空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

道化師の蝶、さよならのあとで、吾妻ひでお……今日買った本たち。

今日は親子で立川へ。週末も一日は仕事、もう一日は終日ダウン、みたいなのが続いていたので、久しぶりのお出かけです。映画『マジック・ツリーハウス』を観て、オリオン書房ノルテ店でたくさん買い物してきました。


マジックツリーハウス チラシ

この『マジック・ツリーハウス』、原作は児童書・YAに関心のある方なら説明不要の大人気ベストセラーシリーズ。映画版のポスターの絵に本が乱れ飛んでいる様子にもあきらかですが、「本」が重要な役割を果たしている作品ですよね。


今回、ちびっこたちに混じって一緒に映画を観てみると、大人の目には、その世界観やキャラ設定にいささか首をかしげたくなるようなところがありはするのですが、でも、本を読んでいたことで誰かを助けられたり、困ったことにあたるたびに本にあたって知識を得たり、本の世界へ行こうと主人公の子どもたちが駆け出すシーンがあったり、というのを観ると、まあ、細部の甘いところはいいかな、などと、つい点が甘くなってしまいます。


閑話休題。ノルテも仕事抜きでゆっくり訪れるのは久しぶり、今日は2時間近く滞在。居心地のいい本屋さんだとこうなっちゃうんですよねえ。たくさん買ってきたものの一部を。


  • 円城塔『道化師の蝶』(講談社)
  • ヘンリー・スコット・ホランド『さよならのあとで』(夏葉社)
  • 山本直樹監修『21世紀のための吾妻ひでお Azuma Hideo Best Selection』(河出書房新社)

道化師の蝶 書影さよならのあとで 書影

『道化師の蝶』は、芥川受賞作に、『群像』2月号に掲載されている中編「松ノ枝の記」を併録して単行本化されたもの。朝日新聞に載っていた全5段の広告もなかなか異例のものでした。新聞広告でさえ、その難解ぶり、読めなさそうな感じが強調されてしまう本作、円城さんの過去作を読んでいない、円城作品初遭遇の本読みの方々がどんな反応をされるのか、興味津々です。


大森望さんが、WEB本の雑誌に、「円城塔『道化師の蝶』攻略ガイド」 (1/27 WEB本の雑誌)という記事をアップしています。途中に《思いきりネタバレなので、未読の人はくれぐれも注意してください》とありますから、作品を読む前に目を通される方は、くれぐれもご注意を。ナボコフとの関係などが丁寧に説明されています。


夏葉社の新刊『さよならのあとで』、ノルテ店では、ぼくが気づいただけで4か所に置かれていました。この本については、稿をあらためて。


知り合いに会うかもしれないお店でこのような表紙の本をいい年したおやぢが買うのは、いささか勇気が要るんですが、買ってしまいました、『21世紀のための吾妻ひでお Azuma Hideo Best Selection』。どのような表紙かは、版元のサイトやオンライン書店で見てみてください。内容は、《「吾妻マンガに影響を受けた」と公言する漫画家・山本直樹が監修を担当》した《吾妻ひでお究極のベスト選集》。膨大な作品群から、よくまあ、この分量の1巻本にまとめたなあと、そのことがまず驚きです。


ノルテ店、エスカレータあがって正面の新刊コーナー、裏側の平台では、芥川賞の2人のフェアのほか、昨年40周年を迎えた工作舎のフェア、「工作舎40周年ベスト40 本は暗い玩具(オブジェ)である」、青土社の『ユリイカ』のバックナンバーフェア、「本の本」を集めた「World Book Tour」(「Book World Tour」だったかもしれない)など、本好きが喜びそうなフェアが複数展開中。ここだけで、いくらでもおもしろ本をピックアップできそうで、ほんと、油断できません(笑)。


本は惛い玩具である

石橋毅史さん講演会、円城塔さんサイン会、三浦しをんさんトーク……気になる出版関連イベントが続きます

日が迫っているものばかりですが、気になる出版・書店関連イベントをいくつかご紹介します。



enjotoh.jpg

昨年には、「自著を語る」にも登場した石橋毅史さんの講演会の案内が「日本の古本屋メールマガジン」第111号に載っていました。タイトルは「古書店も新刊書店も『本屋』である」。1/29(日)の14時から、 東京古書会館の2階情報コーナーで。行きたいけど、この日はダメなんだなあ。残念。『「本屋」は死なない』の読者の方は要チェックです。


なお、メルマガの案内によれば、この講演、「小口絵の世界へ」という、東京古書会館で、1/27〜1/29の3日間、開催される展示会のイベントとして行われるのだそうです。小口絵本が100冊以上展示されるというから、こちらの展示も気になります。また、同じメルマガには、こんな展示の案内も。「企画展示「気になる古書目案内−前期:女子が作った古書販売目録、後期:男子が作った古書販売目録−」。こちらは、昨年から始まっていて、3/24(土)まで。会場は、千代田図書館、9階展示ウォールとのこと。


