連休前後に読んだ本を眺めていたら、書店本、「本の本」が多いことに気がついたので、まとめて紹介します。たくさんあるので、それぞれは簡単に。
- Todd Parr『Reading Makes You Feel Good』(Little Brown)
- Barbara Lehman『The Red Book』(Houghton Mifflin)
- Jen Campbell『Weird Things Customers Say in Bookshops』(Constable)
- 重松成美『BABEL』I(小学館IKKI COMIX)
- 酒井邦嘉『脳を創る読書 なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』(実業之日本社)
- 山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(人文書院)
- 高橋恭一『なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか 人間の行動を支配しているのは「脳」だけではない!』(主婦と生活社)
- 内田樹『街場の読書論』(太田出版)
最初の3冊は、先日紹介した紀伊國屋書店新宿南店の洋書売り場での洋書・洋雑誌セールで買ってきたもので、絵本2冊は「本の絵本」フェアから。
トッド・パールは邦訳もいくつかある(うちいくつかは穂村弘さん(「ほむらひろし」名義)の訳)絵本作家ですが、この本は未訳のよう。"Reading makes you feel good because..."という文につづいて、こんなこともできる、こんなこともできる、と、読書にまつわる楽しいことが、楽しい絵と一緒に次々にリストアップされていく絵本が、本好きにとって楽しくないわけがありませんよね。
『The Red Book』は『レッド・ブック』として日本語版(評論社)も出ていますが、もともと文字のない絵本なので、造本や表記の好みで選ぶといいでしょう。先のトッドの本に、"You can travel to faraway places"という文が出てくるのですが、この『The Red Book』は、まさに、本があれば、ページを入り口にして場所や時間を簡単に超越できてしまうことを、わずか20数ページで教えてくれる1冊。ちなみに、これは娘のセレクトです(「本の絵本」フェアのなかから、好きなの選んでいいよ、といったら、これをピックアップ)。
『Weird Things Customers Say in Bookshops』は、「書店でお客さんが口にするへんてこなことたち」という書名通り、書店のお客さんの「あるある」を集めたような本。これ、帰りの電車で読みはじめたら、あちこちで吹き出してしまって困ってしまいました。日本でもあるよなあ、というものから、とても本当にあったとは思えないような驚愕のネタまで、書店に日常的に出入りしている方、書店で働いている方なら、笑ったり怒ったり同情したりと、忙しくしているうちに、あっというまに読み終えてしまうことになりそうな1冊です。
個人的にはとてもおもしろく読めたんですが、ただ、読み通してみると楽しいネタ、笑えるネタばかりではもちろんないんですよね。実際にこんなお客がいたらやだなあ、腹立つなあ、というネタもたくさん。そういうのも含めて楽しめる本ではあると思うので、これはぜひ書店員さんの感想を聞いてみたいものだなあ。どこかでこの本、訳さないかなあ。でも、読者対象が限られすぎかもなあ(苦笑)。日本語版を出すなら、巻末に、日本の書店員さんからの投稿を集めて載せたらおもしろいよね(この本の巻末にも、世界の書店から寄せられたネタが掲載されています)。
いくつかサンプルを、ぼくのへたくそな超訳と一緒に載せようかな、と思ったんですが、サイトの内容紹介に少し載っているほか、書籍のもとになったblogもありましたから、どんなものか見てみたい方はそちらを。版元のサイトはこちら、著者のブログはこちら。
以上3点は洋書ですが、『Reading Makes You Feel Good』は対象年齢低めの絵本なので文章は平易、『The Red Book』は文字なし絵本、『Weird Things Customers Say in Bookshops』も会話が中心ということで表現自体はやさしく(サンプルで確認してみてください)、値段も安いので、いずれも、英語はちょっと……という方にも安心しておすすめできます。
『BABEL』は、以前に『ルリユールおじさん』と併読するといいかもなどとおすすめしたこともある『白い本の物語』の作者、重松成美さんの新作。今回も「本」がテーマだけど、ルリユールを取り上げた前作とはうってかわって、今回は、《全ての情報が「ビブリオテック(仮想電子図書館)」に集約された、近未来》(カバー裏より)が舞台のSFファンタジー。
「本の本」ではあるけれど、前作よりもちょっと読み手を選びそう。ふだんからSF読みのぼくはSF設定は問題ないんだけど、「読んではいけない本」が原因で親子が引き裂かれてしまうというオープニングにはなかなかつらいものが……。でも、続きが気になります。
【“書店あるある、BABEL、青木まりこ現象……最近読んだ「本の本」たち。”の続きを読む】
本日発表の本屋大賞は、三浦しをんさんの『舟を編む』に決まったようですね。おめでとうございます。でも、今日は本屋大賞とは関係のない話題を。『本の雑誌』、今月号は、みんな大好き(ですよね?)図鑑特集です。

