空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

書店フリペコラボの新たなかたち?!……「炎の文庫日誌」増刊号がすごい

久しぶりの更新は、書店フリペネタです。書店フリペのことを取り上げた以前の記事で紹介済みのフリペ、「炎の文庫日誌」。紙面をはみ出さんばかりのパワフルな手書きとその熱い文章で、すでに多くの読者を獲得しているらしい同紙は、島根県益田市のブックセンタージャスト高津店発。


かつてなら、島根の書店さんが出しているフリペを東京在住の我々本好き書店好きが手にする機会など、よほどのことがないかぎり考えられなかったわけですが、昨今の書店フリペのもりあがりは、チェーン・エリアの枠をやすやすと超えて書店間のコラボにまで発展拡大、同紙も今では三省堂書店海老名店、有楽町店、丸善ラゾーナ川崎店などで入手が可能です。ほんと、すばらしいことです。


さて、その「炎の文庫日誌」、6月に紹介したときが創刊号、現在配布されているのがまだ2号目だったはずですが、早くも「増刊号」が出たと聞き、これは紹介しないわけにはいかないと、同店の文庫担当でフリペの担当でもある、野坂さん(@nezd03)に無理を言ってデータを入手、勝手に紹介させてもらうことにしました。


炎の文庫日誌増刊号 表炎の文庫日誌増刊号 裏

↑紙面はこんな感じ。体裁は、A4モノクロ両面で横書き。文章は、手書き中心の「炎の文庫日誌」本紙と違ってワープロ書きです。


《全国の〈事情ある〉書店員が、いつもは胸にしまいこんでいる思いを/こっそり吐きしました。》とあり、表には4人による4点が、裏には、作り手の野坂さんを含む6人による6点が掲載されています。「増刊号」といっても過去の記事を集めたものとか、そういう意味での「増刊」ではなくて(そりゃそうだ、本紙のほうがまだ2号ですから;笑)、わざわざこのために各地の書店員の声を集めて、それだけで1つフリペを作ってしまったわけですね。それはすごい。


上にも書いた通り、書店フリペのもりあがりはすごくて、今では、あちこちの書店で、そのお店、その地域では手に入らないような書店フリペが複数置いてあるという、フリペ好きにはうれしい、驚きの事態が実現しているのですが、その『フリペコラボ!書店』には、配布に条件があり、自店でフリペを作成し、自店で他のフリペを配布するのが参加の条件なんだそうです。


こうした動きを、おもしろそうだな、自分もやりないなあ、と思っても、実際に参加するのはなかなか大変でしょう。フリペの作成自体が大変だし、お店なり上司なりのOKももちろんもらわなくてはなりません。物理的に配布スペースを確保するのが大変というお店もあるでしょう。フリペ作りって、わーい、自分もやるぞー、といった、そんな簡単なことではないんですよね。


ただ、野坂さんのすごいのは、自分のところで継続的に作成・配布していくだけでも大変なのに、コラボに参加できない書店のことまで気にしてしまうところ。《そうした構想に賛同しつつも、フリーパーパーを作成し、配布することができない書店員もおり、何とかその思いを掬い取れないか、と考えて》しまうところ。そして、実際に、あちこちに声をかけて、原稿を集め、こうしたフリペを作ってしまったところ。この行動力、フリペにかける思い……本気で尊敬してしまいます。すごいなあ。


というわけで、作り手本人だけでなく、多くの書店員さんたちの「思い」が詰まった、ちょっと特別な書店フリペになっています。店頭で見かけたら、ぜひ、ぜひ手にとってみてください。


直接関わっているわけではないので、配布店がどこなのか、正確なことは知らないのですが、ツイッター他で確認したところでは、三省堂書店海老名店ほかの『フリペコラボ!書店』参加店では配布されているのかな。関東では、文教堂すすき野とうきゅう店、東北では、成田本店みなと高台店、中部では七五書店で配布されているようです。最後の七五書店では、配布の様子を写真で公開されていますので、あげておきます。こちら。(追記:配布店、追加します。東北エリアでは、さわや書店フェザン店でも、関西では紀伊國屋書店梅田本店でも配布とのこと。以上、配布店は7/31時点で、こちらが気づいた範囲のもので、網羅的な情報ではありません。)


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丸善CHIホールディングスが人員削減?!

神奈川書店レポで数日分の執筆力を使い果たした気がするので、しばらくは更新をサボるつもりでいたんですが、そういうときにかぎって、書店関連の気になるニュースがあちこちに……。しかたないなあ、今日も書くとするかなあ。今日は、ちょっとショックなこのニュースを。「丸善CHIホールディングスが希望退職による180名の削減へ」(7/27 不景気.com)。


記事の一部を引きます。《対象となるのは連結子会社「丸善」に在籍する満35歳以上59歳6ヶ月未満かつ勤続5年以上の正社員および定年後再雇用社員で、退職日は9月30日。退職者には特別加算金を別途支給するほか、希望者には再就職支援を実施する方針です。》


《長引く景気低迷の中、経営の効率化やコスト削減などを積極的に進めているものの、子会社の「丸善」においては2期連続で営業赤字を計上するなど厳しい環境が続いてることから、抜本的な合理化が急務と判断し今回の削減に至ったようです。》


昨年からの一連の連続大型出店で、書店地図を大きく塗り替えつつある丸善CHIホールディングス。どこならいいというわけではありませんが、書店業界でいまやもっとも勢いがあるグループに見えていたCHIの人員削減のニュースは、直接の関係者でない身にもかなりショックですよね。


記事タイトルは、「丸善CHIホールディングスが」とありますが、本文の記事にある通り、対象となるのは、「丸善」の正社員と再雇用社員の方とのこと。「丸善」は「丸善書店」「丸善出版」もありますから、グループのなかの子会社ってどうなってたっけ、という方もいるかと思います。詳細は、丸善CHIホールディングス株式会社名義でだされたリリース「希望退職者募集に関するお知らせ:丸善CHIホールディングス」をご覧になるのがいいかと思います(注意:リンク先はPDFファイルです)


リリースから、関連する部分を引くと、このようにあります。《今回、希望退職者の募集を行なうのは、直接の連結子会社7 社のうち丸善株式会社1 社のみであります。/なお、丸善株式会社は平成22 年8 月2 日に店舗事業部門を、また平成23 年2 月1 日に出版事業部門を分社化し、それぞれ丸善書店株式会社、丸善出版株式会社を新設しております。/従いまして、現在の丸善株式会社は下記概要のとおり、大学や研究機関などの文教市場への法人営業が中心の事業会社であります。》


つまり、書店の現場の方々が対象になるのではない、ということですね。書店派としては、やや安心させられますが、ただ、書店でないならばいい、ということではもちろんありませんし、同じグループ内の話ですから、関連の子会社間での影響がゼロとも考えにくいところですから、やはり心配は心配ですね。


CHI関連では、昨日、見出しだけ紹介しましたが、岡島(甲府)の大型出店が報じられたばかり。同じ10月には、既報の静岡出店もあります。大型出店が連続する一方で、グループ内では人員削減……。今後の出店や店舗計画への影響があるのかないのか、気になります。


北見・福村、岡島・ジュンク、大船・島森……書店の開店・閉店いろいろ

いつも代わり映えしない話題ですみません。メディアで拾った、書店の開店・閉店に関するあれこれです。紹介のタイミングを逸していた少し前の記事もあげておきます。(昨晩ヘビーなのを仕上げたばっかりで、さすがにちょっとしんどいので、今日は見出し・リンクの紹介だけ。後日、補足します。)



神奈川書店回りレポートです……横浜編

さて、先日の神奈川書店回りのレポート、最終回の今回は横浜編ということで、3店、ご紹介します。すみません、今回も長いです(苦笑)。まずは、紀伊國屋書店横浜みなとみらい店から。


同店は、JR桜木町駅から徒歩少し、というか、ほぼ目の前にある商業ビルColette・Mareみなとみらいの5階にあります。建物の雰囲気や入っているテナント、館内のお客さんの感じからして、東京でいうとルミネのような感じのファッションビルになるんでしょうか。上に映画館が入ってるから、パルコかな。まあ、そんな感じです(ものすごく適当な印象です;苦笑)。したがい、平日午後ということもありますが、オヤヂ度はかなり低め。


紀伊國屋みなとみらい 入り口1紀伊國屋みなとみらい 入り口2紀伊國屋みなとみらい フロアガイド

↑入り口はこんな感じ。できてまだ1年ほどのおしゃれビル内にあるお店ということで、入り口の雰囲気も、什器の感じも従来の紀伊國屋書店の感じとはずいぶん違っていますね。店名を伏せて店内の様子を見せられたら、紀伊國屋書店のお店だとわからないかもしれません。


上のフロアガイドにある通り、お店は大きく3つのエリアに分かれていて、広さは400坪を切るぐらい。天井が高めで、棚間・通路もゆったりとってあるせいか、数字よりも広く見えます。


紀伊國屋みなとみらい フェア台1紀伊國屋みなとみらい フェア台2

↑入り口を入った左脇や、正面の催事エリア、コミック・文庫エリアの境などに、上の写真のような、よく書店で見る台よりはちょっと高めの台が置かれていて、フェアや新刊のディスプレイに使われていました。おしゃれ家具屋さんにあるおしゃれ家具みたいな台です(頭悪そうな形容ですみません……)。台の下がストッカーになっているタイプのものと違い、ふつうのテーブルのように大きく下が空いていますので、大きさや高さの割に圧迫感がなく、店内を広く見せるのにも役だっているようでした。


紀伊國屋みなとみらい POPなど1紀伊國屋みなとみらい POPなど3

↑上の写真にあるような台と、催事エリアにある売上ランキング上位本などをディスプレイしてある柱には、このように、ミニパネル、POP、色紙などの拡材が目立ちます。自店で用意したもの以外に、知り合いの書店員さんが作ったものをコピーして使わせてもらっているものもあるのだとか。そういう横のつながりはいいですね。


紀伊國屋みなとみらい ジェノサイド紀伊國屋みなとみらい まよパン

↑ツイッター書店員さんの間で話題の2冊は、このお店でも目立つところに展開されていましたよ。右はともかく、左は、このお店の雰囲気、客層(若い女性が多い)を考えるとだいじょうぶかな、という感じがしないでもないですが、展開する場所を変えて目につくようにしたところ、順調に動いているのだとか(売上ランキングにも入っていました)。お店の方にうかがった話では、同店の客単価は必ずしも高くない、というか低めなんだそうですが、そういうお店で、決して安価とは言えないハードカバーの、書名的にも内容的にもハードなこういう小説が売れるのだから、やっぱり本は売り方次第、ってことですね。おしゃれ書店でこれは売れないだろう、といった安易な先入観で売り逃してしまうのはもったいないですからね。


