、いくつかのお店に絞って紹介することにします。(以下、店内の写真は、すべてお店の方に断って撮影したものです。写真は、10/21、22ごろの様子で、現在とは棚やフェアの様子が変わっている場合があります。)
まずは、千種・今池界隈から。千種と言えば、ちくさ正文館。駅からすぐのビル2階にちくさ正文館ターミナル店が、歩いて少し先に本店があります。ターミナル店はワンフロアで130坪、本店は路面店で150坪ほど。
↑ちくさ正文館ターミナル店。ぼけぼけですみません……。
ちくさ正文館と言えば、本店のことをイメージする方が多いと思いますが、実際には、2店は、扱うジャンルなどをうまくわけていて、2店合わせて300坪弱のお店、という感じになっています。ターミナル店のほうでは、本店で扱いのない学参やコミックなどをしっかり置いていて、学生のお客さんの姿も目立ちます。
本店の古田さんにお話をうかがいましたが、お店の方もそういう意識だったそうで、2店合わせた300坪弱というサイズは、今のように超のつく大型店が同一商圏に複数林立するような時代になる前は、名古屋でも大きいほうのお店だった、といいます。
↑ちくさ正文館本店。
店内、2階のイベントスペースをのぞくと、1階は大きく3つに分かれています。同店の名を読書人の間に知らしめているのは、人文書の並ぶ一画。
↑どの棚も個性的かつ印象的で、どれを取り上げていいのか迷います。壁際の棚の歴史書や思想書はこの規模としては圧巻の品揃えですが、古田さんいわく、10年ほど前までは1.5倍はあった、とのこと。いやはや。詩集や文芸評論も充実。出版文化史好きとしては、いわゆる「本の本」関連の充実も見逃せません。このジャンルに関心のある身としては、古書ならともかく、新刊書店に並んでいるこのジャンルの本で、持っていない本読んでいない本はあっても、知らない本というのはあまりないという自信があったんですが、なのに、悔しいことにというか、うれしいことにというか、知らない本が並んでいたりします。2000坪のジュンクの棚に、ではなく、150坪のお店の棚に、ですよ。すごい。
このジャンルはすごいですね、こんな本も置いてるんですね、と、そんな感想や質問ばかり漏らしていたら、古田さんいわく、「10年ぐらい前までは、雑誌もほとんどおいてないような品ぞろえだったからね」。そして、「うちは、そういう(のを求める) お客さんが来るから」と。
ちくさ正文館本店だけで、2、3回分の記事が書けるぐらいのネタがあるのですが、今回はこれぐらいにしておいて、また、いつかあらためて紹介することにしたいと思います。あなたが書店好きならば、このお店を訪問するため「だけ」でも、わざわざ千種を訪ねる甲斐があると思います。
↑児童書専門店の老舗、メルヘンハウス。ここは、大変にいい思い出のあるお店で、看板を、そして、ファサードを見るだけで、うれしくなってしまいます。思い出話を書いていると長くなるので、レポートの後でふれることにします。
↑鎌倉文庫今池ガスビル店。地下鉄駅の真上、交差点の角という好立地の、駅前書店。80坪。バランスのいい品揃えに、明るい店内、ふだん使いによさそうなお店です。
【“千種・今池・栄周辺の新刊書店たち……名古屋書店レポート その1”の続きを読む】
ぼく同様、ファンでも知らなかった人が多かったからでしょうか、ツイッターで紹介したところ、たくさんの方が反応されていたようなので、あらためて記事でも紹介したいと思います。こんな無料冊子ができていましたよ。
晶文社発行の無料冊子「レイ・ブラッドベリ」。大手3社の夏文庫冊子のような体裁の文庫判で、56ページ。作家では、いしいしんじさん他、翻訳家では小川高義さん、伊藤典夫さん他数人が、エッセイや追悼文、解説などを寄稿しているほか、邦訳書リスト、略年譜なども掲載されています。
さすが、主要作・代表作を含むブラッドベリ作品数点を刊行している晶文社。コンパクトながら、中身の濃い冊子に仕上がっていて、ファンならばぜひ手元に置いておきたい1冊になっていますよ。ぜひ、書店店頭で探してみてください。ちなみに、ぼくは、東京堂書店で入手しました。
前回の記事に書いた通り、この週末は、福岡と熊本に行ってきます。福岡で開催中のブックイベント「ブックオカ」 の「一箱古本市」 を楽しんでから、博多駅と天神界隈の書店のうち、とくに昨年回れなかったお店を中心に、いろいろ見てくることができました。
「一箱古本市」は天気にも恵まれ、昨年同様、大変なにぎわいでしたよ。売上も好調だったようで、前年のそれを上回ったとか。福岡の書店も元気で、リブロと書斎りーぶるを時間をかけてじっくり見てきたほか、増床となったジュンク堂書店もチェックできました。