↑『日販通信』のときもびっくりしたけど、まさか、我がハンドルが、『本の雑誌』の表紙に載る日がくるとは(涙)。
特集「図鑑で遊ぼう!」は、こんな内容。《さあ、春だ! 虫も出てくりゃ、花も咲く。おお、地面をうごめくこの虫はなんだ! というわけで本の雑誌5月号の特集は「図鑑で遊ぼう!」。見てるだけで楽しい大人向けの図鑑を空犬とアルパカがおすすめする悶絶対談から、子どもならではのイチオシ図鑑、偏愛図鑑に翻訳図鑑、図鑑編集者のマル秘話まで、図鑑を持って出かけたくなる春爛漫特集だ。友よ、宇宙の果てから海の底まで、図鑑とともにイモムシ、おじさん、新幹線、ティラノサウルスに会いに行こう!》
図鑑といえば、過去にこんな記事を書いているぐらいの図鑑好き。元図鑑少年にして、現役の図鑑好きでもある身としては、内容紹介に並ぶ文字列を見ているだけでうれしくなる特集です。で、そのうれしい特集に、なんと、図々しいことはなはだしいんですが、対談記事の語り手の一人として登場してしまいました……。しかも、巻頭……。ほんと、すみません……。
タイトルは、「おすすめ図鑑対談 役に立たなくてもいいのだ!」。お相手はアルパカ内田さん。タイトル通り、ふたりがかりで、自分の「偏愛」する図鑑、それも、役に立たなさそうなものたちについて、語りまくっています。どんな図鑑を取り上げ、それをどんなふうに紹介、偏愛しているかは、ぜひ本誌を見てみてくださいね。
アルパカ内田さんとは同世代。どちらも『おじさん図鑑』(小学館)に登場していてもおかしくない、40過ぎのおやぢなんですが、自分の好きな図鑑の話を楽しげに披露しあっている様は、もう、なんというか、男の子丸出しですよね(苦笑)。図鑑少年というのは、一度なってしまうと卒業できないものなのだと、再確認しました。
読者のイチオシ図鑑とか、泉麻人さん、吉野朔美さんらの偏愛図鑑とか、図鑑編集部見学とか、図鑑編集者対談とか、他の記事も図鑑好きにはたまらないものばかりなので、図鑑好きには強くおすすめしたいです。
なかでも、個人的にうれしかったのが、沢野ひとしさんの「図鑑人生」。記事のタイトルがすでに図鑑好き的には琴線ものですが、中身もすばらしくって。昭和31年に出た「小学館学習図鑑シリーズ」を、「これほど丁寧に子どもに親身になって作られた図鑑は見たことがない」と大絶賛しています。うちにもあったんですよねえ、このシリーズ。ぼくが好きだったのは、「動物」の巻。今でも見開きのイラストとか、覚えてるものなあ。沢野さんが紹介している「鳥類」の巻もほしいんですが、記事にご本人が書いているとおり、けっこうな古書価がついているんですよね。でも、ほしいなあ。
対談当日は、本に掲載された記事でふれている図鑑以外にも、たくさんの図鑑を用意していたんですが(関係ないけど、ぼくは軟弱なので、事前に送っておいたんですが、内田さんは、大部の図鑑十数冊を抱えて現れたので、びっくりしてしまいました。人が死んでもおかしくない重量ですから;笑)、時間や紙幅の関係でふれられなかったものがありますし、後になって思いついたものなどもあります。対談に登場していない図鑑をいくつか紹介しておきますね。
おっと、その前に、「図鑑」とはなんぞや?、というお話を。図鑑と言えば、多くの方は、子ども向けの大判の学習図鑑を思い浮かべるのではないかと思いますが、書名に図鑑とつく書物は、児童向け学習図鑑以外にもけっこうたくさんあるんですよね。対象年齢も、判型も、テーマも。さらに、書名に「図鑑」と入っていないけれど、造りや内容はまさに図鑑、という書物もたくさんあるからややこしい。
辞書的な定義だと、写真や絵などを用いて、事物の形や特徴などを説明している本を指すという趣旨のまとめ方をしているものが多いようです。対談にあたって、「図鑑」をどうとらえるかはちょっと迷ったんですよね。書名に「図鑑」が入っていなくても、図鑑的に編集されたものはよしとするか、あくまでも「……図鑑」のみとするか。
結局、対談当日は、書名に「図鑑」とあるものを中心とし、図鑑と入っていないものはごく一部を取り上げるにとどめました。以下にふれるものも、同じ考え方でセレクトしたものです。
- 大伴昌司『カラー版 怪獣ウルトラ図鑑』(秋田書店)
- いんちき番長、加藤アングラ『いんちきおもちゃ大図鑑 中国・香港・台湾・韓国のアヤシイ玩具』(社会評論社)
- 『ロボットと未来のくらし』(小学館なぜなに学習図鑑シリーズ)
- 山下純弘・佐藤隆俊『ティントイ ロボット図鑑』(グリーンアロー出版社)
(いつものように、ここからの脱線が長いのです……。)
【“図鑑好き大集合……『本の雑誌』の今月号は図鑑特集”の続きを読む】
さて、大阪書店回りのレポートはちょっと時間がかかりそうなので、その前にこちらを。しばらく前に、刊行前のイベントの件を記事で紹介した、こちらの新刊が、先日無事に発売となりました。


