空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

同じ商業施設内に新古書店ができたら……新刊書店の開店・閉店いろいろ、続き

先の記事の続きです。


●閉店


  • 5/27 すばる書店/TSUTAYAビビットスクエア南船橋店

地図を見てみると、このビビットスクエア南船橋は、「ららぽーとTOKYO BAY」の隣接商業施設のようです。その1階に入っているのがこのすばる書店。ちなみに、お隣「ららぽーとTOKYO BAY」には新刊書店としては、くまざわ書店が入っています。


ふだんは新古書店の開店閉店は取り上げていませんが、これについてはふれておかないといけないでしょう。ブックオフの複合大型店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」が、このビビットスクエア南船橋内、3階にできるようです。「4/26【開店】BOOKOFF SUPER BAZAARビビット南船橋」(開店・閉店)。


近くに新古書店ができるだけでも、新刊書店にとっては影響大なのに、すばるにとっては同じ施設内、くまざわにとってもすぐお隣にできるわけで、しかも相手は《本・CD・DVD・ゲームはもちろん、洋服・スポーツ用品・ベビー用品・ブランドバッグ・腕時計・トレカなどいろんなモノが大集合!その数なんと約55万点。まさに日本最大級のブックオフ!!》などとうたっている超のつく大型店(資料によれば、1474坪)ですからね。


すばるの閉店が、このブックオフの出店によるものなのかどうかはわかりません。でも、傍目には、超大型新古書店が新刊書店を追い出したような格好に見えてしまうのはしかたないですね。


別に新古書店が全部ダメだというつもりはありません。あんまり好きではないけれど、利用することだってあります。商売でやってることですから、法に触れないかぎり、どこに出店しようが、出店者の自由でしょう。でも、それにしたって、こんな出店はちょっとどうかなあと、やっぱりそんなふうに思ってしまうんですよ。今回は複合店ですが、それでも、やはり取り扱い商品の中心が「本」であることは間違いないわけですよね。


で、その「本」=商品をどうやって確保しているのかというと、新刊として新刊書店で買われたものを買い取っているわけです。流通サイクル上は、商品の提供者というか補充元というか、そのような存在でもある(ぼくが、書店をそのような存在だと思っているわけではもちろんなく、あくまで、新古書店という業態からすれば、そのように見えるはずだ、という意味です)新刊書店を、自分たちの出店によって圧迫するようなことでいいのだろうかと。新刊書店の疲弊は、将来的に、確実に自分たちにとってもダメージになるわけで、そんなことは当然わかっているはずなのになあ。


念のため繰り返しますが、すばる書店の閉店とブックオフの出店の因果関係はわかりません。ただ、誰がどう考えたって、影響がゼロのはずがない。こういうニュースや、多摩センターのように、新刊書店の跡地(で、しかも近隣にいくつも新刊書店があるエリア)に新古書店が出店したり、新宿や赤坂のように新刊書店の跡地に家電量販店が入ったりといったニュースを見聞きするたび、とても複雑な気分にさせられるのです……。


辞書、復興の書店、隠れ家、円谷、トミー・ボーリン……最近買った雑誌たち。

このところ、続けて雑誌(含むムック)を買ったので、紹介します。



昨年は辞書小説『舟を編む』の刊行、そしてキノベス1位獲得に、『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』の改訂など、辞書がらみの話題が続きました。その流れを受けてのことでしょうか、『ユリイカ』の最新号は辞書特集。『舟を編む』の三浦しをんさんのインタビューも掲載。辞書好きにかぎらず、ことばに興味のある方なら楽しめそうな、内容・分量とも、充実の特集になっています。


1つだけ残念なのは、この特集、この内容で、わざわざこのような文章を載せる必要があるのかなあと、そんなふうに思わざるをえない記事があったこと。誰の何と書きませんが、お読みいただければ(もしかしたら、目次を見ただけで)わかる方にはわかるかもしれません。まあ、それはともかく、読み応えのある特集であることは間違いないので、辞書好きことば好き、そして『舟を編む』で辞書の世界にひかれた方にはおすすめの1冊です。


『週刊ポスト』と『男の隠れ家』については稿をあらためて紹介しますが、とりあえず、この空犬通信を訪問してくださっているような、本・書店に関心のあるみなさんは、店頭からなくなってしまう前に、『週刊ポスト』は必ず買っておいてください。書店好きは必読の1冊です。


『pen+』は、昨年通常号で出て好評だったらしい円谷特集のムック化。一般誌の特撮関連特集って、正直なところを言うと、まったく、これっぽっちも期待していないので、この『pen』も昨年の本誌が出たときは、期待ゼロで手にしたんですが、予想に違い、とても充実した内容で、昭和特撮おやぢが十分に満足できるものだったんですよね。それがムックになると聞けば、それは楽しみに待ちますよねえ。


とはいえ、本誌9/1号を買って持っている身としては、あらためて買うべきなのかどうかは、どれぐらい変更・追加・新記事があるかによります。その点について、サイトには、《新たな記事を20ページほど加え》《本誌ではなかった特別付録として、ウルトラマン&ウルトラセブンの両面ポスターを付けました。また読者プレゼントとして、人気怪獣カネゴンのソフビ人形も用意(20名様分)》とありました。20ページの新記事というのは、購買動機としてはいささか微妙な感じではありますが、そこは充実の円谷特集を掲載してくれた雑誌に敬意を表して、買いましたよ。変更点などの詳細は、こちらに情報があります。「pen+『円谷プロの魅力を探る。ウルトラマン大研究!』ちら見せします。」(2/27 Pen Online)。


