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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

「手塚治虫を装丁する」展の図録入手!……そしてオンデマンド本のことをちょっと考えてみた

このところ、ちょっと仕事がたまっていて、日中はもちろん、帰りも書店に寄る時間を十分にとれず、書店回りが「足りなくて」欲求不満気味の空犬です。書店ネタで、取りあげたい件はたくさんあるのですが、今日はちょっと別の件、装丁にかかわる話です。


しばらく前の記事で、三省堂書店神保町本店で期間限定で開催されていた「手塚治虫書店」を紹介したことがありました。


その記事中に、《見逃して悔しい思いをしていた「手塚治虫を装丁する」展の図録やらポスターやらも展示されています。これ、ほしい……(残念ながら、これらは売り物ではない)。》と書いたところ、なんと、知り合い経由で、この「手塚治虫を装丁する」展の図録を入手することができてしまいました。書いてみるものだなあ。う、うれしいなあ……(涙)。


手塚治虫を装丁する展  図録

↑こちらが現物。すごいボリュームです。


手塚治虫を装丁する展 チラシ手塚治虫を装丁する展 チラシ中

↑こちらはチラシ。こちらもすばらしい。


企画展の主催は日本図書設計家協会。90名の会員の方がこの企画展に参加、『ふしぎなメルモ』や『メトロポリス』『火の鳥』など、10作品を新たに「装丁」、それをまとめたのがこの図録です。これ、企画展や三省堂書店の店頭でご覧になった方ならわかると思いますが、手塚ファンはもちろん、装丁に関心のある人も楽しめそうだし勉強になるし、両方兼ねた人だったら、しばらくあきないと思いますよ。すばらしいなあ。


このすばらしい図録に、1つだけ物足りない点があるとしたら、カバーを横に広げ、それを2つ折りにした状態で閉じてあるため、これだけだと、「本の感じ」がやや薄い、ってことかなあ。やっぱり、表紙がどう見えるか、背はどうか、というふうにみたいので、そのためにはばらして、本か束見本にでも巻き付けないといけない……。さすがにそういうわけにはいきませんからね(苦笑)。


その点、企画展のチラシのほうは、ちゃんと書影のかたちになって写真が載っていますから、いいですね(上の写真のうち、右がチラシの中)。図録とチラシ、両方あったほうがいいわけです。残念ながら、チラシのほうは一部の作品だけ。全部の装丁がこのかたちで見られたらいいのになあ(訂正:いま、チラシのほうを見直したら、全点の「書影」が載ってました。失礼しました)。って、非売品を無料で手に入れておいて、ほんと、勝手なことばっかり言ってます(笑)。


手塚治虫作品は、現在も文庫版が刊行中ですし、定番の講談社版全集もあるし、秋田書店他の新書判コミックスや愛蔵版も多数、愛読者のみなさんには、お気に入りの版がそれぞれあることでしょう。


手元の本には愛着がある場合も多いと思いますが、この図録やチラシを見ていると、自分の好きな作品を、この装丁で持っていたいなあ、こんなカバーがかかってたらいいなあ、というのが、本好き、とくに装丁に関心のある方ならきっといくつも出てくると思うのです。実際、ぼくも、サイズを合わせてカラーコピーして、自分の持ってる本にかけてみようかと、本気で思ったぐらい、気に入ったものもあります。これらは企画展のためだけに用意されたもののようですが(当たり前ですよね;苦笑)、それだけだとちょっともったいないなあ、なんて気もします。


少し前の記事ですが、こんなのがありましたね。「あなたが編集長!『手塚治虫Oマガジン』 三省堂書店オンデマンドに登場!」(三省堂書店公式ブログ)。


記事によれば、こういうサービスです。《現在、手塚プロダクションでは、数ある作品の中からあなたの心に残る作品を選んでもらい、オリジナルの作品集『手塚治虫Oマガジン(オンデマンドマガジン)』を製作しています。編集者名にはあなたの名前が入り、裏表紙に作品への思いをつづる、まさにあなただけの作品集。さらには、手塚先生に多大な影響を受けた作家、漫画家、声優など13名の著名人が編集した「Oマガジン」も発売中!》


先日は、「早川SF文庫からオンデマンド復刊第一弾10点」というのもツイッター他で報じられていました。オンデマンドがこうしてどんどん充実してきて、古本でしか読めなかったものが、古本が苦手だったり、古本屋さんで見つけられなかったりする方にも簡単に読めるようになるのはすばらしいことだと思います。


ぼくは、新刊も古本も大好きだし、古い本を古本屋さんで探すこと自体、楽しいと感じるほうなので、三省堂さんには申し訳ないですが、あまりオンデマンドを利用することはないかもしれません。仮に利用するとして、気になるとしたら、値段とかタイトルの数よりも、装丁なんですよね。装丁好きとしては、どうしても、見た目が、造本が、やっぱり気になってしまう、というか、要するにちょっと物足りないのです……。


で、思ったんですが、たとえば、日本図書設計家協会が三省堂書店と組んで、オンデマンド印刷本に、独自の装丁をオプションで頼めるようにしたらどうだろう。もちろん、今のままの、定型のものやシンプルなものでかまわない、という人はなしでいいわけだし、ちょっと違うものにしたい、今のものに、市販単行本と同じようなしっかりしたカバーをかけたい、という人は、別料金で頼めるようにするのです。


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