昨晩は酔っ払ってて、ちゃんと紹介できなかったので、あらためて、昨日の吉っ読飲み会の様子を。
昨日の会は、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」の例会兼ブックンロール打上ということで、いつもの吉っ読メンバーに加え、ブックンロールに参加くださった方々、トークを担当してくださったプレジデント社の石井さん、三才ブックスの中村さん、三省堂書店成城店の内田さん(BEXディラ上野店の長谷川さんは残念ながら欠席)、お客さんとして見に来てくださった作家の枡野浩一さん、碧野圭さん、その他吉っ読・吉祥寺に縁のある書店・出版関係者のみなさんが駆けつけてくださいました。あらためて、御礼申し上げます。
↑数ある写真のなかから、いちばん楽しそうに写っている1枚を。何を見て笑っているのかというと、手前では、吉っ読会長、BOOKSルーエ の花本武がひとこと、あいさつ中。
ブックンロール参加者以外にも、吉っ読の会のために来てくださった方がいます。往来堂書店 からは、ブックンロールで配布したフリーペーパー「往来っ子新聞」ご担当のHさん、店長の笈入さん。そして、うれしいサプライズ参加が、ジュンク堂書店 吉祥寺店関係のみなさん。
「往来っ子新聞」、この空犬通信でも紹介したことがありますが、オール手書きのフリーペーパー。見た目も内容もユニークですが、驚かされるのは、これが週刊だということ。いやはや、すごい情熱ですよ。いくらあふれるほど新刊のある本の世界とはいえ、それを、販促の目的でお客様に読んでもらえるような中身・スタイルにまとめるには当然それなりの工夫が要りますから、なかなか毎週は書けませんからね。月刊のくせに、ときどき「ほぼ」月刊化したりする「ルーエの伝言」編集部は見習わないといけませんね(苦笑)。
Hさんにはぜひ吉っ読に一度遊びに来ていただきたいと思っていたのです。というのも、フリペ作りの姿勢に、ちょっと「ルーエの伝言」と共通するものを感じたからなのです。これはぜひ花本氏に会わせたいなと。で、うまくいけば、BOOK EXPRESS ディラ上野店 の「めくる」とのコラボ「メクルエデン」が実現したときのように、相互投稿や合体号など、コラボが生まれたらいいのになあ、とそういう思いがあったのです。往来堂書店 とBOOKSルーエ のタッグから何かが生まれたりしたら、おもしろいとおもいませんか? 花本氏とHさん、例会ではいろいろ話がもりあがっていたようですし、住まいも近くのようなので、これはほんとに何かおもしろい企画が生まれるかもしれません。楽しみ。
そして、ジュンク堂書店 。4人の方が参加してくださいました。お一人は新宿店で、3人が吉祥寺店。うちお一人はなんと、店長のYさん。開店前の忙しい時期に、ほんとにありがとうございました。
吉祥寺店のオープンまであと2週間ほど。ルーエ他、既存店にしてみればライバル、それも強力なライバルの出現です。でも、同時に、まもなく同じ吉祥寺で同じ業種でやっていくことになる同業者でもあるわけです。敵対したって仕方がありません。それよりも、何か一緒にやれることを見つけられれば、そのほうがいいに決まってますからね。でも、それはこちら=吉っ読側の勝手な思い、ジュンクさんにしてみれば、「吉祥寺書店員の会」(実際には書店員は少ないんですが;苦笑)に来いだなんて、勝手のわからぬうちはまさに敵地に乗りこむかのような気持ちであったろうと思うのです。ほんと、よく来てくれたと思います(その意味で、このような縁を作ってくれた、プレジデント社の石井さんにはいくら感謝してもしたりないほど)。
吉祥寺の新刊書店既存店で昨日の会に参加していたのはルーエだけ、たくさんあるお店のうちの2店の関係者数名が会ったに過ぎません。吉祥寺の新刊書店の関係の方が一堂に会す、なんて状況からはほど遠いのですが、それでも、こうして、花本氏他ルーエのスタッフと、ジュンク吉祥寺の方々が、開店前に交流できたことを、そして、その場に立ち会えたことを、心からうれしく思います。ジュンクのみなさんとは今後もこのような会をぜひ、ということで話ができました。ぜひいい関係を続けていきたいものです。
吉っ読とはすっかり仲良しの吉祥寺一人出版社、夏葉社 さんが、できたばかりの新刊『昔日の客』を持ってきてくれました。
↑ほれぼれするような本とは、こういう本のことを言うのかと。ビール瓶・唐揚げ・焼き鳥・シューマイらと酔っぱらいでいっぱいのテーブル間をさんざん回覧されましたが(泣)、奇跡的に、しみひとつない状態で我が手元に帰還いたしました。
ご本人に本の紹介をしてもらったんですが、この美しい造本に、居合わせたみなからため息と歓声と拍手が。この本については、稿をあらためて紹介します。
そうそう、紹介といえば、これもあったんだ。
↑ブックンロールで完売したTシャツ、調子に乗って、「増刷」し、今回持っていったんですが、見事に売れ残り(苦笑)。こんなかっこいいTシャツなのになあ。それがたったの1600円なのになあ。西荻窪のbeco cafeで販売しています。サイズはSMLの3種。常備はしてませんが、BOOKSルーエ 2Fで花本氏に言ってくだされば、同店での受け取りも可能です。また送料がかかりますが、発送も可能ですよ。
と、実に楽しいイベントだったんですが、考えさせられることもいろいろありました。吉祥寺の書店、これからどうなるんだろう、とか。吉っ読、これからどうすればいいんだろう、とか。
【“あらためて、昨晩の吉っ読例会の報告を”の続きを読む】
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9月も終わりかあ。つい先日まで暑い暑いと言ってたのが嘘のように、急に秋になりましたね。急な気候の変化のせいか、周りには風邪っぴきもちらほら。また、当方のようなアレルギー持ちにも不安の多い季節。いろいろ気をつけなくてはいけませんね。みなさんもご注意を。
さて。本日、9/30に閉店となる新刊書店については、こちらがわかっているところだけですが、先日の記事 で紹介しました。うち、個人的にいちばん気になるのは、なんといってもやはり、BOOK EXPRESS ディラ上野店 。今日は仕事の都合で、書店回りの時間はないはずだったんですが、最終日に駆けつけてくださったという方のツイートを読んでるうちに、居てもたってもいられず、結局のぞきに行ってしまいました。
なにしろ、急に時間作っていったもの、店内に居られたのは10分ほど。雨のなか、走りましたよ。我ながら、何やってんだ……。でも、幸い、長谷川さんにも会えて、無事花とお菓子を渡せたし、わずかな時間とは言え、最終日のお店の様子も見られたし、最後の買い物もできたし。よかったよかった。
↑最後に買った本たち。「めくる」のはじけぶりを典型的に表している記事「永山則夫ダイエット」のコピーとともに新刊台で平積みになっていたのは永山則夫の『木橋』と『無知の涙』。どちらも持ってるので、代わりに永山則夫の章を含むこちらを。野田さんの本は、長谷川さんが遠足のときに強力プッシュしていた1冊。
ちなみに、同店と言えば、やはり官能小説の充実も忘れられません。ふだんは常連(とは限らないかもしれませんが)男性の壁(「おやじのミルフィーユ」などと呼ばれてました;笑)で棚に近づけなかったのが今日は空いている。2冊ほど抜いてきたんですが、まあそちらは内緒ってことで(苦笑)。というわけで、たった2、3分で決めたにしては、BOOK EXPRESS ディラ上野店 に、ちゃんと縁のある本ばかり選べました。
レジを済ませて、商品を受け取るとき、店員の方がひとこと。「またおこしくださいませ」。もちろん、反射的に口をついて出るのでしょう。そのように声をかけられても、もう来られないのだなあと思うと、なんともさびしい感じがして、帰り道、独りしんみりしてしまいました。これ、まったく同じことを、吉祥寺の書店の話でも書いたことあったなあ……。
ところで、閉店と言えば、また1つショッキングなニュースをツイートで教えられました(話はそれますが、最近の書店の開店閉店情報の第一報は、ほとんどがツイート経由。お名前やアカウントはあげませんが、迅速な情報、いつも参考にさせていただいています!)。福家書店銀座店 が、10/25で閉店するのだとか。
福家書店銀座店 と言えば、タレント・アイドルのサイン会・握手会で有名なお店。そちらの方面にとんと弱い空犬でも、すぐにそういうイメージが浮かんでくるぐらい、一般的にも、福家書店銀座店 =アイドル本・写真集とそのイベントというイメージが浸透していましたよね。お店のサイトを見ると、サイン本の在庫がずらり。
大型店対中小規模店という単純な構図で書店を語ることはあまりしたくないんですが、数(在庫量)で対抗できない以上、中小規模店としては、「個性」を追求するしかないというのは一般的によく言われること。品揃えのユニークさ、イベントやフェアのユニークさで、そこでしか買えない、そこに行けば何か買える、そういう独自のものを作り出すのが、中小規模店、とくに周囲や沿線に大型店がある場合のお店の生き残りの方向性だろう、そういうことはよく言われますよね。
その意味では、福家書店銀座店 は、ほかのお店にない個性、突出した得意ジャンルを持つ書店の、いわば代表的存在の1つだったわけですよね。そんなお店が閉店とは……。閉店の話はどんな場合も、どこの話でも書店好きにはショックなんですが、このようなユニークなお店の閉店は、同店の利用者かどうかにかかわらず、やはりショックが大きいですね。
福家書店 のサイトを見ると、7月には大阪の淀屋橋店が、8月には熊本駅ビル店が閉店になっているようで、短期間に続けて3店が閉店となるわけです。でも、一方で、新宿サブナード店や大阪の岸和田店のように、最近リニューアルしたり、増床したりしている店もあるようです。銀座店を含む閉店で、チェーンとしての元気を失うことなく、ぜひ他のお店でがんばってほしいものです。そして、得意分野で名を知られるような、まさに第2の銀座店のようなユニークなお店作りを期待したいものです。
閉店の話だけだとさびしいので、開店のニュースも。
【“福家書店銀座店が閉店?!……新刊書店の開店・閉店あれこれ”の続きを読む】
今日は吉っ読の例会兼ブックンロール打上で、吉祥寺で飲んできました。いやあ、楽しかった!
吉っ読、実を言うと、先月のイベントで燃え尽きた感も実はあって、この後どうしようかなあ、という感じになっていたんです。9月にブックファースト 、10月にジュンク堂書店 の新しいお店が吉祥寺に来るという、吉祥寺書店事情が激減するというこんなときに、吉祥寺書店員の会を名乗りながら、ぜんぜん吉祥寺の新刊書店員のネットワークを築けずにいる状況で、吉っ読をこのまま続けられるかどうか、ちょっと迷いがあったのです。でも、今日の会に集まってくださったみなさんを見ていたら、もう少しがんばってみてもいいかなと思えました。駆けつけてくれたみなさん、ありがとうございました!
