今年も、本と書店がテーマだとしながら、それにしては怪獣だの特撮だのボンクラな話題に酒飲み話が多すぎるこの駄ブログを訪問してくださり、ありがとうございました。しょっちゅうくじけそうになってますが、そういうときにかぎって、初めてお会いした人に「読んでます」なんて言われちゃったり、感想メールが来たりするもので、なんとか続けてこられました。
来年2010年が出版業界、書店業界、そして本と書店を愛するみなさんにとって良い年になりますように。それでは、みなさん、良いお年を。
これで終わりにしてもいいんですが、一応予告してしまったので、今日は、今年、個人的に印象に残った本をリストアップしてみます。でも、記事で取り上げた本がほとんどで、とくに新味はありません。順位などはとくになく、また、今年の新刊でないものも入っているかもしれません。
【“2009年本回顧”の続きを読む】
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今年の個人的なまとめ2回目。今日は音楽・映画編です。まずは音楽から。
ぼくは人生に音楽はなくてはならないと考えているくちなので、それなりにたくさんの時間やお金や場所を音楽に費やしているのですが、チャートや流行にまったく無縁な聴き方をしているもので、今年の新譜のベストのようなものはあげようがありません。なので、音楽関連の事件をリストアップしてみます。
なんだか、わざわざリストアップするまでもないようなリストになってしまいましたね(苦笑)。でも、それぐらい、突出して大きな事件であり、激減が叫ばれるCDの売上に大きく寄与するかたちになった事件でもありました。
先日紹介した映画『THIS IS IT』を観たことで、マイケルの存在感を再確認。手に入る映像作品は、ほかのものもチェックしてみたくなりました。まだしばらくマイケルショックは続きそうな感じです。
日本のミュージシャンの訃報でいうと、今年はなんといっても、忌野清志郎さん、加藤和彦さん。あらためてお二人のご冥福をお祈りしたいと思います。
【“2009年映画&音楽回顧”の続きを読む】
さて、続きです。一応、リスト後半をもう一度上げておきましょう。
SF周辺に盛り上がり。『SF本の雑誌』、日本SF全集、文庫アンソロジーなど重要本次々に刊行。SF界重要人物訃報も相次ぐ。 「大乱歩展」開催、少年乱歩文庫完結、大型明智本刊行と、乱歩、局所的に盛り上がり。 藤子決定版的全集刊行開始、オバQ復刊。手塚文庫全集もスタート。 東宝特撮DVDコレクション刊行開始。 SF周辺はいろいろありましたねえ。ちょっと無理矢理にまとめてリストアップすると、 『S-Fマガジン』創刊50周年、 『SF本の雑誌』の刊行、 SFアンソロジー文庫の相次ぐ刊行、 日本SF全集刊行開始、 河出の奇想コレクションも順調に継続中、などなど。
本の世界以外にもありますよ。SFアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』30周年関連イベント、とくに1/1ガンダムは大いに話題を呼びました。
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今年も今日を入れてあと3日。今日から3回は、今年のまとめ記事をお届けします。
まずは、今年の本・書店がらみの事件から、個人的に印象に残ったものをピックアップ。業界の話から、超パーソナルな件まで、ごちゃまぜです。
出版不況、深刻化。本の販売額2兆円割 、休刊誌、170誌超に 。 Kindle上陸。スマートフォンの進化と併せ、読書電子化が加速。 吉祥寺の商業施設に変化の波。新刊書店にも影響が。 書店発メディアの盛り上がり。「ルーエの伝言」+「めくる」=「メクルエデン」。 ブックイベント活性化。「本toちば」スタート。 書店仲間との新たな出会い、「遠足」実現と読書会スタート。 SF周辺に盛り上がり。『SF本の雑誌』、日本SF全集、文庫アンソロジーなど重要本次々に刊行。SF界重要人物訃報も相次ぐ。 「大乱歩展」開催、少年乱歩文庫完結、大型明智本刊行と、乱歩、局所的に盛り上がり。 藤子決定版的全集刊行開始、オバQ復刊。手塚文庫全集もスタート。 東宝特撮DVDコレクション刊行開始。 出版不況……こんなことばがこれほどに一般化してしまうとは……。小学館の学年誌(「「小学五年生」「小学六年生」休刊へ」 )、学研の学習雑誌(「『学習』『科学』休刊のお知らせ」 )、そして、マリクレ(「女性誌「マリ・クレール」休刊へ」 )、SV(「日本を代表するカルチャー雑誌『STUDIO VOICE』が8月発売号で休刊」 )と、子どものころに親しんだ雑誌、学生時代に大好きだった雑誌など、自分の読書人生にも関わりの深い雑誌たちの休刊ニュースは、現役の熱心な読者ではなかったにしても、やはりショックでした。