第146回芥川賞を受賞した円城塔さん『道化師の蝶』のサイン会、ほかにもあるのかもしれませんが、目についたのを3つ。関東のファンは、2/3の三省堂書店神保町本店か2/5のリブロ池袋本店に、関西のファンは、2/10の紀伊國屋書店梅田本店の会へ。時間や整理券などの詳細はそれぞれサイトを見てください。写真は、三省堂書店神保町本店に貼られているサイン会の案内。


メディア的な話題は同時受賞のもう一方、キレキャラの方のほうに完全に持っていかれている感じで、サイトをいろいろ眺めていたら、「完全に無視されている」などと書いてあるものも(泣)。なんかくやしい感じだけど、でも、騒がれすぎないのも円城さんの作風を考えるといいのかもなあ、などと思ったりもしています。円城さんといえば、こんな記事がありました。「寄稿 円城塔さん、芥川賞に決まって 「中間の賞」広げるのが良い」(1/26 MSN産経ニュース)。《だからもし、わたしの奇妙な小説を手に取ってしまい、内容が不明すぎると困った方には、今後のわたしのなりゆき自体を、ほのかに気にして頂きたい。》《もともと、小さな生き物である。裸になっても、またやり直せばよいだけである》……ぼくは(SF読みだから、ということだけでなく)やっぱり円城塔さんを応援していこうと、そう思うのです。


さて、最後のは、「キノベス!」、2012年の第1位に選ばれた三浦しをんさんと、2011年の第1位作品『いちばんここに似合う人』の翻訳を手がけた岸本佐知子さんのトーク。この組み合わせだけで、わくわくしますよね。サイトによれば、内容は、《辞書をつくる人々の奮闘を描く『舟を編む』で「キノベス!2012」第1位に輝いた三浦しをんさんと、昨年、『いちばんここに似合う人』で「キノベス!」を受賞した翻訳家の岸本佐知子さん。日々、辞書と付き合い、ことばをつむぐおふたりが感じる辞書の魅力、ことばのおもしろさ、本のもつ可能性とは...? 「キノベス!」受賞記念とはいっても普段からなかよしのおふたりのトーク。いったいどっちに転がるか...お楽しみに!》とのこと。学会のような場ならともかく、書店での一般向けトークイベントで「辞書」がテーマの1つになるというのは、きわめてめずらしいことですよね。これは気になるなあ。


2/4(土)、紀伊國屋サザンシアターにて。チケット発売・電話予約はすでに始まっていますので、興味のある方はお急ぎあれ。ちなみに、今日、電話で確かめてみたところ、まだ空きがありましたよ。


吉っ読新年会、そして、ふたたびブックンロールのご案内とお願い

昨日は、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」の新年会でした。場所は、吉祥寺のいせや総本店。吉っ読メンバーのほか、仲良しの出版・書店関係のみなさんが30人も集まってくれました。昨日ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。


昨日の新年会は、今年の6月に開催を予定している、本と書店と音楽のイベント「ブックンロール」の話をする場にしたいということで、トークのテーマ案についてみなさんからお話をうかがったり、当日のヘルプを募集したりしました。


    ブックンロール Book'n'Roll Vol.4
    日時:2012年6月29日(金)
             OPEN 19:00 START 19:30(〜22:30)
    場所:ルースター・ノースサイド(東京・荻窪)
             杉並区上荻1-24-21-B1 03-5397-5007
             http://ogikubo-rooster.com
    チャージ:1000円+ドリンク500円(予定)
    出演:(バンドの部)
             ブックスピストルズ(「吉っ読」のバンド)
              C調ボーイズ(夏葉社島田さんのバンド)
            (トークの部)未定

トークの部のテーマ案は、今のところ以下の3つです(すべて吉っ読の案です)。


  • 1)アンダー35 若手(?)書店員座談会
  • 2)本屋でガールトーク 書店員女子会
  • 3)日本の夢の本屋さん

これがタイトルというわけではありません。さすがに、もうちょっと練らないとね(苦笑)。


1つめ、2つめは、書店員のみなさんによる座談会。3つめのは、昨年出たすばらしい書店本『世界の夢の本屋さん』(エクスナレッジ)の日本版&吉っ読版ってことで、書店通3〜5人が、あちこちのすてきな書店(できれば、ふだん行けないエリアのお店)の写真を持ち寄って、それをスライド上映しながら、ガイド付きのバーチャル書店巡りをしようというもの。


