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空犬通信

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神保町で探偵映画特集……「美女と探偵 日本ミステリ映画の世界」

久しぶりの乱歩ニュースです。神保町シアターで、今週末からこんな特集が始まりますよ。じゃーん。「美女と探偵~日本ミステリ映画の世界~」


美女と探偵

↑チラシからしていい感じ。


「本格ミステリ作家クラブ10周年記念企画」だそうで、力が入っているんでしょうか、よくぞこんなのを集めたなと思えるラインナップはまさにうれしい驚き。昭和20年代から50年代までの28作品、半分以上が20、30年代の作品で、テレビで放映されそうにないのはもちろんのこと、未DVD化もたくさんあるようですから、これは探偵者は見逃せませんよね。


うち、乱歩者がチェックしなくてはならない乱歩関連作品、そして乱歩と縁の深い横溝関連作品は、前半に集中しています。乱歩・横溝の原作作品をピックアップしてみます。


  • 『三本指の男』 監督:松田定次 原作:横溝正史「本陣殺人事件」 昭和22年 白黒
  • 『獄門島 [総集編]』 監督:松田定次 原作:横溝正史 昭和24年 白黒
  • 『悪魔が来りて笛を吹く』 監督:斎藤光正 原作:横溝正史 昭和54年 カラー
  • 『三つ首塔』 監督:小林恒夫、小沢茂弘 原作:横溝正史 昭和31年 白黒
  • 『悪魔の手毬唄』 監督:渡辺邦男 原作:横溝正史 昭和36年 白黒
  • 『吸血蛾』 監督:中川信夫 原作:横溝正史 昭和31年 白黒
  • 『本陣殺人事件』 監督:高林陽一 原作:横溝正史 昭和50年 カラー
  • 『死の十字路』 監督:井上梅次 原作:江戸川乱歩「十字路」 昭和31年 白黒
  • 『蜘蛛男』 監督:山本弘之 原作:江戸川乱歩 昭和33年 白黒

おー、これはすごいなあ。市川監督・石坂金田一の世代としては、このあたりはほとんど観てないのばかり。これは全部観たいなあ。時間のやりくりが大変そうだなあ。それぞれ、上映日時は、サイトのスケジュールで確認してください。PDFもダウンロードできますよ。


これだけでも大変なのに、探偵者には気になる作品がほかにいくつもあがっています。たとえばこのあたり。


  • 『姿なき目撃者』 監督:日高繁明 原作:渡辺啓助「浴室殺人事件」 昭和30年 白黒
  • 『悪魔の囁き』 監督:内川清一郎 原案:植草甚一 昭和30年 白黒
  • 『肌色の月』 監督:杉江敏男 原作:久生十蘭 昭和32年 白黒

うわー、どれも観たことないものばかりだ。渡辺啓助も久生十蘭ももちろん気になるけれど、この「原案:植草甚一」がなんとも気になります。


乱歩者・探偵者を悶死させかねないこの驚異の特集上映は、6/4(土)から7/1(金)まで。特集期間中には、現役ミステリ作家のみなさんによるトークショーも何度か予定されているようですので、興味のある方は日時のチェックを。1回目は、初日ですからお急ぎあれ。


というわけで、乱歩者・探偵者のみなさんは、神保町シアターに全速力で駆けつけてください。


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今度はMeetsが書店特集……そして、東京・小平の松明堂書店が閉店

今日発売の雑誌、『Meets Regional』7月号(エルマガジン社)の特集は、「本屋の逆襲!」。発売前から楽しみにしていた雑誌なんですが、早くもツイッター他で話題になっているようですね。早速購入してきましたので、近いうちに、最近の書店関連雑誌と一緒にまとめて取り上げようと思います。


さて、今日から6月。6月のブックイベントと言えば、仙台では「Book!Book!Sendai」、そして東京ではブックンロールVol.3です。って、規模や中身が違い過ぎて、こんなふうに並べるのは先方に失礼なんですが、まあ、同じ月、同じブックイベントってことでお許しいただきましょう。これらのイベントについても書きたいことはいろいろあるのですが、今日は小さな書店の閉店の話題を。東京は小平市、西武国分寺線鷹の台駅そばの新刊書店、松明堂書店が、昨日5/31で閉店となったようです。


全国区で有名といった感じのお店ではありませんが、一度訪れたら必ず印象に残るような、そんなお店でした。と、偉そうに書いてますが、個人的にあまり用事のない駅の書店さんだったので、ぼくも2度ほど訪ねたことがあるだけ。でも、そのときのことはとても印象に残っています。ただ、どんなお店だったかをくわしく語れるほど通じているわけではありませんので、お店の紹介は、より適任の方にお願いしましょう。書店紹介の記事をときどき参考にさせていただいている「INAX出版 営業日誌」に、10年ほど前の記事ですが、こんな記事があります。「松明堂書店」(2001/11 INAX出版 営業日誌)。


《津田塾、武蔵野美術、一橋など大学や高校が数多く、日中は学生で賑わう西武国分寺線鷹の台駅。そんな駅前にある松明堂書店は、1F、2Fを合わせて50坪ほどですが、個性的な品揃えが光る本屋さんです。地下には個展や集会も行なわれるギャラリー「Shomeido hall」を併設しています。》……ギャラリー併設の駅前書店。いいですねえ、そんなのが最寄り駅の駅前にあったら。


《書棚には、『多摩の怪談』『多摩のラーメン』などご当地モノの軽い読み物から、人文書や評論など、思わず手にとる好奇心をくすぐる本が、棚の"隠し味"のように効いています。また「ご家族で訪れてもらい、誰もが何かしらの気に入った本を見つけて帰って欲しい」と、2Fの児童書にも力を入れています。》……どの年齢層でも楽しめる品揃えを、と考えられていたんですね。


《お店の入口には、手書きの凝ったPOPが貼られ、おススメ本が一目でわかります。「けっこう作るのが好き」という店長の志賀さんの力作です。以前は書店のホームページ上でも、ジャンルを問わず必ず1冊読破した本の書評を公開していました(現在は休止中)。》《まずはレジ前の棚をチェックすることをお勧めします。店長が日々の手入れを欠かさない棚です。世間の関心や旬の話題の周辺にある、かつ視点を少しズラしたような本が並びます。装丁にインパクトのあるものも効果的に並べていますが、店のスペースを考えれば、なかなかできることではありません。》……最後の文にある通り、このサイズなら、ふつうに売れ線のものや雑誌・コミックの新刊を並べるだけで埋めることもできるでしょう。というか、何もしなければそうなるでしょう。棚をそのようにせず、「個性的」な棚にしたお店の方はどんな方だったのか、気になります。


《店長は、専門書の品揃えに定評のある都内の書店で仕入の目とカンを鍛え、こちらのお店に移って12年めになります。それまでは割と平凡な品揃えだったそうですが、売れた本の集計結果などを参考に、これぞと思う本を置き始めると、面白いように反応が返ってきたそうです。高い本でも内容が優れてるものは構わず売れるそうです「基本的に、お客さんに合わせたものを置いているだけ」だそうで、「郊外の立地とか店の規模とか、"固定観念"を外して考えることが大事」なのだといいます。》


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