今日の最大の収穫は、なんといっても、ジュンク堂書店 吉祥寺店の方が来てくれたこと。開店前の忙しいなか、なんだかよくわからないこの会に駆けつけてくれた同店のみなさんには感謝の言葉もありません。来月から、この吉祥寺の街で、同じ本に関わる仕事をしていくことになる仲間として、今日来てくださったことを心からうれしく思います。
そのほか、ブックンロールの参加者以外では、往来道堂書店から2人の方に来ていただけたのも、我々吉っ読にとっては、うれしい出来事でした。往来堂書店の笈入さんの言質をとっちゃったので、もう書いちゃいますよ。来年の前半のどこかで、書店・出版関係者の音楽ライヴイベントを実現したいと思います。西の代表としては、我らが吉っ読バンド「ブックスピストルズ」がもちろん参加します。東からどなたがどんなふうに参加するかはわかりませんが、往来堂書店の笈入さんに人集めを勝手に頼んでしまいました。酔っ払って忘れられちゃう可能性も大なんですが、笈入さん、我々は本気にしちゃってますので、ぜひよろしくお願いします!
というわけで、書店・出版関係の方で、バンドをやってみたい、弾き語りで歌いたい、詩吟をやりたい、そのほかステージで何かを表現したい、という方がいらっしゃったら、ご一報ください。けっこうマヂで、ライヴイベント、実現するつもりでいます。
明日は、吉っ読の例会です。今回は、ブックンロールの打上兼吉っ読例会拡大版ということで、吉っ読に縁のある書店・出版社・作家のみなさんが20人ほども駆けつけてくれることなりました。
吉祥寺の新刊書店関係がちょっと少なめなのはさびしいなあ、と思っていたら、直前になって、ジュンク堂書店 吉祥寺店関係の方が数人参加してくださることになりました。うれしいなあ。
まもなく吉祥寺の新刊書店の仲間入りをされる同店のみなさんと、開店前に交流できるとは、まさに願ってもないこと。同じ地域で本に関わる者同士で、いろいろ情報交換、情報共有ができればなあ、と思っています。
ところで。新刊書店がらみの話では、9月末で閉店、という話がいくつか目につきますね。東京だとBOOK EXPRESS ディラ上野店 、三省堂書店 高野台店、東京以外のエリアだと、八重洲ブックセンター郡山うすい店、三省堂書店 名古屋テルミナ店など。
このうち、やはり気になるのは、吉っ読/ブックンロール仲間であり、遠足仲間でもある長谷川さんのいるお店、BOOK EXPRESS ディラ上野店 。閉店直前の明日あさっては、残念ながら訪ねる時間を作れそうにないのですが、その代わりといってはなんですが、少し前にお店の様子を記事で紹介しています。同店を閉店前に見るチャンスがないという方は、ぜひこちらの記事 をご覧になってみてください。こんなすてきなお店がなくなってしまうんですよ……。残念。
三省堂書店 名古屋テルミナ店、最後に訪れてからずいぶん間が空いてしまっているんですが、こちらも気になるお店でした。最近では、AHO本 を集めたユニークなフェアがありましたね。同店最後のフェアとして、今はスタッフのみなさんのおすすめ本のフェア が開催されているようで、これも直接見てみたかったなあ。
これら4店のうち、閉店後のことがオフィシャルに報じられているのは、八重洲ブックセンター郡山うすい店だけでしょうか。こちらは、跡地に、ジュンク堂書店 郡山店の進出が決まっているようです。
こうして、書店が閉店していく一方で、メガストアの出店も相次いでいます。開店閉店情報は、いつもチェックしているんですが、今年はなんだか件数が多すぎて追い切れない状況です。新刊書店の情報を網羅するのは、当方のような個人の手にはあまることですが、追える範囲で、今後も書店の動きをご紹介していきたいと思います。
おそらく「お好きな席 にどうぞ」というつもりだったんだろうなあ。お昼に入ったお店でのこと。ぼくより後に入ってきた人が、お店の人に「大好きな席 にどうぞ」と案内されていた。文字で1つ、音で2つしか違わないのに、とたんに、なんかすごーく楽しそうな雰囲気になるから不思議だよね(笑)。「お客さま、大好きな席 にどうぞっ!」「はいっ! もう、よろこんで! ああ、この席、もう大好きっ!」みたいなさ。えっ、そんなことない? ないか。ないよね……。
さて。今日、お昼休みに買った本たちです。
神田古書店連盟『神保町公式ガイド Vol.1』 (メディア・パル) 『神田神保町古書街2011』 (毎日新聞社)津原泰水『瑠璃玉の耳輪』 (河出書房新社) 空犬通信で紹介 しておきながら、先週買いそびれていた『神保町公式ガイドVol.1』、やっと買えました。神保町の書店では、当然のことながら、あっちでもこっちでも平積みでした。新聞でも、先日紹介した東京新聞のほかに、読売新聞でも取り上げられてましたね。「神田古書店 初の公式ガイド 全158店網羅 「宣伝嫌い」店主も口説く」 (9/24 読売新聞)。
《「世界一の本の街」を形成する神田古書店連盟がつくった 正真正銘の神保町公式ガイド!》をうたうだけあって、なかなかのボリューム。200頁超で、オールカラーで1200円はお得感あり、でしょう。これまで取材を受けてこなかったお店も取り上げられているというから、隅々までじっくり読んでみなくちゃね。
一方、毎年恒例の感のある毎日新聞社版のムック。これまでは、神保町のガイドといえば、このムックだったんですが、今年は公式の出現で、しかもあちらのほうが値段が安く、しかも分量も情報量も多いとあって、苦戦が予想されそう。単に発売日の関係だったのかもしれませんが、今日のお昼に各店をのぞいた印象だと、公式ガイドに比べると、神保町新刊書店での扱いもやや地味め。
ただ、こちらはこちらで良さはあるんですよね。巻頭の著名人古書店街ルポ、去年は、木村綾子さんと、知名度や本好きへの訴求力の点でちょっと地味な印象のあった人選でしたが、今年は角田光代さんと幅允孝さんで、アピールの点で問題なし。網羅性では公式ガイドにかないませんが、セレクトされたこれぐらいがちょうどいい、という方もいるかもしれません。それに、何より、ずっと神保町のガイド本を出し続けてくれたのは毎日新聞社ですから、その意味でも、やはり毎日ムックは応援したい。
ツイートやWebを見ていると、公式ガイドについて、「うるさい」「はしゃぎすぎ」などの感想もあるようでした。おそらくは、巻頭の特集、「古本と恋をめぐる一週間」他の特集記事などの印象が好悪を分けているのでしょうが、たしかに、個人的な好みからいっても、「古本と恋をめぐる一週間」のようなタイプの記事は要らないかな(苦笑)。
まあ、そのあたりは、多分に好みの問題。タイプこそ違えど、両者がいずれも神保町のガイドとしての魅力を備えているし、本好きには便利このうえないガイドであるのはたしかなので、店頭で比べ読みしてみて、気に入ったほうを買うのがいいでしょう。もちろん、ぼくのように、両方買うという手もありますよ(笑)。というか、ディープな古本者はぜひそうしていただきたい。
津原泰水さんの『瑠璃玉の耳輪』、三省堂書店 神保町本店で、サイン本を買ってしまった。津原さんのサイン本は初めてではないんですが、なんというか、ダイナミックな字で、かっこいいんですよね。ちょっとうれしい。
さて、もともと映画の脚本として書かれたという尾崎翠の作品がベースになった作品。昭和初期の“探偵”小説の雰囲気が濃厚、つまり空犬好み、ということですな。この雰囲気、この感じ、まさに秋の夜長にぴったりな作品ではないですか。尾崎翠版は、全集の下巻、↓こちらに収録されてますよ。
津原さん、好きな作家で、これまでの作品もだいたい読んでますが、なにしろ前作『バレエ・メカニック』が、幻視者の真骨頂が発揮された、こちらの予想をはるかに超えるすさまじい傑作だったので、当然今作にはがぜん期待が高まります。楽しみだなあ。
というわけで、帯に踊る《探偵小説》《夜想》《猟奇》《魑魅魍魎》《阿片窟》《掏摸》《生人形》……このような文言たちに心踊らされる嗜好の持ち主なら、間違いなく“買い”の1冊だと思います。ちなみに、サイン本、神保町だと、三省堂書店 神保町本店1F文芸書の平台、東京堂書店のサイン本棚に、今日の昼の時点ではそれぞれ数冊、在庫がありましたよ。
最近買った本で、紹介していなかったものを。
内山りゅう『水に棲むものたちの物語 日本の水生生物 覚書ノオト』 (バジリコ) 的川泰宣『小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡』 (PHP研究所) 羽生生純『俺は生ガンダム』 (角川コミックス・エース) 『水に棲むものたちの物語(はなし)』、今日の読書はこれだったんですが、いやあ、いい本だなあ。すごく好みの1冊でした。シンプルな文章に水生生物への愛があふれているし、添えられた写真がこれまた美しい。写真がカラーなのもうれしい。
ところで、これ、中身はもちろんなんですが、目次がいいんですよ。取り上げられた生き物たちの漢字表記がずらりと並んでいて壮観。動植物の名前は、現在ではカタカナ書きするのがふつう。なので、漢字で書いちゃうと、蛙や金魚のようによく見かける表記はともかく、ごく当たり前の生き物でもすぐには読めない、どの生き物かわからない場合がありますからね。「蜊蛄」とか「蠑螈」とか、読めない……。前者は「ざりがに」、後者は「いもり」。かな漢字変換でも出てこないもんね。
著者の内山りゅうさんは、水や水生生物、爬虫類・両生類などのテーマにした本をたくさんお持ちのネイチャー・フォトグラファー。これまでにもすてきな本をいくつも出されていますが、そのなかで、個人的にいちばん気になりながら、値段が高くてなんとなく買えずにいたこの本、いつのまにか品切れで、Amazonではとんでもない値段が……。
はやぶさ本、帰還前は新書ぐらいしかなかったのが、一気に関連本が増えましたね。『小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡』、的川先生の本となれば、↓こういう本たちに反応してしまった者としては読まないわけにはいきませんからね。
的川先生の本と言えば、これももうすぐですね。いずれも、文系脳の持ち主にも読みやすそうな内容・分量なのがうれしいところ。
ここまでなら、自然科学系の本ということで、きれいに収まっている感じもするんですが、まあ、これもあげておきましょう、『俺は生ガンダム』。
【“水生生物、はやぶさ、ガンダム……最近買った本たち。”の続きを読む】
すっかり秋らしくなりましたね。涼しいのを通り越して、窓からの風はちょっと肌寒いぐらい。今日は家族の用事でぽっかり一日空いてしまったので、特撮映画を続けて観たりして、のんびり過ごしてます。
さて、秋と言えば。「読書の秋」なんていうぐらいですから、古本市や本関連のフェアがいろいろありますね。いくつか紹介してみます。まず、代表的なのと言えば、もちろんこれ。10/27(水)からと、まだひと月ほど先ですが、楽しみですね。
↑自分で紹介しておきながら、先週買いそびれてしまった公式ガイド(右)。これは、神保町の書店で買いたい。
吉祥寺からはこちら。「吉祥寺アニメワンダーランド」 。
純粋な本のイベント、というわけではないですが、コミックファンの目を引きそうなイベントやフェアがいくつも含まれています。書店がらみでは、BOOKSルーエ では藤子・F・不二雄先生の複製原画展が、アニメイト吉祥寺店では景品と交換できるポイントがもらえるブックフェアが開催されるようです。個人的には、10/2、3の週末に東急北側の広場で開催される「名物吉祥寺おもちゃ市場」が楽しみ。「吉祥寺アニメワンダーランド」 は10/2(土)から。
これも秋の名物ですね。「早稲田青空古本祭」 。今回で25回。10/1(金)から。