↑碧野さんにいただいたサイン本。我が家の本棚には、それなりの数のサイン本がありますが、宛名が「空犬」名義のサイン本は、この本だけです(笑)。うれしいなあ。
版元のサイトの内容紹介を引きます。《吉祥寺にある書店のアラフォー副店長理子は、はねっかえりの部下亜紀の扱いに手を焼いていた。協調性がなく、恋愛も自由奔放。仕事でも好き勝手な提案ばかり。一方の亜紀も、ダメ出しばかりする「頭の固い上司」の理子に猛反発。そんなある日、店にとんでもない危機が……。書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテインメント。本好き、書店好き必読!》
親本は、『ブックストア・ウォーズ』という題で出ていたもの。今回の文庫刊行にあたり、改題、内容にもいろいろ変更が加えられています。今回の最大の変更点と言えば、舞台が吉祥寺であることがあきらかになったことですね。未読の方はもちろんですが、親本で読んでいる方も、この文庫版を読むと、いろいろ発見があっておもしろいかもしれませんよ。
この『書店ガール』、以前の記事でふれた通り、刊行前に、西荻窪のbeco cafeで、碧野圭さんご本人が出演し、作品の内容について語るトークイベントを開催しています。

↑beco cafeスタッフ手作りチラシ。
わたくし空犬が企画したものなので、本来であれば、イベント後、すぐに詳細なレポートをあげなくていなくてはならなかったはずなんですが、実は、所用のため、当日、イベント準備と終わってからの打上には参加したんですが、トーク自体には参加できなかったのです(泣)。なので、参加していない身で、レポートも何もなかろう、ということで、書けずにいたのでした。すみません……。
代わりに、ということでもないですが、碧野さんご本人が、ご自分のブログに詳細なレポートを上げていらっしゃるほか、場所を提供してくれた、beco cafeのブログにも写真入りのレポート記事があがっていますので、イベントの様子については、それらをご覧ください。碧野さんの記事は、「イベント終了」(3/16 めざせ!書店訪問100店舗)、beco cafeの記事は、「イベント無事に終了しましたー。」(3/5 beco cafe店長雑録)。

↑当日のお店の入り口。この時点ではまだ刊行されていなかった『書店ガールの』書影が大きく貼り出されていました。
図々しくも打上に参加しましたので、トークに出演された碧野圭さん(残念ながら、トークのお相手をつとめられたミシマ社の木村桃子さんは、先にお帰りになりました)、司会をつとめた、本書の担当編集者でもあるPHPの横田さんに、トークの様子を直接うかがうことができたほか、お客さんも数人の方が残って、打上に参加くださったので、みなさんから感想をうかがうこともできました。
みなさんが、口をそろえて評価されていたのは、木村桃子さんの進行の見事さ、トークのうまさ。碧野さんは、桃子さんが相手でほんとうによかったと、横田さんは、司会として口をはさむ必要がほとんどなかったと、お二人とも大絶賛。トークを聞いていたお客さんは、最後の質疑応答であらためて聞くことがないほど、聞きたかったことはすべてトークで語られていたと、これまた好評価。木村桃子さんにトークのお相手をお願いしたいというのは、碧野さんご本人の希望だったのですが、ほんと、大正解だったようです。

↑その木村桃子さんが、この本のために、このイベントのために、作ってきてくださった、手作りPOP。へたくそな写真で、質感を伝えきれないのが悔やまれるほど、一目見たら、確実に印象に残る、すばらしいPOPです。さすが、元書店員にして、ミシマ社の仕掛け担当と、思わずうならされる仕上がりでした。
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