少し落ち着いたようですが、「本の雑誌」の危機が伝えられたのも今年のこと。「雑誌」という当たり前の存在が、自分が現役でいる間に大きく変質したり、なくなってしまったりするかもしれない……そんなことを強く感じさせられた1年でした。
【“空犬通信版、2009年の出来事回顧”の続きを読む】
先日書いた通り、仕事にひと区切りつけることができたので、ひと足先にお休み入り。今日は娘と一緒に、映画を観に新宿へ。『カールじいさんの空飛ぶ家』 の3D、吹替版を観たんですが、これ、予想以上によくできていて、こちらも娘と一緒になって楽しんでしまいましたよ。
都心に出てくるのは年内最後かも、ということで、大型店で本の買い物、そして懇意の書店員さんたちにひとことあいさつもしたいなと思い、ジュンク堂書店 新宿店へ。運良くSさん、Yさん、Mさんらに会うことができたので、今年最後のあいさつ、ついでに娘も紹介。もちろん、本も山のように買ってしまいましたよ。12月だし、一応ボーナスも出た後だし、こういうときぐらいは散財しないとね。年内にあと1回発行と聞いていた「淳久文藝倶楽部」の最新号も無事ゲット。
ところで。娘連れだったこともあって、児童書のコーナーをいつもよりもじっくりと見てきたんですが、最近は児童書のコーナーにもサイン本がたくさん置いてあるんですねえ。いまでは、ジャンルを問わず、書き手の方々がプロモーションに協力的というか一生懸命であることは、もちろん業界の知識として自分の仕事として知っていますが、それでも今さらながらちょっとびっくりした次第です。
【“ジュンク堂書店新宿店で今年最後かものまとめ買い”の続きを読む】
自伝・評伝の違いはありますが、ぼくの好きな人たちの生き方をめぐる本が、今年の後半になって続けて刊行され、うれしい悲鳴です。
ガブリエル・ガルシア=マルケス『生きて、語り伝える』 (新潮社) 津野海太郎『したくないことはしない 植草甚一の青春』 (新潮社) 古谷敏『ウルトラマンになった男』 (小学館) 『生きて』は、言わずとしれた『百年の孤独』他のマルケスの自伝。予備知識なしで読みたいなと思い、買いはしたものの、まだ目次にも冒頭の1頁にも目を通していない状態です。この冬休みにじっくり読みたい本の1冊。ちなみに、意識して読まないようにしてますが、書評にはたとえばこんなのが。「「語りの魔術」の土壌」 (12/7読売新聞)。書き手は、あきらかにマルケス他のマジックリアリズム的手法に影響を受けている感じがする小野正嗣さん。
『したくないこと』はJJファンなら必読の1冊……なんですが、この人の評伝でこの書き手、そんな本が晶文社 から出なかったことが、なんだかちょっとさびしくて、出てもしばらくは買えずにいたもの。でも、ようやく買いました。冬休み読書の1冊かな。これも書評を1つ紹介しておきます。「『ファンキー仙人』の生き方」 (12/13東京新聞)。評者は鈴木義昭さん。
『ウルトラマン』は、初代ウルトラマンのスーツアクターにして、『ウルトラセブン』のアマギ隊員役の俳優という、昭和特撮世代には超のつく重要人物の手になる回顧録。
【“マルケス、JJ、ウルトラ……最近買ったり読んだりした伝記本たち。”の続きを読む】
中央線もの、ということで、買ってみました。
小坂俊史『中央モノローグ線』 (竹書房バンブー・コミックス) 中央線、中野から武蔵境の各駅を舞台に、それぞれに女性の主人公1人が登場する4こまマンガ。
それなりに中央線的なものが盛り込まれてはいるものの、作者の方の関心のありどころが当方のそれとあまり重ならないせいなのか、残念ながらあんまりピンときませんでした。絵柄の好みの問題もあるのかもしれませんが……。
短篇が読みたくなる。で、こんな本たちを書棚から抜き出し、枕の脇に積み上げて、寝床にもぐりこむ。
ディック『パーキーパットの日々 ディック傑作集1』 (ハヤカワ文庫) 川崎賢子編『久生十蘭短篇選』 (岩波文庫) 津原泰水『綺譚集』 (創元推理文庫) 久しぶりのディックもいいけど、「母子像」「黄泉から」「無月物語」……十蘭はやっぱりいいなあ。いつもは教養文庫だけど、今日はこの岩波で。
津原泰水さん、『ブラバン』もよかったけど、やはり彼の本領は、こちらのタイプにあると思う。ところで、十蘭と津原さんをピックアップしたのは、別に意図したことではないんだけれど、津原本の解説を読むと、東雅夫さんが津原氏を評したことば「短篇の魔術師の異名をとった久生十蘭の再来と呼ぶにふさわしかろう」が引かれている。こうして本がつながる感じ、ちょっとうれしい。
まだまだ読む。がしがし読む。
アストゥリアス『グアテマラ伝説集』 (岩波文庫) R・F・ヤング、ジャック・フィニイ、中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』 (創元SF文庫) 川端康成『水晶幻想・禽獣』 (講談社文芸文庫) 【“冬の真夜中によむ短篇たち”の続きを読む】