池袋では、これがありますよ。「池袋西口公園古本まつり」 。
春と秋の年2回開催されている古本まつり。こちらは10/20(水)から。同じ豊島区、池袋からも歩けなくはない雑司ヶ谷では、これもありましたね。9月の回は、紹介のタイミングを逸し、終わってしまいました。残念。公式サイトによれば、次回は11/21(日)とのことで。
古本市やブックフェアではありませんが、本がらみのイベントということで、こちらも紹介しておきましょう。吉祥寺のお隣、西荻窪で本のイベントと言えばこちら、「西荻ブックマーク」 。
9/26(日)の第45回は「古本・トロイカ・セッション 『彷書月刊』休刊から『昔日の客』復刊まで」、10/10(日)の第46回は「『海炭市叙景』公開記念〈佐藤泰志の文学〉ふたたび」と、古本好き、文学好きが喜びそうなお題が続きます。
↑意外(などと言うと関係の方に怒られそうですが、いい意味で)にも、小学館文庫から文庫版刊行です。もちろん、クレインの作品集にも収録されています。
しかし、この内容のイベントをほぼ毎月実現しているのだから、「西荻ブックマーク」 の企画力、イベント実現力のすごさには、ほんと尊敬の念を覚えます。吉っ読も、がんばらないとなあ……。
ちなみに。もう何度も取り上げていますが、念のため。『昔日の客』は、吉祥寺の夏葉社 さんから、まもなく刊行予定です。見本ができているようで、美しいカバーと造本の写真が夏葉社 さんのサイトで見られます。Amazonにはこの記事の執筆時にはまだ予約書誌情報はあがっていませんが、取り扱い書店についても、サイトに情報がありますので、ご興味のある方は、ぜひ夏葉社 さんのサイトをご確認ください。
というわけで。秋の夜長に独り読書もいいものですが、本のイベントに独りで、また、本好き仲間と誘い合って出かけるのもまたいいものですよ。
雨降りの一日。今日は読みさし本を傍らに積み上げ、ひたすら読書と音楽と珈琲で、静かに一日を過ごしました。
秘宝の特集は、「異貌の俳優コレクション100!!」。それにしても、ここに集められた男たちのいい面構えよ(笑)。デニス・ホッパー、岸田森、クリストファー・リー、平田昭彦、ウィレム・デフォー、成田三樹夫、ルトガー・ハウアー、クリストファー・ウォーケン……好きな俳優がたくさん混じっているが、それだけでこちらの映画の好みのボンクラ度が割れそうだ(苦笑)。
秘宝の書評、今回は偶然ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』。岸本佐知子さんの訳が大変評判だが、先にペーパーバックで買っちゃってたもので、悔しいから、仕方なく(というのも変だけど)そちらで読んでる次第。
『怪獣人生』、もったいなくてちょっとずつ読んでるので、なかなか読み終わらない。このところ特撮関連の本が続いてるけど、まもなくこんな本が出るみたい。
↑いいタイトルだ。
タイトルといえば、今日の記事はもちろん↓これからなんだけど、雨降りだからも何もないよね。天気に関係なく、毎日本ばっか読んでるんだから(苦笑)。
◆今日のBGM◆
本日のBGMたちはこちら。ちなみに、全部アナログレコードです。
中秋の名月……字面も音も美しいことばですが、やっぱり夜空の、本物の美しさは格別ですね。今晩から天気は崩れるようで、地域によってはもう曇りだったりするようですが、まだ天気が大丈夫なら、帰り道に、また家の窓から、ぜひ夜空を見上げてみてくださいな。
さて。昨日の書店回りで見てきたいろいろを、一部写真入りで紹介します。まずは、昼休みに遭遇したこちらから。
三省堂書店 神保町本店、1階の新刊コーナーで、なんと『レンブラントの帽子』が大フィーチャーされています。
同書、海外文芸の平台でも長く平積み扱いにされています。よほど、担当の方に気に入ってもらえたのか、それとも動きがよかったのか、うれしい扱いですね。文芸の平台での扱いはまだわかるのですが、新刊台のほうは、いわば同店最大の激戦区棚の1つですよ。そこに、5月に出た本が、こんなふうにPOP付きでフィーチャーされるなんて、毎日のように同店の1階は巡回してますが、めったにないことですよね。
お店の方に、夏葉社さんの知り合いの者だと断って、写真を撮らせてもらいました。1Fでよくお見かけする、おそらく文芸担当の女性が応対してくれたんですが、「いい本が売れるのはうれしいです」「もうすぐ200なんですよ」と、本当にうれしそうに話してくれましたよ。それにしても、200とは! 外文冬の時代に、この決して派手とは言えないの翻訳文芸書が……すごいなあ。
吉祥寺の1人出版社、夏葉社さんの第2弾、『昔日の客』もまもなく ですよ。そちらも注目です。
↑こちらは、紀伊國屋書店 新宿本店、2F雑誌売り場の、もう「名物」と言ってもいいかもしれませんね、フェア「カルチャートリップ」 第2期の第3弾「今読むべきSF100」。
前回の「アメリカン・カルチャーの光と影」も興味深い内容でしたが、今回のもいいですよ。100という規模といい、セレクトといい、SFとSF周辺作家・作品の混ぜ方といい、よく考えられていて、見応えのあるものになっています。フェアは、10/18まで。いつものように、選書リストもあって、店頭で無料配布されています。
同店のフェアでは、5F「じんぶんや」の「砂漠と書物」も気になりました。フェアのタイトルがgood、興味をそそられます。選者は今福龍太さん。
↑吉祥寺からは、これを。BOOKSルーエ 2階で、またまた花本氏が遊んじゃってます。「きのこ本 VS トイレ本」。なんだそりゃ(苦笑)。大の大人が棚1本使ってやるフェアか、という気がしないでもないですが、これがけっこうおもしろいセレクトになってるんですよ。店頭で出会ってほしいので、棚の写真はあえて撮らず、写真はフェアの看板のところだけ。いったいどのようなへんてこ、もといユニークな本が並んでいるか、ぜひルーエ2階、芸術書棚の奥の壁で確認してみてください。
↑「空犬さん、こんなのあるの、知ってました?」と花本氏。知りませんでした。なにしろ、ふだん、カバーも袋も断っちゃうので、これだけしょっちゅう来ているくせに、気づかなかったんですよ、こんな書皮ができてたことに。キン・シオタニさん描き下ろしだそうです。
ちなみに、昨日のお買い上げ本はこちら。
コナン・ドイル『ドイル傑作集 3 恐怖編』 (新潮文庫) 小林泰三『天体の回転について』 (ハヤカワ文庫JA) デイヴィッド・ボダニス『E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」』 (ハヤカワ文庫NF) 【“神保町、新宿、吉祥寺……昨日書店で見かけた本やフェアたち。”の続きを読む】
今日は夕方から書店回り。新宿では、ジュンク堂書店 、紀伊國屋書店 、ブックファースト 、吉祥寺ではBOOKSルーエ ほか、昼休みにのぞいた神保町のお店を入れるとけっこうな数の書店をいろいろ回ってきたんですが、それらの報告は明日にでも。今日はなんといっても、このお店の様子を報告しなくてはなりません。「ブックファーストアトレ吉祥寺東館店が9月21日にオープンしました!」 (9/21 ブックファースト 公式サイトより)。
昨日の記事にも書きましたが、ブックファースト アトレ吉祥寺東館店は、本日グランドオープンとなるアトレ吉祥寺 の東館(もとのロンロンエキサイツ)の2階にあります。
以下、迷惑にならないと思われる範囲で少し撮影もしてきましたので、ご紹介します。
↑館内で配られているフロアガイド。小さくてわかりにくいと思いますが、アトレ吉祥寺の最東端、上の図で左端、01とある部分です。
↑改装期間中は使えなくなっていた、JR吉祥寺駅、東の端の出入り口「アトレ東館口」はこのような感じに。下って正面、踊り場の壁に、東館に入っているショップの名前がまとまっています。
↑改札内から見た様子。正面奥がブックファースト 。人が通る合間をぬっての撮影、右はぼけぼけです……。
広さは約67坪。エスカレータ側が広く開かれているため、実際の数字よりも広め、開放的な印象を受けます。右手前には、タリーズ。左手前には外貨両替の「ワールドカレンシーショップ」が入っています。
↑「ワールドカレンシーショップ」の前あたりからの様子。手前の棚は、左側が生活実用、右が文芸。裏はビジネス他。レジは、「文芸」の表示の奥、壁側に1か所。
↑下りエスカレータの途中からの様子。BOOKS&Cafeの看板の下に座り読み用のベンチ。右脇に、タリーズのカウンター席と、その奥に、カフェ内で読める本(『チェブラーシカ』が少し見えています)をディスプレイした棚がわずかに見えています。
アトレ吉祥寺2店目となる東館店。本館のお店との差異化など、どうなるのかが気になるところですが、プレスリリースにはこうありましたね。《新たに東館にオープンする当店は、話題の新刊やメディア関連書籍はもちろんのこと、本館のアトレ吉祥寺店にはない充実したコミック売場を設け、エンターテインメント性の高い空間を提供します。また、隣接するカフェのコーヒーを飲みながら、書籍をご覧いただけるスペースを設置します。》
コミックの品揃えに関しては、こちらの弱い分野ということもあってよくわからないのですが、壁側の棚は背も高めで、それらにコミックがぎっしり。お店の広さからすると、コミックに力を入れるという予告の通り、コミックの比率はかなり高いように感じました。単行本は新刊や話題のものに大幅にしぼられたようで、文庫も奥の壁側と棚2列ほど。それ以外、店の奥の半分以上がコミックにあてられています。
この東館店の開店に合わせて、近くにある同じチェーンということで、お互いの棲み分けや、お客さんの使い分けを意識したのでしょう、本館のお店もレイアウト変更がされています。その結果、本館のお店のコミックは大幅に縮小、今日見てきたら、コミックの棚は1列だけになっていました。なるほど、《本館のアトレ吉祥寺店にはない充実したコミック売場》は合わせ技で実現されたわけですね。
【“本日オープン、ブックファーストアトレ吉祥寺東館店、見てきましたよ”の続きを読む】
ギターの手入れをしたり、読みさし本をとっかひっかえ読んだり、終日のんびり過ごした空犬です。
さて。いよいよ明日、アトレ吉祥寺 がグランドオープンですね。「9月21日(火) アトレ吉祥寺グランドオープン!!」 (アトレ吉祥寺公式サイトより)。
↑今朝の新聞に折り込まれていたアトレ吉祥寺の大判冊子。表紙は、大友克洋さん。4月の第1期オープンから、ポスターは月替わりで、最初が江口寿史さん。大友さんで6人目。
サイトの文言を引きます。《食料品やファッション、カフェ・レストランを中心に、新たに約180 ショップがオープン!/全部で210を超えるショップの出会いと発見の場所が誕生します。》
《アトレ吉祥寺は、いよいよ9月21日(火)にグランドオープンいたします。/「吉祥寺ロンロン」時代からのおなじみの食料品ショップをはじめ、カフェ・レストランを中心に、1F・B1Fに約180ショップ(内アトレ吉祥寺新店81ショップ)が新しくオープンします。/ついにグランドオープンを迎えるアトレ吉祥寺に、どうぞご期待下さい。》
空犬通信的にいちばん気になるのは、もちろん、ブックファースト アトレ吉祥寺東館店のオープン。アトレ東館(もとのロンロンエキサイツ)の2階、つまり、ユニクロが入っていた改札階に入ることになります。広さは約67坪とのこと。2階を1店で使っていたユニクロと違い、カフェ、美容室、マッサージ店などと分け合うようですが、立地的には申し分ないところといっていいでしょう。
