空犬通信

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『本屋図鑑』掲載店がまた1つ……あゆみBOOKS小石川店がまもなく閉店に

大変残念なことに、またしても『本屋図鑑』(夏葉社)掲載店が1軒、店を閉じることになりました。



170311 あゆみ小石川 外観3

同店は2005年4月のオープン。閉店の理由について、新文化の記事には、《店舗周辺の再開発事業工事などにより来店客数、売上げが減少し》たためとあります。


『本屋図鑑』の取材で、夏葉社の島田さん、イラストレーターの得地直美さんと一緒にあゆみBOOKS小石川店を訪ねたのは、2012年のことでした。当時、同店の店長だった久禮亮太さん(現在は同店を離れ、フリーランス書店員として活躍中)に、主に人文の棚作りについて、実際に棚を端から順に見ながら懇切丁寧に解説してもらったのを、今でも鮮明に思い出します。



気がつけば一緒に話を聞いていたはずの島田さんの姿はなく、久禮さんからマンツーマンで棚作りについてじっくりと話をうかがうことになったのでした(後で聞いたら、「何やら二人で難しい話をしているから、まかせておいてもいいかなと思って」って言ってました;笑)。今にして思えば、実に貴重な機会だったわけですね。


閉店のニュースを知り、店内でおもしろい試み(後述)も始まっていると聞き、すぐにも駆けつけなくてはと思っていたのですが、平日はなかなか機会が作れません。今日は、家の用事で外出していたのですが、帰りに時間がとれたので、最後のチャンスかもと思い、同店を訪問してきました。


店長さんに断って、店内の様子を撮らせてもらってきましたので、以下、写真中心で簡単に紹介したいと思います。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は3/11の様子で、棚の様子・在庫点数は日々変わっています。)
170311 あゆみ小石川 外観1170311 あゆみ小石川 外観2

↑同店の外観。最寄り駅は地下鉄の春日、または後楽園。


170311 あゆみ小石川 外観 左ウインドー170311 あゆみ小石川 外観3170311 あゆみ小石川 外観 右ウインドー

↑路面店ですが、ご覧の通り、入り口が通りから数段分上がったところにあります。左右のウインドーが大きめにとられ、目を引く外観になっています。


170311 あゆみ小石川 新刊台170311 あゆみ小石川 貼り紙

↑同店の顔ともいうべき新刊台。新刊台なんですが、これが単に新刊を並べるだけのスペースにはなっていなくて、同店らしさを表す本たちがぎゅっとまとめて並べられた、印象的な棚になっています。東京堂書店を利用する人ならば、「軍艦」を小さくした感じと言えば、雰囲気が伝わるでしょうか。新刊台には閉店の案内が貼り出されていました。


170311 あゆみ小石川 人文

↑同店、入り口を入って左手奥の壁面、人文・社会の棚。いまは点数が減らされ、面陳と空きが目につきますが、往時はこの棚がぎっしりでした。


『本屋図鑑』ではこの棚を取り上げています。取材と執筆を担当したぼくは、『本屋図鑑』に、こんなふうに書きました。


《棚に並ぶ本を眺めていると流れが自然で、隣の棚に移動していることに気づかないほど。それだけ、見事に流れがつくられているのだろう。棚の隅々にまで、作り手の思いが感じられ、それでいてまったく押しつけがましくはない。時間をかけて、じっくりと棚の流れを追いたくなる、そんな店である》。


得地直美さんのイラストも一緒に見ていただきたいので、ぜひ『本屋図鑑』を手にとっていただき、「【人文書棚】あゆみBOOKS小石川店」のページをご覧ください。


170311 あゆみ小石川 文庫フェア

↑文庫の棚にも工夫がこらされていました。こちらは壁面のフェア棚。


170311 あゆみ小石川 文庫平台1170311 あゆみ小石川 文庫平台2
170311 あゆみ小石川 文庫平台3170311 あゆみ小石川 文庫平台4

↑エンド台も、本の並べ方やPOPの立て方が独特でにぎやか。椅子を使ったディスプレイはあゆみならではの手法ですね。ぼくが愛してやまない色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)が「あゆみBOOKS30周年企画 全社員が選んだ売りたい文庫本」に選ばれている! うれしいなあ。


170311 あゆみ小石川 フェア1170311 あゆみ小石川 フェア2170311 あゆみ小石川 フェア3

↑入り口の脇にあるフェア棚では、「閉店する時にしか本屋さんへの愛を爆発させることができないなんてさみしいじゃないか!」が展開中。ツイッターでも話題になっていました。このフェアについては説明不要ですね。フェアタイトルと、棚板を埋め尽くすように並ぶPOPがすべてを語っていますから。


ちなみに、ぼくが店に入ったとき、店の奥に人だかりがしているので、何かと思ったら、絲山秋子さんのトークイベントが行われている真っ最中でした。もちろん知らずに訪ねたので、びっくりしました。