紀伊國屋みなとみらい 棚1紀伊國屋みなとみらい 棚2

↑入り口から見て右奥、フロアガイドのCエリアに進むとちょっと雰囲気が変わります。洋書・文学・社会科学など、ちょっとかための本のコーナーになります。ご覧の通り、ジャンルの区分も棚の感じも、通路のゆったり感も、すべてがいい具合で、とてもゆっくり本を見られる、いいスペースになっていると思うのですが、残念ながら人がいない。平日の午後にしては店内はそれなりの数のお客さんでにぎわっているというのに、奥まで足を運ぶ人が少ないということでしょう。お店としては、どうやってお客さんにこの奥の辺りまで足を運んでもらうかは課題でしょうね。


そのような、エリアの断絶、お客さんの動線の問題をなんとかするのに効果があるかもしれないと思われる、洋書と芸術書の間のフェアコーナーのような空間があります↓。この日は、「横浜×進行形アート すごいぞ!BankArt1929」なるフェアが開催中。BankArt1929についてはぼくもよく知らないので、こちらをご覧ください。


紀伊國屋みなとみらい 中央フェアコーナー1紀伊國屋みなとみらい 中央フェアコーナー2紀伊國屋みなとみらい 中央フェアコーナー3
紀伊國屋みなとみらい 中央フェアコーナー4

↑壁際には雑貨類が並び、フロア中央にある台(上で紹介したのと同じフェア台)には、写真にあるように、写真集や洋書が並んでいました。このスペースをうまく使って、手前のコミック・文庫などのエリアと、奥のかための本のエリアとを、うまくつなげられるといいかもしれませんね。


同店の上には映画館が入っていることもあり、上映作品に合わせた映画関連書のフェアなどにも力を入れているそうです。訪問した日は、コクリコ関連とハリポタが目立ちました。そうした映画関連書は、芸術書のコーナーではなく、雑誌のコーナーのほうに出すことが多いようで、どちらも大きなポスターなどを使って、入り口近くで展開されていました。


紀伊國屋みなとみらい ルキノ美ジュ

↑そうそう、芸術書と言えば。見かけない小冊子があるなあ、と思ったら、割に最近できたばかりの紀伊國屋書店オリジナル冊子だとかで、その名も「ル、キノ美ジュ」。副題に「紀伊國屋書店美術書カタログ2011」とあります。PR誌と同じA5判で、なんと64頁もある本格的なもの。中身は、ジャンル別の美術書ガイド・カタログで、特集として山崎ナオコーラさん、大竹昭子さん、佐々木俊尚さん、永江朗さんらが寄稿しています。美術(書)好きは要チェック。


紀伊國屋みなとみらい キッズコーナー

↑児童書のコーナー。こういう区切られた空間って、子ども、大好きですからね。っていうか、ぼくも中にはいって写真を撮りたかったんですが、複数の親子連れが「使用中」だったため写真は外からのみ。写真には一部しか写っていませんが、この回りがぐるりと児童書の棚で、広さ的にも量的にも充実したスペースになっているようでした。


紀伊國屋みなとみらい おすすめ本

↑最後に、お店の方におすすめしてもらったのがこちら。


商業施設内の書店って、商業施設の性格や雰囲気によっては入りにくいこともあって、ここも知らなければスルーしそうな感じだったんですが、本好き書店好きの、とくに男性はそういう先入観は抜きで、ぜひ足を運んでみてほしいお店です。什器の感じなどが、おしゃれなセレクトショップ的書店に見えなくもないので、そういうのを苦手に感じる人がもしかしたらいるかもしれませんが、品揃えは、おしゃれに偏りすぎることはなく、全ジャンル全年齢層を丁寧にカバーしたものになっていますよ。そこはさすが紀伊國屋書店という感じ。あとは、スペースの使い方とか、エリア同士のつなぎをさらに工夫して、店内をぐるぐると回遊する楽しみが増えると、もっともっといいお店になるのではと、そんな感じも受けました。


次は、お隣、関内に移動して、有隣堂伊勢佐木町本店へ。何度も来ているお店ですが、今回は久しぶりの訪問です。


ここは、横浜を代表するお店の1つですから、お店の説明はあんまり必要なさそうですよね。関内から徒歩少し、伊勢佐木町通り(イセザキモール)にある、地上6階地下1階のマルチフロア大型店。ただ、大型店といっても、昨今の大型よりは小さめで、公称サイズは500坪かな。


有隣堂伊勢佐木町本店 外観1有隣堂伊勢佐木町本店 外観2

↑外観は、記憶にある以前通りの感じでほっとします。1階と2階が吹き抜けで、2階がギャラリーのようになっているのもそのままで、さらに安心。


ところが……中に入ると、文具館として建物が別だったはずの文具が入っていたり、地下にコミックと学参が移っていたり、などなど、フロア配置が記憶のなかのそれとけっこう変わってしまっていてびっくり……。ただ、売り場のレイアウト変更自体は、別に書店ではめずらしくありませんからね。最初こそ、変化にとまどってしまったのですが、それはそれとして、落ち着いて店内の様子を見てみることにしました。


この日、ここまで見てきたお店は、タイプこそ異なれど、この本を推したい売りたい、という活気にあふれたお店ばかりで、お店のどんなところをどう紹介するか、選び出すのが大変なほどでした。有隣堂も、好きなお店ですから、ぜひそのような感じで紹介したいのですが……ちょっとつらい書き方をしないといけません。うーん、他のお店に比べて、ちょっと元気がないところが目についてしまったのです。


もちろん、1階のレジ回りなどでプッシュされている本やそれに付されたPOPやカードには目を引くものがありますし、横浜の関連本を集めた棚も、非地元民には知らない本ばかりで見ていて楽しい。そういういいところもいろいろあるのです。あるのですが、その一方で、気になってしまったのは、たとえばこんなところ。


2階の文庫売り場は、同店をご存じの方には説明不要ですが、1階からの吹き抜けになっていて、吹き抜け部分をコの字に囲むような売り場になっています。コの一方の先は階段スペースにつながっていて、もう一方の先は行き止まりです。その行き止まりの先にラノベのコーナーがあるのです。別にそれが悪いとは言いませんが、コミック売り場の近くにあることが多いラノベが、文庫売り場の端っこ(行き止まり)にあるのは、ラノベ好きと、文庫好きの双方にとってどうなのかなあ、とちょっと気になってしまいました。文庫棚を眺めているうちに、いつのまにかラノベになってしまい、そのまま先まで行ったら行き止まりで、またラノベを見ながら戻ってくる、という移動は、ラノベ読みではないぼくには、なんというかちょっと違和感がありました。


もう1つ。コミックは地下にあるのですが、学参と一緒になっています。この組み合わせだと、当然、割を食うのは学参で、この規模の大型店の在庫としては、かなり少なめになっています。学参担当の牛嶋さんにお話をうかがいましたが、やはり在庫量が少ない点は気にされているようでした。この棚の本数では定番をカバーするのも大変なはずだし、新しいのも置けないから、入れ替えなど棚のメンテがひと苦労ですよ。近隣に学生の利用者がどれぐらいいるのかはまったくわかりませんが、有隣堂の本店ならあるだろうとわざわざ来られるお客さんも少なくないでしょう。コミック売り場の隅で、文字通りひっそりという感じになってしまっている売り場を見て、ちょっと気になってしまいました。


有隣堂伊勢佐木町本店 クマ1有隣堂伊勢佐木町本店 クマ2

↑その学参売り場にいたクマ。キャラの名前をうかがったのに……すみません、メモが汚くて自分で読めませんでした(泣)。ここには学参のフリペも並ぶことになるそうですよ。学参、点数・在庫数こそ少ないけれど、なんとかしようという工夫をされているということですよね。残念ながら現物は見られませんでしたが、できあがったらぜひ拝見したいものです。


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神奈川書店回りレポートです……鶴見&川崎編

神奈川書店回りレポート、続きです。以降はもう少し簡潔に……いきたいところなんですが、次のお店が、これまた楽しいお店だったので、書きたいこと、紹介したいこと、いっぱいあるんだよなあ……。


鶴見に移動して、次はブックポート203鶴見店。鶴見駅からはちょっと離れていて、徒歩でも行けますが、この日は天気が心配だったのと、この後もまだまだ移動が続くということで、タクシーにしてしまいました。車だとすぐですね。


ブックポート203入り口

↑幹線道路沿いにあるお店は駐車場完備の、いわゆる郊外型書店です。お店は2階建て。1階は150坪はないぐらいでしょうか。店長の成川真さんに案内していただきながら、話をうかがいました。


ブックポート203正面平台ディスプレイブックポート203正面平台ディスプレイ2ブックポート203正面平台ディスプレイ3

↑入り口入ってすぐのフェアコーナー。これがもうなんというかすごい迫力です。ふつうの郊外型書店だと思って足を踏み入れると、いきなり驚かされることになります。ぼくが訪問したこの日は、ツイッター書店員さんたちの間で大変な話題の2作が、これでもかとばかりに大フィーチャー。


ブックポート203正面平台ブックポート203正面平台2

↑平台もご覧の通り。上の写真と合わせてご覧いただくとよくわかりますが、前回の記事で紹介した武蔵小杉の中原ブックランドにも通じるところのある、手作り感のあふれるディスプレイが非常に印象的。


成川店長によれば、お店は、「初心者向け」を目指しているとのこと。棚の編集といって、ある本の隣に関連書を並べるようなやり方は、見ていて楽しいし、個人的にもお好きとのことですが、やはり、一点買いの人や、本探しに慣れていない方には探しにくかったりする。同店では、ふつうのお客さんが本を探しやすいようにを最優先に心掛けているそうです。


すると、では当たり前の本が当たり前のところに並んでいるだけでおもしろくない棚になってしまっていないか、なんて思われる方がいるかもしれませんが、そこは、先のフェアコーナーにもありました通り、お客さんの目や足を止めさせる工夫があちこちにこらされていて、当たり前なだけのおもしろみのない並びとは無縁の棚になっています。


ブックポート203棚の小分類

↑本を探しやすくするための工夫の1つがこれ。ジャンルの小分類がかなりこまかくふられています。専門書に強い大型店ならともかく、中型以下の規模だと、それなりに在庫の多い店でも、「医療」「経済」「スポーツ」といった、非常に大きなくくりの棚に本が詰め込まれていて、端から見ていかないと探せない、というところもありますが、このお店では、かなりこまかく小分類が区切られています。


ブックポート203アウトドア棚ブックポート203アウトドア棚平台

↑アウトドア関連書の棚を例に見るとこんな感じ。ジャンルによって什器の雰囲気を変えたりすることもあるそうで、ここでは、写真だとちょっとわかりにくいですが、アウトドアということで、ウッドの感じが出ている台を使ったりしているそうです。什器の関係などでむずかしいようですが、ジャンルの関連書をまとめておくだけでなく、関連雑誌も一緒に並べたいとのこと。


ブックポート203店長棚ブックポート203店長棚平台

↑レギュラー棚以外にもいろいろ工夫が。これは店長の好きな本の棚。趣味全開で、「ごめんなさい!」とあるのがおかしい(笑)。でも、こういう売り手の顔が見える棚はいいですよね。ほぼ全点に手書きのPOPがついていて、おすすめ度がびしびし伝わってきます。


