今日は、まもなく始まる、こんな原画展の紹介を。
今年は、「横溝正史生誕百十周年記念」とのことで、先ごろ、角川文庫の横溝作品25点が、杉本一文先生の装画で復刻されました。往年の角川横溝作品の表紙を飾った杉本一文先生の原画を集めた展示です。今回復刻されるタイトルとそのカバーは、こちら、角川のサイトで見られます。「横溝正史生誕百十周年記念」 (角川書店)。
原画展、期間は6/1(金)~6/10(日)、場所は6階にある東京堂ホール。原画展の案内のポストカードがあります。東京堂書店のツイッター(@books_tokyodo)の案内を引きます。《東京堂ホールオープン記念イベント、「杉本一文原画展」ですが、HP掲載のイベント案内をポストカードにして東京堂書店神田神保町店店内にて配布しております。設置場所は一階入り口入ってすぐ右のフェア、一階レジ横、二階カフェ階段前です。》
探偵者であれば、これは入手しないわけにはいきませんよね。というわけで、早速、東京堂書店でポストカードをゲット。そしたら、先日、杉本一文先生からも、ご案内の葉書(店頭で配布されているのと同じもの)を頂戴してしまいました。先生、ありがとうございます!
↑これがそのポストカード。
角川横溝は『シナリオ悪霊島』以外は全部持ってるから、復刻のほうは、店頭で眺めて楽しむだけにして、今回は原画展だけ忘れずにチェックすればいいよねー、と気楽に思ってたら、おお、葉書に見慣れぬ表紙が。おっ、復刻といいながら、新デザインが混じっているではないですか。『人面瘡』と『首』がそれ。この2点、「金田一耕助ファイル」シリーズに含まれていますが、そのときは、同じ装画ながら、デザイン(トリミング)の違う、こんなカバーで出てました。
↑これ。
それが、往年の杉本装画作品と同じタイプのデザインにそろえられたわけですね。それは買わざるを得ないなあ。ちなみに、前者は旧版『花園の悪魔』の改題で、後者は旧版の中のいくつかの作品を集めた、旧版にはない「金田一耕助ファイル」オリジナルの作品集。
「復刻」をうたう以上、デザインを変えたものがある場合は、説明があるのが親切だと思うんですが、新しいファンに届けるのがメインということで、そんなマニア相手の情報は要らないよ、という判断なんでしょうか、サイトにも葉書にも、本自体にも何も言及がない。なかなか悩ましいですねえ(苦笑)。
しかも、さらによく葉書見たら、手元にあるのとは違うバージョンの装画のも混じってるなあ。『夜歩く』とか『女王蜂』とか。『女王蜂』なんて、手元にすでに2種あるのに、別のバージョンのが選ばれてる。角川横溝は異装が多くて、ファン泣かせなんですよね。2種はごろごろ、3種もあるし、1点で4種というのは手元にはないけれど、ひょっとしてあるのかな。なにしろ、装画を手がけた杉本一文先生ご自身も、何種描いたか自分でもわからないのがある、って、個展におじゃましておしゃべりさせていただいた際に、おっしゃってましたから。ますます悩ましい。
今回の復刻に、『悪霊島』の杉本イラスト版が入っているのを喜んでいるファンもいそうですね。別に特別にレアなわけでもなんでもないですが、映画のスチールを使った版のほうが圧倒的に多く出回ったようで、杉本装画版を知らない横溝ファンもいたりするのだとか。背だけで見てると(ふつうには)わかりませんからね。ちなみに、背で見分ける方法があって、喜国雅彦さんの『本棚探偵の冒険』で紹介されてました(「黒背表紙を求めて」前編・後編。角川横溝を集めるのに役立つ情報がたくさん載っているので、ファンで未読の方はぜひチェックを)。スチール版は、書名は通常のフォント(黒背に明朝系フォントが青字で乗るパタン)なのに、イラスト版は書名はそのままで上下の表記だけがゴチ系のフォントで黄色になっているんですよね。ぼくも、これを読んだおかげで、難なく発見できました。
そういう、こまかい話はさておき。先日、東京堂書店で、復刻カバーの角川横溝のうち新デザインの2点を購入しまいた。
【“東京堂書店で6/1からです……復刻角川横溝「杉本一文原画展」、そして本の雑誌関連の展示も”の続きを読む】
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出演者などの詳細が決まったということでアップした、先日のブックンロールの告知記事 、たくさんの方にツイッターやFacebookで拡散にご協力いただきました。WEB本の雑誌の「イベント&フェア情報」にものっけてもらいました。「ブックンロール Book'n'Roll Vol.4」 。ありがとうございます。
イベントまでちょうどひと月になりましたので、もう一度、イベントのご案内をいたします。
ブックンロール Book'n'Roll 2012 ~上を向いて歩こう~ 日時:2012年6月29日(金) OPEN 19:00 START 19:30(~22:30) 19:40ごろ ライヴの部 START 21:15ごろ トークの部「何でも見てやろう」START 場所:ルースター・ノースサイド (東京・荻窪) 杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007 http://ogikubo-rooster.com チャージ*:1000円+ドリンク500円 出演: (トークの部)淺井 康雄 (ブックポート203緑園店) 上田 砂由里 (BOOKS隆文堂) 長谷川 仁美 (BOOK EXPRESSディラ大宮店) 花本 武 (BOOKSルーエ) 比嘉 栄 (三省堂書店新横浜店;司会) 新井 見枝香(三省堂書店有楽町店) ※新井さんは都合により、今回は出演できなくなりました。 (ライヴの部)長谷川バンド (BOOK EXPRESSディラ大宮店長谷川さんのバンド) C調ボーイズ (夏葉社島田さんのバンド) みぎたとしき (ソロ) ブックスピストルズ (「吉っ読」のバンド) いくつかご報告があります。まず、イベントの副題とトークの部のタイトルが決まりました。あと、トークの部の出演者ですが、残念ながら、三省堂書店有楽町店の「くいしんぼう」こと新井見枝香さんが出演できなくなってしまいました。メディアへの登場頻度も高く、業界内外の注目を集める、今もっとも勢いのある書店員の一人だけに、トークを楽しみにしていた方も多いかと思います。我々も残念ですが、また機会あれば、ぜひ吉っ読のイベントへの出演を実現したいと思います。
代わりに、ブックンロールのトークではおなじみ、BOOK EXPRESSディラ大宮店の長谷川仁美さんが出演します。業界内外の知名度、店頭での展開のユニークさ、パワフルさでは長谷川さんも負けていません。今回はライヴとのかけもちで、準備も大変だろうと思うのですが、過去2回をうわまわる、プロの技を見せてくれるはず。楽しみにしていてください。
そうそう、「プロの技」と言えば、トークの部のほうは、まさに「プロの技」をお見せできるものと、企画者としてもけっこう自信があるのですが、ライヴの部のほうは、はっきり言って素人のお遊びです。
ライヴ出演者のなかで、ふだんからライヴ活動をしているのは「みぎたとしき」だけ。ほかにも、数人、バンドをやっている、楽器を長くやっているというメンバーはいるものの、多くは、「ど」のつく素人です。音楽はおそらく、相当に拙いものになるだろうと思います。拙いながらも、めいっぱい楽しんでいる様子だけはお見せできると思うのですが、そのような、実の伴わない下手な音楽にあまり寛容でない方は、トークの部のほうから遊びに来ていただくほうがいいかもしれません(苦笑)。
イベントは、ライヴの部、トークの部の2部構成です。前半、ライヴの部は19:40ごろのスタート、後半、トークの部「何でも見てやろう」は21:15ごろのスタートとなります。どちらかだけ見たいという方は、だいたいこの時間に合わせてお越しください。ただ、席数があまりありませんので、途中から来られた場合、立ち見になる可能性がありますので、その点はあらかじめご了承ください。
終演は22:30ごろの予定です。イベント終了後、お店が閉店となる24時前までは、ドリンクタイムとなります。トークの部では、質疑応答などの時間はもうけませんので、トーク出演者にいろいろ聞いてみたい、一緒に本や書店の話をしたい、ライヴ出演者と音楽の話をしたい、単にわいわいお酒が飲みたいという方は、ぜひイベント終了後も残って、一緒にお酒を飲んでいってください(ドリンクはキャッシュオンデリバリー方式になります)。
今回も、昨年同様、予約などは必要ありませんので、当日、直接会場にお越しください。その他、トークの内容、出演者のプロフィールなどにつきましては、前回の告知記事 をご覧ください。
それでは、来月、6/29(金)、荻窪にて、ブックンロール出演者+スタッフ一同、本好き書店好き音楽好きのみなさんのお越しを心からお待ち申し上げております!