みなさん、クリスマスは楽しく過ごせましたか。
この日を、誰と、どこで、どのように過ごすか、そんなことに悶々とした時期が自分にもあったなんて、なんか異次元の話……。そんな青い時代のことはもう記憶の彼方にかすんでしまって忘れかけてます。いまやクリスマスといえば、もう完全にキッズイベントと化してますからね。なので、気分的にはらくちんらくちん。娘を楽しませることだけ考えていればいいので、プレゼント選びも、本選びも、とっても楽しいです。
仕事納めは来週なんだけど、仕事が混んでないこともあって、休みを取れちゃったもので、今日が個人的な仕事納め。おつかれー、俺。ってことで、吉祥寺へ繰り出して、独り乾杯を。
一杯の前に書店回りも。BOOKSルーエ に花本氏をたずね、吉っ読の新年会の相談。啓文堂書店 吉祥寺店にも。担当のNさんに会ったら、来春、ユザワヤビル改装に伴う閉店の後、丸井の中に出店することが正式に決まったと知らされました。
いやあ、よかったなあ。啓文堂 の件は前から聞いていて、一時は、仮店舗営業なし、つまり、完全閉店状態になるかもと聞いていたので、いたく心配していたんですよ。ロンロンから書店がなくなってしまった今、啓文堂 までなくなっちゃったら、吉祥寺の書店者としてはちょっとさびしすぎますからね。
というわけで、ちょっと安心な話が聞けたこともあって、今日は心おきなく酔っぱらうことができました。お酒はダメなんじゃなかったのか、って? いいの、今日は啓文堂書店、空犬仕事納め&移転先決定祝いですよ。
◆今日のBGM◆
今年の新規購入クリスマスCDはこれ。
大好きな写真集が、新装版になって復活しました。
Andre Kertesz『On Reading』 (W.W.Norton) ↑これが今回の新装版。手元の本は、ISBNが同じなのに、なぜか表紙の写真が違ってます。刷によってカバーのデザインを変えたりしたのだろうか。謎。
アンドレ・ケルテスの『オン・リーディング』。オリジナルは1971年の刊行。わずか64ページ、小冊子程度のボリュームの、白黒写真集。
タイトルの通り、いろんな人が、いろんなところで、いろんな格好で、いろんなものを「読んでいる」、そんな姿をとらえただけの写真集なんですが、これがねえ、いいんですよ、ほんとに。本好きが高じると、他人が本を読んでいる姿を見るだけでも、うれしくなっちゃったりするんですよねえ。ここで、うんうん、とうなずいてくれた方なら、100%、幸せな気分になれること請け合いの1冊ですよ。
中身が好きなので、あまり気にしてませんでしたが、ぼくが持っているPenguin版はペーパーバックで、ただでさえ薄い本がほんとにぺらぺらな感じ。もともとの経年劣化だけでなく、おそらくはもともとの印刷クオリティもあまりよくなかったのでしょう、写真も、全体にちょっと眠いような印象の紙面でした。
↑これがPenguinのペーパーバック版。
それが、今回はハードカバー。表紙の写真セレクトも変わり、まず、モノとしての本のイメージが格段によくなりました。
造本を変えただけではないようです。元のと比較しながら見ていくと、写真の順が入れ替わっているなど、内容も「編集」されているようなのです。で、クレジットを見ると、写真の点数が元の61点から73点にと増え、全体のボリュームもアップ。
さらに、写真の「色味」もずいぶん変わっています。内容紹介には、《"On Reading" is reissued with striking new duotone reproductions. 》とあります。duotoneは「2色アミ版」ですが、新版のためのまえがきには、今回の印刷により、ケルテスのオリジナル写真と彼のヴィジョンにより忠実になった、と書かれています。写真の技術的なことはよくわかりませんが、少なくとも、写真の美しさの違いは素人目にもあきらか。
というわけで、本書をお持ちでない本好きには絶対的におすすめの1冊ですが、Penguin版をお持ちの方も、ぜひ買い直されることをおすすめします。この本、気づくタイミングがちょっと遅れて、時期を逸してしまいましたが、これ、相手が本好きなら、まさにクリスマスプレゼントにもぴったりの1冊だと思いますよ。
昨日紹介できなかったこの本の話を。
『BRUTUS』 2010年1月15日号(マガジンハウス)特集は、「本が人をつくる。53人の読書地図」。『BRUTUS』 はときどき本がらみの特集をやってくれるんですが、過去の特集のなかには、小さな字でやたらにたくさんの本を取り上げた、詰め込み感の強すぎるものもあったりして、苦手なものもあったんです。今回も最初はちょっと不安だったんですが、手にしてみれば、今回は表紙も中身の見せ方もすごくいいですね。