駅との関係で言うと、これまで新刊書店がなかった吉祥寺駅の北東エリアにお住まいの方にとっては、この位置に新刊書店ができれば買い物はしやすくなりそうですね。書店の位置的にも、またコミックなどに力を入れるという品揃え的にも、吉祥寺の既存店のなかでは、BOOKSルーエ がいちばん影響を受けることになりそうでしょうか。
明日は、なんとか時間を作って、オープン当日の同店の様子を見てくる予定です。詳細は、明晩、感想をまとめた記事をアップしたいと思います。
昨日今日と家族でお出かけ。少し涼しくなったかと思っていたら、この2日の日中の日差しはまったく容赦がなかった。楽しかったけど、帰ってきたら、さすがにへとへと……。というわけで、今日は、最近買った本をリストアップしてお茶を濁します。
椎野秀聡『僕らが作ったギターの名器』 (文春新書) 松本零士『未来創造 夢の発想法』 (角川oneテーマ21) PANTA『勝手に覗くな!! 頭脳警察PANTAの頭の中 レコードジャケット100選』 (サイゾー) 『僕らが作ったギターの名器』、このタイトルで、この帯(テレキャスモデルの写真がアップ)……もちろん即買いです。
《著者はギター設計家として、お馴染みのモーリス、グレコから高級品であるディ・アンジェリコまで80以上のブランドに関わり、その作品はプリンス、ジョージ・ベンソンを始め、高中正義、成毛滋、あるいはキッスのヴィニー・ヴィンセント、アース・ウィンド&ファイアーのアル・マッケイらに愛用されてきました。氏ならではの視点で、古今東西のギターと音の世界を描いたエピソード満載の本書は、音楽ファン必読の快著です。》という内容のこの本、全編専門用語・専門技術の話だらけというわけではぜんぜんなく、途中まで読んだ感じでは、読みやすい印象です。
ただ、ギターをかじっている身にはふつうでも、一般の読者にとってはけっこう難しいのではないか、と思われる話題や用語がゼロではない。よく文春新書で出したなあ、という気も。ギター好きにはおすすめ。
ちなみに、著者、VESTAX の社長さんでもあるそうです。一見異質なターンテーブル他DJ機器とギター名機とがどうつながるのかは、本書でどうぞ。
ヤマト、999、ハーロック、エメラルダス、ダンガードA……小学生時代に松本アニメの洗礼を受けまくった世代としては、松本零士名義の新書となれば、買わないわけにはいきません。
先生が非常にまじめで、今もなお男の子マインドを忘れない、というか、男の子マインド全開でおられることはよくわかります。よくわかるのですが、本として読むには、そのストレートで、シンプルで、ナイーブな文章は、なんというか、ちょっと反応に困ることも……。
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こんな本がまもなく出ますよ。
神田古書店連盟『神保町公式ガイド Vol.1』 (メディア・パル) おっ、最初、帯がかかった書影を見たときは、気づかなかったんですが、アビーロードではないですか(笑)。この4人は誰なんだろう。やっぱり古書店の店主の方々なんだろうか。写真が小さくてよくわかりませんが、ポールの裸足はコピーしてるかな? 服も似せてくれたらよかったのに……って、本筋からどんどん離れてますが(苦笑)。
タイトル通りの本だと思いますが、一応、内容紹介を引いておきます。《「世界一の本の街」を形成する神田古書店連盟がつくった 正真正銘の神保町公式ガイド! “公式”の証として、 表紙や巻頭特集は、古書店主達が自ら出演。 店紹介および商品解説も、店主達が自ら執筆し、 第三者による下手なお世辞なしは一切なし! 「古本屋の一週間」や「古本屋の女房」など、 普段はなかなか知り得ない舞台裏にも密着。 立川談春(落語家)・ピース(お笑い芸人)が語る神保町の魅力、 神保町で働く人々によるクチコミランキング (スイーツ編・グルメ編etc)など、 この街の多彩な魅力もたっぷりと紹介。 編集制作は、神保町の公式タウンサイトを運営する 「ナビブラ神保町」編集部が担当。 地元の強力タッグならではの、 “ディープな街情報”と“神保町の遊び心”が詰まった一冊。 》
タイトルに「Vol.1」とあるのは、これからも続くよ、という意思表示ですよね。年度版が基本になるのかな。まだ中身を見ないうちからなんですが、ぜひ続いてほしいものですね。ところで。
【““初”の“公式”ガイドが登場……『神保町公式ガイド Vol.1』”の続きを読む】
ブックンロールでお世話になった長谷川さんを訪ね、BOOK EXPRESS ディラ上野店 に行ってきました。明日からの連休の影響もあり、また月末に吉っ読の集まりがあることもありで、今月の後半はやや忙しくなりそうな感じ。なので、お店を訪ねるのももしかしたら今日が最後になるかも、と思い、店内をじっくり見てきました。
このお店のことは、個人的にぜひ記録に残しておきたいと思い、写真もいくつか撮ってきました。ただ、店内でぱちぱちやるわけにはいきませんから、店外(通路)からのものばかり。しかも、なにしろいつも混雑の同店ですから、お客さんの切れ目をぬって急いで撮ったので、ぶれ気味のもありますが、ご勘弁ください。
↑無印良品があるほうの入り口。正面はフェア台です。この日は、池上さんのポスターが目立っていました。
↑フロアガイド。と、その右上に張り出された「閉店のお知らせ」。
↑「Wonder!」とある、オブジェチックな看板、というかポスターというか。なぜか、目につく入り口側ではなく、バックヤードの出入り口脇に掲げられています。
↑文庫側の通路から撮るとこんな感じ。左の写真で、右端のほうに写っているのが「BOOK IN JAPAN FES 2010」と題された、今の形態の同店としてはおそらく最後となるであろう、オリジナルフェア。パンダ度全開のポスターと、たくさんのPOPが目を引きます。お店のスタッフの方々のおすすめ本が、ノンジャンルで集められているようで、文庫が多いようですが、児童書・単行本・コミックもあり、ジャンルだけでなく形態・判型もにぎやかです。
↑文庫の通路側の棚を、少しずつ位置をずらしてぱちり。「強い物語。ハヤカワ文庫の100冊」他が展開中。同店の文庫ランキングもこのあたりの棚でした。ランキング本のそばに「もうすぐランク入りの本」がよく並べてあり、それがいつも気になるセレクトで、何度かランク入りを応援することになったものです。
↑文庫側の入り口から。手前に文庫の新刊台。この日はなんと、永山則夫がじゃじゃーんと平積みでびっくりしました(河出文庫の『木橋』が復刊されたとか。ぼくは好きだけど……)。ほかにもホーガンの『星を継ぐもの』が大フィーチャーされていたり(ぼくは好きだけど……)。とまあ、このように、エキナカの文庫の新刊台にしては、かなり趣味度・自由度が高くて、いつも楽しませてもらったものでした。
右は、この入り口のすぐ左脇にある、ウインドー。今回は、映画化で話題の『悪人』と、比較的わかりやすいセレクトですが、えーっ、こんな本をピンでディスプレイするの?!という本が選ばれていることもあったりして、こちらもチェックするのが毎回楽しみでした。
↑逆側の通路、雑誌のほうは、人の流れも棚前の人も多くて、撮影が困難……人が並んでるだけで、なんだかよくわからない写真になってしまった……。
本日のお買い上げ本はこちら。
【“ブックエキスプレスディラ上野店を訪ねてきましたよ”の続きを読む】
この秋から冬にかけて、激震が走りそうな予感の大阪・梅田エリアの書店事情。震源は、言うまでもなく、本日リニューアルオープンの紀伊國屋書店 梅田本店と、12月のオープンが報じられたジュンク堂書店 のチャスカ茶屋町のお店。紙でもWebでもいいので、大阪の地図で梅田駅近辺を見てみてください(チャスカ茶屋町は「大阪府大阪市北区茶屋町7-18」)。両者の距離に驚くこと必至です。
書店派の空犬通信としても当然大注目、これまでにもこちら とこちら で取り上げています。大阪に長くいたことのある空犬としては、梅田の書店事情からは、当分目が離せません。
こういうときに、すぐに駆けつけられないのが、東京者のつらいところ。紀伊國屋書店 梅田本店、どんな様子かなあ、見たいなあ、行きたいなあ、などとブログやらツイートやらでつぶやいていたら、コメント欄でこんなサイトを教えていただきました(しのぶさん、ありがとうございました)。「紀伊國屋書店 大改装/茶屋町にはジュンク堂」 (9/15「ゴリモンな日々」)。
ちょうど先の2店のことをまとめて取り上げているうえ、写真入りです。ありがたいなあ、こういうの。空犬同様、関心はあるけれど、すぐに見にいけない、という方はぜひご覧になってみてください。
そのほか、TLを眺めていたら、紀伊國屋書店 梅田本店のリニューアルについて、いろいろ感想やレポがあがっていますね。こういうの、まとめて見られるといいんだけどなあ……。
今日も書店の開店の話です。こういうネタでブログを書いていますし、仕事でも書店を回ったりしているので、書店の開店・閉店のニュースはできるだけこまめに記録するようにしています。最近は昨日の記事に書いた通りの状況で、そのリストをしょっちゅう更新しなくてはならないので、なかなか追っかけるのが大変。
で、そのリストを眺めていて気づいたんですが、明日は書店のオープンとリニューアルオープンがいくつも重なっていますね。東京近郊だと、ACADEMIA橋本店、文教堂書店武蔵小山駅店、リブロ横浜相鉄ジョイナス店がオープンで、有隣堂アトレ新浦安店がリニューアルオープンのようです。あと、リニューアルで最近最大の話題といえば、やはり紀伊國屋書店梅田本店。こちらも、今日がプレオープンで、明日が正式なリニューアルオープン。
新規店のなかでは、500坪超のACADEMIA(くまざわ書店のグループ)が、リニューアルオープンでは、紀伊國屋書店梅田本店が気になります。とくに、後者、紀伊國屋書店梅田本店は、高校生の頃に通いまくった思い出が詰まりまくりの店。なじみの店が変わってしまうことにさびしさを覚えないではないですが、でも、これで魅力的な店に生まれ変わるとしたら、それはそれで、書店好きとしてはうれしいに決まってます。どんなふうになるのか、楽しみだなあ。プレスリリースがこちら 、お店の特設サイトがこちら 。オープン直後からイベントが目白押し。いやはや、大変な力の入れようですね。
書店の開店、もちろん網羅的に調査することなど、ぼくの力では無理に決まっているのですが、こつこつ記録しておいたのを、ちょっとまとめてみました。
9月2日 MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店(1100) 9月 7日 三省堂書店 池袋店(110) 9月13日 コーチャンフォー 旭川店(900) 9月17日 ACADEMIA 橋本店(530) 9月17日 文教堂書店 武蔵小山駅店(10) 9月17日 リブロ 横浜相鉄ジョイナス店(100) 9月21日 ブックファースト アトレ吉祥寺東館店(67) 9月25日 コジマブックス文教堂 名古屋北店(200) 10月 2日 文教堂書店 広尾店(110) 10月 5日 書原 本郷店(49) 10月 8日 ACADEMIA すみのどう店(280) 10月9日 MARUZEN&ジュンク堂書店 広島店(1200) 10月15日 ジュンク堂書店 吉祥寺店(1100) 10月29日 ジュンク堂書店 郡山店(730) 10月上旬 啓文堂書店 荻窪店(?) 10月下旬 文教堂書店 熊谷ニットモール店(210) 11月 5日 大垣書店 ?店(240;京都駅北側ヨドバシカメラ内) 11月下旬くまざわ書店 八王子南口店(126) 12月下旬 ジュンク堂書店 大阪?店(2060;茶屋町) *9月以降、年内の書店の開店情報をピックアップしました。 *オープンだけでも数が多いので、リニューアル・増床・改称などは含めていません。 *店名の後の数字は坪数です。発表があったものを元にしていますが、平米を坪換算したものもあります。 *正式な(支)店名が発表になっていないものもあります。