これらの案について、どれがいいとか、誰に出てほしいとか、このテーマなら誰が適任とか、何かご意見がありましたら、ぜひお聞かせください。出演候補は自薦他薦どちらも大歓迎です。また、これ以外のテーマ案についても、引き続き募集します。リクエスト、ご意見は、ぜひこの空犬通信のコメント欄でお寄せください。


イベントを手伝ってくださる方も引き続き募集しております。うれしいことに、昨日の会でも数人の方が手をあげてくださいました。イベントはみんなでわいわいやるほうが楽しいですからね。本と書店のイベントに関わってみたい、手伝ってもいい、などという方がいらっしゃいましたら、ぜひわたくし空犬か、BOOKSルーエの花本氏までご一報ください。


【“吉っ読新年会、そして、ふたたびブックンロールのご案内とお願い”の続きを読む】

新刊書店の開店・閉店いろいろです

新刊書店の開店閉店情報です。既報のものも含めて、今年の春頃までの分で、こちらで把握できているもの、最近報道されたものなどをまとめてみました。


●オープン/リニューアル


  • 1/5【オープン】Brown Books Cafe南三条屋根裏店
  • 1/23【リニューアルオープン】リブロecute大宮店
  • 3/17【オープン】蔦屋書店フォレオ菖蒲店(2268)
  • 3/30【リニューアルオープン】東京堂書店

Brown Books Cafe南三条屋根裏店は、札幌市中央区、すすきののお店。場所は、昨年10月に閉店した「はろー書店」の跡地だそうです。ちなみに、この「はろー書店」、ぼくは行ったことがないので、どんなお店だったのか残念ながら知らないのですが、Webなどで同店の閉店を惜しむ声を読むと、アート系の本や雑貨を扱う、すてきなお店だったようですね。


で、Brown Books Cafe南三条屋根裏店ですが、お店のblogによれば、「コーヒー豆、コーヒー器具、本、ポストカード、雑貨の店」とのこと。書籍の扱いがどの程度なのかわかりませんので、ここで最近オープンの新刊書店の1つとして扱っていいのかどうか微妙な感じですが、ファンのついていた個性的な書店が閉店した跡地に、ブックカフェができるというのは、元のお店の利用者にとっても、同地の本好きのみなさんにとっても、きっとうれしいことだろうと思いますので、紹介しておきます。


東京堂書店のリニューアルについては、昨年の記事でも少しふれたことがありましたが、とうとう工事が始まりましたね。少し前のことになりますが、1/10、1/11の2日間、改装のための臨時休業がありましたが、翌日の東京堂書店をのぞいてみたら、もと雑誌のあったあたりが囲われていて、1階の売り場は3分の2ほどになっていました。向かって左側の入り口が閉じられ、そちらに、営業中であること、リニューアルオープンは3/30であることをうたった貼り紙が出ていました。


東京堂書店 改装閉店のお知らせ東京堂書店 営業中 貼り紙

↑左は1/10、11の一時休業時に出ていた貼り紙。右は、現在はりだされているもの。


ちょっと狭くなってしまった売り場は、最初はちょっと違和感がありましたが、そこはさすが東京堂書店、狭くなっても、ちゃんと「らしさ」をあちこちに残しています。入り口入ってすぐ脇で展開されている小出版社の全点フェアも継続、第5弾は港の人です。雰囲気のある、美しい本たちが並んでいます。売り場を縮小しても、こういうフェアや、ウェッジ文庫のフェア、ちくま文庫の在庫僅少本の棚、同店名物の1つ、サイン本の棚などをちゃんと残しているあたりは、さすが東京堂書店という感じで、うれしくなりますね。


同店の改装の様子については、WEB本の雑誌に、「創業120年を超える東京堂書店の大改装がはじまった! その1」「神保町・東京堂書店の大改装がはじまった! その2」があがっていて、写真入りで、店内の様子が見られます。そちらもぜひ。


なお、同店の営業ですが、WEB本の雑誌の記事によれば、《1月11日まで臨時休業し、12日からは仮囲い部分有りの営業を2月23日まで行い、24日から3月29日までは休業、そして3月30日グランドオープンとなるそうだ》とのこと。


●閉店


  • 1/14【閉店】くまざわ書店カリヨン店
  • 1/15【閉店】旭屋書店名古屋ラシック店(610)
  • 1/15【閉店】狛江ブックセンター
  • 1/20【閉店】宮子宮古書店
  • 1/20【閉店】金高堂書店高知大丸店
  • 1/29【閉店】山下書店東京ドーム店
  • 1/31【閉店】金海堂伊敷店
  • 3/30【閉店】ジュンク堂書店新宿店(1650)