今日、仕事の用事であちこちの書店に寄ってきたんですが、うち、往来堂書店で、こんな本たちを買ってきましたよ。
小野智美『50とよばれたトキ 飼育員たちとの日々』 (羽鳥書店) 新雅史『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』 (光文社新書) 平出隆『澁澤龍彦 夢のかたち I』 (via wwalnuts) 今回の3冊は、いずれも往来堂書店で買いたかった本なのです。『50とよばれたトキ』の羽鳥書店は千駄木にある出版社なので。『商店街はなぜ滅びるのか』はこの前、往来堂のみなさんとお祝い会をしたときに、商店街の話題ですごく盛り上がったので。via wwalnutsの本は、いま往来堂書店のレジ前で平出隆さんのフェア中なので。
いずれも、どうってことのない理由だし、そもそも本なんてどこで買っても、値段もモノも一緒でしょ、と言われればたしかにその通り。でも、たとえ電車賃がかかっても、手に入れるのが遅くなっても、結局同じものを手に入れるのだとしても、やっぱり、この本はこのお店で買いたい、ということってありますよね。
『トキ』は、発売前から楽しみにしていた1冊。読みやすいし分量も手頃なので、早速読了。いいなあ、これ。文章も、味のあるイラストも、表紙の手ざわりが印象的な造本も、すべて内容にぴったりでgood。やわらかめのタッチの文章ながら、安易な感動話にまとめたりしないところ(なにしろ、本編の最後が、新聞でも報道された、テンのケージへの侵入という大惨事で終わっているぐらいですから)にも好感がもてました。卵やひながどうした、放鳥がどうした、トキ関連の新聞記事が気になるタイプの人にはぴったりの1冊だと思います。この内容ならば、ちょっとルビがふってあれば我が家の小学生にもすすめられるのになあ。
《虚を衝かれた。古いはずの商店街は実は新しかった。そして滅びるにはそれだけの理由がある? 再生のための必読の書》(内容紹介より)という次の『商店街』、目次や冒頭を見るかぎり、書店・本の世界が直接扱われているわけではないようですが、でも、かつては書店があるのがふつうだった「商店街」の隆盛と衰退が、大型ショッピングモールやコンビニとの関係なども含めて語られているのだとすれば、「書店」という、それ自体も厳しい状況に置かれている小売り業に興味のある身には、やはり気になる本ですよね。今日もまたこんな記事を見かけたばかりですしね。「本屋を襲う“倒産ラッシュ”!1日1店が店じまい」 (5/24 zak zak)。
平出隆さんの本は、実物を手にすると、まずその美しさ、そのたたずまいに目を奪われます。輸入品だという、裏貼りのある白い封筒に、端正なフォントで、書名・著者名が和文で、版元名・住所が欧文で記されています。書名の下には切手大のイラストが。シンプルですが、一目で印象に残るデザインです。
↑へたくそな写真と、このライティングでは、美しさが伝わらないだけでなく、かえって、印象を損ねてしまうかもしれませんが……。
【“トキ、商店街、平出隆……今日往来堂で買った本たち、そして往来堂のおもしろフェア”の続きを読む】
新刊書店の開店・改装・閉店関連です(例によって、ダラダラと長いです) 。個別の案件紹介の前に、まずはこれを。「アルメディア、書店数は1万4696店に」 (5/18 文化通信)。
タイトルの数字は記事によれば《今年5月1日時点での日本の書店数》で、前年同時期より365店減。日本の書店数、最近はだいたい「1万5千店」とされてきましたが、それがとうとう割ってしまったわけですね。はあ……。
続けて記事を引きます。《店舗数と売場面積の推移をみると、店舗数は減少を続けており、今年初めて1万5000店を下回った。売場面積は09年頃まで緩やかに増加し続けてきたが、それ以降は横這いになっている。》もちろん、店舗数の減少が続いていることはわかっていましたし、割ったといっても、四捨五入すれば1万5千というレベルではあるんですが、この数字に思わずため息をついてしまった出版・書店関係者はけっこういるのではないでしょうか。
続いて、大型店化にふれたくだりがあります。《店舗数の減少幅ほどは面積が減少していないのは、閉店する店舗よりも開店する店舗の面積が広いため。11年の新規店の平均面積は180坪だったのに対して、閉店店舗の平均は75坪だった。出版市場が縮小する中でも、丸善CHIホールディングスのジュンク堂書店、丸善、カルチュア・コンビニエンス・クラブのフランチャイズTSUTAYA、蔦屋書店などが大型出店を続けている。》
今回、以下に紹介する案件には超大型店は含まれていませんが、こういう状況をおさえておくと、個別の開店・閉店のニュースもまた違った感じで見えてきますよね。
前置きはこれぐらいにして、まずは新規オープンから。空犬通信でまだ紹介していないお店で、純粋な新規店のニュースは今回は1店だけ。
●オープン
しばらく前に、旭屋書店ベルビー赤坂店が閉店 になってしまった、地下鉄・赤坂見附駅近くの新規店です。その閉店で不便な思いをしていた同駅利用者の方にはうれしいニュースですね。ベルビー赤坂向かいの赤坂東急プラザ2階のワンフロア店で、坪数などはわかりませんが、上のリンク先で、店内の様子が写真入りで見られます。
このほか、空犬通信では紹介済みですが、最近の開店案件のうち、気になるもの2店についてふれておきます。まずは、本日、5/22オープン、話題のお店(というか、新刊書店としては、いまもっとも注目を集めているお店の1つかもしれませんね)のこちらを。「三省堂書店東京ソラマチ店オープン、雑貨、書雑のコラボで新しい店作り」 (5/18 文化通信)。
↑三省堂書店神保町本店で配布されていた、東京ソラマチ店オープン告知チラシ。
場所は東京スカイツリータウン・ソラマチの2階、ワンフロア店で、広さは257坪。三省堂書店は東京の中央・東部にいくつかお店がありますが、神保町・アトレ秋葉原・東京駅一番街・有楽町、いずれも住所は千代田区。墨田区内はもちろん、東京の北東部エリアということでも初めての出店ですね。ちなみに、国内37店舗目とのこと。
記事によれば、《取り扱い商品構成は、書籍・雑誌が8割で文具・雑貨が2割》と文具・雑貨の割合が高めで、この2ジャンルは《神保町本店に次ぐ広さとなっている》そうですよ。
品揃えにも立地を考えた特色を持たせているようです。《店内はA、B、Cの3ブロックで構成し、Aブロックには他店舗にはない販売企画として「江戸・東京・下町コーナー『新・下町流』=写真=の粋なスポットを見つけませんか?」を常設。ソラマチのキャッチフレーズである「新・下町流」を取り入れ、東京スカイツリーの関連グッズ、関連本をはじめ下町を取り上げている関連書を販売する》(註:記事中の「写真」は紙面に掲載されたもので、Webの記事にはありません。)
3ブロックの残り2つについて。《Bブロックは文学、ノンフィクション、法経・ビジネス書、文庫・新書、コミック学参書、児童書を展開。Cブロックは外国人の来店客も視野に苔玉・ミニ盆栽など和雑貨を充実しているほか、文具、知育玩具を取り扱っている。》楽しみな感じですね。
スカイツリーは当分、混雑が続くでしょうから、もうしばらく待って落ち着いてから訪ねてみたいと思います。水族館好きとしては、「すみだ水族館」 も気になるしなあ。
もう1店はこちら。「石巻の書店、震災後初の新規出店 仙台に24日オープン」 (5/19 河北新報)。