23人がいろんなテーマで自らの読書地図を語っていますが、人選とテーマのバランスがよくてなかなかおもしろい。20人ほどのなかに、岡田斗司夫さん、池澤春菜さんと2人もSF者、それもかなりSF度の高いSF者が混じっているのもナイス。
とくに、後者の池澤春菜さん(池澤夏樹さんのお嬢さん)は、なんだかものすごくて、「青背」ことハヤカワ文庫SFを800冊ほどもそろえるディープコレクターだと紹介されています。
↑青背だらけの本棚、といえば、この本で紹介されている『今日の早川さん』の作者、COCOさん の書棚を思い浮かべてしまいました。
小学生時代から1日に4、5冊は当たり前、今も年間300冊読破、読むのが早くて1週間で30冊もいけるとか、いったいどんなオタクが話しとんねん!と関西弁でつっこみたくなるところですが、見ればキュートなお方、女優・声優さんとしてもご活躍とのことですから、いやはや、なんというか。SF界、いや出版界の盛り上げ役として、ぜひこの方面(もちろん、読書・本・書店関係)でのご活躍も期待したくなるというものです。
あと書棚がらみでおもしろかったのは、映画『サマーウォーズ』 (←紹介しそびれていましたが、これ、すばらしいです)の作中でちらりとうつる本棚を拡大掲載、そこに並ぶ本を特定してリスト化するという記事。いやあ、こういう何の役にも立たない遊び、好きだなあ。この視点、このこだわりこそ、大人の本棚遊び術ですよ、まさに。
【“大人の遊び心が満載でした……『BRUTUS』の本特集”の続きを読む】
本と書店がらみの特集雑誌が続けて出ましたね。
『散歩の達人』 2010年1月号(交通新聞社)『BRUTUS』 2010年1月15日号(マガジンハウス)『散歩の達人』 の特集は「本屋さんが面白い!」。70数ページにおよぶ本格的な特集で、単なるおもしろ書店、お洒落書店の紹介にとどまらず、とにかく書店にまつわるいろいろが幅広く取り上げられていて、なかなかの充実ぶり。
この特集、どの記事もおもしろく読めますが、注目すべきは「本屋さん発のメディアを見逃すな」。書店発の手作りフリーペーパーを紹介する記事なんですが、前回書いた通り、このなかでBOOK EXPRESS ディラ上野店 の「めくる」、BOOKSルーエ の「ルーエの伝言」、両店コラボの「メクルエデン」、ジュンク堂書店 新宿店の「淳久文藝倶楽部」が取り上げられているのです。
4つとも親しくさせてもらっている書店員が関わっているし、前3者はぼくも駄文をつらねさせてもらったことがあったりするしと、個人的に縁があると言えば縁のあるフリペ。そんな4つがこうして雑誌に取り上げられ、しかも、前2者は「書店フリペ界の二大巨頭」(笑)などとされていたりします。なんだかうれしいなあ。
【“『散歩の達人』で本屋さん大特集、そして書店フリペのこと”の続きを読む】
昨日は仕事で書店回り。いつもなかなかいけないところをと思い、秋葉原と上野を中心に。まずはBOOK EXPRESS ディラ上野店 へ。
長谷川さんを訪ね、できたばかりの「めくる」最新号をいただき、こちらからは、「ルーエの伝言」最新号(30号)と「セザンヌ」を。フリペといえば、この「めくる」と「ルーエの伝言」が、なんと今月号の『散歩の達人』 (2010年1月号)の大特集「本屋さんが面白い!」で取り上げられています。これについては、稿をあらため、くわしく紹介の予定。
↑じゃーん。空犬も寄稿させてもらってます。
長谷川さんとのおしゃべりの後は、店内を散策。以前取り上げたときにも書きましたが、ここBOOK EXPRESS ディラ上野店 は駅構内のお店とは思えぬほど、あちこちに工夫や仕掛けが埋め込まれていて、実におもしろいのですよ。たとえばこれ↓。
まもなくクリスマスってことで、プレゼントに本をというフェアなんですが、クリスマス絵本やお洒落な写真集ではなくて、文庫3冊をセットにしたもの。セレクトは長谷川さんらお店の方が独自に行ったものだとか。テーマやレベル(?)別になっています。『星の王子さま』なんかが入っているのはよくわかるとして、セレクトのなかには、えーこれが!みたいなのも混じっていて、しかも、写真には写ってませんが、下のほうにいくとだんだん濃さを増し、これはクリスマスプレゼントには選ばないだろうふつう的なセットまであったりします。書店員の遊び心がまさに満開のフェアになっていて、ちょっとうれしくなってしまいます。
残念ながら、3冊セットは、持っている本との重なりのために自分では買えなかったのですが、クリスマスプレゼントを本にしようと考えている人には、まさにぴったりのフェア。もちろん自分用に買うのもいいでしょう。このフェア、ぜひのぞいてみてください。ただ、紹介がぎりぎりになってしまいました。おそらくは明日までのフェアだと思うので、全速力で上野に駆けつけてください!