今日は昼から熊本に移動。前々から気になっていた長崎書店を見てきました。熊本も書店の充実している街で、回りがいがありました。なかでも、長崎書店さんのすばらしさは予想以上で、取材と買い物合わせて2時間以上いたのに、それでも最後は買い物の時間が足りなくなってしまうほどでした。
福岡と熊本の書店の様子については、近日中に、空犬通信で簡単にレポートする予定ですが、撮ってきた写真の枚数もすごいことになっているし、見聞きしてきた情報量も大変なことになっているので、まとめるのに少し時間がかかるかもしれません(2日と1晩で撮った福岡と熊本の写真、帰宅して、とりあえずPCにコピーしたところ、500枚を超えていました……) 。
福岡・熊本で、応対してくださったりお店をご案内してくださったりした書店員のみなさん、それから、昨日の晩、酒席に付き合ってくださったみなさん、あらためて、ありがとうございました。今回はとくに、リブロ福岡天神店のみなさんと、長崎書店のみなさんにお世話になりました。夕方の忙しい時間帯にお店を丁寧にご案内くださり、昨日は楽しい酒席も設けてくださったリブロのみなさん、出迎えに見送りに食事の店の世話に店内の案内にと、最初から最後まであたたかく迎えてくださった長崎書店のみなさん、本当にありがとうございました。
↑くまもん人気はすごいですね。熊本は駅も空港も、くまもんだらけ、という感じでした。町歩きに疲れて、休憩にと買った缶コーヒーにまでくまもんが。おみやげ屋さんはもちろん、くまもんでいっぱい。いい年のおやじがくまもんでもなかろうと、何を買うつもりもなかったのに、見ているうちに、なんだかかわいく思えてきて、家族用だからね、娘のためだからね、と、誰に言い訳が必要なわけでもないのに、自分に言い聞かせながら、こんなに買ってきてしまいました。
今週末は、福岡に行ってきます。開催中のブックイベント「ブックオカ」 の「一箱古本市」 をのぞいて、博多駅と天神界隈の書店を回ってくるつもりです。今回は、熊本にも足を延ばし、念願だった、長崎書店ほか、熊本の新刊書店も見てくるつもりです。ブックオカと長崎書店については、先日の記事 でもふれましたので、よろしければ、そちら もご覧ください。
福岡と熊本の書店の様子については、後日、空犬通信で簡単にレポートする予定です。(名古屋のレポートも、まだまとめきれていないのでした……。忘れているわけではないのです。写真が多すぎて、整理やら整形やらが大変で……。)
ところで、先日、Webの出版・書店関連記事をチェックしていたら、福岡の書店の様子や、「天神書店戦争」、ブックオカなどにふれた記事が目につきました。ちょうど福岡訪問の直前ということもあり、興味深く拝見しましたので、紹介しておきます。「キンドルを伏せて、街へ出よう」 (10/28 マガジン航)。
この空犬通信では、イベント会場としてたびたび登場している西荻窪のブックカフェ、beco cafe 。今年の6月に2周年を迎えた同店が、まもなく11/10に、リニューアルオープンすることになりました 。
「リニューアル」といっても、そんなに大きな変更があるわけではありません。本が読めて、おいしいお酒が飲めて、という居心地のいい雰囲気はそのままに、少しだけ、店内のレイアウトや席数が変わります。
今回のリニューアルで、いちばん大きい変更は、本の販売を始めることでしょうか。新刊・古書、両方の扱いがあります(ちなみに、古書のほうには、わたくし空犬もちょっと関係していたりします) 。beco cafeオリジナルのブックカバーもできましたよ。
↑ブックカバーはこんな感じ。イラスト・描き文字は、「文庫と文芸通信」「青衣茗荷の文芸通信」の青衣茗荷 さんです。
本の関係では、わたくし空犬が企画・主催している同店のイベント、beco talkに連動したフェア棚(販売あり)も設置されることになりました。このフェア棚は、リニューアルに先行して始まっていまして、先日、10/26に行われたbeco talk vol.2「ハマザ企画会議」連動の「ハマザキカク棚」 がbeco cafe、入り口入ってすぐ右、カウンターの端あたりで展開中です。これらの本は販売もしています。フェア棚の位置は、リニューアル後は、別の場所になる予定です。
リニューアルの改装のため、お店は、11/6(火)〜11/9(金)の3日間、お休みとなります。リニューアルの詳細、営業時間・メニューの変更などにつきましては、お店の案内 をご覧ください。
同店のシリーズ企画、beco talkも、おかげさまで、夏葉社・島田さんの第1回、ハマザキカクさんの第2回とも満員のうちに終わり、次回11/16、「いか文庫」店主さんが出演する第3回も満員になっています。せっかく順調に定着しつつあるイベントです。これは来年もぜひ続けたいということで、お店と相談、お店のリニューアルにあわせ、来年前半の予定を発表することになりました。くわしくは、こちら のページをご覧ください。