お店は、仙台市青葉区のヤマト屋書店仙台三越店。場所は、もともと地下フードコートがあった仙台三越定禅寺通り館地下2階で、約350坪。ワンフロア型としてはけっこう大きめですね。書籍・雑誌の在庫は20万冊とありますが、特筆すべきは専門書の充実で、《官公庁やオフィス街が近いため、ビジネス、法律、技術分野など人文・自然科学系の専門書は3万冊以上をそろえる》となっています。
仙台は過去の記事でも何度も取り上げていますが、複数の大型店が共存する新刊書店激戦区。他店との競合・共存・棲み分けがどうなのか、がエリア外の身にもまずは気になってしまうのですが、その点について、まずターゲットは《仙台市地下鉄勾当台公園駅の改札口に近い立地を生かし、デパートの買い物客、通勤通学客らの利用を見込む》とあります。お店のタイプ的には、《「規模と品ぞろえを生かし『大きい、楽しい、まちなか書店』を目指したい」》という社長、阿部博昭さんの、駅前の丸善やジュンクを意識したと思われることばが記事に引かれています。
今回の出店を、事情を知らない人が見たら、また仙台に書店?などと思うかもしれません。ヤマト屋書店について、記事から震災関連の部分を拾ってみます。《同書店は震災前、石巻市に4店、仙台市に2店を展開していた。津波で石巻市内の3店が被災し、石巻中里店は再開できたものの、他の2店は営業再開を断念した。》《東日本大震災による津波で、石巻市の2店が閉鎖に追い込まれた同書店にとって、震災後初の新規出店。》
文章にするとたった数行のことですが、これを読むだけで、今回の出店がヤマト屋書店にとってどのようなものか、他地域に暮らす身にも多少は想像がつくかもしれません。記事中の「他の2店は営業再開を断念した」のくだりには、流し読みを許さない重みがあります。震災で甚大な被害を受けながら、こうして350坪超という大型のお店を新規開店するところにまでこぎつけた同店の関係者のみなさまに、一書店好きとして、一出版関係者として、心からお祝い申し上げたいと思います。次に仙台を訪れる機会があったら、必ず訪問したいと思います。
地方の新刊書店激戦区に新たななお店が、ということでは、このニュースもありました。「ショッパーズ跡に「ノース天神」、開業日決定-しまむらなど30店」 (5/16 天神経済新聞)。
福岡市・天神の「ノース天神」は、「ダイエーショッパーズ福岡専門店街」の後継商業施設。その6階に書店が入るとあります。ビル自体は6/28のオープンですが、書店は9月にオープン予定となっています。天神も仙台と同じく、いや、なにしろ、「戦争」などと物騒なことばで形容されたことがあるほどですから、ある意味仙台以上の書店激戦区。そこに新たな書店とは。地図で見ると、ビブレやパルコ、岩田屋らがあるエリアとは明治通りをはさんでちょっと離れてはいるものの、ふつうに徒歩で移動できる範囲。どこが入ることになるのか、気になりますね。
●リニューアル
書店好きには説明不要かと思いますが、店名に「なにわ」とありますが、北海道札幌市のお店。札幌に行くと必ず訪問する、個人的にも札幌で好きなお店の1つです。関連記事はこちら。「なにわ書房、リーブルなにわ本店をリニューアル」 (5/17 文化通信)。
同店は創業60年を超える老舗ですが、記事によれば、《20年前に床の貼り換えをした程度で大きな店舗改装は行ってこなかったが、時代のニーズに合わせてリニューアルに着手した》そうです。
リニューアルでどこが変わったかについては、地下2階は《明るい白を基調にし、逆に地下1階は落ち着いて本が選べるようにブラウン調の内装にした。照明はすべてLEDを使い、見通しが悪くならないように什器の高さにも配慮した》とあります。
記事に引かれた社長、浪花剛さんの《「大型店に負けないように、街中の書店として心機一転し再スタートしたい」》ということばに、大型店を含めて複数の書店がしのぎをけずる書店激戦区札幌で長くがんばってきた街の本屋さんの矜恃があらわれているようで、いいですね。次回の訪問が楽しみです。
さて、リニューアルと言えば、これもあります。「丸善名古屋栄店、丸栄に移転」 (5/22 中日新聞)、「丸善:名古屋栄店が丸栄に今秋移転」 (5/22 毎日新聞)。
栄の丸善については、以前にこんな記事を書きました。「旭屋書店本店の名物フリペ「おすすめ本処かわら版」がWebで復活……そして、どうなる? 丸善名古屋栄店」 (2012/1/15)。移転先が見つからず、一時閉店の可能性もあると報じた中日新聞の記事「「栄の丸善」ピンチ 6月めど退去、移転先未定」を紹介しましたが、それが無事に落ち着いたというニュースですね。
文化通信のほうの記事を引きます。《丸善書店は21日、名古屋栄店(名古屋市中区栄)を百貨店「丸栄」(同)内に移転すると発表した。6月24日まで現店舗で営業し、9月下旬に丸栄の6、7階で開店する。》
地図で見てみると、ほんと、通りをはさんでお隣なんですね。移転は現在のビルの老朽化によるもの。気になる規模やフロアレイアウトがどうなるか、品揃えはどうなのかについては、《新店舗の売り場面積(書籍と文房具の合計)は約2600平方メートルで現店舗より約2割増床。丸栄の買い物客を取り込むため一般書の充実を図る》とあります。坪にすると786坪。
【“仙台、天神、栄、honto、新宿東口……新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
昨年、ちょうどブックンロールが終わってすぐの頃に訪問 した仙台のブックイベント「Book!Book!Sendai」 。今年のイベントの詳細がサイト にあがっていますね。
うち、一箱古本市は、6/23(土)に開催されるようです。時間は11~16時、会場はサンモール一番町商店街で、雨天決行とのこと。一箱古本市についてはサイト をどうぞ。「Book!Book!Sendai」 のチラシや、一箱古本市以外のイベントの詳細なども見られますよ。
昨年は半日ほどしか滞在できなかったのですが、その半分ほどは、現地で合流した作家の碧野圭さん、広島の書店、ウィー東城店の店長、佐藤さんに同行させていただきました。ほかにも、東京から来られた方に現地でばったり会ったりもあって楽しかったなあ。滞在時間こそ短かったのですが、とても濃くて楽しい時間を過ごせた印象が残っています。
現地で会えた、と言えば、ジュンク堂書店仙台ロフト店の佐藤純子さん。その佐藤純子さんが、こんな本を出すそうですよ。
↑佐藤純子さんに送ってもらった新刊チラシ。版元の本の紹介頁(上のリンク)内にPDFへのリンクがありますので、ご注文される方はそちらをどうぞ。
『月刊佐藤純子』の読者には説明不要かもしれませんが、ご存じない方もいるでしょうから、サイトから内容紹介を引きますね。まずは、『月刊佐藤純子』とは。《仙台在住の書店員・佐藤純子が暇にまかせて?描き、A4サイズのコピー用紙で配っているマンガエッセイ。雑誌でのイラストやTシャツのデザインまでてがけ、いつのまにか全国にファンを持つにいたった今も、彼女自身が出会った人に手で配っています。》
で、今回の別冊は。《本書では、第1号から第48号までの3年分を収録したほか、『月刊佐藤純子』のファンのひとりで、小説家・伊坂幸太郎氏による著者インタビューや、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)などで知られるライター・編集者の南陀楼綾繁氏による解説、そして、2011年3月11日の東日本大震災時の避難生活を絵で綴った『ゆらゆら日記』も収録。》