【“上野で書店回り、そしてBEX上野で遭遇したおもしろフェア”の続きを読む】
最近買った本のなかからSFがらみの2点を紹介しますよ。
福島正実『未踏の時代 日本SFを築いた男の回想録』 (ハヤカワ文庫JA) 長山靖生『日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで』 (河出ブックス) 『未踏』は、創刊50周年を迎えた『S‐Fマガジン』、初代編集長の回想録。読んでいてしかるべき本なんですが、なんとなく読みそびれていたもの。文庫化はうれしいなあ。
でも、ハヤカワ文庫、トール化のせいで、手持ちの革カバーに入らないもので、持ち歩く機会が激減してしまいました。やれやれ。これも家読書ですかね。
河出ブックスのほうは、内容紹介によれば、《日本SFの誕生から百五十年、“未来”はどのように思い描かれ、“もうひとつの世界”はいかに空想されてきたか―。幕末期の架空史から、明治の未来小説・冒険小説、大正・昭和初期の探偵小説・科学小説、そして戦後の現代SF第一世代まで、近代日本が培ってきたSF的想像力の系譜を、現在につながる生命あるものとして描くと同時に、文学史・社会史のなかにSF的作品を位置づけ直す野心作。》という本で、さらに広いスパンで、SF史を見渡したもの。
【“未踏の時代、精神史……最近買ったSF本たち。”の続きを読む】
以前は夏と冬の2回、いろんなところで開かれていたデパートの古本市。最近は数もずいぶん減ってしまってさびしいかぎり。年末から年始にかけて、東京ではこんなものがありますよ。
第9回歳末古書市 期間:2009年12月26日(土)~12月30日(水) 場所:京王百貨店新宿店 7階大催場第26回 銀座古書の市 期間:2009年12月26日(土)~12月30日(水) 場所:松屋銀座 8階大催場第17回松屋浅草古本まつり 期間:2010年1月2日(土)~1月12日(火) 場所:松屋浅草 7階大催場 目録の有無やその請求先、時間、出店業者などの詳細は、各古書展のサイトか、以下の即売展情報のサイトをどうぞ。
今日は、このフェア を企画した紀伊國屋書店 新宿本店の若手書店員たちのグループ「ピクウィッククラブ」の忘年会に呼ばれて、行ってきましたよ。お酒は飲めないはずじゃなかったのかって? いいの、今週は誕生日週だから、特別許可がおりてるのですよ。
メンバーは、紀伊國屋書店 新宿本店のピクウィックのメンバーに、同店の同僚・上司の方、そしてこのフェアとこの会を応援している版元や取次のみなさん。吉祥寺からは、ぼくと花本くんと、元弘栄堂のOくんが参加。
半分ぐらい知らない人たちだったので、そういう会が決して得意ではないこちらは、けっこう不安もあったんですが、ふたを開けてみれば、大変な盛り上がり、二次会までフルに飲みまくってしまいました。節酒中のはずなのになあ、おかしいなあ……。
自己紹介タイムがあって、それぞれ所属のほか、いま読んでる本と好きな作家を発表することになったんですよ。順番に披露していくんだけど、なんか、みんなブンガク読みばかり。ここは、吉祥寺代表としてがんばらねばと、いろいろ考えたのね。なに、ナボコフに保坂に阿部に小島に中上? 俺だって読んでるぜ。今も寝る前読書はこんなの読んでるぜ。
っていう話をしようかなと思ったんだけど、でもね、実際いま、いちばん一生懸命読んでるのは何をかっていうと、↓これだったりするんだよね(苦笑)。で、正直に、「いま、読んでる本は『平成ゴジラクロニクル』です」ってカミングアウトしちゃったんだけど、誰も笑ってくれませんでした(涙)。
ああ、でも今日は楽しかったなあ。超くだらない話から、出版界の未来は、みたいなマジメな話まで、ちょっと幅が広すぎるぐらいにいろんな話をしたりして。こういう人たちが業界にいるかぎりは、まだまだ本の世界は大丈夫なんじゃないかなあ、そんなふうに思えたりした一晩でした。
お酒は飲んじゃダメだっていうのに、家族からのプレゼントがビール。弟夫婦からもビールが届く。いやあ、うれしいなあ。ベルギービールに、飲んだことも見たこともない地ビール。おかしいなあ、どんだけビール好きと思われてるんだ(苦笑)。
誕生日週間ということで、特別飲酒許可も下りたってことにして、飲むしかないよね。だって、昨日も、独りでカヤシマで飲んじゃったしなあ……明日も読書会&遠足仲間のNくんたちに誘われてるしなあ……ぜんぜん節酒になってない(泣)。
