こんな記事にショックを受けている空犬です。「大阪・キタの名物映画館「三番街シネマ」が24日閉館」(朝日新聞)。先日もこんなニュースにショックを受けたばかりだというのに、またしてもぼくの知っている“大阪”が失われていきます……。「さようならバナナホール 17日に最後の「籠城ライブ」」(朝日新聞)。
ちなみに、三番街シネマは中学生のとき、初めてデートで映画を観た場所でした。バナナホールは高校のとき、ライブ(といっても、複数のアマチュアバンドが寄り集まってするタイプのですが)に出たり、友だちのバンドを観にいったりしていたところ。大阪で10代を過ごした身には、いずれもさびしいニュースです。まあ、でもそれから20年ぐらいたっているわけですから、最近までそのまま残っていたことのほうがすごいことなのかもしれませんね。三番街シネマでは、「想(おも)いでのラストショー」として「サタデー・ナイト・フィーバー」や「影武者」などの作品が上映されたそうです。
なくなると言えば、今日、ブックファースト渋谷店に行ってきました。
【“なくなっていくものたち”の続きを読む】
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しばらく前に書きましたが、映画雑誌が苦戦、だそうです。ならば空犬通信は全面的に応援せねばなりませんね。
- 『映画秘宝』2007年11月号(洋泉社)
- 『この映画がすごい!』2007年11月号(宝島社)
- 『Cut』2007年11月号(ロッキング・オン)
- 「この映画がすごい!」編集部・編『ハリウッドムダ脱ぎ女王選手権』2007年11月号(宝島社)
『秘宝』は特集が「愛すべきニッポンのバカ映画30」と空犬好み。そうそう、紹介しそこねていましたが、こういうのが好きな人は、渋谷に全速力で駆けつけてください。シネマヴェーラ渋谷にて、昨年好き者たちを驚愕させた驚異の特集「妄執、異形の人々」の第2弾が開催中です。ものすごい映画が並んでいてくらくらします。
【“秘宝、この映画、女優……今日買った本たち。”の続きを読む】
夏文庫の話題で、ジャケにふれたことがありましたが、先日の朝日新聞でも、文庫のジャケが記事になっていましたね。「文庫本「ジャケ買い」 『人間失格』は『デスノート』風」(9/18付朝日新聞)。
記事の一部を引くと、こんな感じ。《CDのように表紙のデザインで選ぶ「ジャケ買い」でヒットする文庫本が登場した。本も中身だけでは売れない。若い世代の心をつかむために、出版社はあの手この手の戦略を打ち出す。》
別に、ジャケ/表紙デザインで読者の関心を引こうとすること自体は、出版社がふつうに行ってきたことですから、何も今に始まった話ではないのですが、要するに、今回、集英社文庫の戦略があたったのは、古典的な位置にある近代文学作品に、旬の女優なり、旬の漫画家イラストなりをぶつけたという、ミスマッチ感にあるということ、なのでしょうか。
作品の雰囲気を損なわなければ、どんな組み合わせもありでしょう。だから、以前の記事にも書きましたが、各文庫は、定番や古典を甦らせるために、どんどんカバーで冒険してもいいのではないか、と思います。ただ、コメントが記事中に紹介されている岡崎武志さんの言うように「全部を蒼井優にしてほしいくらい大賛成」とはさすがに思いませんが……。
【“文庫ジャケ買い、紙表紙の誘惑”の続きを読む】
世界中のオールドロックファンが卒倒、悶死しそうなニュースがメディアを賑わせましたね。というわけで、「今日のBGM」拡大版です。「レッド・ツェッペリン「再結成」 1回限りコンサート」(朝日新聞)。ライヴはロンドンで1回のみ。チケットは抽選というから大変なことになりそうです。早くも、こんなことになっているようです。「レッド・ツェッペリン、復活ライブのHPパンク」(朝日新聞)。いやはや。ペイジ、ちゃんとギター弾けるかなあ……。というわけで、名盤たちを引っ張りだして、好きな曲を“拾い聴き”です。
【“レッド・ツェッペリン復活、そしてペイジ礼賛”の続きを読む】
- 編集の学校/文章の学校・監修『本を売る現場でなにが起こっているのか!?』(雷鳥社)
このタイトル、このテーマ、空犬通信としては当然見逃せません。版元の雷鳥社のサイトによれば、このような中身です。《町の本屋が消えていくなか、大型書店が次々と開店していくのはなぜなのか?/日本全国の書店数は1万7098店(2007年5月1日時点)。前年と比べて484店減少する一方、売り場総面積は東京ドーム2個分以上増えているという。書店の未来を探る――業界人必読!》
【“本を売る現場でなにが……今日買った本。”の続きを読む】
全部、BOOKSルーエでの購入本です。
- 津島佑子『ナラ・レポート』(文春文庫)
- 石田千『月と菓子パン』(新潮文庫)
- 長山靖生『奇想科学の冒険 近代日本を騒がせた夢想家たち』(平凡社新書)
- 小宮正安『愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎』(集英社新書)
【“ナラ、菓子パン、奇想、蒐集……今日買った本たち。2”の続きを読む】
乱歩関係は必ず買う、っていつかも書きましたっけ。だから、こんな高価なものも買わざるを得ないんですよね。
- 平山雄一『江戸川乱歩小説キーワード辞典』(東京書籍)