これは、『月刊佐藤純子』の読者ならばぜったいに読みたくなりますよねえ。仙台地元作家、伊坂幸太郎さん「による」インタビューというのも豪華だし、こちらも先日『千駄木の本屋さん』でお世話になったばかりの南陀楼綾繁さんが関わっているのも、うれしいところ。
「仙台文庫」は、本好き書店好きには、仙台のブックカフェ「book cafe火星の庭」の店主、前野久美子さんの著書『ブックカフェのある街』が第1弾として刊行されたレーベルとしておなじみですね。「文庫」とありますが、サイズ的には新書判の仙台文庫、今回の別冊はB5判ということで、通常の仙台文庫とこんなにサイズが違いますよと、比較図までサイトの紹介頁に載っているのがなんだかいいですね(笑)。本は6/30発売予定。仮に、6/23に仙台に駆けつけることができたとしても、現地で買えないのはちょっと残念ですが、これは楽しみですね。
というわけで。古本好き、とくに一箱古本市好きのみなさんは、6/23の仙台での一箱古本市、そして、6/30の『月刊佐藤純子』発売の2件、今のうちに予定表に書き入れておいてくださいね。
ところで、今年の一箱古本市、ぼくはどうするかというと……うーん、駆けつけたいんだけど、ブックンロールの直前だからなあ。ちょっと迷い中です。一緒に行こうよ!と、背中を押してくれる人でもいれば、決心がつきそうなんですが……(超他力本願)。
ちなみに、昨年の仙台行きのレポート、新刊書店については、こちら 、新刊書店以外についてはこちら 、一箱古本市についてはこちら 、仙台で買った本についてはこちら 。たった半日しかいなかったのに、しかも、本なんて、数えるほどしか買えなかったのに、4回に分けて、駄文を連ねまくっています。我ながら、やりすぎ感が……(苦笑)。この1年で、少し新刊書店の状況が変わっていますが、それでも多少の参考にはなるかと思いますので、書店巡りをされる方はよろしければご覧になってみてください。
今日は、最近買った本について書こうと思うんですが、その前にこれを紹介しておきましょう。「人気のストップモーション動画「真夜中の本屋」 (5/14 msn産経ニュース)。《誰もいなくなった本屋で、書籍たちが動き出すストップモーション動画『The Joy of Books』が人気を集めている。》まずは、この動画を見てみてください。書店好きの方なら、きっと楽しめると思いますよ。お店は、トロントにある本屋さんType Books 。お店の様子を見てみたくなりますよね。
では、最近、吉祥寺や神保町で買った本たちを。
由良君美『みみずく偏書記』 (ちくま文庫) 林公代『宇宙就職案内』 (ちくまプリマー新書) 佐々木マキ『くまの木をさがしに』 (教育画劇) 『東京人』6月号増刊 (都市出版)今月のちくま文庫の新刊はいいですね。『荷風さんの昭和』『快楽としての読書 海外篇』『ネオンと絵具箱』と本好きが喜びそうなタイトルがずらり。先月は『らくだこぶ書房21世紀古書目録』もありましたしね。今月はブラッドベリ『お菓子の髑髏 ブラッドベリ初期ミステリ短篇集』もありますが、これは大昔に徳間文庫で出ていた『悪夢のカーニバル』の再編集版とのこと。徳間文庫版を持ってるからパス。
『みみずく』は親本刊行から約30年を経ての文庫化。学生時代に青土社の親本を読んでいますが、一読驚愕、『古本市』や『英学塾』、『椿説泰西浪漫派文学談義』など、由良本に次々手を出したのをなつかしく思い出しました。由良さんの本をこれから読む方にはいい入り口になりそう。初めての方はぜひ、四方田犬彦さん『先生とわたし』(新潮文庫)と併読を。
ちくまは新書もいいですねえ。天文関連だと、3月には『ざっくりわかる宇宙論』が、プリマー新書では『系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く 』がありました。ぼくのような、「宇宙本、天文本は好きだけど、難しいことはわからないので新書がちょうどいい」という、超軟弱な天文読者にはうれしいラインナップ。『宇宙就職案内』って、まずタイトルがいいですよねえ。光文社新書の『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』が好きだった人には良さそう。
佐々木マキさんは大好きな絵本作家の一人。ブックハウス神保町にはサイン本がありましたよ。佐々木マキさんの本はたくさん持ってるけど、サイン本は初めて、というかサインを見るのも初めてかも。ファンは神保町にお急ぎあれ。
武蔵野の住人には気になる本が出ましたよ。『東京人』の増刊、特集は「成蹊学園と吉祥寺の100年」。BOOKSルーエもちらりと登場していますよ。おしゃれだったり有名だったりする飲食店の紹介が中心の雑誌特集とはまったく雰囲気の異なる特集で、なかなか読み応えがあります。エリア外の読者の興味をどれぐらい引けるのかよくわかりませんが、武蔵野エリアの方にはよさそう。
ところで。吉祥寺と言えば、しばらく前に、こんなニュースが新聞・Web他で話題になってましたね。「吉祥寺「いせや公園店」が休業、建て替えへ 老朽化で」 (5/15 朝日新聞)。
飲食店は北口側を利用することが多いので、それほどしょっちゅう通っているわけではないのですが、それでもやはり年に何度かは利用しますし、とくに吉っ読の会のように、人数が多い集まりのときには重宝なお店でした。吉っ読と言えば、結成後すぐのお披露目会の会場も、いせや公園店でした。
記事によれば、《約1年後に新店舗を完成させる予定》とのこと。復活が予定されているのはいいんですが、心配なのは、《現店舗の面影は残しつつ、公園側をガラス張りにした「小ぎれい」(清宮社長)な店を計画している》とあること。「小ぎれい」かあ。いせやを愛している人たちが、そのような路線をのぞんでいるとは思えないけどなあ。あんまりおしゃれに走ってほしくないなあ。閉店期間中は仮店舗営業があるようです。今のお店が閉まる前に行っておかないと。
【“みみずく、宇宙就職、吉祥寺……最近買った本、そしてオリオンノルテで驚愕のフェア”の続きを読む】
新刊書店の開店・閉店・改装関連のニュースです。今回は件数は少ないのですが、気になるものがいくつもありますので、ちょっと早めにまとめてみました。
●オープン
6/ 6 枡野書店阿佐ヶ谷店 7/ ? 1 B&B(30) 今回は、それぞれ著作をお持ちの、本の世界ではよく知られているお二人によるお店をご紹介します。まずは、吉っ読とも縁の深い作家、枡野浩一さんのお店から。枡野さんが、枡野書店 阿佐ヶ谷店 の開店準備を進めていることを、ツイッターのアカウント(@masunobooks)で知りました。
ツイッターアカウントの説明を引きます。《歌人 枡野浩一@toiimasunomo の仕事場を兼ねた、白くて小さくて多目的な空間、枡野書店( http://youtu.be/nw6cpH1ZUNY )。厳選した本や雑誌やフリーペーパー。独自のグッズ。絵や写真や言葉の展示。短編自主映画の上映。短歌と珈琲の会など。本業優先で不定期営業。6/6開店をめざして準備中。》
これはおもしろそうですねえ。場所は、 《杉並消防署の向かいのホテル裏》とありますから、JR阿佐ヶ谷駅からも歩けますが、最寄り駅は地下鉄の南阿佐谷ですね。広さについては、ツイートによれば《2名で満員》とありますから、こぢんまりしたスペースのようです。