さて。自分から自分へのプレゼント、というわけでもないんですが、就寝前の眼福にと、こんなものを購入。
ロジャー・ディーン『Dragon's Dream ロジャー・ディーン幻想画集(P‐Vine BOOKs)』 (ブルースインターアクションズ) これはうれしいなあ。内容紹介によれば、《プログレッシヴ・ロックを語る上で絶対に欠くことの出来ない決定的名作「イエス」「エイジア」のアルバムジャケットから、コンピューターゲームのバーチャルワールド、オペラやアニメ映画の構想やデザインまで。過去30年間の作品を収録。/イエス「第6 のメンバー」とも呼ばれたもっとも重要なアーティストの驚異のクロニクル。》
タイトルとこの内容紹介にもあるとおり、アルバムジャケットのアートワークを集めたものではなくて、いろんなジャンルにわたる作品を集めたものになってます。なので、アルバムジャケに使われたものも、ジャケットをそのまま見せるのではなくて、「絵」(原画)として収録されています。
【“ロジャー・ディーンの作品集に感激です”の続きを読む】
近くこのようなことになることは覚悟してましたが、こうして報道で数字を目にするとやっぱりショックというかやりきれないというか……。「本の販売2兆円割れ 170誌休刊・書籍少ないヒット作」 (12/13朝日新聞)。
冒頭だけ引きます。《今年の書籍・雑誌の推定販売金額が2兆円を割り込むことが確実になった。出版科学研究所の分析で明らかになった。1989年から20年間にわたって「2兆円産業」といわれてきたが、最終的には1兆9300億円台に落ち込む可能性がある。》
村上春樹があったのに?と思われる方も多いかもしれない。同記事から関連のところを引くと、《書籍は10月末で昨年同期比3.9%減。村上春樹著「1Q84」の2巻で224万部が目立った。だが、オリコン調べでは、昨年5作あったミリオンセラーが今年は2作のみだった。》ということ。春樹はいっときのハリポタと同じで、他での減少をカバーはしても、それだけで全体がプラスになるほどではなかったってことでしょうかね。はあ。
暗い話をしていてもしかたがない。そんなときこそ、いっぱい本を買って、いっぱい本を読んで、いっぱい紹介しないとね。この2、3日の通勤読書本はこちら。
松井孝典『われわれはどこへ行くのか?』 (ちくまプリマー新書) 『本の雑誌』 2010年1月号(319号)(本の雑誌社)カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』 (ハヤカワ文庫SF) ↑『タイタン』、左は新装版。右がぼくが持ってる旧版。
【“「本の販売2兆円割れ」……そしてヴォネガット再読。”の続きを読む】
来週、誕生日を迎えたりするもので、家族が本を買ってくれるといいます。好きな本、なんでも選んでいいというのですが、だからって、こんな本を選ぶのは我ながらどうかなと……。
平成ゴジラはそんなに思い入れがないので、ちょっと迷ってた本なんですが、開いてみれば、カラー図版は満載だし、関係者のインタビューにも特撮愛があふれてるし、当時のチラシを表裏載せるなど資料性も高そうだしで、いやあ、思ってたよりずっとよさそうな本でした。継続購入中の東宝特撮映画DVDコレクション もそのうち平成作品が配本されるでしょうから、その予習にもgood。しかし、誕生日に怪獣本買ってもらって喜んでるって、いったいいくつの男の子だよ(苦笑)。
特撮関連本、この後もこんなのが予定されてますね。初代ウルトラマンのスーツアクターであり、セブンではアマギ隊員を演じた古谷敏さんは初著書ですよね。これは楽しみだなあ。
ところで。この年になると、誕生日もそれほどうれしいものではなくて、いや、うれしいどころか、1回スキップしてもらっても、こちらとしてはぜんぜんかまわないのだけれど、当然しっかり、確実にカウントはされていきます……当たり前だ。
誕生日でうれしいのは、家族からのプレゼントを別にすれば、映画館の誕生月割引サービスがあること、あと、お店やショッピングサイトによって、割引やギフト券のサービスがあることかなあ。こうして書いてて、我ながら、実に安いことで喜んでるなあ(苦笑)。
【“誕生日プレゼントに怪獣本を買ってもらう男”の続きを読む】