タイトル通り、乱歩小説に出てくる人名・地名などの固有名詞はもちろん、造語や乱歩独特の用語など、キーワードを網羅した辞典。大変な力作、でしょう。それはもう間違いない。でも、これ、誰が読むんでしょうね。本書を購入したBOOKSルーエの花本氏とふたりで、「いったい、どういう人が読者対象なんだろう」と、しばしうーんと考えこんでしまいました。
【“乱歩キーワード……今日買った本たち。1”の続きを読む】
最近読んでいる本たちです。プチ多忙な日が続いていて、なかなか進まず、並行読書本が日々増加する羽目に……。
- 森山大道『遠野物語』(光文社文庫)
- 町山智浩『ブレードランナーの未来世紀 〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画 カルト・ムービー篇』(洋泉社)
- 森村泰昌『「美しい」ってなんだろう? 美術のすすめ』(理論社)
- 平井隆太郎『うつし世の乱歩 父・江戸川乱歩の思い出』(河出書房新社)
- J.G.バラード『コカイン・ナイト』(新潮文庫)
- 『ギターマガジン』2007年10月号(リットーミュージック)
【“写真、美術、映画、テレキャス……最近読んでいる本たち。”の続きを読む】
書店員の方、元書店員の方が書いた本が気になる空犬です。こんな文庫を買いました。これも一種の書店本、でしょうか。
- 藤谷治『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館文庫)
著者の藤谷さんは、書店好きならご存じでしょう、下北沢のフィクショネスの店主。でも、これ、現役書店主の書いた小説、といっても書店が舞台だったり、書店員が主人公だったりする、いわゆる“書店もの”ではありません。へんてこな人たちがたくさん出てくる青春小説、ぐらいの感じでしょうか(メインの登場人物が30代なので、“青春”小説、はきびしいかも、ですが、全体を覆う雰囲気はそんな感じです)。
【“書店員の小説が気になります……今日買った本。”の続きを読む】
新型iPod、ですか。なんか音楽を聴く道具からどんどん離れていってるような気もするなあ。みんなiPodで音楽を聴いてるこのご時世になんですが、レコード、が大好きです。ぼくだって、iPodは持ってるし、音楽のダウンロードもしたことあるし、日々の音楽生活の中心はアナログではなくCDですから、何もデジタルを否定しようといういうつもりはないんです。でも、好き、なんですよねえ、アナログレコードが。
そのレコードがらみで、しばらく前になりますが、こんな記事を見かけました。「音色やジャケット 手作り感が新鮮 LPレコード続々再生産」(5/2付け産経新聞)。Webにはあがっていませんが、その前には朝日新聞にも同様の記事、「LP生産再開相次ぐ 聴く・作るに団塊世代」なる記事が載っていましたっけね。
試みに、その生産再開組の1つ、ユニバーサルミュージックの「名盤LP100選」のリストをのぞいてみると、ロックならストーンズ、Tレックス、ポリス、ボブ・マーリー、ソウルならスティーヴィー・ワンダー、ジェームズ・ブラウンなど大物の名盤が並び、なかなかの充実ぶり。ほかに歌謡曲、ジャズ、クラシックもあり。1枚3,600円(タイトルにより4,200円)を高いと感じるか、こんなもの、と思うかは、レコード自体への思い入れはもちろんのこと、アートワークを大きなサイズのジャケットで見られるというLPの付加価値を認めるか否かでずいぶん変わってきそうです。
【“アナログレコードが再生産、なんだそうです”の続きを読む】
最近、たて続けに映画館がらみでいやなことがあって、ちょっと気落ち気味の空犬です。
このブログでも何度か書いていますが、最近は映画館に行くと必ずといっていいほど携帯のマナー(液晶の光)にいらいらさせられるので、以前よりも映画館に足を運ぶのがおっくうになってきているというのに、客だけでなく、よりによって映画館の対応で不快な思いをさせられるとは……。こんなのが続くと、ほんと、ますます足が遠のきます。はあ……。楽しいことしか書かないが原則なのでくわしくは書きませんが、映画館はサービス業としてもうちょっとお客を、それも毎月何度も館に足を運んでいるような映画好きの客を大事にしてもらいたいものです。
こういうメゲメゲなときは、本だと中身が頭に入らないので、映画を観よう。それも、お気に入りのを、しかもあんまり頭を使わなくていいのを(後者については、ぼくのコレクションは、そんなのがほとんどだからあんまり心配しなくてよかったのでした)選ぶかなあ。なんか怪獣ものがいいかなあ。
そういえば、“お気に入り”の映画の話と言えば、こんなニュースが。「「ブレードランナー」25年ぶりベネチア席巻」。
なんでも、製作25周年を記念して、監督のリドリー・スコット自らの手でリメイクされた『ブレードランナー ファイナルカット』がベネチア映画祭で上映されたところ、新作以上に大受けしてしまったそうです。リメイク、といっても、別に撮り直しされたわけではなく、新編集のよう。だとすると旧作の新編集版がベネチア映画祭で上映されたわけで、実にめずらしいことらしいです。
記事中でもふれられていますが、SF者なら気になるこの「ファイナルカット」、DVDは12/14発売だそうです。日本では映画館での一般上映はないんでしょうね。で、このDVDがなんだかすごいことになっているようで、単独版だけでなく、なんと、これまでのブレードランナーすべての版をまとめたボックスが出るようです。これはすごい! 絶対買いでしょう!