最近ではこうした情報の多くを、ツイートで教えられています。ここでハンドルやアカウントをあげることはしませんが、この場を借りてお礼を申し上げます。そうして教えられたものの扱いを含め、上のリストは、あくまで、書店好きが自分の調査能力の及ぶ範囲で調べたてまとめたもの、もとより網羅的なものではありませんから、そのようなものだと思ってご覧ください。とくに、東京近郊以外のエリアで、こちらがよく知らない地域については、報道や伝聞に頼らざるを得ません。抜けや間違いが仮にあっても、まったく他意はありません。もし何かお気づきの方がいらっしゃいましたら、どうぞご指摘いただけるとうれしいです。
それにしても。自分でまとめておいてなんですが……すごいですね。わずか4か月で19店、それも出版不況だの書店淘汰だの電子書籍元年だの言われている年の後半4か月でこの数字です。
ちなみに、単純計算であまり意味はないかもしれませんが、上の出店だけで9000坪(!)を超えています。うち、900坪以上が5店で、コーチャンフォー旭川以外はすべて、ジュンク堂書店関係(MARUZEN&ジュンク堂書店ブランドを含む)となっています。
閉店となった書店跡地への出店例などもありますから、この9000坪超云々はもちろん純増の数字ではありません。その意味では、本来であれば、閉店の一覧と併記すれば、地域ごとの出入りや、出店と閉店の店数・広さの比較などをさらにこまかく見ることができるのですが、それはもうぼくのような素人にできる範囲を超えています。ぜひ書店業界・流通のプロに、そのあたりのまとめや分析をお願いしたいものです。
このブログを訪問してくださるような、書店・本に関心の強いみなさんのなかには、昨日のこの記事には驚かされた方も多いのではないでしょうか。「丸善とジュンク堂、共同ブランドの大型書店 10店前後」 (9/14朝日新聞)。短い記事なので、全文を引かせていただきます。
《大日本印刷の傘下で書店チェーンを展開するCHIグループは、丸善書店(国内41店舗)とジュンク堂書店(同41店舗)の共同ブランドを中心に、今後1年半で10店前後を出店する。売り場面積が平均3000平方メートル程度の大型店で、今月2日には共同ブランドの1号店を東京・渋谷の東急百貨店本店に出した。一方、小型店など数店は閉める計画。》
《1年半で10店前後》の出店で、しかも《売り場面積が平均3000平方メートル程度の大型店》と、ペース・規模ともに、にわかに信じられないような数字があがっています。3000平米は、坪換算で900少し(907.5ぐらい)。先日の渋谷や、来月の吉祥寺が1100坪ですから、これが全体でどれだけの規模の出店計画か、想像がつくかと思います。
実はこの件、昨日の記事で急にわかったことではなく、すでに既報があったのですが、タイミングを逸して紹介しそこねていました。「 既存書店は大型化で生き残り 丸善とジュンク堂、1年半で10店 共同ブランド店も」 (8/28日本経済新聞)がそれ。
記事冒頭は《大日本印刷(DNP)の傘下にある書店チェーン大手、丸善書店とジュンク堂書店(神戸市)は共同で2012年1月までに売り場面積が3千平方メートル前後の大型店を10店出店する。共同ブランドの店を中心に首都圏や地方の県庁所在地を中心に新設する。同時に300平方メートル程度の小型店数店を閉める。電子書籍や書籍のインターネット通販の拡大で書店経営は厳しさを増している。このため販売効率の高い大型店で生き残りを目指す。》となっています。
ジュンク堂書店 の出店については、年内に大阪への超大型店出店計画があることをつい先日、記事で紹介した ばかり。この新しい大阪の店を含む既報の出店(広島、吉祥寺、郡山)は、10店にカウントされているんでしょうが、残りも、このような、既存競合店が複数ある地域への、超大型店の出店なのだとしたら、これは全国あちこちで、書店地図が大幅に、激烈に描き変えられてしまうことになりかねません。
実際、今日ツイートで知らされたニュースなんですが、八重洲ブックセンター の郡山うすい店の、9月末での閉店が決まったそうです。郡山といえば、ジュンク堂書店 が10/29に700坪超の店を出店することが発表されている街。ジュンク進出ひと月前の撤退ということですが、この閉店開店にまったく影響関係がないとは考えにくい。今後も、大型店出店エリアでこのようなニュースが相次ぐことにならないとはかぎりません。
書店に関心のある者として気になるのは、こうした出店ラッシュが、CHIグループだけの動きでないように思えるような出店ニュースが最近多いような気がするからです。ごく最近報じられたものだけで、たとえば以下のようなものがありました。
ほかにも、ぼくが気づいていないものがあるかもしれません。これらは、CHIと違い、超のつく大型店は旭川のコーチャンフォー(施設全体が1730坪、書籍・雑誌を扱う書店部分は約900坪、という記事がありました)ぐらい。大型店が続くのも不安な感じにさせられますが、仮に中小規模だとしても、これだけ短期間にあちこちで、特定のチェーン/グループが出店を繰り返しているのを知らされると、大丈夫なんだろうか(そのチェーンが、出店対象地域の経済が、書店業界全体が、のすべての意味で)、という不安を覚えずにはいられません。
というのも、先の日経の記事にあるように、書店の数については、《書店は淘汰が進んでいる。出版社のアルメディア(東京・豊島)によると、2010年5月時点の全国の書店数は前年同月比3%減の1万5300。この10年で見ると3割減少した。》という状況にあるからです。同記事はこう続きます。《一方、店舗の大型化は進み、売り場面積は4678万9400平方メートルとこの10年で15%広がった。「経営基盤の弱い中小書店の閉鎖が増える中、品ぞろえが広く、効率的な店舗運営ができる大型店が増えているため」(アルメディア)という。》
新しい書店ができること。もちろん、それだけなら本好き書店好きには歓迎すべきことです。実際、これまでに、書店の新規出店に関する件をツイートやブログで取り上げると、必ず、「うれしい」「歓迎」「やっほー」「これで○○(大きな街)まで出なくて済む」といった声が複数あがっていました。街の利用者にとっては、新しくて、大きくて、品揃えのいい店の出現は、うれしいに決まっています。
でも、他の業種の話はともかく、書店の場合、取り扱い商品である「本」は非常にきびしい状況にさらされているわけです。売上は毎年下がり続け、今年は電子がらみの騒動に業界全体が大きく揺らされています。「電子は敵ではない」「電子も1つの商機である」「電子と紙の共存が重要だ」……いろんな言い方がされています。いずれにも、正しいところは含まれているかもしれません。でも、電子版の「もしドラ」やサンデルの「正義」を買った人は、同じ本を書店で買うことは(形態の違いを比較検証することが趣味だったり仕事だったりするマニアや関係者を除けば)まずないでしょう。これまでなら書店で売れたかもしれない本が、書店では物理的に売れなくなっているのは事実なわけです。
そんななか、はたして、競うように大きな店舗をあちこちに出していくことが、書店にとって、ほんとうに得策なのかどうか。少ない食い扶持をとりあって、お互いに疲弊させあうようなことになっていはしないでしょうか。
これは、やはり書店の出店についてふれた先日の記事 でも引用したのですが、「書店:「MARUZEN&ジュンク堂」渋谷店が開店」 (9/2毎日新聞)にこんなくだりがあります。《岡充孝ジュンク堂書店社長は「読者の視点に立った店づくりを進めるため、書店同士が協調してやっていくべき時代に入ったと思う」と話す。》
平均900坪の大型店をあちこちに10店も出店することを考えている方にとっての、「書店同士の協調」とはいったいどのようなものなのか。皮肉でも意地悪でもなく、一度うかがってみたい気がするのは、おそらくぼくだけではないでしょう。
今日の午後は、これらの本をとっかえひっかえしながら、ごろごろと過ごしました。
◆今日のBGM◆
Herbie Hancock『The Imagine Project』 ハービー・ハンコックはなんといってもファンク時代が最高で、ふだんはその手のばっかり聴いてるんですが、たまには違うのも、と思って新作を購入。
豪華な共演ミュージシャンとの共演による、「イマジン」ほかの歌ものカバーアルバム。共演者たちの顔ぶれは、Amazonほかの紹介ページをどうぞ。公式サイト もありますよ。ジェフ・ベック、デレク・トラックスの、空犬通信お気に入り新旧ギタリストが含まれているのがうれしいところですが、残念ながら、ベックのプレイは今1つ。
曲では、「ここに死が|エクソダス フィーチャリング:ティナリウェン、ケイナーン、ロス・ロボス 」、「トゥモロー・ネバー・ノウズ フィーチャリング:デイヴ・マシューズ 」あたりが、なかなか。
アトレ吉祥寺のブックファースト 、新刊台の横のワゴンでにぎやかな感じで、たいそう楽しそうに売られていたので、思わず手にとってしまいました。
吉祥寺の本、吉祥寺の特集、というとつい買ってしまうんですよねえ。当然、まっさきにチェックするのは、書店のページ。どれどれ、どんなふうに取り上げられてるかな。古書店のページがあったぞ。「マニアな品揃えがうれしい 個性派店主の古書店」へ、では、バサラブックス、すうさい堂、百年、さんかくの4店が紹介されています。で、新刊書店はというと……独立のページは残念ながらなし。巻末の「吉祥寺おでかけスポットカタログ」のなかに、新刊書店6店がまとめて紹介されていました。
でも、あれ、途中のページにも見たことある書店のエプロンが……あれれ、「吉祥人」なるコラムで、BOOKSルーエ の永井社長が大きく取り上げられているではないですか! 他の書店との関係や、大型商業施設のこと、お店と街との関わりなどについて語っていらっしゃいますよ。書店好きはチェックを。
ところで、このページ、コピーがこんなふうになっています。《吉祥寺の文化発信基地》。前半はいいんですよね、で、後半。《大型書店店主が見る街の魅力》……。ルーエが「大型書店」かあ(苦笑)。見る人が見ると、そんなふうに見えるんでしょうか。
いま、吉祥寺で「大型書店」と言えば、まず誰もがイメージするのが、まもなくやってくるジュンク堂書店 。BOOKSルーエ は、そのいちばん近くで、文字通りの「大型書店」の影響と闘わなければいけない、街の本屋さんの代表選手みたいな存在、どちらかというと多くの人にはそう思われているんだけどなあ。でも、まあいいよね。なにしろ、《文化発信基地》の《大型書店》扱いだもんね(笑)。花本氏も喜んでたりして。
まあ、それはともかく。BOOKSルーエ が、このようなかたちで取り上げられるのはうれしいことですよ。
『Hanako』や『散歩の達人』ほか雑誌の吉祥寺特集や、出版の『吉祥寺本』、今回のぴあ。カフェの開拓をするわけでもなんでもなくて、いつも同じところで飲み食いばっかりしてるくせに、この手の吉祥寺本、必ず買っちゃうんだよなあ。で、これらの吉祥寺本を見ていていつも思うことなんですが、こういう本で紹介されているおされなお店たちのこと、ほんと、見事にぜんぜん知らないなあ(苦笑)。毎日のように街なかを通ったり、飲食したり、買い物したりしてるけど、結局同じところにばっかり行ってるからなあ。吉祥寺を愛する者として、ちょっといかんかもなあ。これらの本で、もちっと勉強しようと思います(←たぶん無理)。