昨日は「吉っ読(きっちょむ)」 の忘年会でした。
しとしとと冷たい雨のふるあいにくの天気でしたが、「吉っ読」 メンバーと、書店と出版社のゲストのみなさん、合わせて約20名が、いせや公園店 に集まりました。幹事役のぼくが初めて会うことになる方がいたり、参加者の半分ほどが初めての顔合わせとなる組み合わせだったりと、ちょっと忘年会としてはやや妙なことになっていて、不安もあったんですが、杞憂だったようです。ふたをあけてみれば、すぐにあっちでもこっちでもにぎやかな話が始まっていました。
社名・店名・お名前をあげることはしませんが、悪天候のなか、遠くから駆けつけてくださり、会を盛り上げてくれたゲストのみなさんに、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。みなさんのおかげで、大いに楽しいひとときを過ごすことができました。
昨年の忘年会から始めた、「吉っ読」 忘年会好例企画、「今年の1冊」の発表、今回もやりましたよ。「今年の1冊」は、必ずしも「今年の新刊のベスト」でなくてもOK。個人的にいちばんおもしろかったものでもよし、書店や出版の人なら自店・自社でいちばん売れたもの・売りたかったものでもよし、今年一番の掘り出し物でもよし。宣伝も可。そんなゆるめのしばりの「今年の1冊」です。それを全員に披露してもらったんですね。時間は15秒程度。
【“昨日は「吉っ読」忘年会でした”の続きを読む】
BOOKSルーエ 、1Fから2Fにあがる階段スペースで、映画『ライブテープ』 関連のフェアが展開中です。
↑映画のポスターと、地図。ポスターは直筆サイン入り。
↑ウインドー内には地図とスチルが。地図の前にはミニコミとCDも。ミニコミは『spotted701』 。サイトの説明によれば、《SPOTTED PRODUCTIONSが関わる上映・イベント企画時に合わせて作られる不定期発売のミニコミ誌》なんだそうです。
【“吉祥寺ルーエで、吉祥寺音楽映画関連のフェア開催中です”の続きを読む】
BOOKSルーエ へ。花本氏と忘年会の相談ほか、しばらくおしゃべりしてから、いつもの文庫まとめ買い。
町田康『東京飄然』 (中公文庫) 大森望編、伊藤計劃他『NOVA 1 書き下ろし日本SFコレクション』 (河出文庫) チャールズ・ダーウィン『種の起源〈下〉』 (光文社古典新訳文庫) 『東京飄然』、親本も今年になって読んだんですが、これ、おもしろいんですよね。串かつを求めてうろうろするくだりなんて最高、という話はいつか書きましたっけ。町田康さんは写真の腕もなかなか。文庫で外に持ち出して読むのにぴったり、好みの東京本です。
『NOVA』、伊藤計劃さんのほか、円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘らの作品を収録。
【“東京飄然、日本SF、種の起源……今日買った文庫たち。”の続きを読む】
うれしいニュースです。「日本SF大賞、伊藤計劃さんの遺作「ハーモニー」に」 (12/6朝日新聞)、「日本SF大賞:故人で初 早世した伊藤計劃「ハーモニー」受賞」 (12/6毎日新聞)。
《第30回日本SF大賞(日本SF作家クラブ主催)が6日、故・伊藤計劃(けいかく)さんの「ハーモニー」(早川書房)に決まった。》(毎日の記事より)。同記事によれば、《故人の大賞受賞は初めて》とのこと。ちゃんと見ている人は見ている、ってことですね。
SFと言えば。ちょっと高かったけれど、買ってしまいました。だって、「早川書房の「S-Fマガジン」が創刊50周年」 (11/日経WagaMaga)ですからね。
テッド・チャン、グレッグ・イーガン、ジーン・ウルフらの短篇に、ディックやヴォネガットらの名作短篇の再録も。内容詳細は、版元のサイト、こちら でチェックを。
それにしても、1つのジャンルに特化した専門誌が半世紀もの間続いてきた、しかも、出版不況が叫ばれ、あちこちで有名無名を問わず雑誌が倒れまくっている時期に50周年を迎えた、というのは本当にすごいことですよね。ぼくは毎号買っているわけではぜんぜんなくて、それどころか、記念号や好きな作家がらみの特集のときぐらいしか手にとらない、なんちゃって読者なので、こんなこと書く立場にないんですが、でも、これからもぜひがんばってほしい、そんなふうに応援したくなる雑誌です。