『ブレード・ランナー ファイナル・カット』製作25周年記念エディション【10,000セット限定生産】『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション・プレミアム(5枚組み)【初回限定生産】『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション(5枚組み) 【“映画館かおうちビデオか、それが問題、だったりする、そしてブレラン25周年”の続きを読む】
大阪づいてます。
- 『Lmagazine (エルマガジン)』2007年10月号(京阪神エルマガジン)
- 『大阪人』2007年10月号(大阪市都市工学情報センター)
【“関西書店カルチャー、駅前ビル……最近買った雑誌たち。”の続きを読む】
こんな展覧会が今開催中です。「チェコアニメの鬼才、原宿で展覧会」(9/2付け朝日新聞)。
展覧会の正式なタイトルは、「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展~アリス、あるいは快楽原則~」。シュヴァンクマイエルの映画・アニメを観たことのある人にはわかると思いますが、シュヴァンクマイエルの世界と言えば、独特、なんて言葉では足りないぐらい、狂気・幻想・悪夢に満ち満ちたもの。
【“怪獣、チェコアニメ……気になる異形のものたち。”の続きを読む】
「吉っ読」で読書会を始めることになりました。第1回のお題として、こんな本を読みました。
現代のミステリーはほとんど読まない空犬には、初めての著者、初めての作品です。登場人物のバタくさい名前と関西弁とに面くらいながら読み始めたところ、大絶賛、とはいきませんが、それなりにおもしろく読めました。
本の中身はともかく、書店員のみんなとの読書会は、これがなかなかに楽しいものでした。ミステリー研究会でも、小説研究会でもありませんから、個人的な感想がどうとか、ミステリーとしての出来がどうとか、そういう話はほとんど出ません。売り手としてこの本を読んだか、どう思ったか、この本をどうやって売るか、この著者の次の新刊が出たら既刊の本書をどう並べるか……などなど、書店的な観点が中心です。ちゃんとポップのアイディアを考えてきたメンバーもいました。たしかに、現役書店員が集まっているわけですから、自分ならどんなポップをつけるか、独自帯をかけるならコピーをどうするか、そういうのを出し合うとおもしろいでしょうね。
【“孤島のパズル、そして世界征服”の続きを読む】
こんな本を読んでいると、本を紹介することのむずかしさ、についてあらためて考えさせられます。
タイトルの難しい漢字は、「いきすだま」と読みます。作家が自らの読書遍歴を綴ったもので、『文士の魂』の続編的な1冊。
文士=作家が、過去の文学作品を自らの血肉にするとはこういうことなのか……作家の読みのすさまじさを見せつけられます。こういう本を読むと、なんだか自分の読書がとたんにうすっぺらいものに思えてきてしまいます。まあ、比べてもしかたないんだけど……。
【“本を紹介するのはむずかしい”の続きを読む】
いやあ、実に幸せな読書時間を過ごせました。
ネズミたちのかわいいこと、そして彼らをとりまく動物キャラたちの魅力的なこと! すっかりまいってしまいました。通勤電車の中で読み始めたのですが、ネズミの親子の冒険にはらはらさせられっぱなし、頻繁に涙腺が刺激されるので、後半は自宅で読まざるを得ませんでした。動物が主人公の児童読み物を次から次に読んでいた子どもの頃の読書を思いださずにいられません。すれっからしの小説読みにこそすすめたい、すばらしい作品です。
小説ではないのですが、動物ものでは、こちらもとても印象に残る1冊でした。
- ヘンリー・ニコルズ 『ひとりぼっちのジョージ 最後のガラパゴスゾウガメからの伝言』(早川書房)
【“ネズミ、ゾウガメ……最近読んだ本たち。”の続きを読む】
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