そのほか、ツイートからお店の特徴を拾うと、《イベントも数名でやるつもりの小さな店》で、《営業時間も極端に不規則》で、《店に並べる品の共通点は「枡野浩一が人にすすめたいもの」という一点》で、《チラシや無料配布物も厳選》、《本業を優先し、店はあまり利益が出なくても続けられるよう工夫》とあります。オープンは6/6の予定ですが、開店パーティなし、住宅街ゆえ、行列などは避けたいとのことで、《なるべくオープン日を避けてご来店ください》とありました。
吉祥寺にも縁の深い枡野さんが、個人的に大好きな街、阿佐ヶ谷にオープンするお店ということで、興味津々、いまからオープンが楽しみです。一般の新刊書店とはちょっとタイプの違うお店のようですが、書店好きの関心を引きそうなお店ということで紹介しました。
もう1件は、しばらく前の記事 で少しだけふれた、下北沢にできる内沼晋太郎さんの新しいお店。店名が決まったようですね。「第1回:場所は下北沢、店名は「B&B」、インターン募集開始。」 (5/5 WEB本の雑誌 「内沼晋太郎の本屋開業奮闘記」)。
記事には、《店名は「B&B」といいます。由来や思いなどについては、今回は多くは語りません。が、ウェブサイトのドメインを見ていただければ、どんなお店になりそうか、妄想を膨らませていただけるのではないかと思います》とあります。開設されたFacebookページ(http://bookandbeer.com)、ツイッターアカウント(@book_and_beer)を見ると、B&Bはbook and beerとのこと。いい組み合わせですねえ(笑)。
場所は《下北沢駅南口から徒歩30秒》ということで、駅から直近、記事の写真を見ると、路面店ではなく、ビルの2階(より上?)に見えます。開店日は記事にはなく、スタッフ募集「第1期インターンスタッフ募集のお知らせ」 には6/1からとありますが、別ルートの情報で開店自体は7月と聞きました。正式な発表が待ち遠しいですね。
ちなみに、発売中の雑誌『Casa BRUTUS』 6月号では、内沼晋太郎さんの本棚が写真入りで紹介されていますよ。本読みの本棚というと、『本の雑誌』に連載されていた「世界の魔窟から」のような、まさに「魔窟」としかいいようのない、すさまじいモノ空間をイメージする方も多いでしょうが、内沼さんはさすがというかなんというか、『Casa BRUTUS』で紹介されてもおかしくない、すっきりしたおしゃれなものになっています。ちなみに、この号の特集は「そろそろ本気で収納上手になる!」。魔窟タイプの書棚や書斎が紹介されるわけはありませんよね(笑)。
●閉店
4/30 西山洋書銀座店 5/ 6 コスモブックセンター米子店 5/ 7 フタバ図書リサイクル館新幹線口店 5/13 くまざわ書店大井町店 8/31 ザ・本屋さん中央店 西山洋書は、洋書に関心のある方には説明不要のお店ですよね。《航空機・鉄道・自動車・船舶・軍事・SF・ファンタジーアート洋書専門店》(お店のサイト より)をうたう、ちょっと濃いめの洋書店。2002年のイエナの閉店から10年。今回の閉店で、銀座からは洋書店がなくなってしまったことになりますね。これまで銀座でがんばっていたことのほうがすごいことなのかもしれませんが、ちょっとさびしいニュースです。
フタバはJR広島駅の、店名通り、新幹線口にあったお店。新古書店が新幹線駅にある例というのは、他に聞いたことがありませんが、どんな感じのお店だったんでしょうか。
明日閉店のくまざわ書店はイトーヨーカドーに入っていたお店ですね。大井町は、芳林堂書店、有隣堂、ブックファーストと、駅周辺に複数の新刊書店がありましたから、商圏的にちょっとオーバーストアの感じだったのでしょうか。
「ザ・本屋さん」 (冷静に考えると、すごい名称ですよね;笑)は北海道で展開している書店チェーン。8月に閉店となる中央店は、室蘭市のお店。関連記事はこちら。「長屋室蘭中央店閉店で蘭西の書店どうなる…」 (5/11 室蘭民報)。
記事を一部引きます。《長屋室蘭中央店(室蘭市中央町)の8月末閉店に伴い、蘭西地区が「書店ゼロ」となるのを案ずる声が上がっている。現在、蘭西地区では同店3階のテナント「ザ・本屋さん」(帯広市、高橋千尋社長)の「中央店」が営業しているのみ。市内でも3店舗になってしまう。地域住民からは利便性のため、唯一の“本屋さん”に蘭西地区にとどまってほしい思いが強いようだ。》
《蘭西地区にはこれまで、港南、中央町などに最盛期には5店舗程度の書店が開店していたが、市内のショッピングゾーンが蘭東方面に移ったことなどもあり、徐々に姿を消していった。昨年4月末には、中央町で60年ほど歴史のある老舗書店が閉店した。現在、輪西町の「文省堂」以西では一昨年3月下旬に開店した「ザ・本屋さん」のみの状況だ。》
記事に引用された社長さんの談話には、《長屋の後継の店が決まれば営業していきたい》とあり、また《「いい物件があれば」と路面店の調査も進めている状況》ともあることから、お店自体の不振によるものではないのでしょう。本来なら数字的にも続けていくことが可能で、地元のニーズもあるお店が、テナントの事情で閉店せざるを得なくなってしまうというのはほんとに残念ですよね。地元の本好きのお客さんたちのためにも、そして、同店の関係者のみなさんのためにも、なんらかのかたちで存続できるといいですよね。
最後に、リニューアル関係を少し。昨年の秋ごろの全面リニューアルからまだ1年にもならない、神保町の書泉グランデと書泉ブックマート(ちなみに、昨年の改装については、こんな記事 を書きました)。今年も、またフロアの一部に変更が出るようです。
【“B&B、枡野書店、ザ・本屋さん、書泉ほか……新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】
「なんとか男子だの女子だのの括りにはふだんから関心がないけど、本読みとしては、これには苦笑するほかない。」などとコメントをつけて、この記事、「次にくるモテ男子は、「読書男子」!?」 (5/7 ダ・ヴィンチ電子ナビ)をツイートしたら、(主に)男子のみなさんがいろいろ反応してくれて、大変おもしろかったので、調子に乗って記事にしてみました。
「読書男子」が「モテ」って(苦笑)。小学生低学年の頃から30年以上「読書男子」やってますが、まったく実感できたことないぞ、自慢じゃないけど(苦笑)。それに、「モテ」たくてスポーツやるとか楽器やるというのは聞くけど、だいたい本の世界に「モテ」を求めたり期待したりするものなんだろうか……。
これ、《ダ・ヴィンチの女性読者に緊急アンケートを実施し》たもの、つまり最初から「本」や「読書」に好意的と思われる方々を相手にしたアンケートで、母数も100とか200の話なので(後で本誌を見たら、有効回答数241)、そもそも、どれほどの意味があるのか、って話ですよね。あくまで、ある雑誌のなかでのお遊びだと思って読むのがいいのでしょう。
そのような前提だとしても、ひっかかるところはあるんですが、なかでも気になるのが、《読んでいるとかっこいいと思うジャンルBEST5》。記事によれば、こうなってます。
・1位 ミステリー(153pt) ・2位 歴史・時代小説(150pt) ・3位 ノンフィクション(126pt) ・4位 純文学(124pt) ・5位 海外文学(115pt)
興味深いというか、意外というかなんというか、おそらく本好きの多くの方が想像したものとは違うものになっているのではないでしょうか。実際にどうかということではなく、単なるイメージだけの話でしょう? だとしたら、知的なイメージを伴いそうな「純文学」とか「海外文学」のほうが上にきてもよさそう。選択肢がどうなっていたのかわかりませんが、それこそ「哲学書」とか、(ジャンル問わず)「洋書」とかをあげる人もけっこういそうな気がします。