ブックポート203文芸エンド平台ブックポート203サイエンスアイ

↑店内の複数箇所で展開されているフェアやエンドの平台もにぎやか。左は文芸書。右はぼくも大好きなサイエンスアイ新書のフェアコーナー。よく知っているつもりのシリーズでしたが、こんなに出ていたのかと、ちょっと驚くほどの物量です。


ブックポート203怖い本ブックポート203怖い本2ブックポート203怖い本3

↑季節柄、怖い本のフェアをやっているお店は多いのですが、ここの怖い本は妙に気合いが入っています。見せ方が実に凝っていて、とてもお店のスタッフが短時間で作ったとは思えない小道具が効いています。は、柱の色、こわいっす……。


郊外型ということで、車・バイクで乗り付けてくるお客さんも多いそうで、車・バイク関係の雑誌は店内中央の目立つところに。近くには、成人雑誌もひとそろい。アダルト系はまったくおかないお店も多いなか、ちゃんとお客さんのことを考えた品揃えや配置に(ある意味)なっています(笑)。


郊外型書店に親子連れ、家族連れがどの程度来るのか、車に乗らないぼくはよくわからないのですが、子ども向けも充実していますよ。


ブックポート203キッズコーナーブックポート203あけてみてね1ブックポート203あけてみてね2

↑居心地のよさそうなキッズコーナー。レジ近くには、小さなおともだちのためのこんな趣向も。写真はとらなかったのですが、レジには、ラムネ(飲むほうのね)も置いてありました。いいなあ、こういうの(笑)。


ブックポート203妖怪横丁1ブックポート203妖怪横丁2ブックポート203妖怪横丁3

↑2階にあがる階段のスペースを利用したフェア「妖怪横丁」。小さなおともだちによるかわいい絵に混じって、スタッフや作家さんの手になる絵も混じっていたりします。


2階にあがると上はコミックとラノベコーナー。


ブックポート203コミック1ブックポート203コミック2

↑ご覧の通り、1階同様、2階も、手作り感のあふれるディスプレイがあちこちに。窓際がおすすめ本のコーナーになっています。写真にはありませんが、ラノベもスペースからするとかなり多めになっていて、窓と反対側の壁一面にずらり。


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神奈川書店回りレポートです……海老名&武蔵小杉編

遅くなりましたが、先日、一日かけて回ってきた神奈川の書店の訪問レポートです。今回の書店回りは、ふだん「ついで」ではなかなか回れない神奈川の書店を、ツイッターで知り合った書店員さんのいるお店を中心に、1日かけて回ってこようというもの。ふだんもこれだけたくさんの書店に出入りしてるくせに、わざわざ休みをとってまた書店回りかと、あきれられそうですよね(苦笑)。1人で回る予定だったのですが、なんと、この無謀な計画に同行したいという書店員さんが(知り合いツイッター書店員のおひとり、やっすーさん(@snowichi))。神奈川県民の同行者がいれば土地勘ゼロの空犬も安心、というわけで、二人で回ってきましたよ。


以下、そのレポート、簡潔を目指してがんばったんですが、例によって、かなりだらだらと長い記事になっています。(*写真は、外観・入り口をのぞき、店内のものはすべてお店の方に断って撮影したものです。)


最初は、小田急線・相鉄線海老名の三省堂書店海老名店。新宿から小田急で1時間弱ほどの海老名は、東京西部在住者の空犬にとっては、いったい地図・路線図でどこにあるのかもよくわからない、心理的にもリアルにも非常に遠い街。もちろん初めての訪問ですが、今回、もっとも楽しみにしていたお店の1つでもあります。


今回は、店長の比嘉栄さんに店内をご案内いただいたほか、児童書ご担当の山崎さんにもお話をうかがってきましたよ。


同店といえば、コミックに力を入れていることでコミック読みにはつとに有名なお店。予備知識としては知っていましたが、実際に売り場を見たら、びっくりしましたよ。


三省堂海老名フロアガイド

↑お店は商業ビル内のワンフロア。約240坪のうち、なんと3分の1ものスペースがコミックにあてられています。


三省堂海老名コミック平台1三省堂海老名コミック平台2三省堂海老名コミック平台3

↑まずはこの平台と棚をご覧ください。コミックにうといぼくのような者が見ても、なんだかものすごい売り場であることがひとめでわかります。POPが乱立する平台のにぎやかさといったらもう。写真だとわかりにくいかもしれませんが、POPの位置や数のほか、高さも考えられているんでしょうか(右の写真にある通り、ちょっと高めですね)、こんなにPOPが立っているのに、実際の売り場では、POPで本が見えにくい、取りにくいという感じはありませんでした。


三省堂海老名コミックフェア1三省堂海老名コミックフェア2

↑店内数か所で展開されているフェアのなかには、空犬も楽しく読んだ『花もて語れ』のフェアが。作中に出てくる朗読作品がずらり。奥の壁際に並ぶ色紙もかなりたくさんあります。


三省堂海老名コミック壁際1三省堂海老名コミック女子

↑レギュラー棚の品揃えを云々する知識はぼくにはまったくないのですが、とにかく、棚の本数、点数がはんぱじゃないうえ、単にたくさん置いてあるというだけでなく、ディスプレイもにぎやかで楽しいので、ジャンルにうとい者が棚を見て歩いてもあきずに楽しめます。


平成元年にオープンした当初は、コミックにとくに力を入れていたわけではなかったそうで、その後、客層や、本の売れ方を見て、じょじょにコミック増やした結果、このような売り場になったのだとか。


三省堂海老名ツイッターPOP1三省堂海老名ツイッターPOP2三省堂海老名ツイッターPOP3

↑これも同店の名物の1つ、ツイッターPOP。このように、コミック売り場以外の棚やフェア台にも、あちこちにこまかな工夫がこらされています。


三省堂海老名フリペコラボ2三省堂海老名フリペコラボ3

↑そして、同店の名物と言えばやはりこれ、「フリペコラボ!書店」コーナー。三省堂書店の他のお店ということならまだわかりますが、地域もチェーンもまったく異なるよそのお店のフリペまでがずらりと並ぶこの光景、しばらく前なら、考えられないことでしたよね。書店フリペ好きで、ずっと空犬通信でも応援してきた身としてはほんとにうれしい光景です。


三省堂海老名フリペコラボ1

↑同店で入手してきた書店フリペたち。今回の楽しみにと、他のコラボ店で手にしないようにしてきた海老名店の「えびやきコ通信」をゲット。初めて目にするフリペもありました。


今回の書店回り、知り合いに会えたお店では必ず1冊本を、それも、書店員さんのおすすめ本で、さらに、ふだん自分では手を出さないようなものを選ぼうと、そんなふうに決めていました。


三省堂海老名水域三省堂海老名カバーはんこ

↑このお店で買うとしたら、コミック以外にはありえません。比嘉店長におすすめしてもらったのがこれ。カバーにはんこも捺してもらいましたよ。


というわけで。東京からわざわざ行くにはさすがに遠いのでしょっちゅうは行けませんが、またぜひ訪問したくなるような、超楽しいお店でした。神奈川の本好き、とくにコミック読みはぜったいに楽しめるお店だと思いますよ。おすすめです。


……1店で、こんな長くなってしまった。すみません、以降は、もう少し短めに。次は、武蔵小杉の中原ブックランドTSUTAYA小杉店へ。同店は、南部線・東急東横線武蔵小杉駅から徒歩数分、商店街に面した路面店です。文庫担当の長江さんにお話をうかがいました。


中原BL外観

↑ご覧の通り、そして店名の通り、ツタヤのなかにあるのですが、ツタヤとは組織的には別なんだそうです。2階建ての1階が書店部分になっていて、100坪強ぐらい(書店部分のみで。後述の通り、文庫棚周辺中心に見てきたので、広さについては、かなり適当な印象です)でしょうか。


中原BL平台1中原BL平台2中原BLエンド平台

↑文庫売り場の第一印象は、とにかくにぎやか! ご覧ください、この平台。平台に積まれた本のでこぼこぶりがすごい! そして、このPOPとコメントカードの数! 実に元気でやんちゃな平台で、これは見ていて楽しいなあ。整然と本が積まれた美しい平台もいいけど、担当の方の思いがあふれまくったこういう売り場もいいですよねえ。


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2つの「終わり」……『ぴあ』とボーダーズのこと

いよいよ「最終号」ですね。昼休み、三省堂書店神保町本店で、『ぴあ』の最終号を買ってきましたよ。


ぴあ最終号表紙

↑最終号の表紙は、スティービー・ワンダー。


ぴあ最終号広告

↑今日の朝日新聞朝刊に掲載された全面広告も印象的でした。


このようなときに必ず聞こえてくる「1つの時代が終わった」なんて紋切り型は、自分では言ったり書いたりしたくないのですが、でも、『ぴあ』の終刊には、まさにそのような思いを感じずにはいられませんね。


ぼくは、情報誌についてはそれほど熱心な読者ではなかったのですが、それでも一時期は、毎号買ってたなあ。映画をはしごで観たりする者にとって、あの上映スケジュール一覧は便利だったんですよね。エリアと時間を一度に確認できて。たとえば、今日の午後、ちょっとまとまった時間が空いた、いま新宿にいる、さてどうしよう、なんてときには、『ぴあ』の映画情報の見開きがあれば、効率よく2、3本観ることができましたからね。館によっては割引サービスもあったから、雑誌代なんてすぐに元がとれたしね。


『ぴあ』について語ろうと思うと、雑誌離れだの、ネットがどうのと、どうしても同じようなことの繰り返しになってしまいます。これ以上、個人的な思い出を重ねるのもなんなので、最近の新聞記事など、いくつか関連報道をあげておきます。



ぴあ最終号付録

↑付録の創刊号復刻版。開いて最初の広告が、ヤマハ合歓の郷のジャズフェスの案内、対向ページがウィッシュボーン・アッシュ『百眼の巨人アーガス』の新譜広告、表4のカラー広告がドヌーブとマストロヤンニの『ひきしお』ですよ。時代を感じさせますよね。出版文化史的にも貴重な、いい付録だと思います。


さて、もう1つの「終わり」は、こちら。「米書店チェーン2位、清算へ ボーダーズ399店閉店」(7/19 朝日新聞)。


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神奈川の書店回りをしてきました

昨日の予告通り、今日は、一日かけて、ふだんなかなか行くチャンスのない神奈川の書店を回ってきました。残念ながら、天気は終日すぐれず、いや、すぐれずどころか、家を出るときなど、台風が途中をとばしていきなり武蔵野にやってきたかという感じの土砂ぶり、自宅から最寄りのバス停までの数分の徒歩ですでに半身ずぶぬれ、と、最悪のコンディションで始まった書店回りだったんですが、幸い、途中からは雨も落ち着いて、予定していたお店すべてをなんとか無事に回れましたよ。


今日はタイプの異なるお店をいくつか見てきたんですが、どの店も工夫やアイディアに満ちたお店造りをされているところばかり、都内で毎日のように書店を見ている目でみても、あちこちで発見があって、とても新鮮でした。各店の様子は、写真入りのレポートにまとめたいと思います。