宮子書店は四谷三丁目のお店。四谷三丁目は地下鉄駅なので、実際には「駅前」ではないんですが、たたずまいはまさに駅前の本屋さん、という雰囲気のお店でした。地下鉄駅の真上、交差点のすぐそばの路面店で、周りに大型書店があるわけではなく、立地は悪くない。少し歩きはしますが、四ッ谷には大学(上智大学)もある。昼夜ともそれなりに人通りもあります。文鳥堂書店が閉店したときにも感じたことですが、このような街で書店がやっていけないなんて、ほんと、さびしいことです。


金海堂は鹿児島の老舗書店。このような記事があります。「老舗書店の金海堂、伊敷店も閉店へ 鹿児島市」(1/21 373news.com)。記事タイトルに「も」とあることから最近ほかにも閉店があったことがうかがわれ、記事には《同社は「条件がそろえば再び鹿児島市で店を構えたい」としている》とあるものの、こちらも苦戦している感じです。


山下書店については、昨年の記事で少しふれました。このところ本業が忙しくて、神保町から歩いていける水道橋にさえなかなか行く時間を作れなかったのですが、やはり閉店前に、このユニークなお店の様子はしっかり見ておきたいと思っています。同店がどんなお店だったのか、書き手の愛が伝わってくるこんな記事がありました。「さらば、愛しの山下書店東京ドーム店。“文系野球の総本山”が閉店間近!!」(1/20 Number)。


あと、これは「閉店」の話ではないのですが、ぼく自身もどうなるかちょっと心配に思っていましたし、周りでも、閉店になってしまうものと思っている人が複数いましたので、合わせて紹介しておきます。


【“新刊書店の開店・閉店いろいろです”の続きを読む】

『新潮45』で書店特集が……「【新春特集】「本屋」は死なない」

昨年からけっこうな頻度で続いている一般誌での「書店」特集。今年最初(でいいのかな)の書店特集雑誌が出ましたね。



新潮45 2012年2月号 書店特集

「【新春特集】「本屋」は死なない」。新潮社の雑誌ということで、石橋毅史さんの書名を冠したものになっています。


雑誌のメインの特集(「人生後半戦の生き方」)ではなく、第2特集ですので、20ページほどと、それほどの分量ではないのですが、書店好きには気になる記事や書き手の名が並んでいます。収録されているのは、石橋さんによる「芳林堂がめざした「理想の書店」」のほか、「[書店匿名座談会]「技術」と「工夫」でまだまだ活路はある!」、「【ミニエッセイ】「私の好きな本屋」」など。


寄稿者は、ミニエッセイには松浦弥太郎さん、中島京子さん、堀江敏幸さん、穂村弘さん、川上弘美さん、菊池雄星さん、原武史さん、柳家喬太郎さん、山本容子さん、小谷野敦さん、童門冬二さん、華恵さん、樋口真嗣さん、川原泉さん、柳澤秀夫さんらが名を連ね、そのほか、幅允孝さん、津野海太郎さんの名も目次に見えます。特集以外の内容も含めた詳細は、版元のサイトで目次が読めますから、こちらでどうぞ。


発売日に購入、早速読んでみました。記事のなかでは、やはり石橋さんの「芳林堂がめざした「理想の書店」」が印象に残りました。芳林堂書店池袋店が閉店したのは2003年12月31日。10年近い年月がたっているわけですから、当たり前なのかもしれませんが、同店のことを「知らない」という年若い書店員もぼくのまわりでは少なくありません。このまま忘れられてしまうには惜しいお店なので、このような記事が書店特集のメインの1本として書かれたことを、同店を利用していた一人として、うれしく思います。


石橋さんの記事に、芳林堂書店にお勤めだった江口淳さん(ツイッターのアカウントは@futagoyama)のお名前が出てきます。江口さんは、この特集号刊行の少し前、1月7日に、交通事故でお亡くなりになっています。江口淳さんとは面識はなかったのですが、この空犬通信にも何度かコメントを寄せてくださり、ツイッターでもやりとりをしたことがありました。江口さんがこの石橋さんの記事を読まれたら、きっと喜ばれたことでしょう。


ちょっと話がそれました。今回の『新潮45』の書店特集、書店好きの方はもちろん、『「本屋」は死なない』で書き手の石橋さんに興味を持たれた方は要チェックかと思います。


さて、その石橋さんですが、『週刊ポスト』2012年1/13・20号(小学館)の「ポスト・ブック・レビュー」の「著者に訊け!」に登場、2ページにわたって大きく取り上げられていますね。このほか、『婦人公論』にも書評が載ったという情報を見かけましたが、書評自体は未見です。


石橋さんpbr
【“『新潮45』で書店特集が……「【新春特集】「本屋」は死なない」”の続きを読む】

FC2Ad

FC2ブログ