1位と2位は意外ですよねえ。「イギリス紳士の知的愉しみ」的なイメージもある「ミステリー」はまだしも、「歴史・時代小説」が上位とはなあ。むしろ、おじさんっぽいなどと忌避されそうな感じもします(あくまで、一般的なイメージがそうではないか、という程度の話で、ミステリーや時代ものがかっこいいとかよくないとか、個人的な印象を言っているわけではありませんので、念のため) 。
まあ、読んでいる本のジャンルで、かっこいいかどうかを云々すること自体、ナンセンスと言えばナンセンスなわけで、そこはあんまりマヂメに適否を云々するようなものではないと思うんですけどね(苦笑)。
本誌を読まないで記事の一部を云々するのもあれかなと思い、『ダ・ヴィンチ』6月号、早速読んでみました。特集はずばり「男と本。」。表紙で図鑑を抱えているのは堺雅人さん。インタビューでは、自分を作った本、3冊の1冊に『原色ワイド図鑑』(学研)をあげています。こんな対談 に出たりしている「図鑑少年」としてはうれしいんですが、これは、堺氏のようないい男ががあげてるからいいのであって、ふつうの男(要するにぼくのようなおやぢ)が、たとえばこういう機会に図鑑をあげたりしたら、ほぼ間違いなく、「モテ」的なものは音速で遠ざかっていくでしょう(『本の雑誌』の対談を読んでくれた知り合いの女性から、「ほんと、男の子だよねえ」などという感想をもらったことを思い出しました。「モテ」どころか子ども扱い;苦笑) 。
ほかには、「こんな本読み男はあかん!」、「生きる知性を身につける本」、「大人の男に教わる読書術」、「男が本に触れる場所」、「男子必読! 男のブックガイド」などの記事が載っています。くわしくは、目次の見られるこちら をどうぞ。
要するに、ここでいう「読書男子」には自分は入らないのだろうなと、そんなことが確認できた特集でした。自分には関係ないことが確認できたところで、「読書男子はモテるのか」問題について、多少の実証となりそうな、どうでもいい個人的な思い出話のようなものを少し添えておきます。(ほんとにどうでもいい話ですので、超個人的なだらだら書きに寛容な方だけ続きをどうぞ。)
【“「読書男子」はモテると、「ダ・ヴィンチ」は言った(らしい)……”の続きを読む】
セミナーの内容や講演者の顔ぶれが決まったようなので、まだ少し先の話ですが、今日は東京国際ブックフェア (TIBF)の件を少し。今年は第19回、会期は7月5日(木)~7月8日(日)、会場は東京ビッグサイト。詳細は、公式サイト でチェックしてみてください。ちなみに、去年、ぼくが訪問したときのレポート記事はこちら 。
ブックフェアでは毎回、無料・有料併せ、講演・セミナーがたくさん用意されています。たくさんあるなかから、書店関連で気になるものをいくつかピックアップしてみます。まずは有料の書店員向けセミナーから。
【TB-2】書店の売場1 「本屋はアナログなソーシャルネットワーク ~15周年を迎えた往来堂書店がいま考えていること~」 日時:7月5日(木)15:00~16:00 講演者:笈入建志さん(千駄木往来堂書店店長)おお、往来堂・笈入さんがブックフェアのセミナーに登場ですか。15周年を迎え、冊子 もできたところで、いいタイミングですねえ。サイトによれば、このような内容。《棚は管理するものではなく、編集するものである」文脈棚を看板に営業してきた往来堂書店も昨年で15周年。デジタル世界の変化に対応しつつ、アナログ代表として何ができるか?「町の本屋の復権」第2章。
ちなみに、昨日、笈入さんとお酒を飲む機会があったので(冊子の完成を往来堂書店のみなさんとお祝いしてきたのです)、この件、話をふってみたところ、何を企んでいるのか、不適な笑みを浮かべるばかりで、くわしいことは何も教えてくれませんでした。これは楽しみですねえ。
講演会場で、15周年記念冊子、『千駄木の本屋さん 往来堂の十五年』 を販売できるとうれしいんですが、どなたにどう確認すればいいのやら。ブックフェアに出展される版元さん、書店さんで、隅っこに置いてやってもいいよ、という方がいらっしゃいましたら、ぜひ往来堂書店までご一報を。
【TB-3】書店経営 「熊本発!老舗書店のチャレンジ」 日時:7月6日(金)10:00~11:00 講演者:長健一さん(長崎書店代表取締役社長兼店長)全国の書店好きが気になるお店が続きます。熊本のお店、長崎書店は、残念ながら一度も訪問したことはないのですが、ずっと気になっているお店。こちらの内容もサイトから引きます。《今年、創業123年を迎えた長崎書店。近年の売上低迷、銀行・取次との関係悪化の中で決断した、「外商廃止・店舗リニューアル」。リニューアルに至る軌跡と、店内ギャラリーやイベントホール、地域資源の活用の事例を紹介する。》
これはおもしろそうだなあ。新文化の記事、雑誌の書店特集、サイト などで、お店の様子は拝見してはいますが、リニューアルにいたるまでの経緯をお店の方の言葉で聞けるというのは、やはりそうした二次情報とは別ものでしょうからね。
【TB-5】書店の売場2 「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。 ~本屋は本屋であるべきなのか~」 日時:7月6日(金)13:20~14:20 講演者:中川和彦さん(スタンダードブックストア代表)往来堂に長崎書店に、今度はスタンダード! 書店好きが驚喜しそうなラインナップですよね。すごいなあ。こちらの内容もサイトから。《本で売上を上げても何か満たされず、自分が行きたい店をやろうとスタンダードブックストアを始めた。本だけでなく雑貨や文具を揃えたことで、今や大阪で大人気の書店に仕立て上げた中川社長がまだまだ暗中模索という自らの本屋像を語る。》
同店のお店の様子やイベントなどの活動を知る方には当たり前かもしれませんが、よく知らない方には、まずこの挑発的な講演タイトルからしてびっくりでしょうね。これも楽しみです。
いずれも個性的なお店作り、独創にあふれる取り組みで知られる書店、3店の講演。よくぞ、これだけのメンバーを集めましたね。これは書店好きならば、全部聞きたくなるなあ。次も書店関連ですが、ちょっと雰囲気の異なるもの。
【TB-7】 書店と電子書籍 「電子書籍をこれからの書店経営の力に ~紙と電子の融合によって書店の経営革新と新しい市場の創出を~」 日時:7月6日(金)15:00~16:00 講演者:鶴谷祿郎さん(鶴常書店/青森県書店商業組合理事長/日書連電子書籍対応部会部会長)紀伊國屋書店はじめ、電子書籍への取り組みに熱心な書店も増えてきてはいますが、「書店経営の力に」できるのかどうか、なるのかどうかを、具体的にイメージできている書店関係者の方はまだまだ少ないのが現状でしょう。
そういう方に向けてのものだろうと思われるこの講演、内容はこんな感じ。《紙であれ電子であれ、本は書店が読者に届けるの理念に立って、電子書籍をこれからの書店の確固たる収益構造に育てると共に、電子ならではの優位性を活用して、読者が求めるサービスシステムを開発し、導入していかなくてはならない。書店経営の現状の問題点を取りあげ、電子書籍による代替策と今後の展望を語る。》
鶴谷さんは、青森の書店、鶴常書店の専務取締役を長く務められた方とのこと。「日書連電子書籍対応部会部会長」の肩書きがあり、このテーマの講演をされるぐらいですから、もちろんこの分野のプロフェッショナルには違いないのでしょうが、プロフィールを見ると、《昭和13年生まれの74歳》ということで、電子書籍というテーマからすると、ちょっとご高齢なのが気になります。