本日訪問したお店で、応対してくださった書店員のみなさん、お世話になりました。お忙しいところ、お話を聞かせてくださったり、写真撮影を許可してくださったりと、いろいろありがとうございました。


碧野圭さんの書店レポート「あゆみBOOKS仙台店」

作家・碧野圭さんが、あゆみBOOKS仙台店の詳細なレポート「NO.113 あゆみBOOKS 仙台店」を、ブログ「めざせ!書店訪問100店舗」にアップされました。地震当日の店内の様子から、その後のお客さんの反応まで、非常にくわしい記事になっています。空犬の仙台の書店レポートではくわしくふれなかったお店ですので、当方の仙台レポートに興味を持ってくださった方はもちろん、そうでない方も、ぜひご覧ください。


碧野さんの「めざせ!書店訪問100店舗」は、その前の数回も、仙台以外のものも含め、東北の書店の様子がリアルに伝わってくる詳細なレポートになっていますので、ぜひそれらと合わせてお読みください。

神奈川の書店回りをしてきます

明日、一日かけて、ふだんなかなか行くチャンスのない神奈川の書店を回ってくる予定の空犬です。残念ながら、天気予報は雨、風も強く、大雨になるかも、とのこと。めったにない遠出の日が、こんな天気になってしまうとは、ほんと、ついてないなあ(涙)。


まあ、でも、しかたない。悪天に負けず、あちこちの書店さんをのぞいてこようと思います。訪問予定のお店の書店員のみなさん、どうぞよろしくお願いします。みなさんにお目にかかれるのを楽しみにしています。


神奈川書店回りの様子は、明日以降、空犬通信で報告する予定です。

ウルトラの正義、フジ隊員……最近出た特撮本たち。

すみません、今回は特撮ネタです。空犬通信で取りあげるネタのなかでは、いちばん人気のないネタであることは十分にわかっているのですが、好きなもので……。


  • 別冊映画秘宝『モスラ映画50年大全』(洋泉社)
  • 洋泉社MOOK『ゾンビ映画大マガジン』(洋泉社)
  • 神谷和宏『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』(朝日新聞出版)
  • 桜井浩子『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』(小学館)
  • 村枝賢一『魂の仮面ライダー爆談!! COMPLETE+』(辰巳出版)

洋泉社の特撮関連本はあいかわらずすごい勢いですねえ。しかも、モスラとゾンビが一緒に出るって(苦笑)。後者はいわゆる特撮本ではないですが、一緒にあげておきます。


『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』、サンデル本の流れに便乗した(というと、ちょっと言葉は悪いですが、その流れから完全に自由な企画とも言えないでしょうから)本でウルトラネタか……正直なところ、純粋に特撮を特撮として愛している身には、こういう「特撮で何かを語る」タイプの本はあまり興味が持てず、正直、まったく期待もしていなかったのですが、装丁を見て、ちょっと「わかってる」感じかも、と期待してしまいました。


この本の表紙は、帯付きの状態では以下の左写真のような感じです。アイスラッガーを手にしたウルトラセブンの姿で、本の表紙に選ぶにはなんだか一見中途半端な構図の写真に思えます。ところが、帯をはずすと(右)、下にはギエロン星獣が写っています(と種明かしをしないでも、この構図だけでわかってしまうマニアもいるでしょうが;笑)。この怪獣の出てくるエピソードは、怪獣=排除されるべき破壊者、悪の権化たる存在ではなく……と、こうしてエピソードの説明などを始めると長くなるので、物語の詳細や、この怪獣の出自については、関連本なりサイトなりをあたってみてください。何が言いたいかというと、正義とはなにか、という話をする本の表紙に取りあげるにはぴったりのエピソードの一つで、それが表紙画の処理、帯の処理を含め、きちんと考えられているのがわかる作りになっているのです。


ウルトラ正義帯ウルトラ正義帯なし

そういう見た目のこともあって、ちょっと期待して読み始めたところ、まあ、おもしろい読みもあると言えばあるのですが、読了後の感想はやっぱり微妙、という感じでした。ウルトラシリーズは別に正義論の教科書でも教材でもなんでもないんですよね。もちろん、物語に正義とは善悪とはなんぞや、というテーマは含まれているでしょう。でも、それは受け手がそれぞれに受け止めればいいことで、別に気づかなければそれはそれでいいと思うんですよね。やっぱり、なんというか、学校の授業のような感じで、「解説」はされたくない。そんな気がしてしまいました。


次は、『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』。ウルトラヒロインといえば、セブンのアンヌ隊員が人気面ではちょっと突出した存在、しばらく前にも関連本が出て、空犬通信でも取りあげましたが、アンヌに続く存在といえば、初代ウルトラマンのフジ隊員こと桜井浩子さん。ご本人の単著としては、同じ小学館刊で、以下の2冊がありますから、これらをすでに持っていたり読んでいたりする身としては、3冊目がどいういうものなのか、既刊とどう違うのか、ちょっと想像がつきませんが、そういう意味でも楽しみな1冊です。


  • 桜井浩子『ウルトラマン青春記―フジ隊員の929日』(小学館)
  • 桜井浩子『ウルトラマン創世記』(小学館)

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夏といえば、デパート古本市

毎日暑いですね。さて。夏と言えば、我々本好きにとっては、古本市の季節。以前に比べると、すっかり少なくなってしまいましたが、それでも、大きなものがいくつかありますから、見逃せません。


都内の古本市については、四谷書房さんによる詳細な「東京古本市予定表」がありますし、全国だと「日本の古本屋」の即売展情報がありますから、くわしくはそれらをご覧いただくとして、ここでは3つだけ。東京在住の古本好きとしては、昔からデパート古本市に通い続けてきた古本好きとしては、この3つは、やはり特別扱いで紹介しておかないとね。



ふだんは行けないエリアの古本屋さんの棚を目にすることができる、都内近郊在住者にとっては貴重な機会です。この暑さのなか、ほこりっぽい古本会場にわざわざ出かけるなんて……などと思われる方もいるかもしれませんが、冷房の効いたデパートの催事場で、ずらりと並んだ古本を眺めるのも悪くないものですよ。


午後に出かけて、夕方まで古本市を楽しんだら、戦利品たちを抱えて、そのまま屋上へ移動、ビアガーデンでいっぱいやってくる、なんてのも楽しそう。その場合は、お一人様よりも、本好き仲間と一緒のほうが、お互いの成果を披露しあったりしながらわいわい盛り上がれそうで、楽しいでしょうね。なんて話を書いてたら、すぐにも行きたくなってきたなあ。


リブロ古本まつり2011

↑3つとも毎年行ってるんですが、リブロ古本まつりだけが、毎回目録を送ってきてくれるのです。


有隣堂AKIBAの特撮、往来堂のD坂、三省堂神保町の手塚治虫……最近見てきた新刊書店のおもしろフェアたち。

日中、新刊の用事で少し書店回りをしたところ、あまりの暑さに心身とも溶け出してしまい、予定の半分も回れぬままに、ほうほうのていで会社に戻る羽目になった空犬です。


本日オープンのTSUTAYA 大崎駅前店を見に行きたかったんですが、オープン当日は関係者がたくさん来てお店も大変でしょうから、ちょっと間を置いてからのほうがいいかなと、あえてがまん。 「CCC、大崎駅にBOOK&CAFE備えた新店オープンへ。」(7/14 文化通信) 。どんなお店になってるか、ちょっと楽しみ。


昨日今日と見てきた書店の様子をいくつかレポートします。まずは、有隣堂ヨドバシAKIBA店。もちろん仕事の用事で行ってきたんですが、ついでに(ほんとに、ついで、なんです)、ツイッターで見かけて気になっていた特撮フェア「ヒーローなう。」をチェックしてきました。いやはや、これはすごいわ。そのボリュームにびっくりしてしまいましたよ。


こちらは一応、長く特撮ファンやっている筋金入りの特撮本読みです。特撮本のフェアといっても、たいてい知ってる本ばかりで、そうそう、うれしい思いをさせられたり、びっくりさせられたりはないんですが、これにはさすがに驚かされましたね。サイトの説明にも《250点以上のタイトルを集めた、かなりのボリューム》とありますが、まさに誇張ゼロで、大きめのフェア台がまるごと、たくさんの特撮本で埋まっています。フェアタイトルが「東映ヒーロー編」とある通り、仮面ライダー関連が中心で7割ぐらいでしょうか、それに戦隊ものが加わっています。さらに、東映以外の、ウルトラ、ゴジラほかの東宝特撮関連、ガメラなどの大映関連も一緒に並んでいます。


なんといっても圧巻はライダー関係。フェア台の隣に丸い柱があるのですが、そこにはフィギュアと写真集がずらり。フェア台近くのショーケースには、『仮面ライダー 1971 《カラー完全版》BOX』などライダー関連の豪華本が並んでいます。フェア台の本も、大人向けのものと児童向けのものが仲良くならんでいて、ライダー少年をもつお父さんが親子で楽しめそう。


お店に知り合いがいないので、店頭の様子を写真に撮ってこられなかったのが、ほんとに残念。フェアは、7/25まで。昭和特撮者のお父さんはもちろん、平成の特撮ファンも、このフェアは必見ですよ。全速力で秋葉原へ。


ちなみに、フェアからは、この本を買ってきましたよ。


  • 村枝賢一『魂の仮面ライダー爆談!! COMPLETE+』(辰巳出版)

そろそろ、D坂文庫が始まるはずだったなあ、ということで、往来堂書店にも寄ってきました。西日暮里からの歩きは本気でつらくて、途中、などもくじけそうになったのですが、途中で引き返すのもつらいんですよねえ。この時期、往来堂書店へ行く方は、西日暮里からの徒歩はおすすめできません。千駄木からどうぞ。


往来堂書店 店頭 110715

で、苦労して訪れてみたら、なんとD坂文庫はまだだった……。ちょうど帯の印刷に店長の笈入さんが行っているところだとかで、今夜には出せそうとのこと。うーむ、残念。フェアは、いま夏100が並んでいる入り口入ってすぐのフェアコーナーでいつものように展開予定。8月末ぐらいまでかな。好評なら延長も、とのこと、でした。


同店は、しばらく前にアルバイトスタッフを募集していましたが、今日、Hさんにうかがったところ、新しい方が3人入られたのだとか。それに合わせて、担当などの変更もあったそうで、そのせいでしょうか、入り口脇の棚に手を入れたそうで、ちょっと感じが変わっていましたよ。


文庫本画廊1文庫本画廊2文庫本画廊3
文庫本ハガキ

文庫本を、中身が見えないよう、クラフト紙の洒落た封筒に入れ、そのまま郵便として送れるようにした文庫本葉書。それを手がけたbook pick orchestraによる、おもしろ文庫がレジの回りにならんでいました。その名も、「文庫本画廊」。文庫の表紙画には、それだけで作品として成立しそうなもの、ジャケ買いの対象になっているものなど、印象的な装画を使ったものが少なくありません。この文庫本画廊は、文庫の表紙の、タイトル周りが見えないよう、「額」をつけたもの。と、下手な説明ではわかりにくいかもしれませんが、2枚目と3枚目の写真をご覧ください。ね、なかなかいい感じでしょう。これ、ほんと、いいアイディアだなあ。