店内には、以前店長をしていた久禮さんの姿もあり、しばし立ち話もできました。久禮さんとは神保町でよくばったり会うのですが、同店店内おしゃべりするのは久しぶりのことで、なんだか不思議な感じがしたものです。


久禮さん以外にも、店内には知り合いの書店員や、取次の人、版元の人と、見知った顔が何人も見えました。誘いあったわけでもなんでもないのに、本好き本屋好きが自然に集まってくる。リアルなお店は、こういう出会いがあるのもいいところですね。人と人を結びつける、まさにハブとしての機能がリアルな店にはあるのだということなんだろうと思います。


土曜日の午後。近所に住んでいるんでしょうか、児童書やコミックの棚の前には立ち読みをしている小学生くらいの子どもが何人もいました(同店には、シュリンクのかかっていないコミックがたくさんあります)。このお店がなくなってしまったら、この子たちは、どこで絵本やマンガの立ち読みをするんだろう、どこでジャンプやコロコロを買うんだろう……そんなことがふと気になってしまいました。近くには、丸善あおい書店がありますが、本を気軽に手にすることのできる別の場所を、あの子たちが見つけてくれることを祈らずにはいられません。


本日3/11付の同店のツイッター(@AyumiBooks_Koi)に、こんなふうにありました。


《あゆみBOOKS小石川店、3月19日の日曜日でほんとうに最後だから来て欲しいです。(この場所には、週末はあと2回しか訪れない。)本は少しずつ少なくなっていきます。あなたが好きだった本屋は、既に、ここにはないのかも知れません。でもこの場所に来て欲しいのです》。


閉店まであと10日を切ってしまいました。関東近郊の本好き本屋好きの方は、ぜひ同店を訪ねてみてください。本はずいぶん少なくなってしまいましたが、それでも、このお店が、なぜこんなにも多くの本好き本屋好きを、そして絲山秋子さんのような作家までをも強く惹きつけてきたのかが、棚のあちこちから伝わってくると思いますので。


170311 あゆみ小石川 ブックカバー

↑同店のブックカバー。


170311 あゆみ小石川 買った本 絲山1170311 あゆみ小石川 買った本 絲山2170311 あゆみ小石川 買った本 絲山3

↑あゆみBOOKS小石川店で買った本。絲山秋子『小松とうさちゃん』(河出書房新社)、『末裔』(新潮文庫)。原稿用紙にご本人がしたためた同店へのメッセージが印刷された帯がどちらにもかかっています。ご本人が帰られてから購入したので、直接いただいたわけではありませんが、どちらもサイン本。サインには、店名が添えられていました。作家のサインに、「○○店にて」と店名が記されているのは初めて見たかも。


170311 あゆみ小石川 買った本 文庫

↑あゆみBOOKS小石川店で買った本。『アポリネール詩集』(新潮文庫)。「閉店する時にしか本屋さんへの愛を爆発させることができないなんてさみしいじゃないか!」の棚に並んでいた1冊。


170311 あゆみ小石川 買った本 地底1

↑あゆみBOOKS小石川店で買った本。倉薗紀彦さん『地底旅行』1 (KADOKAWA)


170311 あゆみ小石川 買ったコーヒー

↑あゆみBOOKS小石川店ではコーヒーも買いました。「BOKS & COFFEE」とあります。いい組み合わせ。このコーヒーを含む、店内で販売されている文具・雑貨類は20%オフになっていました。Bibliophilic(ビブリオフィリック)の革カバーやトート、しおりなどがまだ残っていますから、本グッズをチェックしたい方はぜひ。



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コメント

三年ほど前に会社が神保町から春日方面に移転したため、ここは仕事帰りによく寄るところです。閉店の話はしばらく前から耳にしていましたが、ここは本好きが思わずニヤリとする店だったので、私も残念でなりません。

ちなみに春日の再開発はかなりの規模なので、こうして客足が遠のいて閉店するところもあるし、のっけから立ち退かされた店も多くて困ったものです。元からの店舗が入るのかどうかわかりませんが、このあたりは地元住民あっての店ばかりなので、その辺をカバーした再開発ならいいのですけどね。

  • 2017/03/12(日) 22:06:47 |
  • URL |
  • sugata #8Y4d93Uo
  • [ 編集 ]

「本好きが思わずニヤリとする店」

sugataさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。

> 三年ほど前に会社が神保町から春日方面に移転したため
そうでしたか。お近くの店だったとすると、喪失感は
たまに行くような利用者よりずっと大きいものでしょうね。

> ここは本好きが思わずニヤリとする店
まさにそういう店でしたね。閉店直前でさえ、やはり
そのような雰囲気のお店でした。

> 春日の再開発はかなりの規模
そうなんですか…。大通りから少し入ると住宅街が
広がっているようですし、お店も、チェーンばかり
が並ぶような街なみではないので、かなり雰囲気が
変わってしまいそうですね。

  • 2017/03/12(日) 22:39:51 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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