ところで、知り合いに教えてもらったんだけど、ぴあMOOK、ほかにもいろいろ出たんだとか。ポケモン、ガンダムは、すでに先行として、ドラえもんとか井上雅彦もあったからまあわかるとして、『ゴッホ展ぴあ』っていうのが、個人的には気に入ってしまった。『ゴッホ展ぴあ』。字面もいいけど、発語したときの感じがgood(笑)。
↑正確には、こういうタイトルの本でした。『ゴッホ展ぴあ』と略して呼びたい気持ちはわからないでもない。
↑先の吉祥寺ぴあ、当然この時期に出る本ですから、グランドオープン後のアトレと、コピスの全貌も紹介されていました。そのコピス、先日、夜の吉祥寺を歩いていたら、こんなサインが目に止まりました。まだ周りは工事中ですが、サインはこうこうと光っています。もうすぐなんだなあ、と実感させられる光景でした。
記事の下にある拍手、最初はよく意味もわからぬままにその機能をつけておいたんですが、あの数字が増えていたりするとやっぱりうれしいものです。ぽちりとやってくださるみなさま、ありがとうございます。
拍手にコメントをつけられる機能があるようで、それでコメントを残してくださる方がときどきいらっしゃいます。ほんとにありがとうございます。通常のコメントもそうですが、うれしい感想を聞かせていただけることが多く、とても励みになっていますよ。
ただ、自分のブログのくせに情けない話なんですが、これに、お礼の返信を書く欄があるものの、これって、書いてくださった方に読めているんでしょうか……。自分で自分のページを見ている分には、どこにどう表示されるのかがよくわからないのですが……。
せっかくコメントを残したのに無反応だ、などと気にされている方がいらっしゃるといけませんので、もしも当方の返信内容が読めていない場合は、コメントなりなんなりでご一報ください。通常のコメントにあげてよければ、こちらの返信のみアップしますし、そうでない場合は、別のかたちで内容をお送りすることを考えますので。
まだいろいろ気分的に引きずっているものはあるのですが、この件は今日紹介しないとタイミング的に意味がなくなってしまうので、性懲りもなく、今日も書店の話を書くことにします。
さて、昨日は、港の人さん(@minatonohito)に閉店の情報を教えていただいた、流水書房広尾店を訪問してきました。
広尾ガーデンの2Fにある同店、以前は青山ブックセンターでしたよね。調べてたら、2004年に流水書房に変わったようです。回数こそ多くはないものの、ABC時代から利用したことのあるこの店、前回の記事にも書きましたが、中央線沿線族には広尾はちょっと敷居が高くて、あんまり用事もないものですから、ここ最近はちょっとごぶさたでした。
久しぶりに見る店内は、通路が広くて明るくて、以前と変わらぬ感じのいい雰囲気……なんですが、記憶にあるお店の様子に比べ、なんだか棚の数も、本の数もずいぶん少なくなってしまった感じがします。
『ブック・ナビ東京』(2005年刊)には、同店の特徴として《絵本、児童書を中心に揃えている。》と書かれています。ぼくの記憶でも、棚も本ももっと多くて、絵本・児童書が今よりも多かっただけでなく、ファッション系の雑誌や洋書もたくさん置いていた、全体にもっと棚の見た目の印象が華やかだった印象があります。しばらく見ないとお店は変わってしまうものなんですよね……。
今年の1月には、店長の山加奈さんが、「あらたにす」の「書店員さんのおすすめ」 に、登場されていましたが、その記事 には、《土地柄、幅広い世代のビジネスマンのお客様がみえますので、ビジネス書やノンフィクションものを多く揃えています。》とありました。《絵本、児童書を中心に揃えている》とはまったく逆といっていい品揃えですよね。店内がなんとなくがらんとした感じになってしまって、見た目から受ける棚の印象も違っているのは、もちろん閉店直前ということもあるのでしょうが、それだけではない、いろいろな変化がぼくがしばらくごぶさたしている間にあったということなのでしょう。
でも。今のお店が、ではダメなのかというと、そんなことは決してなくて、棚を見ていくと、このお店らしさを出そうとする工夫を随所に発見することができるのです。たとえば。
文芸書、とくに文芸書は海外のも日本のも量こそ少ないのですが、最近のエンタメ系話題作だけで埋めることも可能な棚数なのに、あきらかに「セレクト」されたことがわかる本がたくさん並んでいます。レギュラーの棚だけではありません。レジ前の平台には、芥川賞受賞作の赤染さんの本と並んで、多和田葉子さん(!)の本がずらりと並んでいました。
少し前の新刊『尼僧』が評判のようですから、それが平積みということなら別にめずらしくはないんですが、『尼僧』だけでなく、『容疑者の夜行列車』や『アメリカ』(『ボルドーの義兄』だったかも)や、さらには10年以上前の刊行の『ふたくちおとこ』まで並んでいます。いくら『尼僧』が話題を呼んでいるとはいえ、賞や映画化などに関係のない純文学作家の本を、これだけ複数一緒に平積みにしているところは、文芸書の充実した大きなお店でもあまり見かけません。こういうのは、ちょっとうれしいですよね。
そして、今日のメインはもちろん、港の人さんがブログの記事「流水書房広尾店、最後の「読書」フェア」 で紹介されていた、本と読書のフェア。背のあまり高くない棚2本ほどのフェアです。でも、そこに「読書」をキーワードに、ゆるめに集められた本たちがぎゅっと詰まっています。
想像とおり、というか、想像以上にすてきなフェアでした。今日はこの棚から必ず何か買うぞと決めていたんですが、テイストの合う書店・フェア・棚にありがちなことなんですが、好きな本・作家がかぶり過ぎていて、なかなかすぐに買えるものがない。うんうん迷ったあげく、最終候補に残ったのは、この2冊。
藤富保男『評伝 北園克衛』 (沖積舎) 石内徹編『雪の宿り 神西清小説セレクション』 (港の人) 【“流水書房広尾店、最後のフェアは、実にすてきなフェアでした”の続きを読む】
なんか、弱気なことを書いちゃったりしたもので、自分でもびっくりするほど、いろいろな方から、コメントやらツイートやらメールやらで励まされてしまいました……。ご心配くださった皆様、ありがとうございました。まだ問題が解消したわけではないのですが、でも、やっぱりもうちょっとがんばるか、という気になりつつあります。
今日は、会社帰りに流水書房を見てきたので、ほんとなら書くことも書きたいこともあるのですが、昨日の今日ということで、さすがにちょっと筆がのらない……。更新はお休みしようかなと思っていたんですが、前から楽しみにしていた、書店派には超のつく重要本が刊行になりましたので、紹介だけしておきます。
今泉正光『「今泉棚」とリブロの時代 出版人に聞く1』 (論創社) 版元の案内によれば、《1980年代、池袋に“リブロ”という文化が出現し、「新しい知のパラダイム」を求めて多くの読書人が集った。書店リブロの商品棚「今泉棚」はその中心にあり、今日では伝説になっている。その「今泉棚」の誕生から消滅までを本人が語る。》という1冊。
全編これ、書店に関心のある者必読といっていい中身で、今日の昼休みに買ったばかりなんですが、あっという間に読んでしまいました。リブロの話もさることながら、リブロにつながる周辺の話(たとえば、弘栄堂やりぶる・りべろなど、吉祥寺にあったお店の名前も出てきて、それが人的につながっていたりする)がこれまたおもしろい。とにかく気になる話がいっぱい出てくるので、付箋を立てながら再読しているところです。
たまには別の話題を、と自分でも思うのですが、今日も書店の開店・閉店の話です……。
以前の記事 でご紹介しましたが、本日、BOOK EXPRESS ディラ品川店 が閉店になりました。同店の関係者のみなさま、おつかれさまでした。今後のことについては、サイトには案内がありませんが、また新しいかたちで、品川駅に戻ってこられることを期待しています。
もう1つ、大変に残念な閉店のニュースが。流水書房広尾店が、9月12日(日)で閉店になるそうです。広尾ガーデンの2階にあるお店は、小さいながらも見せ方や品揃えに工夫の見られるすてきなお店で、広尾の街自体、ふだんあまり足を運ぶ機会がないので、最近はごぶさただったのですが、行けば必ず寄る店であり、そして、印象に残る店でもありました。
閉店の情報は、港の人さん(@minatonohito)のツイートで教えられました。ありがとうございました。港の人さんのブログ「港の人日記」 に、最後のフェアを紹介した、写真入りの記事があがっています。「流水書房広尾店、最後の「読書」フェア」 。棚には、空犬も大好きな『On Reading』の書影が見えます。このケルテスの写真集と、林哲夫さんの『読む人』の2冊を中心に組まれたフェアとのこと。閉店前に、ぜひ実際に棚を見てみたいものです。
もう1つは開店のニュース。本郷三丁目に、書原 本郷店がオープンするようです。10月5日。この件、作品社さん(@sakuhinsha)さんのツイートで教えられました。ありがとうございました。書原のサイトには、告知は出ていないようですので、作品社さん(@sakuhinsha)のツイートの一部を引かせていただきます。《本郷三丁目の交差点から南(東大と反対側)に100mちょっと行った右側ですね。49坪。大きな店舗ではありませんが、東大に近い立地なので楽しみです。》
書原 といえば、個人的にはやはり阿佐谷本店。会社帰りなどにふらりと寄るにはちょっと駅から遠いので、最近はあまり顔を出せていないのですが、行けば必ず長居してしまう、学生のころからずっと大好きなお店の1つです。その書原の新しいお店となれば、これはすごく楽しみですね。
もう1つ、オープンの件でご報告を。昨日書いた三省堂書店 池袋店オープンに関する記事ですが、いくつか不正確な点があったことをご指摘いただきました。いただいた情報を参考に修正し、また、併せて、読み直したときに不要に思われた点の一部を削除しました。
ご指摘いただいたのLOFTに関する記述です。LOFTが、三省堂書店 オープン前は10~12階だったことは知っていたんですが、「LOFTの横あたり で改装工事をやっている」という情報を複数の方から寄せていただいたのを参考にしたため、そのままLOFTのあたりで 、としてしまいました。三省堂書店 池袋店と同日に、LOFTの9階売り場が新しくオープンとなっています。「9月7日(火)注目の売場がお目見え 西武池袋本店9階にロフトの新しい売場がオープン!」 (LOFTのサイトより)。LOFTの件は書店の開店のことに直接関係がないものという判断でふれていなかったのですが、場所のことと同フロアのオープンをわかっていないのではないか、とのご指摘をいただきましたので、補足させていただきました。同店の関係の方で、不正確な情報を不快に思われた方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。
併せて、坪数は110坪であるとのご教示をいただきました。広さは、資料などにあがっている場合はそれを引用していますが、そうでない場合は、だいたいこの程度かなという印象を書いています(昨日の文章でもそのように書いたつもりでした)。三省堂書店 池袋店の場合、エレベータ側から見ると手前にオープンなスペースがあり、エスカレータ側も開けているので、サイズの印象に甘い点がありましたが、とくに意図的に違う数字をあげようなどというつもりはもちろんありませんので(そのようなことをする意味もありませんし)、ここで補足させていただいたうえ、記事の数字を訂正しました。
【“流水書房広尾店閉店、10月には本郷に書原の新店が……池袋の補足も少し”の続きを読む】
いま、ながーい記事を書いたばかりだけど、書店関連でもう1件。これはどうしても書かずにはいられないので。