お受験セレクション1お受験セレクション2

↑D坂はまだ見られなかったのですが、店内では、こんなフェアも。「大人顔負け お受験selection!」。私立中学の国語の入試問題に取りあげられた本を集めたとのこと。へー、こんな本が入試に、なんて本が混じっていて、なかなか楽しい。


お受験セレクション帯1お受験セレクション帯2

↑往来堂のフェアといえば、そう、もちろんこれです、独自帯。D坂だけでも大変だったはずなのに、同じ時期にこんなのも作ってるんだからなあ(笑)。表を見ると、一見、全点共通のに見えますが、裏返してみると、どの学校で取りあげられかの情報が入っていて、共通に使えないようになっているのです。どう考えても、ここにこることの効果よりも、手間のほうがずっと大きくて大変なんだろうと思うのですが、でも、こういうのって、いいですよね。帯をひっくり返して眺めながら、うれしくなってしまいました。このフェアからは、読んだことのなかった2冊を購入。


往来堂書店 店頭2 110715

店内の文庫のランキングを見ていたら、なんと、1位に、藤澤清造が入っている! さすが、根津権現裏の書店だなあ(笑)。Hさんによれば、2位に大きく差を付けての1位だとか。吉祥寺で買っちゃったんだけど、往来堂で買えばよかったなあ。往来堂さん自身も、ツイッターで《新潮文庫『根津権現裏(藤澤清造)』の売れ行きが止まりません。根津権現(根津神社)の裏にある書店は往来堂だけ!》と書いていました。


最後はこれを。「手塚治虫書店開店のお知らせ」(三省堂書店公式ブログ)、「三省堂書店で「手塚治虫書店」、電子本を店内で閲覧。」(7/14 文化通信)


手塚治虫書店 看板手塚治虫書店 自動扉手塚治虫書店 エレベータ

↑左は看板。ガラスの児童ドアには、アトムやピノコが(中)。エスカレーターの扉まで、ほら、この通り(右)。


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モスラ、つなみ、藤澤清造、松浦寿輝……最近買った本たち。

最近、買った本の報告が少ないので、書店には行ってるみたいだが、実は本を買ってないんじゃないの?などと思われてもいけませんので(って、だれもそんなこと気にしないと思いますが)、一応、最近(今日、も含め)買った本をずらりと並べておきます。うち、いくつかについては、読了後にあらためて記事で取りあげるかもしれません。


まずは雑誌から。


  • 別冊映画秘宝『モスラ映画50年大全』(洋泉社)
  • 洋泉社MOOK『ゾンビ映画大マガジン』(洋泉社)
  • 『つなみ 被災地のこども80人の作文集』(文藝春秋)
  • 『ギターマガジン』(リットーミュージック)

モスラにゾンビに……いい年したオヤヂが何買ってんだよ、とあきれておられる読者のみなさんの顔が目に浮かぶようです。


『つなみ』、副題を見ただけで、目がうるうる、まだ頁をめくってもいないのに、表紙ですでに泣いてるので、中を開けられずにいます。『ファイト新聞』とこれは、読むときに覚悟が要りますね。


『ギタマガ』の表紙はしばらく前に亡くなってしまったコーネル・デュプリー。ショックが大きすぎて、記事で取りあげられずにいるのですが、ぼくにとって神様のようなギタリストの1人。ピックガードをはずしたおなじみのテレキャスを抱えたコーネルの姿はもうかっこよすぎて、結局、こっちでも泣いているのです……。


次は文庫。


  • 桜庭一樹『青年のための読書クラブ』(新潮文庫)
  • 北林一光『ファントム・ピークス』(角川文庫)
  • 後白河法皇編・川村湊訳『梁塵秘抄』(光文社古典新訳文庫)
  • 西村賢太『随筆集 一私小説書きの弁』(新潮文庫)
  • 藤澤清造『根津権現裏』(新潮文庫)
  • 瀬名秀明『希望』(ハヤカワ文庫)

ほかにもあるけど、まあこんなところで。

次は単行本、その他。これもいっぱいあるので、一部を。


  • 松田奈緒子『えへん、龍之介。』(講談社)
  • 松浦寿輝『不可能』(講談社)
  • 津原泰水『11eleven』(河出書房新社)
  • 林洋子『藤田嗣治 本のしごと』(集英社ビジュアル新書)
  • 蝦名則『えびな書店店主の記 四月と十月文庫 1』(港の人)
  • 神谷和宏『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』(朝日新聞出版)
  • ニヒル牛マガジン『Nishiogi Lover's Book 12の地図付き西荻案内』(ニヒル牛文庫)

うち、文庫と単行本には、内容にふれたいものがいくつかあるので、それはまたあらためて。


突然ですが、太陽の塔の話です

この記事は気になるなあ。太陽の塔好きとしては。「太陽の塔:震度6で損壊の恐れ 内部再公開へ耐震補強工事」(7/13 毎日新聞)。少し前には、この記事もありました。「太陽の塔」はなぜ残った 大阪万博の謎」(7/7 日本経済新聞)。


記事を見てみます。《大阪府吹田市で70年に開催された大阪万国博覧会のシンボル「太陽の塔」が、震度6クラスの地震で損壊する恐れのあることが分かった。管理する日本万国博覧会記念機構によると、長さ25メートルの腕の部分が変形し、上部にひび割れが生じるという。万博機構は耐震補強工事を実施し、中止している内部公開を再開したい考え。近く工事設計に着手する》(毎日)。《太陽の塔は永遠に残るのか。現在のところ、答えはノー。2008年度に耐震診断したところ、大地震で倒壊する可能性が高いことがわかったからだ》(日経)。


《早ければ来年度にも工事を始める》(毎日)とあるけれど、どうなるのかなあ。気になります。


太陽の塔、大好きなんですよ、実は。と、急に思い出したんだけど、そういえば、この前(4月)の大阪出張では、実は、「太陽の塔」を見てきたのでした。時間がなくて書店が回れない、ってさんざん書いておいで何してんだ、と言われそうですが(苦笑)。レポ記事まで書いてたんだけど、書店とぜんぜん関係ないので、ボツにしたんですが、ちょっと復活させます(以下、その時の記事を部分修正したものです)。



今回(註:4月の大阪出張のことです)、わざわざ時間を作って太陽の塔を見に行ってきた(今回の大阪行きは、出張=仕事の用事ですが、それとは別に、休みを1日使って行ってきたのです)のにはちょっと理由がありまして。


生誕100年でちょっとしたブームになっている感のある岡本太郎。東京国立近代美術館で5/9まで開催中の岡本太郎展はぼくも見に行く予定なんですが(註:結局見逃した……)、その前に、代表作であり、個人的にも大好きな「太陽の塔」をあらためて見ておきたかった、というのが1つ。


もう1つは、今回の震災で、1つの町が壊滅状態になってしまうような事態を報道でさんざん目にしているうちに、かつて住んでいた街を無性に見ておきたくなった、というもの。文章にすると、なんかこじつけっぽい感じですが、ほんとにそんな気分だったのですよ。で、ぼくが高校卒業のころまで住んでいた街=吹田を通って、太陽の塔のある万博記念公園まで行ってきたというわけなんです。


太陽の塔 入園券

以下、そのときにとってきた写真をいくつか。


太陽の塔 遠くから

↑なにしろ、でっかいので、かなり離れたところからでも、こんなふうに、遠近感が妙な感じで目に入ってくる。


太陽の塔 正面太陽の塔 花壇太陽の塔 右足元

↑左は正面から、比較的よく撮れた1枚。中は、やや右から周りの花壇を入れてみた。右は、さらに近づいて、右足元のほうから。


太陽の塔 逆光太陽の塔 背面1太陽の塔 黒い顔

↑逆光でダメダメだが、意外にかっこいい(左)。背面で見上げると、正面とは違った迫力が(中)。背面の黒い顔(右)。


太陽の塔 花見太陽の塔 サクラ

↑写真が下手過ぎて、何がなんだかわからないが、周囲は満開の桜、芝生部分は花見客でいっぱい。塔と桜をちょっと無理矢理一緒に入れてみたら、妙なアングルになったの図。


太陽の塔 背面 遠方太陽の塔 横から1太陽の塔 横から2

↑どのアングルから見てもかっこいい(左)。左横から見る。真ん中の顔の凹凸や質感がよくわかる(中・右)。


太陽の塔 黄金の顔展

↑「太陽の塔 黄金の顔展」が開催中だったが、時間の関係で見られず。


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まさに夢のような1冊……『世界の夢の本屋さん』がすばらしい

新刊案内にその書名を見つけて以来、ずっと、ずっと楽しみにしていた1冊です。



世界の夢の本屋さん 表紙世界の夢の本屋さん 見開き

↑表紙がお店・棚の写真でないのはちょっと残念な気がしますが、まあ、右の写真にあるように、ちょっと開けば、中は「棚」だらけですから、そこはね(笑)。


世界の夢の本屋さん チラシ

↑版元のチラシ。


書店好きなら、書名を目にしただけで、わくわくしますよね。いやはや、これ、もう、なんというか、すばらしいです。それ以外に、何も言葉が要らないぐらい。4千円近い値段も決して高くはないですよ。本好き書店好き、とくに「棚好き」は必見です。これ1冊あれば、しばらくの間は、バーチャル書店巡りの楽しみに事欠きませんよ。空犬通信、全力でおすすめの1冊です。


……と、これで終わってもいいんですが、もうちょっと書いておきましょうか(笑)。サイトから内容を引くとこんな感じ。《海外の本屋さんはインテリアはもちろんのこと、看板、ショーウィンドウ、ディスプレイなど見所満載!本書は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ブリュッセル、ローマ、ミラノ、アムステルダム・・・などおしゃれな街10都市のクラシカルなお店から、モダンデザインのお店までセンス溢れる33件を紹介。美しい写真で、見ているだけで楽しくなる1冊です。》


内容紹介の最後にある通り、これは、書店好きにはたまらんなあ。眺めているだけ、実に幸せな時間を過ごせます。版元は、建築書を多く出しているエクスナレッジ。本屋さん本の版元としてはちょっと意外な感じもしますが、そこは、さすが建築に強い版元が手がけた1冊、建物の外観はもちろん、店内の様子をとらえた写真も「容れ物」をちゃんと見せようとアングルやサイズが工夫された美しいものばかり。本文を後回しにして、写真を眺めているだけでも、相当楽しめるはずですよ。


とにかく、徹底的に書店の店内を、棚を見せてくれる本ですから、リアル書店の店内を歩くようにして、写真をざっと眺めていくのもよし。気になるお店、気になる棚があったら、ルーペを手元に用意して、写真に写っている本の書名や書影をこまかく見ていくもよし。