リニューアルで(ちょっとだけ) 生まれ変わるbeco cafe 、そして、同店の定番イベント、beco talkを、これからもどうかよろしくお願いします。
西荻窪のブックカフェ、beco cafe で、ときどき、出版・書店関連(ときどき、音楽関連も) のイベントを企画・主催しています。ご興味のある出演者、テーマなどがありましたら、ぜひ遊びに来てください。(予約などの詳細、出演者のプロフィールなどは、イベント一覧の後にあげてあります。)
◆2013年前半のbeco cafeイベント◆
beco talk vol.4 でるべん 勉強会続編「他店の棚」vs.「空犬通信」 やっぱり「棚」はおもしろい 日時:2013年1月18日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:石井伸介(プレジデント社) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 2012年8月に開催された、でるべん勉強会のトーク 、再び。前回に紹介できなかったお店や新しいお店を、書店マニア編集者が二人がかりで語りまくります。 *終了しました。beco talk vol.5 公開講座こんな店、知ってる? 「本屋さんか」とミニコミの時代 日時:2013年2月15日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:どむか(書店マニア) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 80年代に発行されていた幻の書店ミニコミ『本屋さんか』。その作り手に、現代版&blog版「本屋さんか」=空犬通信の主催者が、書店テーマの情報発信の「これまで」と「これから」の話をうかがいます。 *終了しました。beco talk vol.6 刊行記念トーク「100店営業を目指して」 『書店ガール2』はいかに書かれたか 日時:3月29日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:碧野圭(作家) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 特別ゲスト:高倉美恵(ブックオカ実行委員) 2012年に文庫化され、話題を呼んだ書店員小説『書店ガール』。その続編の刊行を記念し、日本でいちばん書店を回っている作家が、書店と小説について語ります。 *終了しました。beco uta vol.2 アコースティックライヴみぎたとしき FOLK*ROCK*BOOK 日時:4月12日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:みぎたとしき 昨年の「ブックンロール2012」のライヴパートで、「きみはいい子」を披露、その日のライヴで、会場の拍手をもっとも集めた男、みぎたとしきが歌います。 *終了しました。beco talk vol.7 公開ガールズトーク女子から見た書店あれこれ 日時:4月26日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:粕川ゆき(いか文庫) 、日比藍子(往来堂書店) 、宮重倫子(July Books/七月書房) エア書店員、新刊書店員、古書店員の女子3人が、本と書店とその他諸々の話を、あれこれとかわしあう、書店員ガールズトーク。 *終了しました。beco talk vol.8 吉祥寺書店員座談会我々が吉祥寺の「本屋」です 「吉っ読」と「ブックトラック」 (仮) 日時:5月31日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:花本武(BOOKSルーエ) 、栗田克明(リブロ吉祥寺店) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 、他 吉祥寺書店員の会「吉っ読」のメンバーである吉祥寺の書店員たちが、街と本と書店と人と、その他いろいろ、そして吉祥寺の書店のこれからを語ります。 *事情により、中止となりました。beco talk vol.8 刊行記念トーク『本屋図鑑』ができました 公開編集会議、経過報告編 日時:7月26日(金) OPEN 19:00 START 19:30(〜21:30) 出演:島田潤一郎(夏葉社) 、鈴木茂(アルテスパブリッシング) 、空犬(吉っ読・空犬通信) 2012年7月の公開編集会議以降、『本屋図鑑』がどんなふうに造られたのかを、吉祥寺出版仲間の3人が語ります。公開編集会議の続編的報告会。 *予約は、6月3日から受付予定です。 【“西荻窪beco cafeで予定している2013年前半の出版・書店・音楽関連イベントです”の続きを読む】
| ホーム |