ジュンク堂書店 の公式サイト「新着ニュース」欄にはまだあがっていないが、ツイッター他で流れているので、本好き書店好きなら、もうご存じの方も多いだろう。またしても衝撃的な大型出店のニュースがとびこんできました。「ジュンク堂書店、大阪・茶屋町に同社最大店を出店」 (9/7新文化)
短いので、すみません、全文引かせてもらいます。《12月下旬に、大型複合施設「チャスカ茶屋町」(大阪市北区)の地下1階~地上7階(合計2060坪)で出店する。主帳合は大阪屋。MARUZEN&ジュンク堂書店の看板で出店する可能性もあるという。》……全8フロア、2000坪超って、それって、池袋本店クラスってことですよね?! マヂ……。
《茶屋町への出店により、同一商圏にある大阪・北区の梅田ヒルトンプラザ店については、ワンフロアに縮小して丸善の看板で運営することも検討している。 10月29日には福島・郡山市のうすい百貨店内にワンフロア700坪で出店。月商目標は5000万円。主帳合は大阪屋。仙台ロフト店の中村育広氏が店長に就任。また、9月25日には兵庫・芦屋市の芦屋店を300坪に増床し、リニューアルオープンする。 》
……。なんていうか、すぐにことばが出てきませんな。自店チェーンが複数あり(うち1つは超大型の堂島・大阪本店)、既存大型店も複数ある(やや離れているブックファースト 、旭屋書店 はともかく、まもなくリニューアルオープンの紀伊國屋書店 梅田本店はすぐ近く)、そんな地域への出店、しかも2000坪、しかも1000坪クラスを複数出店する同じ年に……。この出店1つとってもものすごいことなのに、ジュンクの場合、前後に大型~超大型が目白押しですから。
ジュンク堂書店 、いったいどうしちゃったの? だいじょうぶ? だって、いくらなんでも、ペースと規模がすごすぎる。こんな大規模かつ連続的な出店、これまでの書店の歴史にないのはもちろんのこと、隣接小売り業種にも例がないのではないでしょうか。
書店関連の記事で何度も予告だけしつつ、まとめきれずにいる出店問題に関する記事、少しずつ書いてはいて、昨日も、この1年の同店の出店を規模や位置などを一覧にして、過去の例などを調べて検証していたところなのに、またしてもこんな大きなのが出てきちゃったら、また書き直しだなあ……。
とにかく、びっくりなこのニュース。また詳細がわかったら、報告します。
なんだか、最近は、書店の開店と閉店、その関連の話ばっかりツイートやブログに書いてる気がする空犬です。本日も、都内の書店関連情報です。
三省堂書店池袋店 が、本日オープンとなりました。ふつうなら、都内有数の書店激戦区に出店とはそれはまた大変な、と、そういう反応で済むところですが、ふつうでないのがその出店エリア。なにしろ、西武百貨店内の、LOFTの入っているフロアのすぐ下(同時に、LOFTも同じフロアに拡張)。つまり、リブロ 池袋本店の直近ですから驚き。かつてなら考えられないような出店です。オープンの話を聞いたときは、何かの間違いか冗談かと持ったほど。とまあ、開店前から業界の一部で話題になっていたお店、早速、開店当日の様子を見に行ってきました。
↑さすがに、商業施設内の書店を、知り合いもいない状況でぱちぱちやるわけにはいきませんから、エレベータ前のあたりから、入り口あたりを控えめにぱちり。でも、これでは雰囲気がさっぱりわかりませんね。
形状から広さが推測しにくいのですが、110坪とのこと。什器の色や照明の感じなど、店内は全体にとても明るいイメージ。
リブロ とジュンク堂書店 の直近で、しかもこの規模の書店ということで、もとより数や種類で競ってもしかたないことはあきらか。百貨店/LOFTの客層を意識した品揃えに大幅にシフトした結果でしょう。書籍では、料理・美容・デザインといった女性向けを意識した実用関係の充実、面陳の多用が目立ちました。
サイトの案内にも、《「暮らしの旬」を伝え「趣味生活」を豊かにする書店をコンセプトに、多種多様な趣味のジャンルをカバーするため通常の倍以上の面積で趣味・実用本コーナーを展開予定。》とありましたから、まさにこの通りになっているわけですね。
このほか、フェア台に洋書の写真集を並べるなど、「趣味生活」の関連棚以外のところでも、妙にこったものにしない程度の(別に悪い意味ではなく)わかりやすい「おしゃれ」が志向されている印象を受けました。
南館の上のフロアということで、子連れ客は来ないという判断でしょうか、児童書はきわめて少なめ(まあ、すぐ近くに「わむぱむ」があるわけですから、あれと対抗しようとは思わないのがふつうですよね)。子ども向けがあまり意識されていない一方で、学生さんはそれなりに来るのでしょうか、コミックやラノベなどは比較的多めに見えました。
MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店のときと違い、店内が関係者だらけということはないようでした。客層は平日午後なので、30代以上の女性ばかり。山野楽器、ペットショップなどがあるこのフロアに、平日夕方や休日、どんな客があがってくるのか、男性客が足を向けるのかどうか、ちょっと気になるところです。
その足で、リブロ 池袋店、ジュンク堂書店 池袋店、旭屋書店 池袋店を訪ねました。運良く3店の担当の方にお会いでき、立ち話してきましたが、どちらでも、今回の出店の件はとくに意識はしていないような感じでした。たしかに、立地と品揃えをみるかぎり、影響を受けそうなのは、この3店ではリブロ だけ、それも、料理・美容・コミックなど一部のジャンルになりそうですからね。
というわけで。池袋の書店マップに新たに加わった三省堂書店 池袋店。西武百貨店、とくにLOFTの利用をされる方には、ちょっとした新刊や雑誌の買い物ならすぐ近くで済んでしまうというので、重宝するかもしれません。リブロ やジュンク堂書店 や、かつての芳林堂のようなタイプの書店を求めて池袋に来る方には、わざわざ足を運ぶような店ではないかもしれませんが、あなたが書店好きなら、池袋では逆にめずらしくなってしまっている小規模書店の1つとして、見ておくといいかもしれませんよ。
と、以上が、三省堂書店池袋店の様子のレポートなんだけれど、それより。本件で、書店に関心のある方の多くが疑問に思ったのは、お店がどんな広さで、どんな品揃えなのか、といったことよりも、もっと根本的なこと。「なぜ、西武百貨店内に、それもよりによって、西武系書店の代表格のリブロ池袋本店のすぐそばに、西武系でないチェーン書店が出店することになったのか」、ということではないでしょうか。
【“西武内にリブロ以外の書店?!……三省堂書店池袋店、本日オープンです”の続きを読む】
書店関係のことで、M&J渋谷のことなど、タイミングのいいことを書いたりしたせいか、訪問してくださる方がちょっと増えていい気になっていたんでしょうか(駄ブログを訪問してくださる方も、M&J渋谷の記事の後はいつもの感じに戻ったようで、むしろほっとしていたりします)、自分の書いたものに批判や反論があるのは別にいいのですが、当方の意図とはぜんぜん違う方向で反応されたり何か書かれたりがあると、たいそうへこまされるもので、しかも、昨日の読了本が、メディア関係者にとっては耳と心と腹にこたえる『街場のメディア論』だったりしたこともあって、自分のやってることに懐疑的になったり自信がなくなったりもあり、ちょっとへこみ気味の空犬です……。
帰りの電車で寝落ち、せっかく呑み友が声をかけてくれたのも気づかず、最寄り駅まで行ってしまい、少し戻って吉祥寺で書店回りをするも、お目当ての人には会えず。……まったくついてません。
こんなときはお酒よりもむしろ本屋さん。いつものようにBOOKSルーエ へ向かい、いつものようにおしゃべり&買い物、そして、帰り道、いつものところで、いつだったかの記事 (ああ、このときも書店の出店のことについて書いてるな)で紹介したいつもの猫たちと、いつものようにおしゃべりしているうちに、なんとなく元気になってきた気が。我ながら単純過ぎるな……。
というのも、このキュートな子たち、見てくださいな。もともと技術が足りないうえに、光量まで足りないところで、iPhoneのカメラで撮ってるので、ご覧の始末ではありますが、ネコたちであることぐらいは伝わりますよね、さすがに。本物のこの子たちの、キュート過ぎる様子は、ヘタな写真ではまったく伝わっていないと思われますが、でも一応アップしますね。
↑4匹いるうち、いちばん人見知りしないのがこの子。いつも、この屏のうえにいます。最初はそーっと近づいて(左)、しばらくすると背中をなでさせてくれるようになって(中)、で、今日はとうとう、のどごろごろです(右)。キュートすぎるよ、きみは……。
↑小沼丹の読者としては、黒白のこの子も気になるんだけど、なかなか近寄らせてくれない。離れて撮るとこの通り、目からネコビーム!みたいなことになってしまうのだった。
こういうの、その場でtwitterに流したいんだけど、どうしたらいいのか、とつぶやいたら、すぐに複数の返信が。ありがたいことです。その場で挑戦をと思ったんですが、蚊と蚤がすごいので、結局こうして帰宅後にアップしています。
ちなみに、この子たち、声もかわいいんですよねえ。屏の上の子がとくにかわいくて、にゃあ、ではなくて、ひゃっ、とか、きゃっ、とか短くて高いのを繰り返すんですよ。それを記録したくて、動画にしてみたら、写真以上に光がないとダメなようで、まっくらなところに、ときどきむくむくしたものが動いては、奇声が聞こえ、しかもバックでは緑の目がちらちら光って見えるという、怪しい素人UMAビデオみたいなものになってました(苦笑)。
食べ物をやったりして、近隣の方に迷惑をかけたり、この子たちが居づらくなったりしては困るので、話しかける以外は何もしないようにしています。日中が35度を超える日や、最近はないけど雨の日はこの子たちはどうしているかと気になってなりません。
↑ついでに、大好きなよるのネコの本たち。
さて、ものすごく前置きが長くなりました。本日、BOOKSルーエ で買った本たちです。
森村泰昌『まねぶ美術史』 (赤々舍) 高野秀行『怪獣記』 (講談社文庫) 【“森村泰昌、怪獣記……今日ルーエで買った本たち。そして、夜のねこたち。”の続きを読む】
書店が「出会い」の場所であること……そのことについて考えるきっかけになってくれそうな論考を2つご紹介します。
最初の1本は、京都にあるユニークな書店、恵文社一乗寺店 の店長、堀部篤史さんが、第17回東京国際ブックフェアの専門セミナーで、『本棚を編集する』と題して行った講演の抄録。
本好き書店好き、書店関係者には全文を読んでいただくのがいちばんいいんだけど、印象に残った部分を少し引いて紹介します。
《ウェブサイトには、開設当時に僕が恵文社について書いた説明を掲載している。(中略)『とにかく新しい本』を紹介するのではなく、一冊一冊スタッフが納得いくものを紹介したい。/ただ機能的に本を棚に並べるのではなく、思わぬ出合いにぶつかるような提案をしたい」「情報伝達の速度が増していくばかりの昨今、本の持つアナログ感、情報伝達のスローさなどを大事にしていきたい」と書いている。》
《本の選び方だが、まず、「純然たる情報に重きがない本」というのが当店のセレクト基準のひとつだ。/インターネットで検索できる情報と本の知識は別のもので、実用的であればあるほど検索で代用できる。(中略)当店では、料理書などにしても、写真が美しくて装丁も良く、その著者の主観があるものをなるべく選ぶようにしている。》
《二つ目は、ものとしてのオーラがある本。/本にはコレクションの要素や、それを持つことに、ある種の喜びを感じるものもある。》