ビジュアル中心の本ですが、本文もなかなか読み応えがあります。どの店も、店長やオーナーなど、お店で働く人のインタビューが収録されているので、海外の書店の「書店員の声」が聞けるのもうれしい。


表紙や書誌情報には著者・編者の名前がないんですが、奥付を見ると、取材・執筆をされたのは、清水玲奈さんと大原ケイさんのお二人とのこと。大原ケイさんは、『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(アスキー新書)の著書があり、またアメリカの出版事情をリアルに伝えてくれるサイト「本とマンハッタン」がある方ですから、本好き書店好きにはおなじみですね。なるほど、文章部分が充実しているのもわかりますね。


本書の帯には、こんなふうにあります。《本を愛する人が幸せになれる場所。》書店というのがどんな場所かを、ひとことで言い表してくれています。まだ本書を手に入れていない、まだ店頭で実物を見たこともないという本好き書店好きは、全速力で書店にかけつけて、大至急1冊購入願います。


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BEX秋葉原、三省堂留萌、丸善津田沼、ブックオフ吉祥寺……書店の開店閉店改装いろいろ

久しぶり(といっても1週間だけど)に、このところ追えてなかった新刊書店の開店閉店リニューアル情報をまとめてみます。


先日の記事でレポートした山下書店ラフォーレ原宿店の閉店と同じ日に、BOOK EXPRESS秋葉原2号店も閉店となっていたようでした。


総武線千葉方面ホーム上にあった同店。個人的にはあまり利用する機会はなかったのですが、なにしろ乗降客の多い駅のホーム上にあったお店、いつ通っても、本がぎっしりで小さなスペースにはたくさんのお客さんの姿があったような、そんな印象だったんですが、どういう事情によるものなんでしょうか。


昨年、主要店が続けて閉店になったときは、利用者や業界関係者を大いに驚かせたBOOK EXPRESS。その後、多くのお店がリニューアルをはたしていますが、この秋葉原店はどうなるんでしょうね。


続いては、新規店の話題。これも、以前の記事で取りあげていますが、留萌に出店する三省堂書店、開店日や正式店名が決まったようですね。日刊留萌新聞「留萌ブックセンターby三省堂書店7月24日オープン」という見出しの記事がありました。


《留萌に出店する三省堂書店(本社・東京都)のオープンが決まった。三省堂書店札幌店の横内正広店長から留萌振興局に入った連絡によると、7月21日から23日までプレオープンし、本オープンは同24日。店名は「留萌ブックセンターby三省堂書店」に決まった。》(7/1 日刊留萌新聞)


気になるのは、この名称ですね。ちゃんと調べてませんが、三省堂書店の過去の出店で「……ブックセンターby三省堂書店」のようなタイプはなかったと思います。正式な支店なのか、それとも運営や出資の形態が通常の支店とは異なるものなのか、ちょっと気になりますね。


現時点でわかっている詳細は前の記事でもふれていますが、広さが160坪、「マックスバリュ留萌」内のワンフロア店で、在庫は10万冊、CD/DVDの扱いもあるようです。


続いて、リニューアル、それもCHI関係のリニューアルを2件。7/1(金)に、JR津田沼駅南口側にある丸善津田沼店が、改装・増床をはたし、リニューアルオープンとなったようです。もともと、売り場面積は、800坪(書籍720坪・文具80坪)と広いお店でしたが、今回の増床でなんと1.5倍になったのだとか。総売り場面積が1185坪で、うち書籍だけで千坪超の、1055坪となっています。


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今年の「文庫遠足」の日程が決まりました

この猛暑に気でもふれたのかと思われそうですが、来月、8/6(土)に、本好きの仲間と「遠足」を計画していて、いまからわくわくの空犬です。


「遠足」というのは、文庫数冊と缶ビール数缶を持って、公園や川辺に出かけ、そこで本を読んだりお酒を飲んだり昼寝をしたりしながら、半日をだらだらとすごす、それだけのイベントです。それだけのイベントなんですが、これが実に楽しいですよ。


「遠足」がどんなものか、の詳細は、こちらに、2年前の様子はこちらにあります。昨年夏の様子は、さぼってblogに記事をあげなかったので、代わりに同行した出版仲間Eくんのblog記事をどうぞ。


今年は、昨年のメンバーで行くつもりなんですが、こういう楽しいイベントは本好きの間にぜひ広めたい、「文庫遠足」なる名称を定着させたい、ということで、参加者を(小規模に)募集したいと思います。条件は3つだけ。こういうノリが楽しめそうな本好きの方で、書店か出版関係のお仕事をされている方で、8/6に立川の昭和記念公園に集まれる方。


お酒は必須ではありませんのでお酒が苦手な方でも可ですよ。過去記事を見て、本の好みが違うなあ、などと思われる方もいるかもしれませんが、ジャンルや好みもあんまり関係ないです。自分の読みたい本だけを持ってきて、自分で読むだけでもいいですからね。おしゃべりは苦手なんだよなあ、人見知りなんだよなあ、という方もオッケー。ぼくもそうですから(笑)。別に読書会じゃないですから、ずっとおしゃべりしているわけではありません。輪から少し離れて静かに本を読むのも、疲れたり酔っ払ったりしたら寝ちゃうも可です。ゆるやかに、なんとなく一緒にいる、というぐらいのほうが気楽で楽しいものですから。


あんまり人数が増えすぎちゃうと、帰り(書店と飲み屋に寄ります)が大変なので、書店か出版関係の方にかぎらせていただきました。業界が違う/場所が遠い、けど興味がある、という方はぜひそれぞれの「文庫遠足」を実現してください。


なお、雨天の場合は中止ですが、ゼロにしてしまうのももったいないので、みなで書店回りをしたり、本を持ち寄っての飲み会だけにするのもいいなと思っています。まあ、でも今は雨のことを考えるのはやめておきましょうかね(笑)。


というわけで、ぜひ参加してみたい、という方がいらっしゃいましたら、このblogのコメント欄(管理者にだけ表示を許可、にするのをお忘れなく)か、ツイッター(@sorainu1968)にてご一報ください。


東京国際ブックフェアに行ってきました

昨日、7/8(金)と本日7/9(土)の両日、東京国際ブックフェアに参加してきて、へとへの空犬です。


昨日は、会場全体を流して情報収集、今日はシンポジウムに参加してきました。今回の最大の収穫は、会場やシンポジウムで得られた情報では実はなくて、たくさんの書店員さん、それもツイッター上など、バーチャルでしか知らなかった書店員さんにお会いできたことでした。それ以外にはとくに報告すべきこともないのですが、ごく簡単にまとめておきます。(簡単に、とか言いながら、例によってだらだらと長くなりました……。)


TIBF2011 1 ビッグサイト

↑毎年ビッグサイトに来るたびに思うんですが、なんか、モビルアーマーっぽいですよね、この感じ。


TIBF2011 1 ホール

↑今日の昼頃の様子。中は撮れないので、受付付近を。


TIBF2011 1 すずめ

↑今日ランチをご一緒する予定だった方が来られなくなってしまったので、この子と一緒に食べました。パンを投げてやっていたら、だんだん近寄ってきて、ついにはすぐ足元に! 鳥好きとしては大変うれしい瞬間だったんですが、シャッター音に驚いて、飛び去ってしまいました。


TIBF2011 1 買った本中公

↑2割引は魅力的ですが、これでも一応出版関係者ですから、割引での買い物はいつも控え目にしています。ただ、今年は売上げの全部または一部を被災地支援に回すとうたっているブースが多くあったので、そういうところでは遠慮なく買い物ができました。昨年、倉庫から出してきたような年季の入った本をワゴンセールしていた中公は、今年も新書と単行本を並べていました。新書200円、単行本500円。単行本には、初版美本なら古書ではとても500円では買えないような本もちらほら。大好きな色川武大の主要作中、唯一初版本を持っていなかった『生家へ』と里見とんの随筆集を購入。


TIBF2011 1 買った本河出

↑河出では新刊のこの2冊を。うち、『宮城県気仙沼発!ファイト新聞』は出る前から楽しみにしていた1冊ですが、すごい本でした。最初の数頁で涙腺決壊。たくさん出ている震災関連本のなかでも、重要な1冊になるのではないかと思います。いろいろな人に広く読まれてほしい本ですが、とくに、本や新聞などのメディアに関わっている人はぜひ読んだらいいと思いますよ。この本を前にすると、人に何かを伝えるって、こういうことだよなあ、なんかそんなひねりも何もない感想しか出てきません。それぐらい、強烈なパワーに満ちています。


TIBF2011 1 買った本文化通信

↑《東日本大震災関係記事を掲載した紙面をまとめ》たという『「東日本大震災」その時メディア産業は 文化通信特別縮刷版』。「出版流通・販売」「印刷委託」「用紙・インキ・電力問題」など、メディア関係者が気になるテーマの目次がついています。


東京国際ブックフェアと、国際電子出版EXPOが同時開催ということで、会場の半分ほどは電子関係。会場を見た方のうち多くが同じ印象を受けたかと思いますが、出版側のブースに比べ、電子書籍関係のほうはずいぶんにぎやかでしたね。とにかく、あっちでもこっちでも、ひっきりなしに、講演だのデモだのイベントだのなんだのと、熱心なところでは30分刻みで、何かしら行っていたりする。もちろん、出版側でも、イベントやトークもあるのですが、商品を並べて売っているだけというブースも多いので、見た目の派手さ、盛り上がり、集客は、あきらかに差がついてしまっていましたね。


ぼくは池袋で行われていたころからほぼ毎年通って、ずっとブックフェアを見てきているんですが、以前に比べると、出版社の展示は地味になりました。以前は、社によっては、コンパニオンの女性をブースに立たせたり、販促物を配らせたりしていたのが、激減。販促物の配布も激減。ちょっと歩くと、あちこの社の名前が入った封筒やら袋やらで両手がいっぱいになったころがちょっとなつかしいです。いま、そんな配り方している出版社はほとんどないものね。電子のほうはその点でもにぎやかでしたね。


TIBF2011 DNPTIBF2011 トッパン

↑左はDNPの、右は凸版印刷のブースで配布されていた冊子。DNPは「ハイブリッド出版ソリューション」を特集、凸版は「市場を動かすデジタルコンテンツビジネス」を特集。出版社が自社商品の割引販売に忙しいなか、同じ会場では、大手印刷会社が、出版社のそれよりもずっと大きいブースで派手な展示を展開、大文字の「出版」を語る、こうした冊子を配布しているのだから、なんだか皮肉な感じがしないでもありません。


会場やシンポジウムで得られた情報は、まあ予想の範囲内というか、残念ながらそれほど発見があったわけではないんですが、一般の方が来られる土日の盛況ぶりを確認できたのはよかったですね。ふだんは平日参加がメインなので、こんなに混雑しているとは思いませんでした。もちろん電子目当てで来ている人もたくさんいるのでしょうが、出版不況が言われるなか、真夏日に、決して交通の便がいいとは言い難い会場で行われているブックフェアに、これだけたくさんの本好きが集まっているというのは、それだけでなんとなくうれしいものですよ。木金だけに来ていると気づかないんだけど、親子連れ、家族連れもけっこういるんですよね。児童書ブースでの子ども向けイベントも盛り上がっているようだったしなあ。