いずれも書店に関心のある身には興味深いテーマですが、(昨年も同じこと書いてますが)編集者のぼくが会社にお金を出してもらえるわけはなく、さりとて自腹で全部というのもさすがに……。講演をお聞きになった方の感想を後でお聞きしてみたいものです。
毎年、会期中の土曜日午前中に行われる特別講演にもふれておきましょう。
【“気がつけば、東京国際ブックフェアまであとふた月ほど”の続きを読む】
連休前後に読んだ本を眺めていたら、書店本、「本の本」が多いことに気がついたので、まとめて紹介します。たくさんあるので、それぞれは簡単に。
Todd Parr『Reading Makes You Feel Good』 (Little Brown) Barbara Lehman『The Red Book』 (Houghton Mifflin) Jen Campbell『Weird Things Customers Say in Bookshops』 (Constable) 重松成美『BABEL』 I(小学館IKKI COMIX) 酒井邦嘉『脳を創る読書 なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』 (実業之日本社) 山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』 (人文書院) 高橋恭一『なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか 人間の行動を支配しているのは「脳」だけではない!』 (主婦と生活社) 内田樹『街場の読書論』 (太田出版) 最初の3冊は、先日紹介した 紀伊國屋書店新宿南店の洋書売り場での洋書・洋雑誌セールで買ってきたもので、絵本2冊は「本の絵本」フェアから。
トッド・パールは邦訳もいくつかある(うちいくつかは穂村弘さん(「ほむらひろし」名義)の訳)絵本作家ですが、この本は未訳のよう。"Reading makes you feel good because..."という文につづいて、こんなこともできる、こんなこともできる、と、読書にまつわる楽しいことが、楽しい絵と一緒に次々にリストアップされていく絵本が、本好きにとって楽しくないわけがありませんよね。
『The Red Book』は『レッド・ブック』として日本語版(評論社)も出ていますが、もともと文字のない絵本なので、造本や表記の好みで選ぶといいでしょう。先のトッドの本に、"You can travel to faraway places"という文が出てくるのですが、この『The Red Book』は、まさに、本があれば、ページを入り口にして場所や時間を簡単に超越できてしまうことを、わずか20数ページで教えてくれる1冊。ちなみに、これは娘のセレクトです(「本の絵本」フェアのなかから、好きなの選んでいいよ、といったら、これをピックアップ)。
『Weird Things Customers Say in Bookshops』は、「書店でお客さんが口にするへんてこなことたち」という書名通り、書店のお客さんの「あるある」を集めたような本。これ、帰りの電車で読みはじめたら、あちこちで吹き出してしまって困ってしまいました。日本でもあるよなあ、というものから、とても本当にあったとは思えないような驚愕のネタまで、書店に日常的に出入りしている方、書店で働いている方なら、笑ったり怒ったり同情したりと、忙しくしているうちに、あっというまに読み終えてしまうことになりそうな1冊です。
個人的にはとてもおもしろく読めたんですが、ただ、読み通してみると楽しいネタ、笑えるネタばかりではもちろんないんですよね。実際にこんなお客がいたらやだなあ、腹立つなあ、というネタもたくさん。そういうのも含めて楽しめる本ではあると思うので、これはぜひ書店員さんの感想を聞いてみたいものだなあ。どこかでこの本、訳さないかなあ。でも、読者対象が限られすぎかもなあ(苦笑)。日本語版を出すなら、巻末に、日本の書店員さんからの投稿を集めて載せたらおもしろいよね(この本の巻末にも、世界の書店から寄せられたネタが掲載されています)。
いくつかサンプルを、ぼくのへたくそな超訳と一緒に載せようかな、と思ったんですが、サイトの内容紹介に少し載っているほか、書籍のもとになったblogもありましたから、どんなものか見てみたい方はそちらを。版元のサイトはこちら 、著者のブログはこちら 。
以上3点は洋書ですが、『Reading Makes You Feel Good』は対象年齢低めの絵本なので文章は平易、『The Red Book』は文字なし絵本、『Weird Things Customers Say in Bookshops』も会話が中心ということで表現自体はやさしく(サンプルで確認してみてください)、値段も安いので、いずれも、英語はちょっと……という方にも安心しておすすめできます。
『BABEL』は、以前に『ルリユールおじさん』と併読するといいかも などとおすすめしたこともある『白い本の物語』の作者、重松成美さんの新作。今回も「本」がテーマだけど、ルリユールを取り上げた前作とはうってかわって、今回は、《全ての情報が「ビブリオテック(仮想電子図書館)」に集約された、近未来》(カバー裏より)が舞台のSFファンタジー。
「本の本」ではあるけれど、前作よりもちょっと読み手を選びそう。ふだんからSF読みのぼくはSF設定は問題ないんだけど、「読んではいけない本」が原因で親子が引き裂かれてしまうというオープニングにはなかなかつらいものが……。でも、続きが気になります。
【“書店あるある、BABEL、青木まりこ現象……最近読んだ「本の本」たち。”の続きを読む】
先日、リニューアルオープンとなったJR中央線・阿佐ヶ谷駅の駅ビル、ダイヤ街。その2階に入っている書店、文公堂書店がどんなふうになったか見たくて、ちょっと途中下車してきましたよ。しばらく前のことになりますが、簡単にレポートします。
↑リニューアルオープンの告知ポスター。ギターのイメージが使われていますね。
お店は、改札側から見て、通路左側にあるのは同じですが、場所が少しだけ奥になりました。サイズも120坪から70坪にと、ひと回り小さくなりました。ただ、お店の雰囲気が明るくて開放的な感じであること、また、什器が以前よりも少し背の高いものになり、レジの裏側の壁面などもうまく活用されていることなどもあり、在庫が少なくなった感じはあまり受けません。
↑改札側から見た手前の壁は、このように店名の和文表記と欧文表記をデザイン的にあしらったものに。
レジは以前と同じく、お店ほぼ中央あたり、通路側に開いた位置に。改札側から奥の壁は、上の写真右のように、アクリルのウォールで、雑誌が通路側に表紙が見えるようにディスプレイされていました。
以前は、雑誌コーナーには、アダルト雑誌なども区分陳列なしで並んでいたりなど、妙に庶民的というか、昔ながらの駅前書店のノリを残しているところがあったのですが、お店自体も、そして周りのお店もおしゃれな感じになったためでしょうか、今回は、さすがに配慮したのでしょう、アダルト雑誌はレジの脇のごくわずかなスペースにまとめられていました(それでも、ゼロでないところがすごい(笑)。この立地で、この雰囲気の書店ならば、完全に排除されていてもおかしくないので)。