《三つ目は編集の巧みな本。/これは純然たる情報に重きがない本に近いのだが、どういう語り方をしているか、一部分だけを取っても意味をなさず、1冊丸ごと読むことによって、その世界観ができている本だ。》
《インターネットだと、自分が読みたいものだけをクローズして見られるので、全体の知識像が見えない。/自分が何を知っているかではなくて、何を知らないかを知っていることが学びであり知性の本質だと思う。/アナログがよくてインターネットがだめだという話ではなく、その違いを認識することによって我々の仕事が成り立っていると思う。》
《本はいろいろな文脈を持っているので、その文脈を生かしてあげることがとても大事だ。/当店では何を選ぶかと同じくらい、どう並べるかを重要視している。》
《書店は出会いの場である必要があると思う。/アマゾンとか電子書籍、インターネット検索などで、必要なものを入手することがどんどん簡単になってくる。/情報を取得することの価値は相当低くなっていくだろう。/だから差別化として、ネットの検索などとはベクトルが違う方向で、本の文脈を読み替えて店ごとに違った仕方で紹介し、「この店に来ると、探していたものではないものに出会える」という場として機能していくことが、これから非常に大事になってくるのではないだろうか。》
2本目は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、岸博幸さんによるもの。CDショップの話が中心だが、同じ苦境にあえぐ小売り業態の話として、書店にも通じる話になっていて、実際、書店にふれているくだりもあるので、こちらもぜひ書店に関心のある方にはぜひ読んでいただきたい一文。
全文をお読みいただくのがいいのはこちらも同じだが、やはりいくつか、気になる部分を引かせていただきます。
【“書店が「出会い」の場所であること”の続きを読む】
《書店はもっともっと可能性がある》……書店応援派を自称するブログの書き手には見逃せない、こんな書き出して始まる文章が、「新文化」 、8月26日号 に掲載されています。
次号(というかもう金曜日だから、9/2号が出てるのか)から始まる集中連載「本の川上から川下まで体験してみた!」の「お知らせ」の一文です。書き手は、たくさんのビジネス関連著書をお持ちの「クリエイティブディレクター」川上徹也さん。
《実際に自分の本が、印刷され取次に流れ書店に並ぶまでを体験して感じたことを文章にしてい》くというこの連載、この「お知らせ」はその予告的な文章なんですが、全体がとても書店寄りの視点・立場で書かれていることが伝わってくるものなので、書店にふれている部分を中心に、何か所か引かせていただきます。
《書店はもっともっと可能性がある。以前からそう思っていました。その可能性を広げるお手伝いができたらいいなということも。》
《本を扱う書店は、私にとっては最高のオアシスであり、1日に1度は行かないと落ち着かないほどのスペースでした。》
《そんな書店が今ピンチです。……(中略)おそらくそう遠くない将来、電子書籍が主流になる時代がやってくるでしょう。/しかしだからと言って、書店の役割がが終わるとは決して思いません。書店で本を探す楽しみもまた格別です。》
《書店がよりストーリーのあるワクワクした場所に生まれ変わるヒントを提言(偉そうですが)できればいいな、と思っています。》
ねっ、書店に関心のある方なら、ちょっと読んでみたくなる感じがしませんか? 連載は、次号(9/2号)から4回にわたって連載されるとのこと。この「お知らせ」もWeb版にはあがっていませんから、Web版では読めない連載のようですので、書店問題、出版流通問題に関心のある向きぜひ本紙のほうで連載をチェックしてみてください。
MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 の件、続きです。
後述の立地の件をのぞけば、これといって弱点の見あたらない印象を受けた同店ですが、閉店時間の21時は、商業施設内の店舗だから合わせるほかなかったのか、それとも近隣店への配慮なんでしょうか、やや早めですね。渋谷の既存店のなかには、24時間営業までありますから、夜の遅い街で、大型店が比較的早めに閉まるというのは、周囲の既存店にとっては安心材料かもしれません。
そのほか、何か、不満とか足りないサービスとかについて書いている人がいないかと、ツイッターで、他の方の感想を眺めていたら、本と文具とカフェしかなくておもしろみがない、という主旨の感想があったりして、驚きました(苦笑)。書店さんに、あれだけの本と文具があって、しかも、どこにでもふつうにあるわけではない店内ブックカフェが併設されいて、それでおもしろくないとは……いったいあと何を求めるんだろうと、ぼくなどは思ってしまうんですが、世間には、書店に、ものすごくたくさんのものを求めている人がいるんでしょうか。ヴィレッジヴァンガードのように雑貨やCDもというのはまだわかるけど、それって、別にジュンク堂書店 に求めるものではないと思うし……まさか、宮脇書店の観覧車みたいな、文字通り「おもしろい」ものを求めているとか?!(苦笑)
冗談はさておき。この稿では、出店の既存店への影響のようなものについて、ちょっと思うところを書いておきたいと思います(吉祥寺のことがあるので、冷静にまとめにくく、いつも以上にぐだぐだな文章になっていますが、ご勘弁を……)。
MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 は、ある意味予想通りのジュンクらしい品揃え。この圧倒的な品揃えと在庫数……周囲の既存店にとっては、これ以上の脅威はないでしょう。周囲のお店にとっての救いは、同店が、坂の上にある商業施設の、上のフロアに位置していること、つまり、駅側から見て既存店の多くより「奥」にあるという立地的にやや不利な点でしょうか。
その意味で、距離的にいちばん近く、いろいろな意味で影響を受けるのは避けられないであろう、リブロ 渋谷店をあらためて見ておきなくなったので、帰りがけに行ってきました。
今日は知り合いのAさんの姿も見えないし、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 にかなり長くいて、棚もしっかり見てきたから、数店回った分ぐらいへとへと、ざっと一周する程度にしたんですが、店内を眺めながら、いろいろとちょっとフクザツな思いにかられてしまいました……。
リブロ の方が、こんなつぶやきをされていました。すみません、勝手ながら引かせてもらいます。《今日を皮切りに、渋谷、吉祥寺、広島等で某大手書店との厳しい競争が始まりますが、私たちは「いちばん大きな本屋」でなくても「いちばん好きな本屋」といっていただけるような店舗作りに励みたいと思います。》
大型出店による影響という問題の核心にふれていますよね。続けてお店を見てみるとあきらかなんですが、やはり規模の問題はどうしようもない。そこで争うことにはほとんど意味がないと思うのです。リブロ 渋谷店も、かつてフロアの多くを占めていた時代からすれば、少し小さくなりはしたものの、今だって、決して「小さい」お店ではない。それでも、やはりMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 を見た目で見ると、どうしても小さく見えてしまう。
でもね、別にそれが悪いわけではないと思うのですよ。ぼくは、本に囲まれてる感じが好きなので大型店も好きですが、中規模・小規模店にも好きなお店はたくさんあります。吉祥寺ならBOOKSルーエ がまさにそうだし、少し前にこのブログでも紹介した往来堂書店やブックスアイは、いわゆる「街の本屋さん」規模の小さなお店ですが、どちらも長居したくなる、すばらしいお店です。「いちばん大きな本屋」さんは、床面積と在庫数で、つまり数字で決まってしまうものだから、お客が選ぶものではありません。でも、「いちばん好きな本屋」さんは、数字じゃないんですよね。「いちばん好きな本屋」さんは、お客が選べるものなんですよね。
【“大型書店の出店と既存店への影響のことを少し”の続きを読む】
今日のニュースは、書店的には、やはりこれにつきます。「東急本店に「丸善&ジュンク堂書店」-渋谷に大型書店復活」 (シブヤ経済新聞)。「書店:「MARUZEN&ジュンク堂」渋谷店が開店」 (9/2毎日新聞) 。
今日の暑さのなか、渋谷の坂をのぼって駆けつけるのはほとんど命がけって感じでしたが、でも、やっぱり初日の様子は見たかったので、行ってきましたよ、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 に。いろいろな表記がされているようですが、一応これが正式表記のようですね。略称は「丸ジュン」で定着でしょうか。
↑坂をのぼっていくと、こんなふうに入り口の上に大きな案内が。
お店は、1100坪。ジュンク堂 の広大なフロアには慣れてるはずだし、ワンフロアで千坪と言えば難波店などもありますから、初めて見るわけじゃないけど、でも、こうして見るとやっぱり広いなあ。
店内の感じは、什器といい、レイアウトといい、完全にジュンク のそれ。百貨店内のフロアであること、窓がないことなどから、新宿店を1つのフロアにしたような感じと言えば、雰囲気が伝わるでしょうか。今朝、朝日新聞 に出ていた全面広告に、書籍はジュンク堂書店 が、文具は丸善 が、と、担当を分けたとありましたが、なるほどという感じ。
↑「THE「書店を楽しめ!」宣言」なるコピーが踊る、朝日新聞 の全面広告。書店開店時に全面広告っていうのは、過去にありましたっけ。ブックファースト 新宿のときは、駅のポスター展開は派手でしたが、全面広告まではうっていなかったような。いずれにせよ、ちょっとめずらしいケースかも。
↑フロア案内。ジャンルの下位区分までぎっしり書き込まれてます。
自分の担当ジャンルの棚はもちろん、担当外、自分の興味外のジャンルも含め、お店全体をざっと見て回りました。ひとこと、ジュンク の棚だなあ、という印象です。つまり、徹底的な品揃え、ざっと見て、あれがないこれがない、というような目立った漏れや落ちがぜんぜん見あたらない。
ジャンルバランスでいうと、百貨店内のお店ということで、本来ならもっとスペースが割かれてもいいのかな、と思ったのは児童書ぐらい。ただ、この東急本店は、デパートとは言っても、立地的にも、店内の「Bunkamura」な雰囲気的にも、いわゆる子連れのお父さんお母さんがメインターゲットのお店ではないので、そのあたりの客層の違いが反映されているのでしょう。新宿店にあるような親と子どもが一緒に座って読めるベンチや、池袋店のような靴をぬげるスペースなどはありませんでした。なお、スペースの使い方の話であって、児童書の在庫数が少ない、ということではありませんので、念のため。
肝腎のお客さんの入り、混み具合について。初日の午後の様子ですが、何しろお店が広いので、それほどの混雑には見えませんでしたが、あくまで“密度”の問題で、実際にはそれなりの数のお客さんが来ていたんでしょうね。ぱっと見た感じでは女性客が多い印象。後述の、あきらかに版元か関係者とわかる人をのぞくと、ジュンク に多い年輩の男性客は少なめに見えましたが、それは立地に加え、平日の午後という時間帯の問題でもあるのでしょう。夕方以降の客層の感じも見てみたいところです。
【“MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店、開店初日の様子を見てきましたよ”の続きを読む】
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