冒頭に書いた通り、今回の最大の収穫は書店員さんたちにお会いできたこと。会場で会えたらいいなあ、なんて消極的かつ他力本願なことしか口にしないぼくにかわって、知り合いの書店員さんが、7/8(金)の午後に書店員さんで集まりませんか、とツイッターで声をかけてくださったのです。それに応えてくださった方がなんと20人以上も! ツイッターでもブログでもこうして書店のことばっかり書いている縁で、書店員ではないのにその場に特別に混ぜてもらってきました。おかげで、これまでツイッターのアカウントでしか知らなかった、たくさんの書店員さんたちとリアルにお会いすることができましたよ。名刺交換のほか、フリペを持ち寄った方もいて、交換会のようなかたちにも。ぼくも、先に紹介した『本屋さん新聞』を持っていって、代わりに配ってきましたよ。


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またまた書店フリペとの出会いが……廣文館呉そごう、鹿島ブックセンター

この空犬通信でも何度かふれていますが、ツイッター書店員さんの間でのフリペの盛り上がりは、あいかわらずすごくて、あちこちから新しいのは登場するわ、これまでなら別地域での入手など考えられなかったような地域のお店発のものまで入手できるようになるわ、チェーンの枠を超えて複数のお店のフリペが仲良く店頭で並んだりするわ、と、大変。なので、いまさらぼくがプッシュしたり、紹介したりする必要はあんまりなさそうなんですが、でも、最近入手したもので、どうしても紹介しておきたいものがありますので、2件、ピックアップします。


まずは、広島は、ブックガーデン廣文館そごう呉店発のこちらを。じゃーん。


本屋さん新聞Vol1 1本屋さん新聞Vol1 2

その名も、『本屋さん新聞』。ストレートでいい名前ですよね。表紙のロゴもいい感じ。体裁は、A5判8頁。モノクロ。手書きではなくワープロ書きで、段組や図版など、丁寧にレイアウトされています。作成したのは、hon83さん(@hon83)。フリペを作るのは今回が初めてだそうですが、いやはや、初めてとは思えない出来ですよね。



内容は、文芸書や文庫の話題本・新刊の紹介が中心。ちょっと目を引くのは、紙幅の少ないフリペではめずらしい、大型のシリーズもの(今回は、集英社の『戦争×文学』)や、ラジオドラマ化作品のラジオ番組情報などが取りあげられている点。特集として、ある文庫に1頁をあてて取りあげている頁(今回は『ねじまき少女』!)に、作中登場人物の紹介があるのも、フリペではめずらしい試みですよね。最近続けていろいろなフリペを読みましたが、先行作品、他店フリペを参考にしているはずなのに、似たものは意外になくて、頁数わずか数枚のなかに、ちゃんとこうして、他にはない、独自の切り口を混ぜてくるのだから、ほんと、フリペ書店員のみなさんの情熱というか研究熱心さには、毎回驚かされます。


今回が第1号ということで、まだ頻度などの詳細は決まっていないようですが、月刊を目指しているとのことです。当面、配布は同店のみでしょうか。チェーンの他店での配布などについては未定のようです。というわけで、またまた読み応えのあるフリペのデビューです。ブックガーデン廣文館そごう呉店をご利用のみなさんは、ぜひ『本屋さん新聞』のチェックをお忘れなく。


もう1点、これもふだんなかなか行くチャンスのないエリアのお店で発行されているフリペを入手できました。こちら。


カシブログ2011.5

福島県いわき市の書店、鹿島ブックセンター(@kashibucho)で発行されている「カシブログ Kashiblog」です。しばらく前に同店を訪れた出版仲間のEくんが、おみやげにと届けてくれました。書店フリペがおみやげって、贈るほうも、もらって喜んでるほうも、どっちもすごいよねw。


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その美しさにため息……夏葉社第4弾『星を撒いた街』を購入しましたよ

懸案だったブックンロールの募金の報告を書き上げたら、急に安堵感と虚脱感がタッグで押し寄せてきて、いささか放心気味、しばらくは更新もちょっとサボってもいいかななどと逃避癖を発揮中の空犬です。


こういう、だらけ気分のときにかぎって、紹介したい本だのフリペだのお店だの、ネタがいくつもたまっているから大変。いろいろあるネタのなかから、まずは、話題のこの本から。


  • 山本善行編『上林暁 傑作小説集 星を撒いた街』(夏葉社)


星を撒いた街

↑実に美しい、なんとも言えないたたずまいの本です。『昔日の客』に続いて、こちらも装丁・造本がすばらしい。



星を撒いた街 チラシ

↑ほんとは発売前に紹介しなくちゃとスキャンしておいたチラシ。



刊行前からツイッターやWebで話題になっていた1冊。まさか上林暁の「新刊」がこんなふうにあちこちで本好きの話題になるとはなあ。さすが、夏葉社さん。今回も目のつけどころといい、本の作り込みといい、すばらしい仕事ぶりですよね。これがまだ設立3年にも満たない、そして5冊も本を出していない書肆の仕事とは思えません。島田さん、あらためてすごいなあ。同じく出版に関わる者として、ちょっとうらやましくなりますね。


収録作など内容については、あちこちでふれられていますから、それらをご覧いただくほうが早いでしょう。夏葉社に縁のあるところから引いておくと、西荻ブックマークのこちらとか、海文堂書店のこちらとか、あと、選者・山本善行さんの「古本ソムリエの日記 」とか。


代わりに、装丁・造本好きとして、この本の造りにふれておきましょう。判型は四六判で、上製。『昔日の客』と同じテイストで装われているのがわかる造本ですね。全面が緑系の布クロス装だった昔日と違い、今回は、背の部分で色が変わっています(この山吹色が美しい)。これは継ぎ表紙(継ぎ背・背継ぎとも)と呼ばれる製本様式で、ひと昔前の文芸書のうち、函入り上製本の本体によく見かけましたが(昔日の布クロス装もそうですね)、最近の本で目にすることはすっかりなくなりましたね。布クロス装も継ぎ表紙も、函入り本ではなく、このように単体で用いてもいい感じだということが、これらを見るとよーくわかります。新刊書店の店頭にこのようなルックスの本が並んでいると、古本好きの目にはもちろん、一般の本好きのみなさんの目にも、かなり新鮮に映るのではないでしょうか。


書名・著者名(今回は編者)は、昔日は手書き文字をスミ1色で箔押ししたものでしたが、今回は明朝系のフォントで、金の箔押し。文字量の少ない帯とのバランスもよく、とても上品にまとまっています。


試みに、最近の本で継ぎ表紙の本なんてあったかなあ、と、我が家の本棚を眺めていたら、この本のことを思い出しました。


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ブックンロール3のレポートです……募金先のご報告

ちょっと待っている資料があったりしたもので、報告が遅くなってしまいました。先日、6/17(金)に開催したブックイベント「ブックンロール」で集まったお金を寄付してきましたので、ご報告します。仙台で活動をしている「こどもとあゆむネットワーク」に、集まったお金の全額81,000円を寄付しました。


ブックンロール3募金先

「こどもとあゆむネットワーク」のサイトには、このような文章があがっています。《地震に遭ったこどもたちは、心に何らかの影響を受けています。わたしたちはそのこどもたちが早く日常に戻れるように支援します。こどもたちの笑顔は、被災地にともる灯りだと思います。その灯りを消さないように、「絵本」「おもちゃ」「文房具」「あそび」を届け続けます。》活動の詳細は、ぜひサイトをご覧ください。


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毎夏恒例! リブロ渋谷の「うらなつ2011」が始まりましたよ

今日は、新刊案内他の用事で、書店回り。渋谷を回ってきたんですが、この気候だと、渋谷駅近辺からMARUZEN&ジュンク堂書店がすごーく遠く見えるなあ。せっせと坂を登って、たどり着いてから、担当さんが休みだったことを知らされたときのショックといったら……。


弱音はさておき。リブロ渋谷店、毎夏恒例のフェア、「うらなつ2011」が先週から開始とのことなので、今日、店頭の様子をのぞいてきましたよ。


ウラナツ2011 1ウラナツ2011 2

↑夏文庫と同じ平台のいつもの場所で展開中。ピンクのフェア帯が目を引きます。(写真は、空犬がお店の許可をもらって、撮影したものです。
ウラナツ2011 3

↑こちらは、夏文庫の選書リスト。


ちなみに、この「うらなつ」、ご存じない方のために、どんなフェアかというと、同店Yさんが、ツイッターでこんなふうに説明していますよ。《【うらなつ】今年もはじまりました、渋谷店オリジナル夏の文庫フェア「うらなつ」。渋谷店スタッフと出版関係者有志によるおすすめ文庫100冊。全てにコメント付いてます。西島大介さんのイラストが目印!皆さまのご来店お待ちしております☆(渋谷店Y)》。


この空犬通信では、昨年も取り上げています。昨年の様子はこちら


「うらなつ」と言えば、この独自帯。写真でご覧いただける通り、すべての本に、手書き(一部そうでないものもあり)の帯がかかっています。帯のイラスト、毎年、イラストレータも変わるんですが、昨年は本秀康さん、今年は西島大介さん。すごい人を確保してますよね、毎回。


わたくし空犬も、3年目になるのかな、昨年に引き続いて参加させてもらっていたりします。ちなみに、「空犬」名義ではなくて、本業の方の名前で参加してます。


この時期、文庫と言えば、大手3社の夏文庫。店頭はそれで手一杯ということなんでしょうか、昨年も書きましたが、この大手3社のほかに、夏文庫としてお店独自のものを展開しているところはいくつかはありますが、そんなに多くはない感じですよね。昨年と同じく、渋谷で見るかぎりでは、リブロだけかな。


Aさん、Yさんに会えたので、これは誰が選んだもの、これはどんな本、などと、並んでいる本をネタにしばしばおしゃべり。いかにも○○さんが選びそうな本だなあ、というのもあれば、渋谷の夏文庫にこれを選ぶのか、とびっくりするようなものまで、いろいろで、この統一感があるんだかばらばらなんだかわからないところが、このフェアのおもしろいところ。大手3社の夏文庫とはノリの違う本(もちろん、なかには著者が重なっているものもありますが、全体として)がずらりと並ぶ様子は眺めるだけでも楽しいものです。


フェアは8月末ごろまでの予定だとか。まだ2月ほどありますから、自分の選書分の売れ行きチェックも兼ねて、何度かのぞいてみようと思っています。とっても楽しいフェアなので、渋谷で本をチェックする際には、ぜひのぞいてみてくださいな。


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↑「うらなつ」、参加者としては、やっぱり何か買いたくなります。今日はこんなのを買いましたよ。1冊は、Yさん強烈プッシュ(なにしろ、10年に1冊レベルだといいますから)のもの、もう1冊は、知らない作家・読んだことのない作品ということで選んだものを。