最後は今日の昼休みに買った音楽ムック。これを書店で見つけたときは、さすがに驚きました。だって、これ、書名にも特集タイトルにも明記されてませんが、丸ごと1冊、トミー・ボーリンの特集ムックですよ。まさか、トミー・ボーリンが1冊の本になるとは、トミー・ボーリンで1冊の本が成立するとはなあ。なんだかうれしい驚きです。


ギターものの音楽本と言っても、スコアやギタープレイ関連の記事こそありませんが、機材にバイオにディスコグラフィに関連人脈インタビューにと、トミー・ボーリンに関する日本語の情報としては、間違いなく過去に出たもののなかでもっともくわしいものになっていると思われますから、ファンはどうぞお見逃しなく。


ヒットパレード、音楽の本の本、ジャケ写本、サム・クック……最近買った音楽本たち。

最近、おもしろい音楽本を続けて読みましたので、まとめて紹介しましょう。


  • 片岡義男・小西康陽『僕らのヒットパレード』(国書刊行会)
  • 大谷能生他『音盤時代の音楽の本の本』(カンゼン)
  • 『レコード・コレクターズ』2012年3月号(ミュージック・マガジン)
  • Jan Bellekens『Covered!: Classic Record Sleeves & Their Imitators』(Easy on the Eye Books)

《片岡義男・小西康陽による初のコラボレーションブックが登場! 「芸術新潮」連載のリレーコラム他、対談や音楽エッセイを収録》だという『僕らのヒットパレード』、中古レコード好きは、この表紙だけで燃える/萌えることでしょう。お二人とは必ずしも音楽の趣味が合わない、というか、はっきり言ってぜんぜん合わなくて、出てくるレコードも知らないものばっかりなんだけど、それでも楽しく読めてしまうのだから、不思議だなあ。


片岡さんの「まえがき」にある《LPは魔法だ。過去のある時あるところで流れた時間が、音楽にかたちを変えて、LPの盤面の音溝に刻み込んである。その音溝から音楽を電気的に再生させると、過去の時間が現在の時間とひとつになって、現在のなかを経過していく。何度繰り返しても、おなじことが起きる。これを魔法と呼ばないなら、他のいったいなにが魔法なのか》という文章もすてきだし、小西さんが「あとがき」に寄せた《レコードを愛することと、音楽を愛することは似ているようだがまったく違う。レコードが素晴らしいのは、そこに封じ込められた音楽や会話、あるいは音のすべては、過去に奏でられ、発せられたものだ、ということだ》もいい。小西さんには、「いつもレコードのことばかり考えている人」というタイトルの文章もある。レコード好きが買わざるを得ない本だということが、上に引いたこれらからだけでも十分にわかりますよね。


『音盤時代の音楽の本の本』は、書名の通り、音楽について書かれた本を集めた本。帯には200冊が紹介されているとあります。ぼくは、典型的な「本から入るタイプ」で、好きな音楽のことを知りたいと思ったら、徹底的に活字情報を当たるタイプです。なので、音楽本はかなり読んできたつもりだったが、本書に取り上げられている本に、知らない本読んでない本の多いこと。我ながらびっくりしてしまいました。


冒頭から読み進めていくと、自分の読んだことのある本、興味が持てそうな本がなかなか登場しなくて、30数ページを過ぎたところで、やっとぼくの得意なジャンルの本、高橋健太郎さんがあげていたネルソン・ジョージ『モータウン・ミュージック』が出てきました。全体に、ぼくのような軟弱な音楽本読みには、ちょっと敷居の高めな感じの本が多い印象ですが、その分、自分がふだん手にとる音楽本(自分の好きなジャンル、またはアーティストの、評伝・伝記・ガイド本のたぐい)以外の音楽本に出会えるチャンスなのかなあ、などと思いながら、付箋片手に、少しずつ読み進めています。


『レコード・コレクターズ』、特集はサム・クック。CD化が遅れていたRCA時代の音源が、ここにきて、リマスター+紙ジャケ仕様でCD化。単発の他、ボックスも出るということで、それに合わせての特集なんでしょう。サム・クックのCDについては、たとえばこちらを。


今回の特集、楽曲の解説や、評伝的な記事よりも、まず驚かされたのは、図版としてあげられた、フライヤーやパンフレットなど、50、60年代の紙資料の数々。よくもまあ、こんなものがこの状態で残っていたなと驚かされるようなものがたくさん掲載されています。ジャケ好きには、7インチのピクチャースリーヴの数々もうれしい。これらを目にするためだけでも、ファンは買う価値ありかもしれません。あと、サム愛あふれるトータス松本氏のインタビューもgood。


最後の『COVERED!』は、表紙と副題を見れば想像がつくと思いますが、有名ジャケのアルバムcoverをcoverした、パロディジャケを集めたもの。同じ主旨の本、和書でもありましたね。『レコジャケ・ジャンキー』とか『すべてのレコジャケはバナナにあこがれる。』とか。


Covered!

とにかく、ぱらぱらやるだけで、あっちでもこっちでもくすりとさせられます。くだらないけど、笑わずにはいられないのです。愛のあるパロディは楽しいなあ。アルバムのアートワークが好きな人なら、眺めているだけで、きわめて楽しい時間を過ごせること間違いなしの1冊です。


ちなみに、上で紹介した本のうち、『音盤時代の音楽の本の本』にはレコードのジャケット、アルバムアートワークを集めた、いわゆる「ジャケ本」は取り上げられていませんでしたが、『僕らのヒットパレード』には、小西さんが古今のジャケ本を集めて解説した「いつもジャケット本のことばかり考えている人のために。」という文章が収められています。この手のジャケ本が好きな方は、そちらもぜひチェックを。


さて、音楽本の本を取り上げたついでに、ついでに、ぼくが好きな音楽本を3冊に絞ってピックアップしてみようかな。じゃーん。


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