創刊50周年を記念して、展覧会も開かれているようですね。
【“『SFマガジン』創刊50周年”の続きを読む】
最近の新書のなかから、気になったのを3冊。
石黒浩『ロボットとは何か 人の心を映す鏡』 (講談社現代新書) 松井正文『外来生物クライシス』 (小学館101新書) 高野潤『カラー版 マチュピチュ 天空の聖殿』 (中公新書) 『ロボットとは何か』は、「ロボット」といっても、我々ボンクラ男子の大好きな
こういうロボットたちの話ではありません。アンドロイド、ヒューマノイドなどと呼ばれる人間酷似型のロボットの話が主。技術論的な話はほとんどなくて、「ロボットとは何か」を通して「人間とは何か」に近づく、哲学に近いようなテーマになっています。
【“ロボット、外来生物、マチュピチュ……最近読んだ新書たち。”の続きを読む】
いろんなところで泣けてしまって、電車中での読書が大変でした。
いやあ、これ、よかったなあ。よかった……その一言で終わりにしておきたいぐらい。
でも、一応内容紹介を引いておきます。《一九八〇年、吹奏楽部に入った僕は、管楽器の群れの中でコントラバスを弾きはじめた。ともに曲をつくり上げる喜びを味わった。忘れられない男女がそこにいた。高校を卒業し、それぞれの道を歩んでゆくうち、いつしか四半世紀が経過していた―。ある日、再結成の話が持ち上がる。かつての仲間たちから、何人が集まってくれるのだろうか。ほろ苦く温かく奏でられる、永遠の青春組曲。》
【“音楽+青春or成長、みたいなのに弱いんです……”の続きを読む】
12月。今年の1冊とか、ベスト10とか、今年の本事情のまとめ的な企画が目につく時期になりましたね。BOOK EXPRESS ディラ上野店 のHさんが登場しているというので、これを購入。
特集は、「2009年度 発表!最高に面白い本大賞」。くわしい内容は、版元のサイト でどうぞ。
ベストセラー作家インタビューとして登場しているのは、川上未映子さん。磯崎さんの受賞作も文芸ジャンルで売上ランキングに入るなど、純文としてはその健闘ぶりが目立ちましたが、芥川賞作家が文芸のベストセラー代表としてこういうふうにフィーチャーされるのは、いいことではないかと。
その川上さん、これもとっちゃいましたね。「キノベス2009、第1位に川上未映子氏の『ヘブン』(講談社)」 (12/1新文化)。本好き・書店好きには説明不要かもしれませんが、「キノベス」は《紀伊國屋書店のスタッフが読んで、お勧めしたい作品の中からベスト30を毎年発表するもの》で、《今回は08年10月以降の新刊(文庫化作品除く)を対象に参加を募り、620件の応募の中から十数人の委員が最終選考で決定した。》というもの。
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少年乱歩文庫完結 に明智読本 (←結局買いました)に大乱歩展 に……今年2009年は、乱歩関連の収穫の多い年になりました。いろいろ出るのはうれしいけど、追っかけるのはなかなか経済的に大変です……。
で、またしても乱歩・探偵関連がこんなにいっぺんに……。
高木彬光・山前譲『乱歩・正史・風太郎』 (出版芸術社) 志村有弘『江戸川乱歩 徹底追跡』 (勉誠出版) 瀬下耽『瀬下耽探偵小説選 論創ミステリ叢書』 (論創社) 『乱歩・正史・風太郎』は、内容紹介によればこのような本。《本格推理小説の巨人・高木彬光と、その作家人生に転機を与えた三人の巨匠―。著者の才能を発掘し、デビューさせた“産みの親”江戸川乱歩、作家としての処世術を伝授した“育ての親”横溝正史、晩年まで長く水魚の交わりであった“親友”山田風太郎。在りし日の推理小説界が垣間見える異色の交友録。》
まだぱらぱらやってみただけだけど、これはもう探偵者・乱歩者必読の予感がひしひしと。
『徹底追跡』、Amazonには内容紹介があがっていないけど、版元の紹介ページ によれば、《乱歩の迷宮世界に踏みこむ―絶大な人気を誇る江戸川乱歩に切り込む格好のブックガイド。「名作案内」「乱歩と関連人物」「随筆・日記」「架空対談」など様々な切り口で、楽しくも妖しい乱歩の迷宮に誘う。「年譜」「主要参考文献目録」などの資料も充実。》という1冊。
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