書店員の「理想の本棚」「理想の書店」観、って気になります

大阪・中崎町にあるブック&ギャラリーカフェ珈琲舎・書肆アラビク。残念ながら一度も訪れたことはないのですが、オーナーアラビク森内さん(@Arabiq_owner)のプロフィールには、《珈琲のほか、文芸書、絵画、球体関節人形等の美術品を取り扱ってをります。》とあり、なんだかおもしろそう。次に大阪に行く機会があれば、ぜひ見てみたいなあと思っているお店の1つです。


そのアラビク森内さん(@Arabiq_owner)が、ツイッターで、、こんな投げかけをしています。


《本や書店が好きなお客様に質問。「新刊書店への不満な点」「古本屋への不満な点」「書店で嬉しかったこと」「書店で嫌だったこと」「この書店が好き」「自分が考える理想の書店・本棚」などご教示ください。お返事ができるとは限りませんが、発行予定のフリーペーパーでそれらを検討したいと思います。》


「新刊書店への不満な点」「古本屋への不満な点」「書店で嬉しかったこと」「書店で嫌だったこと」「この書店が好き」「自分が考える理想の書店・本棚」……いずれも、本好き書店好きなら気になるお題ばかりですよね。ブックンロールのトークのテーマにもなりそう。


さらに、続くツイートにはこのように。《書店員さんにも「理想の本棚」「理想の書店」観をうかがいたく存じます。近々大阪で書店員の座談会を開催するのですが、そのヒントを賜わりたく。》


はたして140字のやりとりで、どれだけ語れるものか、なんてことが気になるぐらい、大きなテーマですね。毎晩のように棚作りや流通やフリペのことで熱いやりとりを繰り広げているツイッター書店員のみなさんに、ぜひうかがってみたいところ。書店員の座談会というのも大変気になります。


森内さんのツイートで、書店がらみのものでは、しばらく前のこんなツイートもありましたね。


《「本屋の逆襲」に掲載されなかった店を中心に「本屋の復讐」といふフリペをださうかと画策。参加希望者は@なりDMなりメールなりでご連絡を。別に「お店を代表」しなくて大丈夫です。ハンドル名で参加OK、とかそのへんも含めてこれから決めたいので。》


書店・本屋をキーワードに、おもしろいアイディアを次々に出されるオーナーアラビク森内さん(@Arabiq_owner)。書店好きとして、また、書店がらみのイベントをしたりしている者として、とても気になります。興味を引かれた書店員さんは、ぜひご連絡してみてはいかがでしょうか。


文鳥堂、ブックストア談……原宿にあった書店の話

山下書店ラフォーレ原宿店の閉店を取り上げた昨日の記事で、原宿の書店についてふれたところ、コメント欄ほかで、ブックストア談と文鳥堂があったね、という話をご教示いただきました。そうだった、そうだった。というわけで、原宿の書店の話をちょっとだけ。


まずは、文鳥堂書店から。明治通り沿い、いまは閉店してしまったブックオフの向かいあたりにあったのが文鳥堂。この書店はぼくも覚えていますが、ちょっと個性的ないい感じのお店でしたよね。立地に加え、店長をされていた中嶋勇二さんが、音楽関連でも知られる方だったこともあってか、業界人のお客さんも多かったようで、店名でググると、いろいろと興味深い人名が出てきたり、マニアックでいいお店だった、なんて感想がいくつも出てきたりします。


文鳥堂は、お店の数こそ多くないですが、都内にいくつか個性的なお店を出していて、個人的に印象に残っているのは四谷のお店かなあ。しんみち通りの入り口近くにあった、その小さなお店は、いい街の本屋さんの理想型の1つで、本好きに愛されていましたよね。


そうそうこのお店には、最近盛り上がっている書店フリペがらみの思い出もあるのです。このお店では、その昔、独自のフリペ、というにはやや分量があるからミニコミというかPR誌というか、を出していたそうなんです。その名も『かると』。創刊号(1980.5.25付)に、なんと、なんと驚くべきことに、無名時代の保坂和志さんが寄稿しているのですよ(!)。ヴォネガットについて書いています。ぼくは保坂フリークで、一時期、小説の雑誌初出はもちろん、インタビューから寄稿記事から何から集めまくっていたことがあり、そのことをあちこちでよく口にしていたんですが、それを知った出版業界の大先輩が、さすがにこれは知らないだろう、持ってないだろうと、記事のコピーをくださったのです。ぼくの宝物の1つです。


……すみません、ちょっと話がそれました。それにしても1980年当時、こんな小冊子を出していたのも驚きですが(くわしく調べたことないですが、新刊書店のPR誌って、ほかに紀伊國屋書店、有隣堂、丸善ら大きなところしかなかったのではないかと)、そこに未来の芥川賞作家まで登場しているんだからなあ。文鳥堂は今も飯田橋や赤坂にお店がありますが、原宿や四谷にあったような、小さいながら個性的なお店が今はないのが、今さらながらに残念ですよね。


原宿の話に戻ります。もう1つ、ブックストア談の原宿店については、情報が少なくて、ぼくもよくわかりません。先の記事に書いた、竹下口を出てすぐあたりにあった新刊書店がそうだったのかなあ。


調べていたら、建築の専門誌、『商店建築』の1981年7月号に、「現代のカルチャーフォーラム〈書店〉6題」なる、書店好きには非常に気になる特集(?)があり、そのなかの1軒として、ブックストア談原宿店が取りあげられていることがわかりました。


くわしくは、上のリンクで目次が読めますので、そちらをご覧いただきたいのですが、特集冒頭には、「変動する書店のこれからの方策」なる記事があり、続いて、以下の書店が取りあげられています(店名表記はサイト目次のママ;かっこ内は手がけた建築家・デザイン事務所)


  • 書肆/いいだや(青柳 剛+青柳建築研究室)
  • 書籍・雑誌/盛好堂書店(東京出版販売第一相談課+デザインV研究室)
  • ブックストア/談 原宿店(柳建築設計事務所)
  • 書籍・文具/丸善ブックメイツ横浜ポルタ店(山田克彦+YAK TOTAL DESIGN)
  • 書籍・雑誌・文具/有隣堂横浜ルミネ店(鷲尾周二)
  • 書籍・雑誌/三省堂神田本店ビル(阪永金重・聡建築設計事務所・ニッテン設計事務所)

30年ほども前の記事ですから、今読んで何か参考になるようなことが書かれているかどうかはちょっと微妙な感じですが、でも気になりますよね。バブル期よりもさらに10年ほど前、1980年当時の書店がどう「変動」していたのか、なんて、今読んでも、いや、今読んだほうがおもしろいかも。建築専門誌の1981年の号が簡単に入手できるとは思えませんが、ちょっと探してみようかなと思っています。


ツタヤ大崎、アニメイト新宿、ABC六本木、山下原宿……書店の開店・閉店いろいろ

イベント「ブックンロール」と仙台行きを終え、やや燃え尽き気味の空犬です。6月はこれらで忙しかったので、その間の疲れが今ごろになって一気にきたんでしょうか、どうも体調がよくなくて、朝、電車を寝過ごしたりを連発、微熱が続いたりして、まったく我ながら弱っちいことで困ったものです……。


さて、2011年もあっというまに半分を過ぎ、いよいよ7月ですね。久しぶりに書店の開店・閉店関連をまとめます。


まずは、開店から。本日7/1に開店予定とされていた、ツタヤ大崎駅前店は、7/15(金)に開店が延期となったそうです。同店のツイッター(@TSUTAYA_OSAKI)には、こんなふうにありました。《皆さまにお詫びがございます。工事の遅れがありオープン予定日が7月1日から7月15日に変更になります。多数の皆さまにご期待頂いていたのに申し訳ございません。準備期間が延びたので、さらに良い売場にすべく進めて参りますのでよろしくお願い致します。》


震災からまだ3月ほど、節電節電が叫ばれるなかでの開店準備作業は素人の想像をこえる大変なものだったことでしょう。多少の遅れはしかたないですよね。いいお店になるのを期待したいですね。


明日7/2は、新宿にアニメイトがオープンです。場所は、さくらやホビー館跡。つまり、紀伊國屋書店新宿本店のすぐそばですよ。


アニメイト開店前

↑数日前に撮った同店の外観。店内の棚にはずらりと商品が並んでいるのが外から見え、いつでもオープンできそうな様子でした。


開店前の店内の様子を、たくさんの写真で詳細にレポートした記事がありました。「コミックは新宿最大級の品揃え、「アニメイト新宿」店内レポート」(7/1 GIGAZINE)。この記事を見るかぎり、なかなか強力な品揃え。これは近隣の書店、とくに紀伊國屋書店新宿本店のコミック売り場や、DVDショップ「フォレスト」に大きな影響が出そうな感じ。


アニメイト、このお店で100店目だそうです。そんなにたくさんの店舗があるなんて、コミック読みでもアニメファンでもない空犬はぜんぜん知らなかったので、ちょっと驚きです。驚きと言えば、このニュースにも驚きました。「書泉がアニメイトの傘下に。」(6/29 文化通信速報版)。このニュースが流れる少し前に、業界の知り合いから噂レベルの情報を聞いていたんですが、ちょっとびっくりですね。


書泉と言えば、神保町を代表する新刊書店の1つ、ランドマークの1つですよね。神保町の大型書店は、ほかに三省堂書店神保町本店、東京堂書店がありますが、オールラウンダーの三省堂、文芸・人文などの品揃えでうるさがたの本好きに人気の東京堂に比べ、書泉の2店は、コミックや写真集や鉄道関連など、コアでオタでマニアックな品揃えで知られるお店。かわいいしおりやカバー、とってのついた袋も人気がありますよね。3店がそれぞれ徒歩で2、3分ほどの距離にありながら、見事に棲み分けができていたんですよね。


書泉は現在、神保町の2店(グランデ・ブックマート)と、秋葉原(ブックタワー)の3店。以前は、西葛西と川口(ブックドーム)にもありましたが、いずれも2008年に閉店。閉店にリニューアルが続き、いろいろ大変なのではないかと思ってはいましたが、まさかアニメイトに買収されることになるとは……。まだ、詳細な情報がないため、くわしいことはわかりませんが、何かわかりましたら、また空犬通信で取りあげるかもしれません。


リニューアルも一件。ずっと駅の改装工事が続いていた、小田急・千代田線の代々木上原駅。ガード下を抜けたところにあった文教堂代々木上原駅店が移転、改装になったようですね。アコルデ代々木上原の2階になったようです。アコルデの改装については、東京メトロのプレスリリースがあります(PDFファイルです)。


文教堂自体の移転後の詳細は、よくわからないのですが、サイトにあがっている写真はリニューアル後のものでしょうか。たまに仕事で行く街なので、近くのぞきにいってみようと思います。


最後は、いずれも昨日6/30で閉店となってしまったお店を2店。まずは、こちら。「青山ブックセンター六本木ヒルズ店 閉店のお知らせ」


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