小さくなると聞いたときはちょっと不安に思ったのですが、駅ビル内、改札からすぐの書店としては、サイズと品揃えのバランスも悪くない感じで、以前と比べてマイナスと感じられるポイントはとくになく、使いやすいお店になっているような印象を受けました。
阿佐ヶ谷ダイヤ街、ざっと一周してきましたが、今回のリニューアルは2階中心なんですね。タリーズができたり、全体にこぎれいで、おしゃれな感じになっていましたが、1階は変わっていないようで、昭和テイストなお店たちもそのまま、ちょっと安心しました。中古レコードのRAREはなくなっていましたね。
阿佐ヶ谷は、大型店こそないけれど、駅周辺にいくつか、小中規模の新刊書店が複数あって、本の買い物にはなかなか便利な街。いずれも小さなお店ですが、北口のアーケード街入り口あたりには、いつわ書店が、その先左折すぐのあたりには芙蓉堂書店(川合芙蓉堂)が、さらに左折せずにまっすぐ行ってすぐのところには柏木堂書店があります。
うち、いつわ書店は今回訪ねたら閉店になっていました。阿佐ヶ谷では南口の書楽を利用することが多いので(書原も好きだけど、ふらりと寄るにはJR駅からは離れているので)、これら北口の小さなお店はあまり利用することはなかったんですが、古本の千章堂は阿佐ヶ谷に来ると必ず寄るお店の1つなので、いつわ書店もお店の前はよく通っていたんですよね。それがなくなるのはちょっとさびしいですね。北口を利用する方にとっては、雑誌や新刊文庫を買うのに便利なお店だったろうと思うのですが……。ちなみに、このお店、五輪まゆみさんのお兄さんがやってたお店だそうです。阿佐ヶ谷にはずいぶん長く出入りしてますが、知りませんでした。
あちこちのお店をのぞいて最後は、南口駅前の書店「書楽」に寄って、いろいろ買い物してきました。阿佐ヶ谷の書店のなかでは、書原と並んでもっとも好きなお店の1つ。
大学入学のために上京してきて初めて住んだ街が阿佐ヶ谷だったので、今もこの街には思い入れがあり、ときどき途中下車して、書店に寄ったり、喫茶店に寄ったり、食事をしたりしています。いつだかの記事 にも書きましたが、喫茶店は、可否茶館もアコヒーダもプチも西瓜糖もなくなっちゃったし(プチは吉祥寺に移転)、飲食店では、洋包丁もクロンボもなくなっちゃったし(クロンボは高円寺に移転)で、書店は新刊・古書共あいかわらず充実していていいのですが、書店を見た後にゆっくりしたい店がちょっと少なくなってしまったのは個人的に残念。
↑ゴールド街、営業中のお店もありますが、半分以上はシャッターがおりていて、なんだかさびしいことに。写真はクロンボ跡。
話がそれましたが、書楽も、上にあげたようなお店たちと並んで、ぼくが学生のころからなじみのお店。いいお店なんですよ。広さもふだんづかいにちょうどいいし、品揃えのバランスもいいし、黒に罫の入ったブックカバーもかっこいい。夜遅くまでやっていて、バイトで遅くなった日でも寄れるので、住んでいたころは毎日通っていました。
↑昔から変わらない、かっこいいブックカバー。
このお店でうれしいのは、ぼくが学生のころから、ほとんど様子が変わっていないこと。当時からずっとがんばっているお店はほかにもありますが、ここまでお店の様子が変わっていないお店は少ないと思います。もちろん、多少のレイアウト変更などはあったけれど、今も、主要ジャンルの配置は同じだし、什器などもそのままで、変におしゃれな造りになったりしないし。海外文学、音楽雑誌、創元文庫にハヤカワ文庫……昔から好きでよく眺める棚の位置が、みんなそのままなんですよ。だから、すごく安心するんですよね。お店に入るだけで。
【“阿佐ヶ谷にはいい本屋さんがいっぱい”の続きを読む】
今日5/3は、楽しみにしていた不忍ブックストリートの一箱古本市。雨のなか、親子で出かけてきましたよ。
去年も雨だったし、多少の雨なら大丈夫だろう、ぐらいのつもりでいたのですが、これが甘かった。とくに午前中は、思ったより降りが強くて、歩き始めるとすぐに膝から下がびしょぬれに。昨年も雨に降られたんですが、悪天候のなか、けっこう長い時間の散策に付き合ってくれた娘も、あっという間に音を上げてしまい、結局、ここも回ろう、ここも見てこようと、前日の晩に、MAPにエンピツで印をつけながら予定していたルートの半分も回れずに退散する羽目になってしまいました……。残念過ぎる……。
結局、今日見ることができたのは、古書信天翁、往来堂書店、羽鳥書店ギャラリー、夏葉社島田さんがお店を出している千駄木の郷など、ごくわずか。古書ほうろうや、ブックピックオーケストラの展示・参加型企画 [write on books] を開催中のCOUZT CAFEは泣く泣く断念。
千駄木の出版社、羽鳥書店 が一箱古本市に合わせて開放する「羽鳥書店ギャラリー」ものぞいてきましたよ。懇意のIさんがいたのでおしゃべり、社長の羽鳥さんにもごあいさつ。まもなく発売になる5月の新刊、『50とよばれたトキ 飼育員たちとの日々』 の挿絵原画が展示されていたので、見せてもらいました。鳥好きにはとても楽しみな1冊です。
往来堂書店に寄って、『千駄木の本屋さん 往来堂の十五年』 を受け取ってきました。お店に直納にしたので、まだ現物を見ていなかったのですが、やっと現物を手にすることができました。うれしいなあ。
往来堂書店の店頭&サイト で販売中ですので、同店のファンの方はよろしければ、見てみてください。早くも数十部が売れたそうで、北海道や九州など、関東以外の方や書店さんからも注文があったと聞きました。往来堂書店に興味を持ってくださる方が、地元以外にもそれだけたくさんいらっしゃるということですよね。作り手としてもうれしいかぎりです。
ちなみに、去年の一箱古本市の様子はこちら 。雨に降られて娘の気力が続かなくなって云々は今年と同じですが、降り始めるまでにあちこちを見て回れていたんですよね。岡崎武志さんにお会いしたのも、また、つん堂さんやジュンク堂書店の佐藤純子さんに初めてお会いしたのも昨年の一箱古本市でした。
というわけで、今日は一箱古本市の様子や、そこでの収穫をいろいろ報告する記事にしたかったんですが、残念ながら、報告することのあまりない半日になってしまいました。予定より早めに千駄木を離れたのですが、雨中の歩きは嫌だけど、もっと本は見たかった、という娘のリクエストに応えて、新宿で途中下車、紀伊國屋書店新宿南店に寄ってきました。
同店の6階洋書売り場では、洋書・洋雑誌のセールが開催中。New Arrivalを含む、商品のほとんどが20%オフになっています。5/6まで。レジをはさんでフロアの反対側、音楽書や映画書など芸術書コーナーの棚に混ざっている洋書もセールの対象商品のようなので、洋書好きはそちらのチェックもお忘れなく。
洋書売り場の中央あたりにある柱のところでは「本」の絵本のフェアが展開中。邦訳も出ている『としょかんライオン』『レッド・ブック』のような有名作・定番もありますが、「本の本」好きのこちらも知らないようなタイトルもけっこうあって、なかなかにぎやかなフェアになっています。
別の棚では、こんなおもしろい書店本も見つけました。
Jen Campbell『Weird Things Customers Say in Bookshops』 (Constable) 書店員の「あるある」を集めたような本で、帰りの電車内で読んでたら、あちこちで吹き出しそうに。この本については、記事をあらためて、他の買い物と合わせて、紹介したいと思います。
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