いやはや、ものすごーく期待はしていたのですが、いくらなんでも、ここまですごいとは思いませんでしたよ。しびれまくりました。
- 『片腕マシンガール』(監督:井口昇)
↑こちらは海外版ポスターを元にしたチラシ表(左)と裏(右)。このビジュアルは素晴らしすぎる。
↑こちらは国内版ポスターを元にしたチラシ表(左)と裏(右)。イラストはもちろん江口寿史。
物語は滅茶苦茶です。いじめを核にしたお話は凄惨で暴力的、全編血まみれで、死体ごろごろですから、気の弱い方、マジメな映画好きにはまったくおすすめできません。やくざ、忍者、すし、天ぷら、女子高生、いじめ、族と、記号化・戯画化された日本的アイテムをこれでもかと詰め込みまくり、日本のことをまったくわかっていない外国人クリエイターが作った日本もの映画をおちょくっているかのような余裕を見せつつ、血しぶきをまきちらし、人体を損壊しまくるなど、ほんとやりたい放題。
でも、やり過ぎもここまでやると爽快。開演前に、本編の楽しみ方といった案内が流れるのですが、これがまた悪ふざけ全開で、血しぶきがとびまくる映像に、どん引きしたりしないで、拍手で盛り上がろうぜ、とか呼びかけるもので、始まる前から大笑い。こういう不謹慎なノリが苦手な人にはすでに地獄でしょうが、ここでOKなら、最後まで楽しめるでしょう。
ストーリー云々よりも、とにかく主人公の八代みなせが最高です。開始早々、マシンガンの装着場面があるのですが、いやもう、その格好いいこと。一瞬でほれました。ローズ・マッゴーワン@『プラネット・テラー』の片足マシンガンの100倍すごいです! ポスターの写真もいいですが、本編で見せてくれる表情はこの何倍もすばらしい。これほど、マシンガンと血まみれとセーラー服が似合うヒロインがいるなんて。すばらしすぎて、どうほめていいのかよくわかりませんよ。背が高めで、整った顔立ちはいわゆるかわいこちゃんタイプではぜんぜんないのですが、それがこの過激すぎる復讐譚にはぴったり。強い女が大活躍のアクションものが好きな男子は悶死必至です。
何度も書きますが、万人向けの映画ではないです。でも、今まで観たことのないかっくいいヒロインが観たい向きは、全速力でシアターN渋谷もしくは池袋シネマ・ロサにかけつけてください!(ぼくがこんなふうにおすすめしなくても、すでに話題を呼んでいるのか、シアターNのレイトショー、満員で、立ち見が出てました。シアターNのレイトで、バイオレンスホラーですよ? こんな大入り、初めてです。)
↑超限定、とのことらしい団扇、もらっちゃいました。
追記。別に予備知識も何もなしに楽しめる作品ですが、本作のインスピレーションのネタになっていたり、本作と作品世界に共通点があったりすると思われる諸作……ホラー/カンフー/アクション/愛すべきB級/グラインドハウスたち……『悪魔のいけにえ』『燃えよドラゴン』『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』『死霊のはらわた3 キャプテン・スーパーマーケット』『プラネット・テラー』『修羅雪姫』『キル・ビル』『影の軍団 服部半蔵』あたりを観ている人なら、作中の小ネタを何倍も楽しめることでしょう。